ここではキヤノンⅣSBのカメラ修理でよくある症状等をご紹介します。
キヤノンⅣSB レンズは当時の同時代のものではなく
少し後の時代のものが装着されています。
いわゆる「バルナック型ライカ」のコピーモデルといわれるカメラですが
この時代にはこのタイプのカメラがたくさん存在しました。
今回のキヤノンだけではなく、レオタックス、ニッカ、
チヨタックス、タナック等々たくさんの日本ブランドもありました。
その中でも今回紹介する「キヤノンⅣSB」はキヤノンⅡB」で
搭載した世界初の変倍ファインダーに加え
これまた世界初のX接点を搭載し
「ついにライカを超えた」とも言われ
キヤノンの名を世界的に知らしめたモデルです。
ところで、
当時のこのライカタイプのキヤノンのカメラには
明確なモデル刻印がありません。
なので、相当詳しい方でないと、いったいどのモデルなのか
区別がつかないと思います。
ちなみに今回の「ⅣSB」の場合・・・
・X接点のマークがスローシャッターダイヤルに存在する
・最高速が1/1000である
この2点が該当すればⅣSBまたはⅣSB改です。
他にはⅡDやⅡSをよく見かけます。
さて、前置きが長くなりましたが
このタイプのカメラは生産されてから60年程経過しています。
まずはシャッター幕がダメな可能性が高いです。
硬くてゴワゴワしてたり
シワが折り目のようについているものは
何とか動いてもシャッタースピードの精度が出ているとは思えません。
![](img/IMG_4906.jpg)
さらに上の写真のようにベタベタになっているものは
ゴム引きのゴム部分が溶けてしまっているので
交換しか手段はありません。
ちなみにこのベタベタを無理に取り除くと
幕が穴だらけになるので気をつけてください。
というわけでシャッター幕の交換が
前提になる場合がほとんどです。
しかし、それ以外は純然たる機械式カメラですから
ショック品や相当酷使された個体でない限り
調整である程度のレベルまで復活させることが可能です。
フィルムカメラの中でも
フィルム装填からノブ式の巻上げ、ピント合わせ
露出の決定など、スピーディーに撮影するには
特に慣れるまでは大変なことも多いカメラです。
それでも、このタイプのカメラの
機械を操作している感覚とかは新鮮ですし
いつもの風景も独特のファインダー越しに見れば
全く違うものに見えてきたりもします。
昭和中期の雰囲気を感じながら
1枚、1枚、丁寧に撮影していく、
そんなカメラを1台手元に置いておくのもいいと思います。
但しメンテナンスなしでは
ただの「使いにくい古いカメラ」になってしまいますので
お手元にこのタイプのカメラをお持ちの方は
是非一度、ご相談くださいませ。
修理やメンテナンスをご依頼の方は
使い方もできる限りお教えいたします。