月別アーカイブ: 2019年3月

オリンパスOM-1のカメラ修理

3月31日。。。年度末ですねぇ。。。
まぁ、年度末であることはあまり関係ないのですが
月末で週末だと何かとバタバタしてしまうパターンですね。
3・31ということで
今日は「山菜の日」だそうですよ。
ゼンマイ、ワラビ、たらの芽。。。
身近に見られるものでは
ツクシやタケノコ、フキとかもそうですね。
昔は何が美味しいのか全くわかりませんでしたが(笑)
今ではあのほろ苦い素朴な味わいが
何とも優しくて美味しいですよねぇ。。。
最近は水煮のパックとかで比較的簡単に手に入りますから
ちょっとしたおつまみにも使えそうですね。
あぁ、またこれで酒が進む。。。(汗)

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
ここ1年くらいのスパンで見て
修理依頼件数が最も多いカメラだと思います。
同時代の他の一眼レフに比べて圧倒的に軽量コンパクトで
使い心地や質感の非常に高いカメラです。
人気があるのもうなづけます。
発売開始は1972年(最初の10ヶ月はM-1として発売)
「宇宙からバクテリアまで」をテーマとした
膨大なアクセサリー群を含むシステムカメラとして誕生しました。
さすがに発売開始から50年近く経過するカメラでもあり
保存環境や使われ方によって
かなり程度のバラツキのあるカメラです。
本来のOM-1はシャリシャリっとした軽い巻上げに
上品なシャッター音が非常に魅力的なカメラです。

お預かりしているOM-1は
さらに人気の高いブラック塗装のものです。
しかしながら随分長い間放置されていたようで
外装に汚れがかなり目立ちます。
外装も組み立ての際にもちろん清掃するので
それなりには改善できるかと思います。
もともとアクセサリーシューがついていたのですが
これが長い間付けっぱなしで保管されているものだと
シューの裏側のゴム部分が腐食し
ボディ側にもダメージを与えます。
今回も同様で完全にはキレイにできませんでしたが
かなり改善できたかとは思います。

機能的にはまず露出計が全く動きません。
毎度のことですがまず最初に疑うのは
電池室マイナス側端子のハンダ付け部分です。
ここが樹脂ネジの場合は折れていることがほとんどで
樹脂ネジでない場合もハンダが劣化して
断線しているものが非常に多いです。
しかし今回はここに全く問題はありませんでした。
随分以前のことだと思われますが
おそらく配線は一度交換されているのではないかと思われます。
。。。となると次に疑うのはSW部ですが
その前に露出計本体内部で断線していないかチェックしておきます。
メーター内部で断線していると
メーター交換となってしまいその準備も必要になってくるので
上カバーを開けた際に先にチェックしておきます。
今回はメーターに直接電圧をかけると元気に針が動くので
ここも問題ないようです。
。。。ということで今回の不動の原因はSW部の接点不良でした。
少し磨いてしっかり清掃して導通を確保します。
シャッターはやはり3連ギア部及び幕軸に汚れがあるのか
高速シャッター時に妙に不安定で
低速時にはスローガバナが粘り気味で
1秒時には完全に開きっぱなしで固着してしまいます。
このあたりはどのカメラでも同様の対応なので
動作部・駆動部をしっかり清掃していきます。

写真は一通り整備が完了し組みあがった状態です。
少し時間をおいて様子見をしながら最終チェックを後日行います。
操作感覚はOM-1らしい非常に軽やかなものになりました。
SS、露出計の精度ともに問題ございません。
良い季節になってきましたし
是非、ご依頼者さまにもこのOM-1での撮影を
存分に楽しんでいただければと思います。

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キヤノンEXEEのカメラ修理

昨日からついにプロ野球も開幕し
各地で熱戦が繰り広げられました。
6試合全てがホームチームの勝利だったのですね。
我らがカープも大瀬良投手の素晴らしいピッチングで
見事に勝利しました!
ところで1968年3月30日にアニメ「巨人の星」が
日本テレビで放送開始されています。
さすがに私も実際に見たのは再放送ですねぇ。。。
あまり明確には覚えてないのですが
当時、かなり一生懸命見ていたような気がします。
いわゆる「スポ根モノ」の元祖でもありますね。

さてさて

今日は「キヤノンEXEE」のカメラ修理を行っています。
「EXシリーズ」は久しぶりですね。
1969年発売のカメラです。
この時期のキヤノン一眼レフといえば
Fシリーズがメインなのですが
このEXシリーズは少々異端児的なカメラです。
前玉のみを交換できるようになっていて
後玉及び絞り機能はボディ側と一体になっています。
交換用の前玉は35mm、50mm、95mmが発売され
後に125mmも追加となっています。
前玉交換式レンズを採用しているカメラはレンズシャッター式が多いのですが
EXはFシリーズで実績のあるフォーカルプレーンです。
さらにキヤノン初のTTL開放測光機でもあるのですね。
ファインダーも特殊なもので
マット面がなく中心のマイクロプリズムでしか
ピントは合わせられません。
ただしマット面がないのでほぼ素通しで
ファインダーはとても明るいのです。

お預かりしているEXEEは
かなり長い間使われていなかったようで
ファインダー内、レンズ内ともにカビだらけです。
シャッターも油切れの兆候が見受けられ
高速シャッターの精度は出ていません。
露出計も不動です。
レンズのピント精度は合っているのですが
ファインダー内のピントがミラー角度の不具合で
少しずれているようです。

写真の左側にあるのが後玉部及び絞り機能部分で
右側が交換可能な前玉部分です。
少々、注意が必要なのは
交換レンズ部分の前玉で
ねじこみ式なのですが
めいっぱい締め込んである訳ではなく
ピント調整が正しくなる部分までしか締め込まれておらず
2本の留めネジで固定されています。
前玉を取り外した際は組み付けるときに
しっかりピント調整を行わなくてはなりません。

これから本格的にシャッター周りから整備に取り掛かります。

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ペンタックスSPFのカメラ修理

いよいよ今夜、2019年のプロ野球が開幕します!
我らがカープの開幕戦の相手は
最大のライバルであろうと思われる巨人です。
カープの開幕投手は大瀬良大地投手で
巨人は菅野投手です。
やはり開幕戦は特別な感覚になりますね。
何とか勝ってほしいと思います!
また毎日のように試合内容や結果に
翻弄される日々が始まります。。。(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒット作であるSPに開放測光が追加されたカメラです。
(開放測光が可能なのは対応するSMCタクマーレンズ使用時のみ)
シャッター等の基本的な機械部分はSPと変わりませんが
開放測光に対応するために
露出計周りは全くの別物となっています。
さらにフォトスイッチと呼ばれる露出計スイッチを採用し
レンズキャップを装着すれば自動的に露出計はオフになり
レンズキャップを外せばオンになります。
SMCタクマー以外のM42マウントレンズ装着の際には
これまでのSPと同様に
絞込み測光で対応できます。

お預かりしているSPFは
まず定番のプリズム腐食が酷く
ファインダー視野のど真ん中に黒い帯があり
とてもこの状態では撮影には使えません。
プリズムは中古良品と交換することで対応します。
ちなみにSPとSPFは
プリズムのサイズが少々異なり兼用することはできません。
シャッターは一応、動作はしていますが
先幕・後幕のバランスが随分崩れています。
幕軸の汚れや油切れのせいかと思われます。
SPFのセールスポイントのひとつである
開放測光対応の露出計は全く動きません。
電池室をチェックしてみると
端子に緑青がびっちり付着していました。
これでは導通しないですね。
端子は中古品と交換し
当然リード線も腐食してしまっているので
交換します。

写真ではわかりにくいですがプリズムの腐食も写っています。
原因はプリズムの周りにぐるっと巻いてある
モルトの腐食のためです。

これから前板を外しミラーボックスを降ろして
まずはシャッター周りから整備を行っていきます。

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ミノルタSR505のカメラ修理

今日は「3・28」ということで
「三ツ矢サイダー」の日とのことです。
昔から定番の炭酸飲料ですよね。
子供の頃、夏が近くなると
近くの酒屋さんに三ツ矢サイダーと
キリンレモンをケースで持ってきてもらったものです。
まぁジュースはついでで
メインはじいさんが飲むキリンビールの大瓶が
毎月、ケースで来ていたのですが。。。
そういえば。。。
小学校の頃、「にんじん、ピーマン、キャベツの三つの野菜で
ジュースを作りました。何ができたでしょう?」
三つの野菜→三つ野菜だ→三ツ矢サイダー
答えは「三ツ矢サイダー」です!なんてなぞなぞがあったなぁ(笑)

さてさて

本日は「ミノルタSR505」のカメラ修理を行っています。
SR-2から始まったミノルタの一眼レフですが
このSR505と同時発売のSR101が
ミノルタ製機械制御シャッター一眼レフとしては
最後のモデルとなります。
(海外向け小変更モデル等は除く)
発売は1975年ですが
この2年前にはX-1、1974年にはXEが発売され
縦走りシャッターも横走りシャッターも電子制御の
Xシリーズへと販売の軸を移していきます。
SR505は基本的構造はSRT101から変わらない
実績のあるもので機能面でもSRTスーパーに
フィルムシグナルとメモホルダーが追加された
マイナーチェンジ版です。
1966年のSRT101から基本構造が変わっていないということは
やはりSRTシリーズは非常に長い目で
しっかり作られたカメラだということがよくわかります。

お預かりしているSR505は
ファインダー内指針の〇指針が
SSを操作しても絞りを操作しても全く動きません。
絞りやSSダイヤルからの糸連動で動く仕組みですが
まさか糸が切れてしまっているのでは。。。とちょっと心配します。
ファインダー内には絞り値確認窓もあるのですが
これも異様にぼやけていてはっきり見えません。
何にしろ開けてみないとわからないですね。

分解途中ですが。。。以前に分解された形跡がありますね。。。
それもきっとあまり詳しくない方が開けたものと思われます。
底カバーを外した際にナットのようなものがコロンと出てきたのですが
これは上カバー部のマウント脇プラスティック部分を留めているものですね。
SRT系の上カバーを外す際にはこの部分のネジは外す必要はなく
これを外してしまうとナットが下に落ちてしまうのですが
上カバーを外してみるとそこには代わりのナットが付けられていました。
外れたナットがどこかに噛み込んだりしていなくてよかった。。。
レンズ刻印の絞り値を拡大するレンズはステーから折れてしまっていました。
〇指針が動かないのは
糸がとんでもないところに巻きついているからでした。。。
あくまで予想ですが
連動糸のテンションが高いままシャッターダイヤルを外してしまい
運よく糸は切れなかったものの(8割がた切れると思いますが。。。)
その反動で何箇所かのガイドが外れ
その後動かしたときにとんでもないところに巻きついてしまったものと思われます。
こういう個体は他にも何かとんでもないことが起こっていることが
あるので注意が必要です。

これからミラーボックスを降ろして
シャッター周りの整備を入念に行います。

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ニコンFEのカメラ修理

今日は「さくらの日」だそうですよ。
さくらといえばやはりソメイヨシノを指すことが多いと思いますが
もはや有名な話ですが
現存するソメイヨシノは単一の樹木を祖先として
接木等で増やされていったクローンなのだそうです。
結実は少ないながらするものの
ソメイヨシノを両親として実が発芽することはなく
ソメイヨシノ以外のサクラとの間でしか
交配はできないのだそうです。
(その場合はソメイヨシノとは別品種となります)
もともとはエドヒガンとオオシマザクラ
(正確にはオオシマザクラのヤマザクラの雑種)が
父母となり最初のソメイヨシノが生まれたそうです。
こういうことを調べていると
都内でもそろそろ咲き始めたソメイヨシノが
より儚く美しく見えてくるような気がしますね。

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
最近、少しペースは落ちたものの
相変わらず修理依頼の多いカメラです。
適度な大きさと使いやすさ
入手のしやすさ等々、人気になる要因をたくさん持っているカメラです。
電子制御シャッター機ということで
敬遠される節もありますが
水没品やショック品、おかしな分解歴等がない限り
現在のところ、それほど電子基板上のトラブルは少なく
トラブルの多くは機械的部分であることがほとんどです。
いつも書きますが
露出計を含めたファインダー内情報は
他のカメラに比べても非常にわかりやすく
マニュアル露出でもオートでも使いやすいカメラです。

お預かりしているFEは
シャッターを切るとミラーアップしたままになってしまいます。
FEに詳しい方なら
「電池が入っていないか、電池室の接触が悪いためでは?」と
まず一番に疑うと思います。私もそうですね。
ただ、今回のFEはM90(機械制御)でも
同様の症状が起こります。
。。。となると電気関係が原因ではありません。
細かいことを言うと
レリーズしてミラーアップはするものの
シャッターが切れずそのまま動かない。。。という感じです。
加えてチャージ機能もおかしく
巻き上げてチャージされた瞬間にシャッターが切れてしまう現象が
たびたび起こります。
シャッター羽根の動作不良にチャージロック動作不良といったところです。
まずはシャッター羽根の洗浄も含めて
シャッターユニットの整備を行います。

写真は一通りの整備を終えてテスト中の段階です。
シャッターはもちろん快調に動作するようになり
チャージ不良も起こらなくなりました。
もともとシャッタースピードは狂いがちだったのですが
シャッター羽根をキレイにしたことで
本来の精度を随分取り戻しました。
これから半固定抵抗等の調整で
細かく精度を追い込んでいきます。

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キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は「電気記念日」だそうですよ。
日本で初めて電灯が灯った日だそうです。
1878(明治11)年のことなのですが
。。。ということは、150近く年前には
まだ日本には電灯がなかったわけですよね。
意外と最近だなぁ。。。と感じてしまいます。
ここ150年くらいの間にこれほど世の中が変わったのだと思うと
ちょっと不思議ですね。
停電等のときに実感しますが
現在の世の中で電気が止まってしまうと
大変なことになりますよね。
当たり前のようにスイッチを入れれば電気が使えるのが
普通に思えてきていますが
便利になった世の中に感謝しなくてはいけませんね。

さてさて

電気記念日とは直接関係ありませんが
こちらも電池で電気を通してやらないと
動かない「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
昨日は「キヤノンAシリーズ」の先陣を切った
「AE-1」の修理でしたが
「AE-1プログラム」(AE-1P)の発売は
AE-1登場から5年後の1981年です。
昨日も書きましたが
「キヤノンAシリーズ」のカメラは
基本的に最初のAE-1がベースとなっています。
今回のAE-1Pも機械的な動作部分は
ほぼAE-1と同一です。
特に下カバーを開けた部分の様子は
AE-1と瓜二つです。
ただし、電装関係はこの5年間で劇的に進歩しました。
下カバー部とは対照的に
上カバーを外した部分の様子は
技術の進歩を明らかに感じます。
ついに連動糸はなくなりリード線の数も激減しています。
機能的にもこれまでのシャッタースピード優先AEに加え
プログラムAEも装備し、ファインダー内露出計も
指針式からLED式に変更されています。

お預かりしているAE-1Pは
ご依頼者様が新品時から大切に使っているものです。
外装も非常にキレイなのですが
シャッターを切るとシャッター鳴きを伴い
ミラーが非常にゆっくりとミラーアップし
シャッターが開きっぱなしになってしまいます。
これは昨日のAE-1とは異なり
おそらく全ての元凶はシャッター鳴きを起こしている
ミラー駆動部が原因だと思われます。
それとは別問題で露出計の値は正しいのに
オートが2段近くアンダー露出になってしまいます。
これはボディ側オート時の絞り制御部分の動作不良だと思われます。
シャッター鳴きはAシリーズ全モデルに
共通する定番のトラブルですが
異音がするだけではなく症状が進むと今回のような
状態になることも多いのです。

ミラー駆動部、シャッター幕軸、マグネット、巻上部等々
動作部分の整備を行ったところ
シャッター鳴きもミラーの動きもシャッターの動作不良も改善しました。
オート精度も良好です。
シャッタースピード、露出計の値も良好です。
これでまた当分安心して使っていただける状態になったと思います。

基本的なシルエットもAE-1と同様だと思いますが
細かいデザインの変更やパームグリップのおかげで
やはりAE-1Pのほうが現代的なカメラに見えますね。
キヤノンらしいスタイリッシュなカメラです。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日はこれといった記念日がないのですが。。。
1983年のこの日に「中国自動車道」が全線開通していますね。
(当時は呼び名も中国縦貫道だったかな)
私は広島県出身なので、これはよく覚えています。
当時は県内唯一で最初の高速道路じゃなかったかな。。。
とはいえ、山陽山陰両側からのアクセスを考慮して
中国山地に沿って走る中国道は
山陽側を走る山陽道ができてからはすっかり影が薄くなってしまいました。
山陽道や広島北ジャンクションができるまでは
私の住んでいた呉から最寄のインターは中国道三次インターですが
そこまで2時間は確実にかかったと思います。
でも効率よく直線で最短距離を結ぶ山陽道に比べて
中国山地を縫うように走る中国道は
変化に富んでいて退屈しないのですよね。。。渋滞も少ないし。。。
。。。と考えているとたまには高速使って
遠出したくなってきました。。。今はクルマもバイクもないのですが。。。(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
1976年の発売で
本格的「AE(自動露出)」時代の
扉を開けたカメラと言って良いと思います。
それまでもSS優先・絞り優先・プログラムAE機は
もちろんそれぞれ存在していましたが
世界初のマイクロコンピュータ搭載機で
徹底的な効率化と部品削減を行い
お求め易く使いやすい一眼レフとして大ヒットしました。
一世を風靡した「キヤノンAシリーズ」最初のカメラでもあり
この後に出てくるAシリーズ機は
基本的に「AE-1」がベースとなっています。

最初に言っておくと今回のAE-1は苦労しました。。。
定番のシャッター鳴きとか
高速シャッターの精度不良とか
いつものトラブルはもちろんあったのですが
シャッターがたまに開きっぱなしになると
いうトラブルを抱えていました。
お預かりした時点では
たまに開きっぱなしになる。。くらいの頻度だったのですが
現状をチェックしているうちに
もはやシャッターは全く閉じなくなってしまいました。
底部から強制的にマグネットを操作すると
普通に切れるのでやはり後幕側のマグネット制御に
問題があるようです。
加えてオート・露出計は動作はしているものの
3段以上オーバーと言った状況です。

このAE-1、巻上レバー部化粧蓋のカニ目に
キズがついていたので過去に開けられているのは
間違いないな。。。とは思っていたのですが
上カバーを外してみるとプリズムを降ろした形跡もあり
ハンダ付けの状況を見ても
フレキを一度外しているものと思われます。
その上、細かい部品やネジが一部欠落している箇所もあり
おそらくあまり詳しくない方が一度分解していると思われます。
こうなると何が起こっているか本当に予想がつきません。。。

一番恐れていたのはフレキが一部切れていたりすることだったのですが
入念にフレキをチェックしたところ、それは大丈夫でした。
原因を探すのに実は相当時間がかかったのですが
シャッターが開きっぱなしになる原因は
巻上レバー下部のフレキ接続部の接触不良でした。
きちんとハンダで繋がっていなかったわけです。
なにはともあれ原因がはっきりしてよかった。。。
電子制御機の常で露出計やオート精度は
機械部分がきちんと動作していることを前提として
基板上の半固定抵抗で調整を行いますが
ここもかなりいじられた形跡がありました。
だからおかしな精度になっているわけですね。
AE-1はまだシンプルなほうなので良いのですが
それでも正しい設定を見つけなおすには結構な手間がかかりました。

そんな感じでやっとこさ、普通に正しく動作する状態になったと思います。
しばらく様子見を行ってから最終チェックをして完成です。

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ミノルタハイマチックFのカメラ修理

今日、3月第4土曜日は
「焼肉開きの日」だそうです。
春休み最初の土曜日となることが多いことに加えて
卒業・入学・新学期・新生活のスタートなど
お祝い事が多いことから
焼肉を囲んで新たな門出を祝って欲しいとのことから
制定されているようです。
新たな門出はいまさらないですが。。。(苦笑)
焼肉で祝うことなら毎日でも
ひとりでも喜んでやりますよ!(笑)
しっかり焼いたホルモンを食べて
口の中一杯に拡がった油を
キンキンに冷えたビールで洗い流したいですねぇ。。。
お昼前からこんなことばかり考えていちゃダメですね
仕事しなくては。。。

さてさて

本日は「ミノルタハイマチックF」のカメラ修理を行っています。
ハイマチックシリーズは1960年代から80年代にかけての
ミノルタコンパクトカメラを代表するシリーズです。
1962年にデビューした初代ハイマチックは
この時代らしく大柄で重いレンズ固定式カメラという感じで
今となってはとてもコンパクトとはいえませんが
1972年に発売開始となった
今回のハイマチックFは非常にコンパクトで
今でも気軽に持ち歩けるサイズです。
同じカテゴリを代表するカメラ、コニカC35と同じくらいの大きさで
C35同様に距離計も搭載しています。
レンズはロッコール38mmF2.7、これもスペック的には
C35とかなり近いものです。
C35は機械式シャッターで針押さえ式プログラムシャッターですが
ハイマチックFはセイコーESL電子制御式プログラムシャッターです。
シャッタースピードの制御範囲はC35に比べると
大幅に広くなりました(スローは4秒まで)
シャッターユニット基本構造そのものは
Fの前年に発売されたハイマチックEと同様ですが
周辺の配線等はFのほうが随分洗練され
現在でも何とかメンテナンス可能なレベルでできています。
(ハイマチックEは当店では修理不可です)
セイコーESLシャッターはハイマチック以外にも
いろいろなコンパクトカメラに搭載されていますが
その構造上、レリーズは深く少々独特なフィーリングです。
深く押し込んで「ジャキーン」と戻ってくる感じは
おそらく好みが分かれるとは思いますが
個人的にはこの時代のメカらしく良いのではと思います。

現行モデルの頃は旧来の機械制御シャッターよりも
正確で安定した動作をしていたのは間違いないとは思いますが
発売から40年を悠々超える時間が経った今では
さすがに接点不良、部品劣化による精度不良等々の心配は
多いと思います。
今回、お預かりしているハイマチックFも
長年眠り続けていたものらしく
まずは電源が安定せず、オート制御も非常に不安定です。
不安定な上に実際のオート露出は大幅に(3段近く)アンダー傾向で
このままでは普通に写真は撮れない状態かと思います。

電池室の端子等はキレイだったのですが
その裏のハンダは少々怪しいのでやり直し
シャッターユニット及びその周辺の
接点は全て清掃したところ動きはようやく安定しました。
もちろんレンズ清掃、ファインダー清掃、距離計調整等
全体的に整備を行いました。
ハイマチックF。。。細かい部分を見ていけば
コストダウンのためと思われる
安っぽい部分もいくつか見られるのですが
全体的に見るとミノルタらしく妙に質感が高く
使い心地の良いカメラです。
個人的にも気に入って
一時期使っていたことのあるカメラなので
ご依頼者様にもこの使い心地の良さや
質感を思う存分楽しんでいただければと思います。

アイレスフレックスのカメラ修理

今日は「放送記念日」だそうですよ。
1925(大正14)年のこの日に
社団法人東京放送局(現在のNHK東京放送局)が
日本初のラジオ仮放送を開始したのだそうです。
小学校高学年~中学校くらいまでは
よくラジオ聴いてましたねぇ。。。
FMは主にエアチェックをするために聴いていて
AMは自分的に面白いと思った番組を毎晩のように
枕元にラジオを置いて聴いてました。
好きなアイドルがやってるラジオドラマなんかも
結構聴いてたなぁ。。。
大人になってからも仕事でクルマで外回りする際には
当たり前のようにラジオ聴いていましたが
最近はめっきり聴くことなくなりましたね。。。
テレビも朝の15分くらいと夜中の30分くらいしか
見ていない上に、ほぼ画面見ていないから
今でもラジオでいいかもしれないなぁ。。。

さてさて

本日は「アイレスフレックス」のカメラ修理をしています。
1950年代の二眼レフブーム時のカメラです。
アイレス写真機製作所は二眼レフ以外にも
レンジファインダーカメラ等も手がけていましたが
1960年に残念ながら倒産してしまいました。
アイレスフレックスは
数ある二眼レフの中で唯一のニッコールレンズを
搭載したカメラです。
ニッコールレンズ搭載にあたり
当時の日本光学はレンズを供給するにあたり
ボディ側の精度・品質を日本工学の自社基準に
沿うようにアイレス側に求め
指導等も行い、これが当時のアイレスの技術力を
押し上げたといわれています。
搭載されるニッコールはテッサー型の
ニッコールQ・C75mmF3.5です。
シャッターユニットも当時の最高級シャッターである
セイコーシャラピッドを採用しています。
当時の価格は42000円と他の二眼レフに比べても
高価なものでありましたが
販売は好調だったようです。
フィルム装填はスタートマーク合わせの
セミオートマットですが、カウンターは手動復元です。
セルフコッキングはありません。

お預かりしているアイレスフレックスは
シャッターに若干の粘り、ファインダーミラーの腐食等々
二眼レフにありがちなトラブルを抱えてしまっている状態です。
加えて絞りレバーが異様に重く
あまり無理に動かしたくない状況です。

写真には写っていませんが
純正のレンズキャップがやけに高級感あるもので
Bay1バヨネットにしっかりとセットできるものです。
二眼レフのキャップといえば外れやすいものが多いのですが
これはその心配はなさそうです。

ニッコールらしいシャープな描写で評価の高いカメラです。
中心部に関しては開放でも絞り込んでも
ほとんど差がなく綿密に描写するそうです。
開放時には若干周辺部が甘いらしいのですが
それも解像度の非常に優れた中心部と比較するからで
普通に考えれば十分にシャープだと思われます。
いいですねぇ。。。個人的にも1台欲しいカメラです。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は春分の日でもありますが
ツイッターの誕生日でもあるのですね。
私もお店のアカウントしてFBとツイッターは
毎日更新していますが
特にツイッターは休日のちょっとしたことでも
投稿しやすくて楽しいです。
お客様の中にも
当店のツイッターをご覧になっていただいている方は
たくさんいらっしゃるし
ツイッターを見て当店のことをしていただくことも多く
ツイッターだけではないですが
SNSは本当に欠かせないものになっています。
あまりはまり込むと時間ばかり浪費してしまうので
少々注意が必要ですが。。。(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年に発売のカメラで
同年にフラッグシップ機のキャノンF-1も発売されており
F-1のサブカメラもしくは中級機の位置づけとなっていました。
同年に発売されていますから
当然、F-1との共通点もかなり多く
細かい素材やコストのかかるところに違いはありますが
基本的仕様や考え方はF-1とほぼ共通です。
新システムでもあるFDレンズ群に対応し
開放測光が可能になりました。
F-1と同様の追針合致式の露出計は
一目で適正露出とのズレも判断でき
非常に使いやすいカメラだと思います。
2年後の1973年にマイナーチェンジが行われ
マイナーチェンジ後のモデルは
FTb-Nと呼ばれる場合もあります。
ファインダー内でシャッタースピード設定が確認できるようになり
巻上レバー、シャッターボタン、セルフタイマーレバーのデザインも
変更されています。

今回は同じ日に異なるご依頼者様から
偶然にも立て続けにFTb及びFTb-Nの修理依頼が入りましたので
一気に2台、整備していきます。
2台共に露出計が動きません。
電池室は比較的キレイなので裏側のハンダか
SW部の接触不良だと思われます。
加えて2台ともシャッター幕軸は油切れのようで
シャッター音も高周波を多く含んだ耳障りな状態で
シャッタースピードも不安定且つ
先幕・後幕のバランスが崩れています。
FTb-Nのほうは頻繁にミラーアップしたままになってしまいますが
これも元を正せばシャッター幕走行不良が原因と思われます。

左が前期のFTbで右側がFTb-Nです。
オーソドッグスながら飽きの来ないデザインですね。
しっかり整備された個体は
キヤノンFシリーズらしい非常に歯切れの良い
シャッター音を聴かせてくれます。
今回は大丈夫でしたが
F-1やFTbも含むFシリーズは
シャッター幕ブレーキのトラブルが比較的多いカメラです。
特にF-1やFTbはこの幕ブレーキの素材が
少々脆く、ここに不具合が発生すると
いろいろなトラブルが発生します。
代表的なものがシャッター幕バウンドで
走り終わったシャッター幕がその勢いで
少し跳ね返りそして再び戻っていくというものです。
見た目の動きでは全くわかりませんが
撮影したフィルムで見たり測定機で計ってみると明らかで
視野の端(走り終わり部分)のみ露出量が極端に少なかったり
反対に極端に多かったりします。
これが出ていると少々修理の難易度が上がります。

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