ニコン EM これまでのニコンとは違う軽薄さが売り

ここではニコンEMのカメラ修理でよくある症状等をご紹介します。

写真では大きさ・軽さは伝わりませんがニコンとしては非常にコンパクトです。

 

この頃のニコンは各モデルにキャッチフレーズが付けられていました。
EMは「リトルニコン」 伝説のF3と同じ1980年にデビューしました。
F3の流れを汲むデザインは文句ナシにカッコ良いですが
キャッチフレーズ通りこのカメラの売りは小さく軽いことです。

ニコンというメーカーは伝統的に軽いカメラや入門機を作ることが
苦手です。(実際はそんなことないのかもしれないがセールス的には)
そんな中、ニコンとは思えない程、割り切って作られたのがこのEMです。

まずはそのプラスチックを多用した外装、絞り優先オートのみの露出制御
シャッター音も値段相応の軽さでこれまでのニコンとは一線を画します。
ただ、今見るとこれはこれでなかなか良いのですね
いつもF一桁機のような重厚なフラッグシップ機では疲れちゃうし
そんな大げさなカメラで撮影できないシチュエーションも多いですよね
そんなときにこの「リトルニコン」は重宝します。

しかしながら割り切った設計と価格設定のためか
これだけ時間の経過した現代において弱点もいくつか存在します。

頻度も高く多いトラブルが以下の3点

・光線漏れ
・オート不良
・高速シャッター不良

さらに加えてミラー駆動不良も最近はよく見かけます。

光線漏れはモルトが腐食しているとどのカメラでも起こりうる
トラブルですがEMの場合はフィルム室の遮光をモルトに頼る
部分が多く他機種より光線漏れは起きやすい傾向にあります。
特に多いのがフィルム上で縦方向に現れる光線漏れで
その場合は十中八九、下写真の矢印部分のモルトが原因です。


写真のものもかなり腐食していて交換は必須です。

オート不良はマウント下にある抵抗が原因であることが多いです。

 

写真のものは金色でいわゆる「後期モデル」のものですが
抵抗が黒い前期モデルで多発するようです。
しかしもちろんこちらも修理で対応可能です。

「高速シャッター不良」、「ミラー駆動不良」はどちらも駆動部分の
汚れ等の付着に起こることが多いです。
これも修理可能です。なんだかんだ言っても大抵のトラブルが
メンテナンスで修理可能なところが「リトル」といえど
さすがニコンだなぁ・・・と思うところでもあります。

私、個人的に一時期かなりこのEMを使っていました。
どこにでも持っていってガンガン撮影するには
非常にいい相棒となります。

ただ、上記のようなトラブルも多いので
使いっぱなしではちょっとEMがかわいそうです。
お手元にニコンEMをお持ちの方は
メンテナンスやカメラ修理と合わせて是非ご相談くださいませ。