月別アーカイブ: 2020年1月

キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「平成」改元の日ですね。
1989年(昭和64年)1月7日の昭和天皇の崩御をうけて
皇太子であった明仁(あきひと)親王(現:上皇)が新天皇に即位され
それと共に元号が「平成」と決定し、8日から平成がスタートしたわけです。
昭和が63年も続いていたので
改元なんてもちろん経験ないし、崩御による改元なので
コンビニもシャッターを閉めて休業なのか?とか
ちょっとした騒ぎになりました。
それも既に随分昔なのですねぇ。。。
このときに比べれば昨年の令和への改元は
全くスムーズに行われたと思います。
やはり生前退位のほうが現在には合っているような気がしますね。

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
同じ年に「キヤノンF-1」が誕生しており
最高級機の「F-1」に対する中級機としての位置づけになっています。
基本的な構造はF-1と同様の部分が多いのですが
前モデルのFTをFDレンズに対応させ
開放測光を可能にしたモデルです。
逆に言うとF-1はFTの考え方をベースに
さらに耐久性を上げ、細かい部分のブラッシュアップを行ったカメラとも言えますね。
スタイリングをそれまでのモデルとは一新したF-1に比べ
FTbは従来のFシリーズのデザインを引き継いでいます。
スタイリッシュなF-1も良いですが
全く奇をてらっていないFtbのスタイリングも秀逸です。
キヤノンは本当に外装デザインが上手いメーカーだと思います。
もちろんデザインだけではなく
非常に使いやすく必要十分なスペックを持ったカメラで
従来のFLレンズによる絞込み測光も可能です。
セルフタイマー周りやバッテリーチェックの方法は
キヤノンらしい独自の手法ですが慣れると非常に使いやすいものです。
FTで採用された中央部分測光はF-1同様、
もちろん引き継がれています。

お預かりしているFTbは一通り動作しているものの
やはり幕軸の油切れもあり
高速シャッターの精度が全く出ておらず
シャッター音も甲高い濁ったものになっています。
加えてファインダー内のゴミや汚れがかなり酷く
全体的にリフレッシュが必要な状況です。
露出計も少々不安定です。

外から見た感じにはわかりにくかったのですが
スクリーンとプリズムの間にある
コンデンザレンズや接眼レンズにはかなりのカビが発生しています。
FTbに限りませんがコンデンサレンズを使用している
この時代のカメラはスクリーン周りの清掃には
かなり神経を使います。
当然、スクリーンが下から抜けるわけではないので
清掃し、上カバーを閉じたあとで
どこかに紛れていたゴミがファインダー内に入っていることが発見されれば
もちろんやり直しですし、精神的にダメージも大きいです(笑)
慎重に周辺のゴミも見逃さないように清掃していきます。
FTbはプリズムが腐食していることもかなり多いのですが
今回の個体は以前に一度交換されているようで
プリズムは非常にキレイな状態です。
そうはいってもカビ等の汚れはあるのでもちろん清掃します。
話が少し逸れますが。。。
外装が非常にキレイな状態で保たれているカメラでも
意外に接眼レンズが汚れているものをたまに見かけます。
外側はもちろんですが内側だったとしても
あれだけ直接目を近づける場所なので
カビが生えているのは気持ち悪いですものね。
接眼レンズ周りは特にキレイに保ちたいものです。
接眼レンズの汚れは実際にファインダーを覗いただけでは
近すぎて意外と気づかないものです。
たまには少し離れて接眼レンズを透かしてみると
状況がよくわかると思います。

この後、シャッター周り・ミラー周りの整備を行い
シャッター速度はもちろんのこと
シャッター音やフィーリングも非常によい状態になり
気持ちよく使っていただける状態に整備できました。

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オリンパストリップ35のカメラ修理

今日から仕事始めの方も多いでしょうね。
あんなに楽しみにしていたお正月休みも
終わってみればあっけないですよねぇ。。。
今日は1月6日ということで「色の日」だそうですよ。
色って本当に気分を左右しますよねぇ
当店にご来店されたことがある方はご存知だとは
思いますがお店には私の好きなオレンジ色のものが多いです。
昨年11月にまたもや椅子が壊れてしまって
(2年に1回は背もたれ部分が必ず壊れる(汗))
鮮やかなオレンジ色の椅子になりました。かなりお気に入りです(笑)
オレンジ色は好きですがそれはここ4、5年の話で
それより以前はずっと青が好きだったのですよねぇ。。。
もちろん今でも好きですし、カープファンなので赤ももちろん好きですし
黄色もピンクやライムグリーンも良いですよねぇ。。。
鮮やかな色なら何でも好きなのかもしれません。(節操ないかも)
ちなみに写真はやはりカラーのほうが好みです。
たまにモノクロ写真にも挑戦しますが
いまひとつピンと来ないことが多いのです。。。(汗)

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
歴史の長い「オリンパス35シリーズ」の末裔ですが
昔の35シリーズと比べると随分軽量コンパクトとなりました。
発売は1968年で構造としては
ペンEES-2のフルサイズ判と言った感じです。
セレンを使用する2速切替のプログラム露出も
目測ピント、アルバダ式ファインダー
フィルムフォーマットに関するところ以外はほぼペンEES-2と共通です。
さすがにペンよりはほんの少し大きいですが
非常に軽量コンパクトで電池要らずのオート露出カメラで
常に持ち歩くには最適のカメラだと思います。

お預かりしているトリップはシャッターを切っても
シャッター羽根が全く動かないようです。
加えて鏡胴が妙にグラグラしています。
この時点でピンと来ましたが
どうやらシャッターユニットのネジが外れてしまっているようです。
ペンEES-2とほぼ構造が同じということは
ペンEEシリーズでよくある内部のネジが外れてしまうトラブルも
同様に起こるということですね。
カメラを少し傾けるとシャッター羽根が一部動いて
シャッターが少し開いてしまいます。
完全にシャッター羽根が駆動ピンから外れてしまっているようです。

下真ん中のシャッター制御機構部に
左側のシャッターユニットが4本のネジで留められているのですが
そのうち2本が完全に外れて中に転がっていました。
かろうじて留まっていた2本もゆるゆるで
完全に外れてしまう直前でした。
シャッターユニットの整備をした上で連結部をリンクして再取り付けします。
心配されたセレンは若干の劣化が見られますが
調整でリカバーできる程度だったので
オート露出と共にしっかり再調整します。
トリップのピントは前玉回転式なので
キチンと罫書きを入れて元通りに組むのはもちろんですが
ピントの再調整も当然行います。
露出計やオートのズレ、レンズ・ファインダーのカビ等々
小さなトラブルはあったものの、シャッターユニットの外れ以外は
致命的なトラブルもなく
今回の整備で当分、快適に使っていただけそうです。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

さて!今日から当店も通常営業です。
年末年始休みなんて「あっ」という間に終わりますね。
たいしてお正月らしいこともしていないのですが
地元に戻って友達と遊んで充実した休みだったと思います。
今年は昨年以上にがんばります!
今日、1月5日は「新年宴会の日」で
昔は祝日だったのですね。
(1874年(明治7年)から1948年(昭和23年)まで)
宮中において新年の到来を祝う宴会を行い
民間でもこれにならってこの日に新年を祝う会を行っていたのだそうです。
新年会のための祝日なんてこの時代ならではですよねぇ。。。
まぁ、私は基本「ぼっち」なので
新年会も忘年会も全く縁がないのですが。。。(笑)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
一眼レフにおけるAE時代を開花させた記念すべきカメラです。
世界で初めてマイクロコンピュータを
搭載したカメラとしても知られています。
AE-1の「AE」はオート露出の「Automatic Exposure Contorol」の略ではなく
「Total Automatic System By Electronic SLR Camera」の意味を持ち
「1」は電子式カメラの頂点を表すのだそうです。
「Aシリーズ」の初代機でもあった「AE-1」は
キヤノンが社運を賭けて開発したカメラで
当然のごとく大ヒットとなり、その後の一眼レフ全体に大きな影響を与えたのは
間違いないと思います。
非常に使いやすくて良いカメラですが
大ヒットしたカメラで現存する台数も非常に多く
中古市場ではあまり高い評価をされることなく
酷い扱いを受けてジャンクとなっているものも多く少し悲しくなりますね。
キチンと整備を行えば現在でも非常に良いカメラです。

お預かりしているAE-1は
とりあえず動作はしているのですが
Aシリーズ定番のシャッター鳴きがたまに出るようです。
シャッター鳴きが出たときにはミラーアップしたままになることも多く
ミラーの動きが非常に悪いと思われます。
高速シャッターの精度も出ておらず
露出計・オート露出は2段以上オーバー傾向です。
全体的に整備が必要な状態で
その上で調整が必要だと思われます。

典型的な電子制御カメラですが
電子部品がダメで修理不能というパターンは少ないカメラです。
ただし、今回はそんなことはありませんが
分解品も多くフレキが切れているものもよく見かけます。
そうなっていると基本的に修理不能です。
さらに電子制御カメラとはいえ連動糸もまだ残っていて
これが切れている個体もたまにみかけます。
それもまず間違いなく分解品です。
お預かりしているAE-1は出所のはっきりしているカメラで
もちろんそんなことはなく
しっかり整備してしまえば現在でも快適に使える状態になりそうです。
おそらく随分長い間眠っていたものと思われますが
再びステキな写真をたくさん作り上げていってもらいたいものです。

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ペンタックスSLのカメラ修理

今日は「石の日」だそうですよ。
1/4ということで語呂合わせですね。
昔から日本では石を霊的なものとして崇拝することも多いですよね。
夜泣き石の伝説も各地に多いですし。。。
以前にも書きましたが人が死んだ後何かが残る
あるいは何かに変わるっていうことは全くありえないと思っていますが
目に見えない蟲はきっといるのではないかと思うので
石に宿っているのは蟲でしょうねぇ。。。(笑)
そう考えると全国各地にある神社に祭られているのも
きっと蟲なんだろうな。。。
。。。と。。。新年早々どこかに怒られそうな発言は控えましょう。。。(苦笑)
古いカメラにも何か蟲が宿っているものがあるかもしれないですねぇ。。。

さてさて

本日は「ペンタックスSL」のカメラ修理を行っています。
1968年発売のカメラです。
大ヒットしたSPから露出計を省略したモデルです。
この頃にはカメラに露出計を内蔵するのが当たり前になりつつある
時代でしたが、やはり「内蔵の露出計は信用できない」とか
「余計な故障の可能性が高くなる」等々の理由で
露出計が内蔵されていないカメラを求める層も多く
それに応える形で発売されたカメラです。
確かに数十年経過した現在では
露出計のトラブルが非常に多く、修理不能な場合もあるため
露出計のないSLは逆に魅力的な部分もありますね。
露出計以外の部分はほぼSPと同様です。

SLはそれほど頻繁に依頼のあるカメラではないのですが
今回は同じ日に全く別のご依頼者さまから
シルバー、ブラック、1台ずつ修理依頼が入ったので
一気に立て続けに整備していきます。

症状はどちらも同じような感じで
シャッター幕の走行不良です。
特に後幕の走行がスムーズではなく
キレイに後幕が走りきらないため
低速時にミラーアップしたままになってしまいます。
低速時にそんな状況であれば
高速時にシャッターが切れていても当然、精度が出ているはずもなく
1/1000だと写真両端で1.5段以上、露出の差が出てしまっています。
幕軸の清掃・注油、シャッター速度調速カムの清掃・整備
ミラー駆動部の清掃・注油を行っていきます。
ブラックのほうは定番のプリズム腐食
(プリズムにぐるっと1周貼られているモルトの加水分解が原因)が
発生しているので交換で対応します。

一通り整備を終えたSLは非常に軽快にシャッターが切れるようになりました。
シャッター音も巻上時の感触も明らかに改善しています。
何とか動いていたにしてもさすがに50年以上経過するカメラです。
駆動部分の清掃・注油は欠かせない整備です。
動きにくい関節を傷みながら無理矢理動かしていたものが
若い頃と全く同じとまではいいませんが
かなり楽に動けるようになったことと思います。
これでまた当分、ステキな写真がたくさん撮れることと思います。

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キヤノンFTのカメラ修理

今年最初のブログ更新となりました!
まだお店はお休み中で通常営業は5日からですが
ぼちぼち作業は再開します。

今日は「ひとみの日」だそうですよ。
1/3で「ひと・み」語呂合わせですね。
まぁ私は目が細いのであまり瞳が存在感を発揮しないのですが。。。(汗)
瞳はともかく視力がまた落ちていることが年末に発覚しました。
10年ぶりにコンタクトを作ろうと思い
まずは眼科で現状の確認とコンタクトの処方をしてもらったのですが
今、使っているメガネで調子の良いときは
両目で2.0見えていたのに今や1.0しか見えないようです。。。
近視が進んだというよりは乱視が酷くなったようです。
近視に対応したメガネやコンタクトを付けていると
手元のごく近い部分が非常に見えづらいので
今でも作業中はメガネは外していることが多いですし
コンタクトは休みの日にしかするつもりないのですが
とりあえず作ってみました。
目が小さいから入りにくいのですよねぇ。。。(苦笑)
乱視対応のコンタクトは通常より少し大きいですし。。。
作ったけどあまりしないかもしれません(笑)

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
1966年発売の一眼レフですが
まだレンズはFLレンズで絞込み測光となっています。
絞込みレバーが露出計のon/offを兼ねています。
露出計の機能は時代なりですが
このFTから受光体をスクリーンの上にある
コンデンサレンズの背面に配置し
より正確性を高めた測光を行うようになりました。
コンデンサレンズの背面に光を誘導しなくてはならないため
コンデンサレンズを斜め45度に切断し
切断面の視野率12%の範囲にハーフミラーを貼り
受光体に光を届けます。
構造上、測光範囲は中心12%の中央部部分測光となります。
このコンデンサレンズ及び受光体の配置はFT以降引き継がれ
後に出るF-1にも採用されます。

お預かりしているFTはそのせールポイントのひとつである
露出計が電池を入れても全く動きません。
バッテリーチェックも不動です。
加えて幕の動きが非常に悪く頻繁にミラーアップしたままになってしまいます。
ミラーアップせずに何とかシャッターが切れたときも
「ギャン」と言った感じの耳障りなシャッター音がしています。
幕軸の油切れだと思われます。

シャッターの不具合はいつも行う整備でクリアできたのですが
露出計は電池室裏の部品がいたるところで錆びていて
電気を全く通さないことが原因のようです。
狭いところに結構ややこしく配線しているので
少々大変です。とはいえ単純に電気をしっかり通せばよいだけなので
手間はかかりましたが行う手順はシンプルなもので済みました。
シャッターはもちろん快調に作動するようになり
ミラーアップの原因も後幕の動作不良が最大の原因でした
シャッター音もキヤノンらしいアタックの効いた
歯切れのよい音になりました。