オリンパス35DC 根強い人気のあるコンパクト

ここではオリンパス35DCのカメラ修理でよくある症状等をご紹介します。

小さくてもずっしりと重量感があり安っぽさはありません。

オリンパスのコンパクトカメラは
ハーフ判のペンだけでなく35mmフルサイズでも
今でも人気のある機種が多いと思います。

今回、ご紹介する35DCもそのひとつです。

40mmF1.7という明るい大口径のレンズを搭載し
プログラムオート露出で撮影を行います。
背面にはBLCというボタンがあり
逆光時にこのボタンを押したまま撮影すると+1.5段の露出補正が行われます。

少々、話がそれますが写真はいわゆる発売当時の前期モデルです。
デビュー3年後には後期モデルが発売され、接眼レンズの横に
バッテリーチェックのボタンとランプが追加されています。

電池を入れないとシャッターが切れないため
電子制御のカメラと勘違いされていることもあるようですが
35DCのシャッターは機械制御です。
ただ、露出計が振れていないとシャッターが切れない仕組みに
なっているので電池を入れないとシャッターが切れないのですね。

35DCの修理でやはり多いのが
電池室の腐食による露出計不動です。
先述のとおり露出計が動かないとシャッターが切れないので
こうなると何も写せません。
電池室そのものがキレイでもその裏側で
リード線そのもの、あるいはハンダ付が腐食していることも多いので
メンテナンス時にはここの接点の整備とハンダは必ずやり直します。

その動作の肝ともいえる露出計ですが
ちょっと変わったところに配置されています。

写真ではわかりにくいですが
赤矢印の先に露出計の針が見えています。
向かい合っている金色のレンズボードの穴に入り
その中でシャッターが半押しされたときに
針を挟み込みその位置で露出を決定します。

もうひとつ、この露出計絡みでよくあるトラブルは
露出計の針の下限と上限にストッパーのように
ガイシが付けられているのですが
そのガイシに露出計の針がくっついてしまい
針は振れたいのだけど振れない状態になってしまう・・・
というものがあります。

いわゆる「メーターの吸い込み」という状況で
症状が軽いとボディを軽くたたくと
動き始める場合も多く見受けられます。
これはOM-1の露出計でも多いトラブルです。

どちらにしてもメーターとCDS(受光体)さえ
元気であれば通常の整備で修理可能です。

しっかり整備された個体では
「シャコーン」といった感じの
軽快なシャッター音を聴くことができます。

きちんとしたレンジファインダーカメラですので
ファインダーの清掃、距離計のズレ等も必要であれば
しっかり整備してあげたいところです。

レンズ性能にも定評があり
持っている満足感も高いコンパクトカメラです。
裏蓋に張り巡らされたモルトが
ボロボロの個体も多いと思いますので
是非、お手持ちのオーナー様には
正しいメンテナンスをお勧めします。