リコーオートハーフ 電池がないのに自動巻上げ!

ここではリコーオートハーフのカメラ修理でよくある症状等をご紹介します。

写真はオートハーフSE2。前カバー部分はいろいろなデザインのものが
存在します。これは比較的よく見かけるタイプ

今回はリコーオートハーフをご紹介します。
その名のとおり35mmハーフ判のオート専用のカメラです。
初代オートハーフは1961年の発売です。
そこから最終モデルのEF2(1979年末発売)まで
基本的な部分はほとんど変わらずに生産されました。

なんと言っても特徴的なのはそのデザイン
前板の部分の色やデザインは限定モデル等々もあって
把握しきれないほど存在しているようです。
私だけではないと思うのですが
昔、家にあった白黒テレビを想像してしまいます。
今、普通に肩にこれを下げていても
すごくお洒落な感じのする優れたデザインです。

さらにゼンマイ仕掛けで最初に底部にある
大きなダイヤルでネジを巻いておきさえすれば
巻き上げはゼンマイで自動に巻けちゃいます。
ピントも2.5m付近に固定されていて
ある程度近くから遠景まで常にピントは合うように
セッティングされているので
本当に「構えてシャッターを押すだけ」
今時のデジカメよりレスポンスは相当速いです。

初代のオートハーフのみが
レンズ横にシャッターボタンが存在します。

その後、一般的な上部にシャッターボタンが移動し

オートハーフS(セルフタイマー付き)
オートハーフE
オートハーフSE(セルフタイマー付き)
オートハーフSE2(セルフタイマー、ホットシュー付き)
オートハーフE2(セツフタイマー無し、ホットシュー付き)
オートハーフEF(フラッシュ内臓)
オートハーフEF2(内臓フラッシュがボップアップするものに変更)

・・・と作り続けられていきます。
(少々特殊なSLとゾーンフォーカスは省きました。)

さて今回も非常に前置きが長くなってしまいましたが
このオートハーフ、現存しているもので
未整備のものはまず間違いなく下記のトラブルを抱えています。

・モルト腐食による光線漏れ
・セレン劣化によるオート不良
・シャッター固着

このオートハーフはフィルム室への遮光を
かなりの部分でモルト
(遮光用のスポンジのようなもの)に
頼っています。

 

写真は既にモルトが
かなりボロボロになったオートハーフですが
ご覧のように裏蓋をぐるっと囲むようにモルトで
遮光してあります。
これが腐食してボロボロだと当然のように
フィルム室に光が進入してしまい
フィルムに感光してしまうわけです。

次のセレン劣化ですが
正面から見てレンズのすぐ下に
セレン光電池が配置されています。
(現在の太陽電池のようなもの)
これが経年劣化で一度、劣化してしまうと
もう交換しか手段のない状況です。

最後にシャッターの固着ですが・・・

写真はシャッター羽根を取り外した写真です。
左の2枚の羽根が、右のように組み合わさります。
これは非常に繊細にできていて
ボールペンの先、一滴ほどの油が進入すると
ピタッとくっついてそのまま固着します。
当店では予防のためにも
現在、固着が出ていないシャッターでも
念入りに洗浄し固着が起こらないように対処します。

他にもレンズの汚れ・クモリであるとか
ファインダーの汚れのひどいものとか
何らかの整備・修理が必要な個体が多いと思われます。

それでも
このなんとも言えずかわいらしいカメラを
ぶら下げて撮影散歩に
でかけてみたいとは思われませんか?

ただデザインが秀逸なだけではなく
本来のコンディションだと
このカメラ、思った以上に良く写ります。
逆にトイカメラのような写りを期待していると
見事に裏切られます。

こんなオートハーフを現在、お持ちの方
手に入れたけどトラブルを抱えている方
一度、是非お気軽に相談してくださいませ。