ここではニコンFのカメラ修理でよくある症状等をご紹介します。
ニコンF アイレベル ブラック 精悍なイメージですね。
こちらはシルバー。シルバーならではの梨地が美しいボディです。
当店で行うカメラ修理の中でもトップクラスの件数を誇るニコンF
販売開始から50年を超えますが今でも人気のあるカメラです。
このニコンFというカメラは非常に丈夫です。
お詳しい方ならこのカメラの数々の武勇伝をご存知かとは思います。
このカメラの全盛期である1950~60年代にかけてにおいて
最も過酷な状況に耐えるカメラと言っても間違いでないと思います。
・・・というわけで、致命的な修理不能な状態にまず陥ることのないニコンFです。
しかし、さすがに定期的なメンテナンスをしてやらないと
調子は悪くなってしまいます。
よく見受けられるものとしては
・ プリズム腐食
・ スロー不調
・ シャッタースピードの狂い
この3点でしょうか・・・
プリズム腐食については例えば他の機種にあるようなファインダー視野下に
モヤモヤした腐食がある・・・とか、視野下部1/3が真っ黒で見えないとか
という感じではございません。
画面中央に縦の黒い線が入る、という症状が最も多いと思います。
ちなみにプリズム腐食は接眼レンズから少し離れてファインダー内を見てみると
よりはっきり確認できます。
撮影の結果である写真には全く影響はございませんが
やはりいつも凝視する部分なので気になりだすと気持ちよいものではございません。
上の写真はアイレベルファインダーのカバーを外した状態での写真ですが
赤で囲まれた辺の部分の蒸着が劣化して剥がれることでファインダー中央の黒い線に
なってしまいます。
プリズムそのものを再蒸着することで直すこともできますが
当店では腐食のないプリズムに交換することができます。
(申し訳ございません。2020年現在交換用プリズムの在庫は既にございません。)
部分修理では承っていないので各部点検修理の際に申し付けくださいませ。
2点目のスロー不調の原因のほとんどはミラーボックス下にある「スローガバナー」の
固着、あるいは動きが悪いことで起こります。原因は油切れであったり錆びであったり
汚れによるものだったりします。
スローガバナー
3点目のシャッタースピードの狂いはニコンFに限らず他のカメラでも長くメンテナンスを
されてないカメラであればどのカメラでも起こってしまうものです。
原因の多くはシャッター幕を巻き取る軸の部分の動きが新品当時より悪くなっていることが
ほとんどです。これも清掃・注油を行った上、慎重に調整を重ねることで正しい状態に
戻すことができます。
ニコンFはメンテナンスさえ正しく行ってやれば今でも立派に使える個体が多いカメラです。
今、お持ちの方は是非正しいメンテナンスを一度行っていただくことをお勧めします。