月別アーカイブ: 2021年12月

コニカⅢのカメラ修理

明日で御用納め・仕事納めというのが
おそらく通常の流れかと思いますが
明日は火曜日で定休日なので
当店は今日で年内最後の営業となります。
今年もひとりでバタバタやっている当店を
ご利用いただき本当にありがとうございました。
こうして何とか飯が食えているわけですから
本当に感謝しかありません。
今年もGWに大腸ポリープ除去手術跡からの
大量下血で緊急入院とかありましたが
(あれ?これ公にしてたっけな?)
それ以外は一昨年の脳梗塞の後遺症は残りますが
何とか乗り切ることができました。
来年は今年以上に「とにかく健康を維持してで仕事に打ち込む!」を
目標に頑張っていきたいと思います。
ほんと突発的な体調不良とか入院がなければいいなぁ(苦笑)
先が見えないのは皆さん一緒だとは思いますが
穏やかな良いお年をお迎えくださいませ。
年始は1月5日10時から通常営業いたします。

さてさて

今年最後のブログネタは「コニカⅢ」です。
少々余談ですが年末年始は
私も自分のコニカⅢにアクロスを入れて
撮り歩こうかと考えています。
さらにオートコードにも120のアクロスを入れて
持ち歩こうと準備中です。
色味の少ない季節だから思い切ってモノクロ三昧です。
普段、色味に頼りがちな写真が多いので
苦しむだろうなぁ(笑)
コニカⅢはセルフコッキングも装備され
フィルムカウンターも自動復元式になり
露出計こそ装備しませんが
それ以外はかなりその後に普及する一般的な
フィルムカメラの機能を有していて
比較的誰でも使いやすいカメラだと思います。
巻上はレンズ鏡胴脇から生えている巻上レバーを
ダブルストロークで巻き上げます。
ダブルストロークとしたことで1回あたりの巻上は非常に軽快になり
リズミカルにシャコンシャコンと巻き上げるのが
何とも気持ちよいカメラです。
この巻上していると撮るモチベーションが上がるのですよね!
そういう操作感も大事だと思います。

お預かりしているコニカⅢはセルフタイマーが
めいっぱいチャージされた位置で固まっています。
セルフがオンになっているため
レリーズしてもセルフタイマーが動かないと
シャッターも切れません
単なる油切れの固着ではなく
油切れで固着しているところへ無理に巻き上げたとみられ
ちょっと妙な噛みこみ具合になっているようです。
セルフタイマー取り出しまでアクセスしようとすると
このカメラなかなか大変なのですよね…
それはそれでシャッター羽根自体も貼り付いて固着してしまっているようです。
さらにフィルム室側から絞り羽根の状況を確認していると
最少絞りにしたときに微妙に絞りの形がゆがんでいます。
「あぁ…たぶんダメだな」とこの時点で予想はできましたが
やはり絞り羽根のダボが1点外れてしまっていて
羽根駆動部との連結部分も外れてしまっています。
コニカⅢの絞り羽根ってこのトラブル、本当に多いですよねぇ
ダボが生きていれば組みなおすだけで済むのですが
今回もダボが外れて紛失してしまっているため
羽根を1枚交換します。
中古良品の絞り羽根のストックもだいぶ少なくなってきました(汗)

画僧は分解し始め段階でのものですが
これからまずはシャッターユニットを分解して
シャッター羽根、絞り羽根も外して洗浄し組立て調整を行います。
そして問題のセルフタイマーの修理を行い
レンズ清掃や巻上機構の整備と
シャッターユニットのリンケージを調整しながら
再組立てをを行い、距離計調整、ファインダー清掃を行います。
基本的には整備性の良いカメラですが
さすがに発売されて65年経過するカメラなので
個体差も大きく場合の寄っては部品の摩耗や変形で
一筋縄でいかないことも多いカメラです。
今回も実は巻上関連の部品の変形で再組立て時の
調整でかなり苦労しましたが
何とか快調に動作する状態に持っていけました。
軽快に動作するコンディションのコニカⅢは
かなり気持ちよく使えるカメラです。

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オリンパスペンFTのカメラ修理

今日は12/26…あまり記念日制定のない日なのですよねぇ
イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スイスでは
「ボクシングデー」とよばれる祝日です。
格闘技のボクシングではなくて(スペル同じですが)
クリスマスプレゼントの箱(BOX)を開ける日なのですね。
クリスマスの翌日にプレゼントの入った箱(Christmas box)を
持って教会へ出かけたイギリスの伝統を受け継いだ日なのだそうです。
また、教会が貧しい人たちのために寄付を募った
クリスマスプレゼントの箱を開ける日だったとのことです。
さらに、この日には、クリスマスにカードやプレゼントを
届けてくれた郵便配達人や使用人に
プレゼントをする習慣があるのだそうです…
うーん、なんにしてもひとりもんのじじいには関係ないかぁ(笑
クリスマスというよりも、もう既に気分は年末モードで
年内にどこまで作業をやっておこうとか
どこまで売上上げとこうとか…掃除はどこまでやろうかとか…
散らかりっぱなしの自宅の大掃除はやらなくてもいっか…とか(苦笑)
そんなことで頭がいっぱいです。
こういうときに浮足立っていると余計なトラブルを起こしがちなので
まずは深呼吸して落ち着いて
日々の仕事から取り掛かっていきます…

さてさて

そんな本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
ペンF系、特にFTはやはり修理依頼の多いカメラですね。
世界的にも類を見ない独自の構造を持った
ハーフ判一眼レフです。
「FT」は「F」をベースに露出計・セルフタイマーを内蔵し
巻上をシングルストロークに変更したものです。
当店ではいわゆる「F」より「FT」の修理件数の方が多いのですが
これは単に「FT」が人気があって流通台数も多いというのもありますが
巻上や露出計のトラブルが「FT」のほうが多いというのもあると思います。
露出計に関しては「F」にはないものですから
当然、「FT」の場合のみのトラブルになるわけですが
シングルストロークにした関係か
ミラー駆動部周りの若干の変更のせいか
巻上関連のトラブルも圧倒的に「FT」の方が多いような気がします。
実際にきちんと調べたわけではないので断言はできないのですが…

今回、お預かりの「FT」もミラー駆動・巻上に問題があり
巻き上げるとミラーアップしてしまう状態です。
露出計のために通常のミラーからハーフミラーに変更された
第三反射面もがハーフミラーの劣化のために
ファインダーを覗くとシミだらけの状態です。
ハーフミラーは良品に交換して
ミラー駆動部、巻上周りはいったん完全に分解して
清掃・注油を行い再セットアップして
ミラー駆動にテンションをかけて再組立てしていきます。
組立て時にミラーにバネテンションを与えてやらないといけないのが
「ペンF系」の組み立ての特徴ではありますね
これもテンションかけすぎると故障の原因になるので注意が必要です。

正直なところ「ペンF系」特に「FT」は
ちょっとトラブルの多いカメラだとは思っています。
でもその分、魅力的なカメラでもあることに
間違いはないのですよねぇ(苦笑)
まぁトラブルに見舞われても修理・整備を行えば
直るカメラではあるのですが…
この個体に関して言えば動きは全く問題なくなり
外装も磨き上げたので非常に良い状態になったと思います。
こうしてみるとやはり独特で魅力的なスタイリングですよね!
その上、機構的にも他に類を見ないカメラとなると
そりゃ使いたくなるが本能かと思います。
ちなみにお預かりしたときには
接眼レンズ枠にひっかけるペンF系純正の
後付けアクセサリーシューが付いていたのですが
50年以上経過し劣化の接眼レンズ枠にこれを付けておくと
まず間違いなく接眼レンズ枠が割れてしまいます。
今回も当然のごとく枠に一部欠けがあったので
できる限りの修復を行っているのですが
これまで通りにアクセサリーシューをかけておくと
また枠が破損してしまうので外してあります。
現在、ペンF系を使っている方で
シューが付けてあるものはできる限り外しておいた方が良いと思います。

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フジカ35Mのカメラ修理

メリークスマス!ですねぇ~
今朝起きても枕元にプレゼントはありませんでした…
50過ぎのひとりもんのじじいにはサンタさんは来ないようです(笑
イエス・キリストの降誕を記念する日ですが
イエスがこの日に生まれたという確証はないのですね
4世紀前半に教皇ユリウス1世が
「イエスの生誕の日は12月25日」と定めたそうです。
実は冬至の時期であるこの日前後には異教の祭が重なっており
キリスト教側が布教拡大を狙って
この日をイエス生誕の日としたものと見られているのだそうです。
本来は宗教の話ですものねぇ
いまや特に日本で行われているクリスマスは
本来の姿とはかけ離れてしまっているのでしょうが…(苦笑)
まぁそれはそれで…ここまで浸透したイベントになってしまったので
もはや別物ととらえたほうがいいのでしょうね
諸外国では12月24日から1月1日または1月6日までが
「クリスマス休暇」となる場合が多いのだそうです。
もう今日から年末年始休暇の方もいらっしゃるのですねぇ
私はもう少しだけラストスパートです!
年内は27日までの営業です!

さてさて

本日は「フジカ35M」のカメラ修理を行っています。
80年代半ばまでは富士フイルムのカメラはフジカブランドで販売されていました。
フジカブランドの35mm判として最初のカメラとなったのが
この「35M」です。
このカメラ、実は操作系の独特な少々変わったカメラで
巻上レバーは底面にあり、巻き戻しクランクは構えて左側の側面にあり
ピント調節は背面のダイヤルで行います。
なかなか他のカメラでは見られない操作系ですが
これがなかなか使いやすく当時もかなり話題になり
一躍ヒット商品となりました。
レンズは3群5枚のフジノン45mmF2.8で写りの評価も高く
シャッターは二眼レフ等でもお馴染みのシチズンMXVです。
独特な操作系はともかくとしても
内部もなかなか独自性の高い造りになっており
分解整備の難易度は高いほうだと思います。
シチズンシャッター自体はいいのですが
そのリンケージ部分や操作系部分等が少々難儀な部分も多いのです。

お預かりしている「35M」は
まずはシャッターを切ってもシャッター羽根が全く開きません。
レンズシャッターによくある羽根の固着によるものだと予想し
確かにそのとおりだったのですが
今回はそれだけでは終わりません…
羽根自体は清掃して動きに何の問題もなくなったのですが
今度はシャッターチャージ部分に問題があることが発覚し
巻き上げてもチャージでができない状態になっているようです。
どうやらシャッターユニット側のボディリンク部分に
長年の摩耗による微妙な部品変形が起きているようで
チャージリンク部を調整すると今度は羽根駆動部分に
問題が出るようになり、
なかなか一筋縄でいかない状態になってしまっています。
先程も少し書いたようにシャッターユニットの
ボディ側とのリンケージ部分が非常に微妙なバランスで
動くような仕組みなっていることと
その部分の部品の強度が少し足りないということもあるようです。
しかしながら60年以降経過していますから
さすがにしかたがない部分もあると思います。
今回は運よく良品の中古シャッターユニットが入手できたので
シャッターユニットの交換で対処します。
ファインダー内もいろいろと劣化が進んでいて
これまた一筋縄ではいかない難しい状況でしたが
できるかぎりの清掃と調整で
通常使用する分には何の問題のない状態までもっていくことができました。
背面操作のフォーカスダイヤルも
指一本で軽快に動くように整備調整しました。

レトロなルックスに独特な操作系…でも写りも良く使いやすい
根強い人気のあるのがわかるような気がします。
画像は一通り整備の終わった段階で
少々様子見をしている状態です。
転がっているのが好感したシャッターユニット部です。
これから最終チェックを行って問題なければ完成となります。
この「35M」はご依頼者様のおじいさまが使っていたもので
かなり長い間仕舞い込まれていたもののようです
おそらく何十年ぶりかに撮影に使われることとなると思いますが
生まれてから60数年たった現在の街の様子を
是非そのレンズを通してフィルムに焼き付けていただきたいと思います。
ご依頼者様にもおじいさまが実際に使っていた
時代の空気感を少しでも感じていただければと思います。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今夜はみなさんご存じの通り「クリスマスイヴ」ですねぇ
毎年、同じようなことを書きますが
「eve」は「夜・晩」を意味する古語「even」から来たもので
「クリスマスの夜」という意味になります。
キリスト教会暦では日没が一日の始まりであり
クリスマスは24日の日没から25日の日没までとなるので
その間の夜である24日の夜のことを「クリスマス・イヴ」と呼びます。
日本では「クリスマス(12月25日)の前夜」と
認識されることが多いのですが
正しくはその言葉通り「クリスマス当日の夜」となり
「クリスマス・イヴ」は既に「クリスマス」に含まれています。
…なので今日日没から明日の日没までが
楽しい楽しいクリスマスなのです!ヒャッホー!!!
…いや、もちろん私は普通に仕事していますし
ここ十数年安定の「クリぼっち」ですが、何か???(苦笑)
今更関係ないのですが
だいたい社会人になってからずっと思ってるけど
この年の瀬のぶち忙しい時期に
クリスマスだなんてイエスさんはなんて間の悪いときに生まれてきたんだ(笑
11月とか2月とかにしてくれればいいのにねぇ

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
キヤノンが社運を賭けて開発した
キヤノン初のプロ向け最高級一眼レフ機です。
この分野では完全にぶっちぎりだった
ニコンF・F2の独走に歯止めをかけるために
生まれてきたと言っていいカメラです。
このF-1の誕生により
この後からずーっと続くニコン・キヤノンによる
シェア争いが本格化していくわけですね。
F-1と言えども全くゼロから造られたわけではなく
基本的には当時のFシリーズをベースに作られています。
特にシャッター周りはFX,FTあたりとかなり似通っており
油切れで動きが悪くなると
「ギャイン」といった鳴きが出てくることも共通です
(Aシリーズで有名なシャッター鳴きとは
原因も音が出る箇所も異なります)
横走りのフォーカルプレーンシャッター自体が
既に煮詰められつつある技術なので
このあたりが共通になるのは当然といえば当然ですね。
ただし、さすがに部品強度は普及機と全く異なり
ひとつひとつの部品や造りは
タフな使用に応えられるように非常に丈夫にできています。
…とはいえ後述しますが50年も経過すれば
弱点もそれなりに存在します。

お預かりしている「F-1」は
まずシャッター周りの動きが悪い部分が多く
1/2000、1/1000でシャッターが開きません。
加えて露出計のSW部に接触不良があるようで
露出計が不安定な上に2段以上オーバーな値を示します。
バッテリーチェックも非常に不安定で
指針が一定の値を指しません。
シャッターは幕軸の汚れ等に加え
シャッターダイヤル下の調速カム部分にも動作不良があるようです。
F-1といえばSS不良時にはシャッターバウンドが起こっていることも多く
それらの原因となるのが
F-1の数少ない欠点といえる幕ブレーキです。
現行モデルだった頃や交換部品で対処できる間は良かったのですが
まず幕ブレーキの素材が経年劣化に弱く
さらにブレーキ動作部も動作不良が起きやすい部分です。
ここがキチンと作動しないと
小手先でいくら幕速を調整しようが根本的な解決になりませんし
精度も確保できません。
今回も整備している間に動きが悪くなる症状が出てきたので
徹底的に幕ブレーキ周りの整備調整を行いました。
露出計関連のSW接触不良は50年経ったカメラだと考えると
致し方ない部分です。しっかり接点の磨き・清掃を行ないます。
さらに露出計は抵抗の交換で最適な値に調整します。

今回は問題ありませんでしたが
ファインダープリズムにトラブルが多いカメラでもあります。
まずその低いファインダーカバー下には
巨大な座布団上のモルトが使われており
それが加水分解することによりプリズム腐食を誘発します。
さらに主プリズムに露出計表示用の小プリズムが
接着されているのですがこの小プリズムが
欠けたり割れたりしていることが多いのも特徴です。
残念ながらそこに関しては交換部品がないため
対処不可能になります。
今回の「F-1」はそういう問題はなく
整備後は非常に良い状態になっています。
SS精度も全く問題なく安定しています。
キヤノンのカメラはこの時代からやはり洗練されたスタイリングですね
いつも書きますがどこから見てもカッコいいカメラです。

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ニコンFMのカメラ修理

今日は「東京タワー完成の日」だそうですよ。
1958(昭和33)年のこの日に
東京・芝公園に「東京タワー」が完成(竣工)し、完工式が行われました。
この日は「東京タワーの日」ともされています。
高さ333m(海抜高351m)で
フランス・パリのエッフェル塔の312mより21m高く
当時世界一の高さの建造物となりました。
63年前になるのですねぇ
スカイツリーができてもやはり東京のシンボルと言えば
「東京タワー」ですよね!
ライトアップも凝っていて美しいですし
あの端正な姿はスカイツリーより良いと思います。
実は2回しか展望台に上ったことないのですよねぇ(笑
前回ももう10年以上前だし…
そういえば昔はどこの家に行っても
1個くらいは東京タワーの置物があったような気がしますね
うちにも金色のピカピカなのがあったなぁ
なんか1個ほしいかも…(笑
そういえばユーミンの曲に
「手のひらの東京タワー」なんてのもあったな…懐かしい…

さてさて

本日は「ニコンFM」のカメラ修理を行っています。
ニコマートFT系の後継機にあたる
機械制御シャッターの中級機です。
メンテナンスの比較的容易な機械式シャッター機と
巷では思われているので電子制御機のFEよりも
中古市場では人気が高いようですが
私のl個人的見解ではFEよりも修理の難しいカメラです。
確かにシャッター制御関係の電気的トラブルは
その機構上ありませんが
装備されているLED式の露出計は通常の指針式のように
ちまちまとした修理や調整はできず
露出計制御部が壊れると簡単に修理不可能になります。
静電気でショートさせただけで
簡単に致命的な破損に繋がりますので
分解時には細心の注意が必要です。
たまに素人分解品で露出計がダメになっている個体も見かけるので
中古品購入時には注意が必要です。
明るさ・設定に関わらず片側に振りきったままの露出計は
まず修理不可能かと思われます。
そして露出計以外にもややこしい糸連動も多く
分解整備にかなり手間のかかるカメラです。
それでも機械制御シャッターが魅力的なのはわかりますし
(電池不要なのはやはりいいですよねぇ)
基本的には丈夫なカメラなので
現在でも人気の高いことにはうなづけます。

お預かりしている「FM」は巻上ロックしたまま
どうにも動かない状態です。
FM/FE系でよくある巻上ロックの動作不良だろうなぁ…と
安易に予想していたのですが違いました(苦笑)
原因はシャッター羽根の汚れによる固着で
羽根が重なり合う部分で完全にぴったりくっついていて
シャッターが全く切れない状態になっていることが原因でした。
くっついてしまった原因は羽根に付着した粘着質の汚れです。
布幕シャッターの場合はシャッターが貼り付いてしまうことは
あまりないですが
(ゴム引きが溶解して貼り付くことが古いものだとありますが
そうなると完全に幕交換の対象となります)
金属羽根シャッターではよくあります。
シャッター羽根単体を触ったことがある方ならわかると思いますが
金属羽根シャッターは紙のように薄い金属板です。
そこにシャッターユニット内部で使われているゴムブッシュが
溶解して流れ出したりすると簡単に接着状態になってしまいます
またシャッター駆動部に使われいる油が流れ出してきても
今度は表面張力でくっつきます。
シャッター羽根は常に清潔でキレイな状態でないと
キチンと動けません。
なので通常使っている個体でも金属シャッター羽根に
不用意に触るのは厳禁です。
今回の修理とは全く違う話ですが
たまに何かの拍子で指を突っ込んでしまって
羽根が「クシャッ」となった個体をみかけることがありますが
そうなるともうシャッターユニットごと交換です。
で、ほとんどのカメラで既に交換用シャッターユニットは
手に入りません。取り扱いにはくれぐれもご注意くださいませ。

シャッターユニット全バラシで羽根1枚1枚を
キレイに清掃しました。
その上で再組立てして再調整を行っています。
現在は全く問題なくスムーズに動作しています。
その際に当然、巻上部、シャッター駆動部、ミラー駆動部
動作部は全て整備・清掃を行っています。
露出計も再調整しております。
もちろん内部モルトも含めてモルトは全て交換です。
FMらしい軽快な巻上を楽しめる状態になりました。
しっかり手を入れておけばそう簡単に壊れるカメラではありません
(露出計以外は)
ご依頼者様には改めて安心して使っていただきたいと思います。

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ミノルタXEのカメラ修理

今日は「冬至」ですね!
北半球では太陽の高さが一年で最も低くなる日です。
そのため一年中で最も昼(日の出から日没まで)が短くなり
夜が最も長くなります。
この日にユズを浮かべた柚子湯(ゆずゆ)に入り
カボチャを食べると風邪を引かないと言われています。
銭湯とかに行くと今日は柚子が浮かべてあるでしょうねぇ
冬至、夏至、春分、秋分の日は
「酒風呂の日」でもあります。
日付は湯で治すと書く「湯治」(とうじ)の語呂が
暦の二十四節気の「冬至」(とうじ)や
日本酒製造の責任者である「杜氏」(とうじ)を
連想させることが由来になっています。
コップ1杯ほどの日本酒をバスタブに入れると良いらしいです。
以前何度かやったことがあるのですが
肌がツルツルになってよくあったまりますよ
でもコップ1杯くらいじゃなくて
酔っぱらうほどの濃度の濃い酒風呂に入ってみたいかも…
ベタベタして気持ち悪いかな…(笑

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
先日、電源の入らないシルバーのXEを修理したばかりですが
今度はブラックのXEです。
普段、あまり入らないのに入るときは複数台が重なるのですよねぇ
これXEだけじゃなくて他のカメラでもそうなのですが
不思議ですねぇ…

今回お預かりのXEは電源は入るのですが
巻上がたまに引っかかります。
巻上ロック機構の動作不良かと思われます。
これもXEでたまにあるトラブルですね。
悪化すると巻上が全くできなくなることもあります。
そして露出計がかなりオーバー気味な上に
少々不安定です。
さらに露出計はオーバー気味に指示するのに
オート制御はかなりアンダー目です。
摺動抵抗やその抵抗のブラシ部の汚れ等が影響していると思われます。
XEの露出計のトラブルは大抵の場合が
巻き戻し蔵ランクしたのASA感度・絞り連動の
摺動抵抗が絡んでいます。
ここの定期的な清掃は必須かと思われます。

そして今回もファインダーから見る限りは
プリズム腐食はないのですが
おそらく内部モルトは交換されてないでしょうから
多少なりともプリズムにダメージはあると思われます。
とにかくプリズムを降ろす際には慎重に慎重を重ねます。
で、早速、上カバーを外して基板をある程度よけておいて
プリズムを先に降ろしてみるtのですが…
おおお、めずらしい…プリズムにほぼダメージがありません。
…と言ってもプリズムに接するモルトはやはり劣化しているのですが
ほとんどプリズムに付着していないのです。
フィルム室のモルトもそうでしたが
モルトは当然劣化しているのですが
粉状にボロボロになっていて粘着質になっていないのですね
これが功を奏したと思われます。
保存環境の湿度の問題なのでしょうかねぇ
これが粘着質にベタベタになっているモルトだと
プリズム側にもべったり付着して
外側の塗装から侵食し内部の蒸着も剥がしてしまうわけです。
うーん、やっぱり保管環境によるのでしょうねぇ
一概に何とも言えませんが
何にしてもプリズムが無事なのは嬉しいことです。
安心して作業が進められます。

巻上機構、シャッターユニット、ミラー駆動部の整備を行い
同時に各接点の徹底的な清掃を行い
電気的な調整も再設定しました。
巻上の引っかかりはもちろん
SS、露出計、オート制御も全く問題ない状態で動作しています。
少し動きが馴染むまで時間をおいて
最終的なテストと微調整を行います。
装着しているレンズは当店のテスト用MDロッコールレンズですが
何だか何もかも黒くて鈍器のようにしか見えません(笑
この重厚感がブラックXEはいいですよねぇ
実際にも大柄で重いので本当に鈍器っぽいです
ただしペンタ部カバーは放熱性の問題も考慮し
樹脂製なのでここはそれほど固くはありません。
鈍器として使うのなら角あたりがベターです…(苦笑)

冗談はともかく巻上に引っかかりがあったので
XEの魅力の一つでもある巻上は格段にフィールがよくなり
本来の姿に戻ったと思われます。
是非、ヌメラっとした独特の巻上を堪能してほしいと思います。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「果ての二十日」ですね。
身を慎み災いを避ける忌み日ですが…
この忙しい時期にじっとしていられるわけもなく…(苦笑)
年の終わりの月である12月を「果ての月」といい
「果ての二十日」は12月20日(本来は旧暦)を意味します。
年末の挨拶や大掃除、正月の準備など忙しさの極まる時期ですが
この日は一切の仕事をやめて外出を避け静かに過ごす日と伝えられています。
由来については諸説ありイマイチはっきりしないのですが
近畿地方では罪人の処刑をこの日に行っていたからとも言わてます。
また、山の神に深く関わる忌み日とされ
この日に山に入ることを避ける地方が多いのだそうです。
和歌山県と奈良県の県境沿いには
「果無山脈」(はてなしさんみゃく)という山脈があり
果無山脈には「果ての二十日」である12月20日のみ
または12月20日過ぎにのみ現れる
「一本だたら」という妖怪が棲んでいるのだそうです。
一つ目で一本足の姿の妖怪で
その妖怪が山に入る旅人を喰ったことから
峠越えをする人がいなかった。
「果ての二十日」に人通りが無くなることから
「果無」という名前が付いたといわれています。
このような言い伝えもあり
「果ての二十日」である12月20日には
山に入ることを避けるようになったという説もあるのだそうです。
こういう言い伝えには何かしら意味がある場合が多いので
まぁ、不要な外出はやはり控えるべきなんでしょうねぇ
来店がないのは困りますが
個人的にはおとなしく店に籠って作業に集中します
(うん、それはいつものことかな(笑))

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」の修理を行っています。
ぶっちぎりで整備依頼件数の多い「OM-1」ですが
今回は少しひさしぶりですね。
オリンパスの誇る軽量コンパクトな機械制御シャッターの一眼レフです。
機械制御シャッター機でこれほど小さくできているのは
この「OM-1」と「ペンタックスMX」ぐらいですね
発売時期としては「OM-1」のほうが随分早いです。
オリンパスらしく非常に独創的な構造で
この大きさを実現していて
特に巻上機構・シャッターチャージ部は
他のカメラでは見られない独特な造りになっています。
シャッター幕も高さを抑えるためにリボンを紐状にしたりとか
いろいろな工夫を重ねてこのサイズを実現しています。
単に大きさが小さいだけではなく
巻上の感触や上品で柔らかいシャッター音等々
使い心地も非常に良いカメラで
そういう意味も含めるとこの分野の一眼レフでは
他に比較対象がいない存在だと思います。
ただし…他メーカーができない(やらない)工夫を重ねた部分は
堅牢性という部分では少しばかり華奢な部分も多いのは事実です。
それでも現行モデルであった頃には
全くもって問題はなかったと思いますが
発売開始から50年近く経過する現在では
問題を抱えている個体も多いと思われます。
部品そのものの摩耗や劣化には対処できない部分は
正直言ってありますが
定期的に整備を行うことによって
状態の良い個体であればまだまだ当分快適に使えるとは思われます。

お預かりしているOM-1は過去に整備歴もあるようで
一応一通りは動作しているのですが
一部、動きの悪い部分があるようで
頻繁にミラーアップしたまま固着してしまいます。
横走り機でよくあるシャッター幕走行不良による
ミラーアップではなくミラー駆動部そのものに動きが悪い部分があるようです。
シャッターの後幕が走行不良の場合に
ミラーアップするパターンも多いのですが(特にペンタックスの横走り機に多い)
今回は後幕は速すぎるくらいにスムーズに走行していて
逆に速過ぎてシャッターが閉じ気味になってしまっているようです。
1/1000の場合の走り終わり部分で1/2000くらいの露光量になってしまっています。
ここは先幕側も整備して同じようにスムーズに動くようにして
微調整を行う必要がありそうです。
露出計も元気に動いていますが若干アンダー気味のようです。
ここも同じく調整を行っていきます。

露出計とSS/絞りとの連動とかもOMならではの構造ですね
上カバーを外しただけだとまだ見えないのですが
実は結構、連動糸も多用されていて
ここからミラーボックスを外す際には糸をひっかけないように
注意も必要です。
SS・絞り連動部に手を入れる際には
さらに糸の処理に神経を使います。
そうそう、メーターとの連動部も糸連動ですね。
いろいろとデリケートな部分の多いカメラなので
分解時の整備・調整にはかなり気を使います。
ここからさらに分解を進めていくので
集中して取り掛かりたいと思います。

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ミノルタXEのカメラ修理

今日は12月第三土曜日ということで
「大洗濯の日」なのだそうです。
日付は年末の掃除や洗濯の準備を始めるのが12月の3週目が多く
しっかり取り組みやすい日としてその土曜日としたのだそうです。
大掃除の洗濯版ですね!
私は一人暮らしだからそれほど大物の洗濯モノはないのですよねぇ
自宅にカーテンもないし…(苦笑)
強いて言えば冬から夏まで一年中
敷きと掛けに使っている2枚の毛布くらいか…
たまにコインランドリーに持ち込んで洗濯乾燥していますが…
あれ?前回したのいつだったっけ???(汗)
自宅もお店も大掃除しなくちゃな…
結構大変なのですよ。1日じゃ終わらないし…
ちっと身体が不自由になってしまってからは
なおのこと時間がかかる…(笑
でも大掃除・大洗濯の達成感は気持ちよいものですものね~
大洗濯はともかく大掃除はことしもがんばるか!
あ、でもさすがにまだ10日ほど先の話です…

さてさて

まだまだ年末大掃除よりも日常業務のラストスパートです!
本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
非常に滑らかな巻上で一部のコアなファンに人気のカメラです。
ミノルタらしく機能的なスペックより
数値に表れない「使い心地の良さ」が魅力のモデルです。
ミノルタXシリーズとしては2機種目となるカメラです。
1機種目のフラッグシップX-1登場翌年の1974年に発売されました。
Xシリーズですから当然電子制御シャッターなのですが
X-1とは異なりコパル・ライツ・ミノルタの3社で開発した
金属羽根縦走りのコパルライツシャッターを採用しています。
このシャッターユニットも抜群の使用感に大きく貢献しています。
ただし電子制御機としては比較的初期のモデルに当たり
ボディも大柄で重く、電気的なトラブルも比較的多いカメラです。
基板内トラブルが発生すると修理不可能になることも多々あります。
おまけにXEの最大の困った点は何といってもプリズム腐食です。
プリズム前面と固定枠の間に遮光用と緩衝材を兼ねて
大きなモルトプレーンが貼られていて
無対策だとほぼ間違いなく加水分解を起こします。
そのモルトの加水分解からプリズム蒸着部への腐食となり
蒸着が剥がれ落ちてしまいます。
剥がれ落ちるとファインダー視野内中央近くに
大きな横方向の黒い帯が出現します。
こうなるとプリズム交換しか方法はありませんが
XEの腐食のないプリズムはもはや入手が非常に困難です。

お預かりしているXEはファインダーを覗く限り
プリズム腐食はないようです。
ただ安心できません。
無対策だと加水分解したボロボロのモルトがそのままの可能性があり
プリズムを降ろした瞬間に蒸着が剥がれ落ちてしまうことも
よくあるからです。
プリズムばかりがどうしても気になってしまいますが
ご依頼者様からご指摘を受けているのは
電源が全く入らず、当然シャッターもまともに切れない…といった症状です。
XEは電源が入らなくても「X」と「B」だけは
メカニカルで動作する仕組みになっています。
昨日のFEでも書きましたが「B」が機械制御なのはいいですね!
他の電子制御シャッターは電源が入っていないと
とりあえず切れますがシャッターは開かず
ミラーアップしたままになってしまいます。
これも昨日のFEと同じく電池室からうまく電源が供給できないようです。
さらにファインダー内、露出計表示付近のみが
異様に暗く見づらいとご指摘をいただいているので
確認してみると確かに仰せの通りです…
何がどうなってるんだろう?とミラー側からスクリーンを覗いてみると
なんとスクリーンの脇が熱か何かで大きく変形しています。
スクリーンはプラスチックですから変形することはありますが
なんでこんなことに…はんだこてでも当てたのか?というような状態です。
何にしろあまり良い扱いを受けていない個体のようです…
スクリーンは中古良品と交換で対処します。

プリズム周りが気になるのでまずはプリズムを降ろします。
フィルム室のモルト等は交換した形跡が見られるので
プリズム周りももしかしたら処置済みかも…と淡い期待を持ちましたが
そんなことはありませんでした。
ファインダー枠には劣化したモルトがべったり付着して
プリズム側にも付着しています。
このモルトを無理に剥がすと間違いなく蒸着も剥がれるので
このまま蒸着が剥がれないようにできる限りの処置を行っておきます。
これでいつまでもつか正直なところわかりませんが
そのままにしているよりは全然マシなはずです。
枠側に付着しているモルトはキレイに除去します。
それにしてもこの状態でよく蒸着面まで腐食が達していないものです
たまたま運が良かったとしか思えないですねぇ

プリズムの確認はできたので
これから本格的に電池室が整備できるところまで分解を進めます。
それと並行して各電気接点や摺動抵抗の清掃整備を行います。
電子制御機は電気接点の状態が非常に重要な要素です。

とりあえず修理不能な状態になるような電気トラブルはないようです。
それでも何が起こるかわからないカメラなので
慎重に整備を進めていきます。

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ニコンFEのカメラ

今日は「飛行機の日」なのだそうですよ。
1903(明治36)年のこの日に
アメリカ・ノースカロライナ州において
ライト兄弟がライトフライヤー号で
動力飛行機の初飛行に成功した日なのだそうです。
この日には合計4回の飛行が試みられ
1回目の飛行時間は12秒で飛行距離は約36.5m
4回目の飛行時間は59秒で飛行距離は約259.6mという結果だったそうです。
この数十年後には飛行機は音速で高度1万m上空を
飛ぶようになるのですねぇ…技術の進歩ってすごいですねぇ
もう私は飛行機に乗ることないかもなぁ…(苦笑)
海外はいきたいと思わなくなっちゃったし
国内で飛行機で行かないといけないところ…北海道や沖縄ですか…
未踏の地のままで一生を終えるような気がしますねぇ
若いうちにいろいろなところへ行っておいた方がいいですよ
定年終えて時間ができたらあちこち旅行でも…ってよく聞く話ですが
個人差はあるでしょうが
ある程度年齢がいくとそんなテンションにならないし
もう体力的にもめんどくさいだけですから(笑
まぁ私の場合はそれ以前に死ぬまで働かなくてはいけないので
そんな余裕がでることもありませんが…
やさぐれているわけではありませんよ(苦笑
死ぬ直前まで元気に小さな仕事ができて
自分の食い扶持は自分の手で稼いで
その手の届く範囲で生きていくのはステキだと思います。
そうなるために日々コツコツとがんばるしかないですねぇ
(あれ?もうまったく飛行機の話ではない?(笑))

さてさて

本日はニコンFEのカメラ修理を行っています。
ニコマートEL系の後継にあたる
電子制御シャッターの中級機です。
ニコンといえばどうしてもフラッグシップのF一桁機に
注目が集まりますが
FE/FMあたりの中級機も非常によくできた良いカメラです。
個人的には特にこのFEは非常に使い勝手も良くて
おススメの1台です。
電子制御機ということで絞り優先AEを搭載しています。
ポジ中心に撮っているとAEでも結局、補正を細かく行うことになるので
マニュアルの方が結果的に手っ取り早いのですが
それでも1画面内に輝度差があまりないようなシチュエーションでは
絞り優先AEも積極的に使えますし便利です。
個人的にはSS優先より使いやすいと思っています。
ネガだとなおのこと絞り優先AEの出番は多くなりますね。
そしてFEの良いのはそのファインダー内に表示される
露出計と露出設定情報で
液晶表示もないこの時代に非常にうまくわかりやすく表示されています。
視野左側の露出計表示で露出計指針と実際に現在設定されている
SSが一目でわかるように2針式で表示され
少し離れた場所にはなりますがレンズ直読式の絞り値も確認できます。
照明も何もないのでファインダーが暗くなるような場面だと
全く使えないのは短所ではありますが
通常の日中に使う分には全く問題ありません。
FMやF3もこれと同じような露出計及び露出設定表示にしてくれればと
何度思ったことやら…(笑
コパル製の縦走り金属シャッターは言うまでもなく
非常に安定した動作をすることで定評がありますし
心配される電子制御も大きなトラブルの可能性はかなり低いと思います。
このあたりはニコマートELの時代と比べると大きく進歩しています。
それほど軽量コンパクトではありませんが
フラッグシップモデルに比べると随分軽快に使えます。
突き抜けた部分はありませんが非常にトータルバランスの良いカメラです。

お預かりしているしているFEは
新しい電池を入れても全く電源が入りません。
つまりシャッターはB・M90以外は全てミラーアップです
露出計も全く動かず、バッテリーチェックも点きません。
つまり根本的に電池室からの電源供給が行われていない状態です。
電池室自体は腐食もサビもなく大きく汚れてもいません。
念のため溶剤で電池室内も清掃してみましたが
状況は変わりません。
…となると電池室裏のハンダかそこからのリード線に問題があると思われます。
全く電源供給されないので
SSがどうとか露出計・オート精度がどうなのかの判断もできません
まずは電源部の修理を行ってから各部の確認を行うことになります。

分解時に電池室周りの写真を撮っておこうと思っていながら
一旦、作業に集中するとキレイに忘れていました…(苦笑)
電池室裏のハンダは劣化で断線状態だったため
端子を磨いて念のため配線も新品に替えて新たにハンダ付けしました。
当然、ミラーボックスは降ろすわけですが
FE/FM系はミラーボックス再組立て時に
ちょっとしたコツが必要で何となく組みなおしても
ほぼ間違いなくボディ側とうまくリンクできなくなります。
私も昔、慣れる前は散々苦労しました…
シャッター周り、巻上・ミラー駆動部の整備も行って
再組立てを行いこれから電気的調整を行います。
フレキ上の8つの半固定抵抗のいくつかを調整して行いますが
当たり前ですが
どれがどの役目を行っているか
しっかり把握したうえで行います。
さすがにもういちいち資料を見直さないでも
そのあたりは暗記できています。
測定機も使って何度か繰り返し調整を行ってから
最終的に上カバーも組みなおしていき完成となります。

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ニコンEMのカメラ修理

今日は12月15日、12月ももう半分終わりますねぇ
何となくキリの良い日付だから
記念日もたくさん制定されているかと思いきや
そうでもなくて
めぼしいのは「観光バス記念日」くらいですねぇ
1925(大正14)年のこの日に
東京乗合自動車により日本初の定期観光バスである
「ユーランバス」の運行が開始されたのだそうです。
日本初の定期観光バスでしたが
路線バス扱いでもあり
途中の下車観光地から乗車した場合の運賃も定められていたということです。
当初のコースは「皇居前~銀座~上野」でした。
その後、経営不振により東京乗合自動車の遊覧自動車事業は
一旦休止に追い込まれましたが
新日本観光株式会社(現:株式会社はとバス)に譲渡され
同社の手によって再開されたのだそうです。
今のはとバスに繋がっていくのですねぇ
観光バスといえば…一時期私の故郷「呉」で行っていた
「ボンネットバスツアー」再開してくれないかなぁ…
もう一度だけ「呉市営バス」(現在は広電バスに譲渡されている)の
カラーリングのボンネットバスに乗ってみたいのですが…
おそらく企画されるとすれば春の気候の良い季節でしょうけど
もしやってくれるなら何をおいても駆けつけるのですが…

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年に当時のフラッグシップ「F3」と同時期に開発され
ほぼ同時期に発売されたエントリー機です。
外装デザインはF3と同じくジウジアーロによって行われ
今見ても非常に良いデザインで評価の高いカメラです、
ニコン初のエントリークラスのカメラでもあり
露出設定は絞り優先オート専用とし、割り切った機能の搭載となっています。
これが国内販売開始直後はそれまでのニコンファンに
いまひとつウケが良くなくて意外と国内販売では苦戦を強いられます。
そのため続く兄弟機「FG」ではフルモードフルスペックを搭載し
上級機のFEとほぼ変わらない機能を与えられます。
今となってはシンプルな機能やジウジアーロデザインが
再評価され国内中古市場でも非常に人気の高いカメラです。
このへんのマーケティングはその時代ならでは事情もあり
なかなか難しいですね。
今考えると圧倒的にEM人気でもおかしくないと思えるのですが…
ただし、輸出モデルは当時から非常に好調で
販売的にも成功を収めています。
絞り優先AE専用機ですから当然シャッターは電子制御ですが
メカニカルシャッター1/90を搭載し
例え電池がなくてもM90とバルブは機能します。
このあたりは非常にニコンらしいですね。
電池がなくてM90を使う場面なんてめったにあるものじゃないと思いますが
バルブ時に電池を使わなくても良いのは
夜景や星景写真を撮る方には非常に有効だと思います。
確かに元々のお値段也でチープな部分もあるのですが
使い心地の質感は意外と悪くなく
個人的にも好きなカメラのひとつです。

お預かりしている「EM」はしばらく使われてなく
保管されていたもののようです。
外観のコンディションは悪くないのですが
モルトの劣化が進んでいて
フィルム室内にもモルト屑が散乱していますが
ファインダー内もモルト屑だらけになってしまっています。
それからこれもモルト屑の影響かもしれませんが
シャッター羽根の動きが悪く
シャッタースピードの精度も出ていないようです。
羽根自体の汚れもあると思われますが
モルト屑がシャッターユニット内に入り込んでしまっているのも
悪影響になっていると思います。
加えて露出計の動きが非常に不安定です。
定常光にあてていてもファインダー内露出計指針が
上に行ったり下に行ったり踊っているかの如く激しく上下しています。
レリーズ周りの接触不良か
1枚目スタートSW部の接触不良かと思われます。
この時期のAE搭載機になると
1枚目をセットするまでの空シャッター時に
レンズキャップをした状態でもスローシャッターにならないように
カウンターが「1」になるまでは露出計もオフで
シャッターも一定速で切れるようになっています。
(EMの場合はM90)
この1枚目感知のSW部で接触不良が起きることも多いのです。
個人的には1枚が出るまではモードを「M90」にして切って
このSWは不要かとも思うのですが
万人向けと考えるとやはり必要ですかね…(苦笑)
この1枚目感知があると裏蓋を開けた状態で
測定機にかけづらいというこっちの不都合もあり(苦笑)
あまり好きではない機能です…

機能的な話はさておき
何にしても一通りの整備・清掃が必要な状況です。
エントリー機とはいえ80年代の電子制御機です。
整備の難易度は低くありません。
非常に神経を使いながらフレキの処理も行う必要もあります。
それでもまだニコン機は整備性は良い方です。
同じような絞り優先機でもX-7やOM10はさらに難易度が上がります。
いつも思うのですがこの時代のカメラと
50年代のレンズシャッター機なんかを比べると
「これが同じカメラ修理か?」と思うほど
アプローチから何から全く違うものになります。
古すぎるものももちろん難しいですし
新しいものも(それでも40以上年前ですが)違う意味で難しいですねぇ
なかなか一筋縄ではいかないものです。

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