カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

ヤシカエレクトロ35GLのカメラ修理

今日は「LPレコードの日」だそうですよ。
1951(昭和26)年のこの日に
日本初のLPレコードがレコード会社の日本コロムビア株式会社から
「長時間レコード」の名前で発売されたことが由来となっています。
私もいまだに大量のレコードを持っていて
再生環境も維持していますが
そのレコードのほとんどがいわゆる「LPレコード」です。
直径12インチ(30cm)毎分33回転のレコードですね。
再生時間はレコードにもよりますが最長片面30分程度です。
私が中学生くらいまでのレコード全盛期には
シングルレコード(EP盤・ドーナツ盤、毎分45回転)も
結構な枚数を持っていたのですが
さすがにシングルのほとんどは手放してしまいました。
今考えるともったいなかったかな…
CDですら現在では売れない時代になってしましたが
CDよりさらに聴くだけでもいろいろ手のかかるアナログレコードが
なかなか味わい深くてやめられないのですよねぇ
気軽に手っ取り早く聴きたいときにはレコードから変換した
デジタル音源をipodやスマホで聴くことも多いのですが
じっくり耳を傾けるときにはやはりアナログ盤が良いような気がします。
まぁ気分の問題がほとんどで聴き分けられるほどの
良い再生環境を持っているわけではないのですが…(笑
アナログレコードを拭き上げるレコードクリーナーの匂いをかぐと
なんともノスタルジックな気分になるのですよねぇ…

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GL」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
「GL」の登場前に「CC」や「MC」あたりの
派生機種といえるモデルがが小型化を進めて
発売されていますがこの「GL」はエレクトロ本流といえる
「GSN」の後継にあたるモデルとなります。
搭載レンズはカラーヤシノンDX40mmF1.7で
シャッターは「エレクトロでは」おなじみのコパルエレク
仕様電池はこれも「エレクトロでは」おなじみの
HM-4N積層型水銀電池です。
F2.8クラスのレンズを備えた他メーカーのコンパクトさを
売りにしたカメラと比べるとさほどコンパクトではないのですが
それでも初代から前モデルの「GSN」までのボディと比べると
一回り以上コンパクトにまとめられています。
機能的には初代から続くエレクトロ35ならではのもので
絞り優先オート専用機です。
受光素子はCdSから反応の良く高感度なSPDに変更されています。
GSNまで装備されていた「B・バルブ」は省略されています。

お預かりしている「GL」は
ずいぶん長い間、使われずに仕舞い込まれていたようです。
またその間、古いHM-4N電池が入れたままになっていました。
不幸中の幸いで電池からの液漏れはなかったのですが
水銀電池はガスを発生させそのガスが金属部の腐食を誘発するため
電池室を中心にあらゆるところが青緑だらけとなっています。
当然電池室からのリード線も腐食で断線していて
電源は入らない状態です。
他、レンズ、ファインダー部も汚れやカビで曇っている状態で
さすがに全体的に徹底的に手を入れなければならない状態です。

電池室の修復や配線交換をする前に
まずは電気回路が生きているかどうかを確かめたかったので
直接リード線をつないで簡単に動作チェックを行います。
一応、オート制御は動いてはいるのですが
かなり不安定な上に制御もおかしな部分があるようです。
根本的に回路や電子部品がダメなわけではないと思われますが
これ以上は接点やハンダをすべてやり直して
確認しながら進めるしかなさそうです。
でも高い確率でおそらく何とかなるとは思います。
古い電子制御機なのでリード線の本数も多く
ハンダの数も多く接触不良等が起きていると
原因を探すのが非常に難しいカメラです。
それでも比較的整備性の良い構造のおかげで
まだ作業は楽なほうです。
電気カメラは機械的動きの整備も当然ですが
電気をスムーズに流すための接点のメンテナンスが不可欠です。
できる限り汚れや劣化を取り除く作業を行っていきます。

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ニコンEMのカメラ修理

今日は「彼岸の入り」で今日から一週間
いわゆる「春のお彼岸」ですね。
中日となるのは21日の「春分の日」です。
お彼岸といえばやはり「墓参り」というイメージですよねぇ
じいさんばあさんの歩きがまだしっかりしていた時期は
春秋のお彼岸とお盆のお墓参りは
私が大人になってからも外せない年中行事でした。
私の家の墓所は結構な山奥の登山道わきに
ポツンとある感じなので
いわゆる墓地っぽい雰囲気な少なく
子供の頃はちょっとした遠足気分で墓参りも楽しみにしていました。
関東に住み始めてからはこの時期に墓参りに行くことは
さすがにスケジュール上無理があり
春先の墓参りは十数年ご無沙汰していますが
たまにはこの時期の墓所や地元の里山の雰囲気や空気感を
楽しみたいところですねぇ…

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年に国内発売されたニコン初の
エントリーモデルといえるカメラです。
これまでのニコンのラインナップはフラッグシップに
F一桁機が君臨し中級機にニコマートからの流れを汲む
FM/FEが存在するのみの少数精鋭なラインナップでした。
そこに加わったのが絞り優先オート専用機で
エンプラを多用しスペック的にもかなり割り切った仕様の
この「EM」です。
先行発売された海外では商業的にも成功を収めますが
国内ではこれまでの「高級機路線」のニコンのイメージに
そぐわなかった部分もありかなり販売的に苦戦します。
そのデザインのすばらしさや使い勝手の良さが
評価され人気に火が付いたのは
残念ながら生産が完了した後のことになってしまいました。
現在の中古市場ではかなりの人気モデルです
商業的に苦しんだとはいえエントリーモデルで
お求めやすい価格設定だったこともあり
現存している台数はそれなりに多いカメラです。
ただその低価格ゆえにやはり作りが華奢な部分や
プラスチック部品が劣化のため破損している個体も多く
修理依頼もそれなりに多いカメラです。
ただしニコンらしい部分も溢れているカメラで
オート専用機なのに1/90の機械制御シャッターも備え
バルブも電池ナシで駆動することができます。
フレキを多用した時代最先端の電子制御機でありながら
電子部品を原因とするトラブルはかなり少ないほうで
たいていの場合は何かトラブルがあっても修理可能です。

今回お預かりしている「EM」はおそらく過去に
整備分解歴はない個体かと思われます。
一通りの動作はしているのですが
やはり消耗部品の劣化や各部の汚れ、
油切れはそれなりにあり
シャッタースピード、オート制御、露出計は少々不安定です。
そして「EM」はさすがにエントリーモデルということもあり
フィルム室やファインダー周りの遮光を
かなりモルトに頼っている部分が多く
ニコン機にしては大量のモルトを使っているのですが
それが巣全て粘着質に劣化してしまっています。
それがスクリーンに大量に付着しており
ファインダーはとてもとても快適なフレーミングや
ピント合わせはできない状況になっています。
外装は非常にキレイな個体なのですが
やはり全体的に整備の必要な状況です。

まだ上カバーを外しただけの状態です。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
上カバーを外す際に当然ながら巻き戻しクランクと
巻上レバーを外すのですがEMはいつもですが
今回のこの2点の取り外しに苦労しました。
特に巻き戻しクランクはフォークを固定しておいて
クランクを逆回転して外す(大抵のカメラはこのパターン)のですが
その際にクランクねじが固着してそれなりに固い場合
無理して回すと簡単にクランク基部樹脂部品が破損します。
ここが破損している状態のEMも非常に多いです。
今回もネジ部は結構強烈に固着している状態で
それでも力任せに回すわけにはいかず
かなり時間をかけて少しずつ固着を緩めて外しました。
カメラ修理に短気は大敵です。
うまくいかないときほど落ち着いて慎重に作業を行います。
巻上レバーも留めネジを外してもビクとも動かず
こちらも苦労しました。
カメラ修理に「回す」という作業は非常に多いのですが
いろいろな要因で「回るはずなのに回らない」ことが非常に多いのです。
こういったときこそ焦らずに深呼吸して落ち着いてから
作業を進めていきます。

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オリンパスペンFのカメラ修理

今日は「漫画週刊誌の日」だそうですよ。
1959(昭和34)年のこの日に
日本初の少年向け週刊誌『週刊少年マガジン』
『週刊少年サンデー』が発刊されたことに由来しています。
この後、「ジャンプ」と「チャンピオン」が加わって
4大漫画週刊誌時代になるわけですよねぇ
私、幼少期は基本的に祖父母の家で暮らしてて
週末だけ一人暮らししている親父の家に
遊びに行くというパターンが多かったのですが
小学校入ってしばらくした頃になると
「おい、桃太郎(書店)行って
ジャンプ・マガジン・サンデー・チャンピオンみな買うてこい!」と
頼まれて買いに行くのが楽しみでした(笑
だから当時の連載漫画はよく覚えています。
ここであげるとキリがないので書きませんが…
そういえばジャンプの「けっこう仮面」だけは読んでると
「おまえにゃまだ早すぎる!」と取り上げられたなぁ(笑)
(あ、「けっこう仮面」は月刊ジャンプですね)

さてさて

本日は「オリンパスペンF」のカメラ修理を行っています。
毎度書きますが「孤高のハーフ判一眼レフ」ですね。
ハーフ判専用でハーフ判のメリットを最大限利用した
一眼レフとなると世界でもペンFシリーズだけが
唯一の存在かと思われます。
既存の35mm判一眼レフにとらわれない構造で
特にファインダー光路やそれに関連したミラー機構
さらにロータリーシャッターの採用と
一眼レフのみならず他のカメラではまず見ることのできない
独特の構造で作られているカメラです。
外観にもその独自性が表れており
一眼レフなのに上面がフラットな上カバー部
巻き戻し側にオフセットしらレンズマウント等々
この構造やデザインだけで所有しておきたくなるカメラだと思います。
実際に使用してもそのコンパクトなボディと
ハーフ判専用でこれもコンパクトに作られた豊富な交換レンズ群が
非常に魅力的なカメラです。

ペンFシリーズには最初に出たダブルストローク巻上の「ペンF」と
露出計・セルフタイマーが搭載され
シングルストロークの巻上となった「ペンFT」
ペンFTから露出計を省略した「ペンFV」の3種類が存在します。
今回は最初のシンプルな「ペンF」です。
個人的にはペンシリーズの中では
巻上角が少なくて軽快に巻き上げられ
ファインダーも少し明るい(露出計のためのハーフミラー仕様ではないため)
ペンFが好みです。
ただし、ペンFシリーズはその独特の構造と
コンパクトに収めるためやはり多少華奢な部分もあり
現行モデルでメーカーサポートの手厚いうちは問題なかったのですが
登場から60年が経つ現在となっては
ちょっとした汚れや油切れで動作不良を起こす箇所が多いのも事実です。
今回お預かりのペンFもミラーアップしたまま固着した状態で
当店にやってきました。
シャッターは走行完了しているのですがミラーが上がったままなので
当然ながら構造上巻上もできません。
どこかが破損している…というわけではないのですが
部品の経年劣化もあり手を入れないと
なかなかスムーズに動かないものが多いと追う印象です。

独特な構造であることは間違いなく
予備知識が全くないまま分解すると
他のカメラとの構造の違いに面食らうかもしれません。
しかしながら構造が把握できていると
それほどややこしい造りのカメラではなく
整備性も悪くはありません。
ただ仮にファインダー清掃のみ行いたい場合でも
ここまで開けてさらにプリズムを降ろす必要がありますが…
今回はここからもう少し分解を進めて
ミラー駆動部はもちろんのこと
各部の動きをスムーズにするための清掃整備を
徹底的に行っていきます。
心配されるプリズム腐食は今回はそれほど目立つほどのものはなく
(わずかな点腐食は数か所あり)
このまま問題なく使用できそうで一安心です。

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リコーフレックスⅦのカメラ修理

今日は「国立公園指定記念日」なのだそうですよ。
1934(昭和9)年のこの日に
内務省が、瀬戸内海・雲仙・霧島の3ヵ所を国立公園に指定し
日本初の「国立公園」(national park)が誕生したことが由来となっています。
現在の日本の国立公園は34か所ですね。
日本の国立公園の面積の約60%が国有地なのだそうです。
個人的に身近に感じるのはやはり生まれ育った地域周辺を含む
「瀬戸内海国立公園」ですねぇ
子供の頃(小学校低学年くらいかな)家の壁に貼ってあった
中国地方の大きな地図を見ながら
「瀬戸内海国立公園」っていう文字を見ながら
どこかに遊園地みたいなでっかい公園があるんだと思っていました(笑)
いや子供だから「公園=遊具がある楽しい広場」なんですよねぇ
そういう施設的なものがなういものを知った時には
軽くショックだったようなかすかな記憶が…(苦笑)
過去の記憶はさておき私がいまだに写真をたまに取りに行ったりする
倉橋島の鹿老渡も指定地ですし
呉市内の休山や野呂山も指定地です。
休山や野呂山の桜はそろそろシーズンですねぇ…
「休山せんべい」食べたくなってきたな…(笑

さてさて

本日は「リコーフレックスⅦ」のカメラ修理を行っています。
1940年あたり(諸説あり)から始まる
この時代のリコーを代表するカメラですが
いわゆる前玉回転ギアを備えるおなじみのリコーフレックスの形になったのは
1950年発売の「Ⅲ」からです。
そして爆発的なヒットとなりこの時代の「二眼レフブーム」を
牽引するカメラとなりました。
一時は日本全体のカメラ生産量の50%以上を
リコーフレックスが占めるほどのベストセラーとなったそうです。
いわゆるプレスボディーのリコーフレックスは
他メーカーの120フィルム二眼レフに比べても軽量コンパクトで
機能も非常にシンプルです。
現在でも人気なのはこのコンパクトさとシンプルさにあると思われますが
当時ヒットした要因は何といっても
性能と価格のバランスに優れていたからでしょうね。

今回お預かりしているのは1952年発売の「Ⅶ」です。
初期モデルといえる「Ⅲ」に比べると
ルーペも装備され裏ブタロックもあり
かなり使いやすい仕様に進化しています。
この「Ⅶ」からアイレベルで使える
コンツールファインダーがファインダーフードに組み込まれています。
シャッターはリケンシャッター搭載で
Bに1/25・1/50・1/100、3速のシンプルなシャッターユニットです。
レンズは「Ⅲ」以来、引き継がれている
3群3枚リコーアナスチグマット80mmF3.5をテイクレンズに搭載します。
これもシンプルな構成ですが写りの評価の高いレンズです。

リコーフレックスは非常に数多く売れたカメラということで
現存台数も非常に多いのですが
さすがに70年前のカメラで比較的お求めやすい価格ということもあり
保管環境もよくないものが多く
まともに動かないものが多い印象です。
ただ、レンズのガラス劣化によるクモリ等は
どうにもならない部分がありますが
機械的な部分がシンプルな構造のため
しっかり整備を行えばまだまだ使えるものも多いことも事実です。

今回お預かりしている「リコフレⅦ」もお預かり時には
ピントギアはおなじみの固着で全く動かず
シャッターも全く切れず
ファインダースクリーンは割れがあり
ミラーの劣化も酷く
ファインダーフードや赤窓も一部破損と
なかなか大変な状態でした。
破損部品に関しては中古部品と交換を行って対処するしかありませんが
機械的な部分に関してはとにかく
正常な動きを取り戻せるように
ひたすら清掃して積年の汚れを除去し
最小限の注油を行っていきます。

画像は一通りの整備が終わって外装の清掃等も完了した状態です。
受付時の画像がないのが残念ですが
見違えるほどキレイになっていると思います。
もちろんシャッターは精度も含めて快調に動作し
ピントギアも指1本で軽快に回ります。
レンズもできる限りの清掃で実用上問題のないレベルです。
ファインダーフードやスクリーン、ファインダーミラーは
中古部品との交換で対処いたしましたが
こちらも非常に良い仕上がりになっております。
これでご依頼者様にも存分に気持ちよく楽しんでいただけると思います。
当時としてはお求めやすいカメラではありますが
メッキ部分の仕上げとかを見ていると
高級感に溢れていて眺めているだけでも楽しいカメラです。

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ニコンFEのカメラ修理

今日、朝ご飯を食べながら
「3月15日か。。。最後(3・15)の日だなぁ。。。」なんて
考えていましたが
さすがにそんな縁起の悪そうな語呂合わせの記念日はなく(笑
今日は「靴の記念日」だそうです。
足元って意外と目立ちますし
街中でも意外と人の靴って見てしまいますよねぇ
サラリーマン時代はかなり気を使っていましたが
革靴をほとんど履かなくなってからは
割と無頓着になってしまいました(苦笑)
普段は家と仕事場の往復だと
スニーカーかサンダル履きが主ですし…
それでも昨年、高校生の頃にめっちゃ流行っていた
リーガルのサドルシューズを買ったのですが
あまりにピカピカでもったいなくって
あまり履いていないのですよねぇ…
慣らして馴染ませないといけないのですが…
でも今は履くことも少ないですが
登山靴やらライディングシューズやら
それなりにこだわったいい靴はいろいろ保管してあるのですよねぇ
幼児なくてもたまには履かないと痛んじゃいますね…
でも靴は機能的にも見た目的にも大事なアイテムです。
お気に入りのいいものを数足は持っておきたいですね!

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
ニコマートEL系を源流とする
電子制御の中級機です。
前身のニコマートELと比べると
ボディサイズもコンパクトになり非常に洗練されたイメージです。
発売開始は1978年です。
電子制御シャッター機の場合、
電池がないとシャッターが全く動作しないカメラも多い中、
FEはここもニコンらしく1/90とBに関しては機械動作で
電源のない状態でシャッターを切ることが可能です。
個人的に昔、夜景撮影等にはまったことがあって
そういう場合に「B」が機械制御で電池を消耗しないのは
大きいのですよね。
夜間撮影で季節によってはかなり気温が低い場合もあるので
電池を消費するものだとあっという間に電池がなくなってしまうのです。
FEはそうしうエマージェンシー的な部分だけではなく
非常に使いやすい露出計表示もあって
絞り優先オート時に使いやすいのはもちろん
マニュアル露出時にも非常に露出のコントロールがしやすいカメラです。
加えて電子制御器とはいえ電子部品のトラブルは
かなり少ないほうです。
機械制御だからといって部品の手に入らない現代では
修理不可能になる場合も多いので
耐久性を含めてもFEはかなり優れていると思います。

お預かりしているFEも一通りは動作しており
電気関係のトラブルの心配はなさそうです。
ただ長い間未整備であることは間違いなく
各部のモルトは劣化していて
内部モルトも含めて早めの交換が必要と思われます。
シャッター羽根にも汚れの付着等で
少々動きが悪く高速シャッターの精度は少々不安定です。
加えてオート制御が全体的にかなりアンダー目です。
巻上にも油切れの兆候が見られます。
撮影に致命的なトラブルが発生しているわけではなく
このままでも全く使えないわけではないのですが
快適に間違いなく使うためには整備の必要な状況です。

FEの整備依頼は一時期ほど多くはないのですが
それでもかなり頻繁に依頼のあるカメラです。
さすがに様々なトラブルに直面したことと
それに伴い資料やデータも貯めこんでいるので
比較的対処の行いやすいカメラではあります。
それでもやはり電子制御機なので
修理不可能な場合は起こります。
もちろん今回はそんな心配はありませんが…
まだ取り掛かったばかりですが
抑えるべきポイントはわかっているので
そのあたりを中心に入念に分解整備を行っていきます。

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ニコマートFT2のカメラ修理

今日は「ペヤングソース焼きそばの日」だそうですよ。
1975(昭和50)年3月13日に発売されたことが由来となっているそうです。
手軽に食べられて美味しいですよねぇ~
さすがに最近は普通のカップ麺でも
味が濃すぎて(しょっぱすぎて)敬遠気味なのですが
ペヤングはたまに無性に食べたくなりますよねぇ
(1個は食べられないかもしれませんが…)
昔は給料日前とかに「超大盛り」に
めちゃくちゃお世話になったのですが…(苦笑)
でも私が「ペヤング」を知ったのは約20年前…
関東に来てからなのですね…
それまでは名前すら知りませんでした…
西日本在住の方はわかると思うのですが
私の出身地・広島では「ペヤング」って売ってないのですよ
(今はあるらしい…)
西日本は「カップ焼きそば」と言えば
「日清・UFO」1強状態でほかの銘柄が入り込む余地がないほどなのです。
だからこっちきて「ペヤング」を初めて知って
その知名度の高さにかなりびっくりした覚えがあります。
UFOも美味いのですよねぇ…馴染んだ味だから忘れないですよねぇ
なんだかカップ焼きそば食べたくなってきました…
でも細かいこと言えば全く「焼きそば」じゃないのですよねぇ(笑

さてさて

本日は「ニコマートFT2」のカメラ修理を行っています。
1975年発売のカメラです。
大ヒットした「ニコマートFTn」のマイナーチェンジ版です。
初代「FT」登場が1965年、「FTn」の登場が1967年なので
ニコマートFT系は本当にロングセラー機ですね。
「FT2」登場から2年後の1977年には次期モデル「FM」が登場するので
生産台数自体はそれほど多くなく
「FTn」に比べると見かけることも少ないのですが
着実に進化・改良されており非常に使いやすいモデルです。
「FTn」と機能上の違いは、まず使用電池が水銀電池から
酸化銀電池へ変更されています。
電圧維持の問題から酸化銀電池(SR44)がベターですが
アルカリ電池(LR44)でも大きな問題はありません。
ただ電圧降下による精度の変化には注意が必要です。
そしてアクセサルーシューにX接点が装備されホットシューとなっています。
そしてフラッシュ接点もX接点のみに統一されています。
そして細かいことですがASA感度設定レバーが
SSリングレバー先端を押して回すような設定に変更されています。
「FTn」では感度設定部を爪で引っかけて力づくで回すような
使いにくい設定だったのでこれは地味に助かります。
変更部分はどれも小さなことなのですが
どれも実用的で明らかに使いやすく現代的に進化しています。
より熟成されたモデルと言ってよいと思います。

基本的なシャッターや巻上等の構造は従来モデルと変わりません。
露出計回路も巻き戻しクランク下に基盤が追加されていますが
実は回路上は大きく変わりません。
結線を基板上で行うようになった…というレベルです。
ということはSSリング、絞りリングからの情報は
相変わらずのマイラー抵抗使用で伝達するのですが
今回お預かりしている「FT2」もそのマイラー抵抗周りのトラブルです。
電源は入って動作はするのですが
露出計指針がほとんどの場面で振り切れてしまい
露出計として全く使えない状態です。
マイラー抵抗(要は摺動抵抗+ブラシ)の抵抗体に問題があると思われますが
抵抗体が剥離しているようなら残念ながら交換しか手段がなく
既に交換用抵抗は入手不可な状態なので修理不能となります。
ただ、剥離ではなく単に抵抗体表面が汚れている場合も多いので
実際に分解清掃してみないと判断ができないのです。
結果からいうと今回は抵抗体清掃でほぼ問題ない状態になりました。
調整も行い精度的に問題がなく普通に使える状態に改善できました。
さすがに多少の抵抗体の劣化はあるので
リング側の設定によっては過敏に反応する部分もわずかになるのですが
ほぼ気にならない状態になっていると思います。
やってみないとわからない部分が多いのでいつも不安にはなりますが
今回もなんとかなりそうで一安心です。

画像はまだ分解に取り掛かり始めのものです。
露出計周りは上記の通りですが
シャッター周りも一部動きの悪い部分が見られ
高速シャッターでの精度が今一つなので
巻上部やミラー駆動部と一緒に一通りの整備を行っていきます。

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マミヤ35スーパーデラックスのカメラ修理

今日は3月12日…
語呂合わせで「サ(3)イ(1)フ(2)」
「サイフの日」だそうです。
毎日触れて持ち歩くものですからいいものを使いたいですよね!
そういえば私も昨年、財布を買い換えました。
それまで使っていた財布も
思い入れもあり相当気に入っていて
手に入れてからかれこれ20年近く使っていたのですが
お札入れもあちこちほつれてきて
小銭入れに至っては一部破損したままここ数年使っていたので
「さすがにみっともないし残念だけど買い換えなきゃ…」と思っていたところに
中学生の頃、憧れていた国内ブランドがまだ健在であることを知り
その頃欲しがっていた、いかにもガキっぽいものでなく
今持ってても「あーこれはいい!」と思えるものもあったので
長財布を新調したのです!
(まぁいわゆる海外ハイブランドに比べれば
全くもってたいした価格ではないですが…)
10代の頃にあこがれたものを手に入れるのはやはり満足度高いですねぇ
使い始めて半年たちますが毎日触るだけで
少し嬉しくなってきます。
これも20年くらい持つかなぁ…じゃぁもうこれが最後の財布だな…(笑

さてさて

本日は「マミヤ35スーパーデラックス」のカメラ修理を行っています。
様々なモデルがって非常に複雑でわかりにくい
「マミヤ35シリーズ」の一員ですが
今回の「スーパーデラックス」は見た目からしてわかりやすいカメラです。
モデル名の刻印も前面にありますが
なんといっても目立つのは「セコール48mmF1.5」の大口径レンズ…
F1.7搭載モデルと2種類存在するようですが
今回はF1.5搭載モデルです。
もはや当時の最高級一眼レフに組み合わされるスペックといえますね。
見た目にも大迫力で
まさにその名の通り「スーパーデラックス」ですね
レンズ一体式のレンジファインダー機なので
ジャンルとしては「コンパクトカメラ」に分類される形式ですが
全くコンパクトではありません。
それでもボディだけを見比べれば当時の
(スーパーデラックスは1964年発売)
「ミノルタハイマチック」や「ヤシカエレクトロ35」あたりと
ボディサイズはさほど変わらないので
現在の感覚ではいえば「コンパクト」ではありませんが
びっくりするほど大きいわけでもありません。
でもレンズを含めるとやはりかなり大きいです。
そしてレンズが大きいということは重いです
(ガラスは重いですからね)
ほぼ1kg近くあるのですね。
それでもこの大口径レンズと直線的なデザインのボディは
非常に魅力的なカメラだと思います。

お預かりしている「スーパーデラックス」は
もともと調子が悪く使われなった上にそこから
かなり長い間仕舞い込まれていた個体化と思われます。
電池室及びその周辺にはかなり緑青が見られ
配線は当然断線してしまっています。
もともと距離計二重像は薄めですが
さらにファインダー内の曇りも酷く
ほぼ二重像が見えない状態になってしまっています。
落下歴も過去にあるようで外装も一部破損しています。
外装破損部は交換部品がないので
できる限りの修復してかできませんが
全体的にかなり汚れて動きも悪い状態なので
一通りの整備清掃で何とか使える状態にしていきます。

肝心のシャッター周りとレンズは
清掃整備で問題ない状態に復帰できそうです。
露出計本体は生きていますが
このカメラの露出計は絞り・SSリングに
電気的抵抗で連動するタイプで
この形式の露出計にありがちな摺動抵抗の剥離よる
動きの不安定さは全て改善とはいかないと思われます。
できる限りの整備調整で
何とかある程度は使える状態にはできそうです。
巻上機構にもトラブルを抱えていましたが
そちらは問題なく改善できそうですね…
なんといってもレンズに大きなダメージがなく
一通りのカビ取りと清掃で問題なく本来の性能を発揮できそうです。
どんな写真が撮れるのか楽しみなカメラですね

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コニカC35E&Lのカメラ修理

今日は3月10日…
イメージしやすい語呂合わせの記念日がたくさん制定されています。
「砂糖の日」「佐渡の日」「水戸の日」
「サボテンの日」「ミントの日」
「見合いの日」「ミートソースの日」…等々…
それとは関係なく今日は「東海道・山陽新幹線全線開通の日」なんですね。
山陽新幹線・岡山駅~博多駅間が延伸開業して
1975(昭和50)年のこの日山陽新幹線が全線開業した日…
ということで、私の生まれ故郷広島に
新幹線が通るようになった日でもあるのですねぇ
でもこのニュースはかすかに覚えていて
じいさんに「広島駅に新幹線見に行こうよー」と
ねだった記憶がありますねぇ
この年の秋には我が広島東洋カープがリーグ初優勝して
そっちの記憶のほうがお祭り騒ぎで鮮明に覚えていたりしますが…(笑
何にせよもう半世紀近く昔の話なのですよね
なんだか時の流れを痛切に感じます…

さてさて

本日は「コニカC35E&L」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
「じゃーに~コニカ」の派生モデルです。
この2年前に発売された初代C35から
距離計とセルフタイマーを省略したカメラです。
ピントは目測式となり
ファインダー右下隅にピントリングの目測マークが
直読できるようになっています。
コンパクトで手軽に使えるカメラなので
このカメラには目測式も合っているような気がします。
距離計搭載でもアバウトに合わせて素早く撮れば同じことなのですが
ファインダー内に二重像が見えていると
やはりきっちり距離計を合わせたくなってしまうので
それであれば潔く目測でアバウトにしか合わせられないほうが
使いやすいのではないかとも思います。
露出計や露出制御は通常のC35と一緒で
CdS露出計の指針抑え式のプログラムオートです。
露出計を振り切ってしまうあるいは露出計が全く動かないような
極端な光の過不足があっても
いわゆるシャッターロックの類は搭載されていないので
とりあえずシャッターは切ることができます。
気を付けないと露出過不足の写真を量産する可能性もありますが
現在の性能の良いフィルムであれば
そうとわかっていても
とりあえずシャッターを切りたい場面は多いと思いますので
個人的には余計なシャッターロックがないほうが好みです。
でもレンズキャップをしていても切れるということなので
(一眼レフ機ではないので当然ファインダーも見えています)
キャップはあえて付けないほうが良いような気もします。
(保護フィルターはあったほうがいいでしょうね)

前置きが長くなりました。
お預かりしている「E&L」はまずはC35の定番で
シャッター羽根がゆっくりとしか動きません。
他のレンズシャッター機だとシャッター羽根の汚れや油滲みが
原因で同じ症状になることが多いのですが
C35の場合は構造上、羽根には油滲みは回りにくく
羽根の汚れではなく羽根を駆動している
バネで動く駆動部の円盤の動きが粘ることが原因のことが多いのです。
今回のやはりそこが原因のようです。
レンズ・ファインダーの状態は比較的良く
電池室周りの腐食も少なく調整は必要なものの
露出計・オートも動作しています。
ただしフィルム室にふんだんに使用されているモルトは全滅です。
この価格帯のコンパクトカメラはコストも関係もあり
裏蓋周りの遮光を大量のモルトに頼るパターンが多く
劣化した際の周りに及ぶ腐食ダメージは
一眼レフ等よりも甚大です。
粘着質と化したモルトは入念に取り除き周りも清掃を行い
新しいモルトに交換していきます。

シャッター駆動部の円盤がボディ下から少し見えていますね。
ここからさらに分解を進めて駆動部の清掃整備を行っていきます。
もちろんシャッター羽根自体の清掃も並行して行います。
小さなカメラですが余計な機能がないシンプルな構造ということもあり
非常に整備性は良いカメラです。
ビハインドシャッターなのでレンズ清掃やヘリコイド周りの
整備清掃も行いやすいカメラです。
ただ、今回は大丈夫でしたが電池室周りの腐食が広がって
CdSや露出計本体に影響が出ている場合も多く
そうなってくると非常に手間がかかることも多くあるカメラです。
きちんと整備されたC35は気軽に持ち歩ける非常に使いやすいカメラです。
ご依頼者様にもぜひ本来の状態で
存分に持ち歩いていただきたいと思います。

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コニカFSのカメラ修理

今日は3月8日…語呂合わせの記念日が多い日ですねぇ
「みつばちの日」、「みやげの日」
「サバの日」、「ビールサーバーの日」
「サンワの日・、「ザンパの日」、「散髪の日」…等々
そんな中に語呂合わせとは全く関係なく
「エスカレーターの日」なのですね。
1914(大正3)年のこの日に
東京・上野の大正博覧会の会場に
日本初のエスカレーターが設置され
この日運転試験が行われたことが由来となっています。
エスカレータ…駅でもデパートでも近所のスーパーでも
毎日のように乗る機会があるような気がします。
ちなみに日本で最も長いエスカレーターは
香川県丸亀市にあるニューレオマワールドのエスカレーター
「マジックストロー」が高低差42m・全長96mで日本一となっており
乗車時間は3分14秒なのだそうです。長いですね!
最も短いエスカレーターは
川崎駅前の地下街アゼリアと川崎岡田屋モアーズ地下2階を結ぶ
下りエスカレーターで、高低差83.4cm、段数はわずか5段、
乗車時間はたった5秒だそうです。
1991(平成3)年度版ギネスブックに掲載されているのだそうです。

さてさて

本日は「コニカFS」のカメラ修理を行っています。
1960年代前半のコニカFシリーズの中級機を担うカメラです。
レンズマウントは後のARマウント(かにかまウントⅡ)とは
互換性のない最初の「コニカマウント」です。
FSの「S」はスタンダードの頭文字だそうです。
発売開始は超高級機の位置づけだった「コニカF」と
同時で1960年9月です。
フラッグシップの「F」は金属羽根縦走りのコニカオリジナルシャッターを
搭載していますが
同様の金属羽根縦走りでも「FS」はユニット化されて
ニコマート等でもおなじみの「コパルスクエア」を搭載します。
後にいろいろなカメラに搭載されることとなる「コパルスクエア」ですが
その先駆者となったのが今回の「コニカFS」です。
構造としては露出計を持たないシンプルなカメラです。
コパルスクエアは後の実績でもわかるとおりに
非常に堅牢で安定した動きをするシャッターユニットです。

お預かりしている「コニカFS」は
シャッター羽根の汚れ等で若干シャッター羽根の動きに
不安定さがあるものの何とかシャッターは動作しているような状態です。
ただ、それ以外の巻上やミラー駆動部、特にミラーチャージ機構に
動作不良が見られたまに巻き上げられなくなったり
シャッターが切れなくなったりと
動作がかなり不安定な状態です。
ただ何かが破損してるわけではなく
経年劣化や汚れ・油切れで動きの悪い部分の多くなってきている状態なので
各部品が通常のバネ力でスムーズに動作できるように
整備を行えば問題なく快適に使える状態になるかと思われます。

まだ取り掛かったばかりの状態での画像ですが
これからミラーボックス等も分離し本格的に整備を行っていきます。
底板の裏にも大きなモルトが貼ってあった跡があり
当然、劣化してボロボロな状況です。
シャッターユニット下側からの光漏れを防ぐためのものですが
ここ以外にもコニカFシリーズは
シャッターユニット周り、ファインダースクリーン周りに
内部モルトを多用しています。
もちろん今回全て劣化モルトは除去し
新しいものを貼っていきますが
このモルト屑が内部のあちこちに入り込んで動作不良の原因になります。
分解時に通常以上に隅々までチェックした上で
入念に清掃を行っていきます。
コニカFSはコパルスクエアらしくシャッターの作動音は
それなりに大きいのですがその音質がちょっとしっとり目で
なかなか魅力的なのですね。
そのあたりも快適に楽しめるようにしっかり仕上げていきたいと思います。

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ニコマートFTのカメラ修理

今日は3月4日…
今日も語呂合わせの記念日が多いですねぇ
「サッシの日」、「三線(さんしん)の日」、
「ミシンの日」、「三姉妹の日」、
「差し入れの日」、「酸蝕歯の日」…等々…
そんな中に「雑誌の日」もありますね。
クルマ・バイク雑誌、写真・カメラ雑誌、
登山・アウトドア雑誌、オーディオ・音楽雑誌…
その頃に興味があったものの雑誌を
なんだかんだで毎月大量に買っていましたが
ここ近年は全く手に取ることがなくなってしまいましたね…
単に歳とって志向が変わったのもありますが
大概の情報はネットで済んでしまう世の中になってしまいましたものね。
実際に刊行される雑誌の数も20年前あたりに比べたら
圧倒的に少なくなってきていると思います。
歴史ある雑誌の休刊・廃刊のニュースもたまに聞きますものね…
これも時代の流れなんでしょうね。
ちょっと寂しいような気もしますが
自分自身も全く雑誌を買わなくなったので致し方ないような気もします。
お店や自宅の古い資料を調べ物でひっくり返していると
昔のカメラ雑誌等が出てきて
それを読み始めると
止まらなくなってしまったりはしますが
それは懐かしさありきのものなので
また異なるものですね。

さてさて

本日は「ニコマートFT」のカメラ修理を行っています。
FT系のニコマートだと「FTn」の登場回数が
圧倒的に多いのですが
今回は最初のニコマートでもある「FT」です。
1965年発売のカメラです。
既にニコンはフラッグシップ機では「F」で大成功を収めていて
それに続く中級機をコストを抑えるために社外に
生産を託した「ニコレックスシリーズ」を展開しましたが
これが商業的には決して成功とはいえず
機能的にも信頼性的にもニコンクオリティとは言い難いレベルでした。
そのあたりを考慮して改めてスタートした中級機シリーズが
「ニコマート」ブランドなわけです。
汎用的なコパル製の金属製縦走りシャッターユニットを採用し
コストダウンをしつつも
ニコン基準の品質を維持するために開発製造はニコン社内で行われ
信頼性も格段に向上しました。
実際にニコマート特にFT系は非常に丈夫なカメラです。
この時代、コパルシャッターもいろいろなカメラで採用されていますが
どのカメラでも非常に安定した動作を見せてくれます。
製造から50年以上経過しているカメラなのに
致命的に動かない個体が非常に少ないのです。

今回のニコマートFTもまずはシャッターは動作しています。
たださすがに何十年も放置されていた個体とみられ
精度までは出ていません。
それでもとりあえず動くだけでもすごいのですが…
まずシャッター羽根の汚れ等で微妙に動きが悪いと思われ
高速シャッターの精度は全く出ていません。
単に精度が出てないだけではなく不安定なので
きちんとした露出を出そうとすると
とても使えないレベルです。
さらに低速シャッターでは
頻繁にシャッターが開いたまま固着していしまいます。
1秒、1/2秒ではほぼ100%開いたままで固着していしまいます。
シャッターユニット内組み込みのスローガバナの動作不良のようです。
加えて巻上にも油切れでスムーズさはなく
ファインダーや装着されているレンズにもカビが発生しています。
ただ電池はしっかり抜いてあったようで
電池室周りの腐食等はなく露出計も調整は必要ですが
動作している状態です。
全体的に致命的な破損等はないものの
やはり動きをよくするための清掃やメンテナンスが必要な状況です。

露出計回路もシンプルで整備性もよいカメラです。
ここから前板及びミラーボックスを分離して
シャッターユニット周りの整備から行っていきます。
FTnに比べるといわゆる「ガチャガチャ」に対応していないので
レンズ交換を頻繁に行う場合は少し手間なのと
ファインダー内にSS表示がないのが少し寂しいですが
操作的に異なるのはそのくらいで
基本的な構造は後のモデルと大きな違いはありません。
基本的には非常に丈夫なカメラなので
ここでしっかり手を入れておけば
また当分の間、快適に使っていけると思います。

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