ヤシカミニスターのカメラ修理

5月14日。。。1983年のこの日に
カールルイスさんが平地の電動計時による100m走で
人類初の9秒台(9秒97)を出した日だそうです。
それまでに高地記録(標高が高くタイムが速くなる)や
手動計時による9秒台は何度かあったようなのですが
正真正銘の9秒台はこれが初めてだそうです。
次の年にはロサンゼルスオリンピックが開催され
4つの金メダルを取る大活躍でした。
ロサンゼルオリンピックは当時、中学生で
ちょうど夏休みだったこともあり毎日、1日中見ていました。
山下泰裕さんや森末慎二さん、具志堅幸司さんの金メダル、
よく覚えています。懐かしいですねぇ~

さてさて

本日は「ヤシカミニスター」のカメラ修理を行っています。
今回、お預かりしているのは1960年発売の
最初のタイプの「ミニスター」です。
当時はまだ少なかった露出計搭載の高級機です。
その露出計はセレン光電池を利用した
非連動型で露出計で示されるLV値を
シャッター・絞りを制御するLVリングを使って
露出を決定するという方法です。
露出計はセレンが劣化していると
どうにもお手上げですが今回、お預かりのミニスターは
できる限りの調整を行って全体的に+1段といった感じです。
ズレ幅がわかっていれば何とか対処できると思いますし
ネガだったらあまり気にしなくても大丈夫かと思われます。

レンズは4.5cmF1.9かF2.8が搭載されますが
今回の個体はF2.8搭載モデルです。
シャッターはコパルSVLを搭載し最高速は1/500です。
今回のミニスターはセレン式の露出計はともかく
まずはファインダーの二重像が全く見えません。
ピント合わせのできない状態です。
明るい光源に向けてファインダー内をよくよく見ると
かろうじてブライトフレームの一部がうっすら見えます。
ファインダー内のハーフミラーの劣化のため
二重像が写らない状態ですね。
ファインダーを降ろしてハーフミラーを取り出してみると
端っこのほうにわずかに蒸着が残っている程度で
ほぼ、ただの素通しガラス。。。といった状態でした。
部品取用のAF一眼のミラー(ハーフミラー)から
大きさを合わせて移植することで対処します。

他、シャッターに若干の粘り、レンズにカビが見受けられます。
いつもどおり全体の各部点検整備一式を行いますが
一通り終わったところで、感光済みのフィルムを使って
フィルムローディングから36枚、シャッターを切り
何かおかしいところがないかチェックするのですが。。。
フィルムが終わって巻き戻そうと底面のARダイヤルを
Rにしようとすると。。。どうにもこうにもダイヤルが
Rの少し手前で止まってしまい、スプロケットがフリーになりません。
底部スプロケットギアが固着してしまっているようです。
そうだった。。。ミニスターはたまにこういう症状あるのだった(汗)

スプロケットの問題も解決し、まずは一通り完了したところです。
各部、非常にスムーズに動作するようになりました。

少々、余談ですが。。。
冒頭でも書きましたが、このカメラは最初にLVリングで
露出を決定し、その後で絞り・SSの組み合わせを
絞り・SSリングで変更する作りになっています。
今回のミニスターは大丈夫でしたが
使い方がよくわからずにこのリングを無理に回し
リング留めのネジが折れてしまっている個体をよく見かけます。
古いカメラに限らず、機械は全てそうだと思うのですが
回らないものを無理して回すと大抵の場合、壊れます。
動かないものは何か理由があるということですから
無理に操作することなく、まずは相談していただければと思います。

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