リコーフレックス 軽量で独創的な二眼レフ

ここではリコーフレックスのカメラ修理でよくある症状等をご紹介します。

リコーフレックスは数多くの種類が存在しますが
今回はレンズ枠にギアがついていて
それによりピントを調節するタイプを紹介します。
(3、4、6、7型、ホリデイ、ミリオン)
写真はリコーフレックス・ミリオン
前玉にギアがついたタイプの最終モデルです。

今回はリコーフレックス(前玉回転タイプ)をご紹介します。
なんといってもこのカメラの特徴は
その軽さではないでしょうか
シンプルな造りに徹して余計な機能は一切なく
その代わりに非常に持ち歩きやすい軽さを実現しています。
他の2眼レフを首や肩からぶら下げると
結構な負担になりますが、リコーフレックスだと
本当に撮影のフットワークが変わります。
さらに1950年代の日本における「二眼レフブーム」の
火付け役となったのがこのリコーフレックスです。
「二眼レフブーム」といいつつ、その販売の半分が
リコーフレックスだったらしいので
「リコーフレックスブーム」と呼んでも過言ではないようです。

さてレンズ前枠にギアがついていて
このギアを直接回すことによってピント調節を行うわけですが
長年の経年劣化によりグリスが固着してしまい
このギアが異様に重い、あるいは全く動かない・・・という
個体が多く見受けられます。
ギアを外してグリスを入れ替える処置が必要ですが
その際にピント精度は狂ってしまうので
処置後に入念にピント精度出しを行います。

シャッター速度は3速のみの潔さですが
シンプルな造りといえど、60余年の経年劣化により
シャッター羽根がゆっくりとしか動かないものも多くみかけます。
さらにミラーのクモリによるファインダーの視認性悪化
レンズのクモリ・カビ等々、手を入れたいところが
多く存在する個体がほとんどだと思われます。


写真は前板を分離したところですが
シンプルな造りのため簡単に分離することができます。
修理・整備はこの前板部分に集中します。

リコーフレックスは基本的には壊れにくいカメラです。
しかしながら生産されて60余年という時間経過は
いろいろなトラブルの元を生み出していきます。
しっかり整備・修理を行えば
限りなく当時に近い感覚で使っていけるカメラでもあります。
初めてのフィルムカメラとして
お若い方にも使っていただきたい1台です。

最後になりましたが
造りも独特ですが使い方にも少々慣れが必要です。
リコーフレックスだけではありませんが
シャッターの巻上げとフィルムの巻上げは
別々に行います。
シャッターだけを巻き上げて切ってしまうと
同じコマに何度も写しこむことになります。
もう1点、フィルム装填の際には
巻き上げノブを引っ張って下写真のような
中板を取り出してからフィルムを装填します。


もし当店で修理・整備を行った際には
納品時にできる限り使い方もご説明できればと思います。

整備の行われていないリコーフレックスが
現在、お手元にある方は是非お気軽にご相談ください。