ここではキヤノネットのカメラ修理でよくある症状等をご紹介します。
今ではとてもコンパクトとは言えませんが安っぽさが全くありません。
1961年にキヤノン初のコンパクトカメラとして発売され
空前の大ヒットとなった初代キヤノネットを今回は紹介します。
当時はカメラはいわゆる高級品でしたが
キヤノンは何とか普通の収入の方にカメラを使ってもらおうと
生産方法や部品構成を徹底的に見直して発売されたモデルです。
数週間分の在庫が数時間で売り切れになったという伝説も残っています。
写真は上からみたところですが
巻き上げも巻き戻しも底部にあるので異様にすっきりいています。
「Canonet」の筆記体もお洒落ですね。
こちらが底部です。トリガー式の巻上レバーが特徴的です。
このキヤノネットですが基本的に「シャッター優先オート」で
撮影を行うことになっています。
シャッターボタンが押されたときに露出計の針を挟み込み
どのくらいレンズを絞り込むかを機械的に動作させます。
分解してみるとわかるのですがその仕掛けが関心するほど
よくできています。当時の設計者ってホントすごいなぁ・・・と。
しかし、それができるのもセレン光電池が光の強さによって
正しい電気を送ってくれることが大前提です。
で、やはりというか、このセレン電池が弱っている、あるいは
完全に劣化してしまっているものが多いのです。
今となってはセレン電池は新品は入手不可能なので
程度の良い中古品を移植するしかないのですが
絶妙な機械仕掛けをもう一度、再調整しなくてはなりません。
それでも基本的には全て機械仕掛けですので
セレンさえちゃんとしていれば調整で今でも立派に使えるように
復活させることができます。
![](img/image041.jpg)
上の写真は露出計周りの様子です。中を見ても全く安っぽさがありません。
他にはレンズシャッター機お約束の
シャッター羽根の固着がやはり多いです。
シャッターを押すと「カシャン」と音はするのだけど
シャッター羽根が全く動いていないというのは
ほぼ、油による羽根固着です。
いずれにせよ、修理・調整で対応は可能です。
既に発売から50年を軽く超えるカメラですが
押入れや物置にこのカメラが眠っている家も多いと思います。
それをしっかり使えるようにして
ちょっと重いですが当時の感覚を味わうように
お散歩カメラにしてみるのも一興かと思います。
メンテナンス・修理の際には是非ご相談くださいませ。