キヤノン EF  ハイブリッドシャッター搭載の異端児

ここではキヤノンEFのカメラ修理でよくある症状等をご紹介します。

個人的にデザインは相当カッコ良いカメラだと思います。

世の中はオイルショックで大騒ぎだった頃に
このEFは発売されました。

キヤノン初のシャッタースピード優先AE搭載の一眼レフ
(正確にはキヤノンEXシリーズが初ですが通常の一眼レフとしては)
Fシリーズ、Aシリーズを通じて唯一のコパル製シャッター搭載機
さらに1秒以上のスローシャッターのみ電子制御で
高速側は機械式というハイブリッドシャッター

いろんな当時としては最新の機能が搭載され
おまけに非常にカメラらしいカッコ良いデザイン

それでも後に出るAE-1の架け橋的位置づけであり
生産時期も短く、おまけに先述したオイルショックの影響もあり
EFは意外と販売台数は伸びませんでした。

個人的には非常に良いカメラだと思うのですが・・・

さて、また前置きが長くなりましたが
このカメラの困ったところは
やはり低速シャッターを制御している電子基盤
これがダメだと修理不能の可能性がございます。

加えてこれは故障ではないのですが
このEF、結構な電池食いです。
うっかり電源をONに入れっぱなしにしていると
すぐ電圧不足で動かなくなります。
ただ、確実に電源オフにしているのに
1日経つと電池がなくなっている・・・という場合は
基盤内で漏電している可能性もあります。

ニコマート等でも採用されたコパルシャッターなので
基本的な信頼度は高いですが
やはり長年の汚れ等で動きが悪くなっているものも
多く見受けられます。
見た目は普通に動作していてもカメラテスターにかけると
全く精度が出ていない場合もあるので
一度、点検だけでも行うことをお勧めします。

写真は上カバーを外したプリズム巻き戻し側です。
プリズム上に見える金色の接点は
当時、専用ストロボと対応可能レンズで
フラッシュマチックが行えた
「CATシステム」の接点です。
余談ですがこのシステムを今、使っている方は
ほとんどいらっしゃらないと思いますので
カバー背面にあるCATスイッチは必ず
「NORMAL」の位置にしておきましょう。

こちらはプリズム反対側の様子です。
いわゆる「フレキシブル基盤」なのですが
リード線による結線も多く
過渡期であることがよくわかります。

このEF、年々程度のよいものが
極度に少なくなっている気がします。

初期の電子制御シャッターという弱点もありますので
現在、お持ちの方は一度、
メンテナンスを行っていただきたいと思います。

今回、このレポートを書くために
久しぶりにEFをいろいろ動作させたのですが
使いやすいしカッコ良いし
本当にいいカメラだと思います。

メンテナンス・カメラ修理の際には
是非、お声掛けくださいませ。