日別アーカイブ: 2020年1月10日

キヤノンⅢのカメラ修理

今日は1月10日ということで
「110番の日」を筆頭にいろいろな記念日があるのですが
その中に「ひものの日」というのがありました!
魚の干物、美味しいですよねぇ~
生の魚を丸ごと買ってくるとどうしても
準備から調理まで結構、面倒なものがあるのですが
干物だと焼くだけでいいですし
おまけに下手に生魚を調理するより美味しいのですよねぇ。。。
やはり時間が経過しているから旨み成分が豊富なのかな。。。
ごはんのおかずにもいいですし
何と言っても酒の肴にもってこいです!
純米吟醸あたりのちょっと良い日本酒と合わせて食べたいですよねぇ
いかん。。。昼間っから「日本酒飲みたいモード」になってしまう。。。
とりあえず今夜、スーパーで干物買って帰りましょう(笑)

さてさて

本日は「キヤノンⅢ」のカメラ修理を行っています。
「キヤノンⅢ」と聞くと「コニカⅢじゃなくて?キヤノン?どんなカメラだっけ?」と
一瞬迷ってしまいそうですが
キヤノンのバルナックタイプのカメラです。
この時代にはバルナックコピーの国産カメラがたくさん発売されています。
キヤノンももちろんですがレオタックスやニッカも有名ですよね。
キヤノンは元々バルナックコピーに限らず
レンジファインダーカメラに強いメーカーで
1934年の「カンノン」に始まり
32年間で約40種類のレンジファンダー機を制作しています。
もちろん、どのモデルも高い人気と性能を誇り
レンジファインダー機が好調だったために
次の時代の主役となる一眼レフには少し乗り遅れてしまった感があります。
そんなキヤノンのバルナックタイプといえば
やはり一眼式+可変倍率ファインダーですよね。
一眼式になったのは1942年の「SⅡ」から
加えて可変倍率ファインダーになったのは
1949年の「ⅡD」からです。
モデル名の表記が全くなく、モデル判別には苦労するのですが
今回はSS最高速が1/1000であること
X接点がないこと、フラッシュレールがないこと
巻き戻しノブのローレットが菱目であることから
おそらく「Ⅲ型」だと思われます。(1951年発売)
キヤノンのレンジファインダー機としては
初の1/1000搭載機ですね。
。。。と偉そうに書いていますが
私も資料がないとこんなの判別できないですよ(汗)

お預かりの「Ⅲ型」は
シャッターは作動しているのですが
SSをどこに設定しても同じシャッタースピードで切れ
且つ、幕が全く開きません。
これではどうにも撮影には使えません。
ある程度、分解してみると
早々に「素人分解品」であることが判明しました。
SSが変化しないのは調速部のバネ外れでしたが
あちこちのネジの頭がなめられたり
ネジ穴付近にキズがあったりしています。
ある程度分解して手に負えないと思ったのか
とりあえず適当に組み上げた。。。といった感じが
ひしひしと伝わります。。。
何にしても幕軸の清掃・注油はいずれにしても必要なので
分解した上で整備を行い
各部をチェックしながら慎重に組み上げます。
こういう個体はどこでなにが起こっているのかわからないので
通常のものより数倍神経を使うことになります。
案の定、通常では考えられないような
部分のネジが破損していた部分とかも見つかりました。

この時代のフォーカルプレーンシャッター機の場合、
シャッター幕の状態が問題になることが多く
張り替えることも多いのですが
今回はシャッター幕には問題はありません。
状態から随分、昔のことではないかと思われますが
一度、張り替えられているようです。
おそらく問題の多い分解をされる前のことだと思われます。
70年近く経過しているカメラなので
シャッター精度はできる限りの整備調整ですが
通常の撮影には全く問題ないレベルになっています。
各部の動きは非常にスムーズになりました。
装着されているレンズは評価の非常に高い
沈銅式のキヤノンセレナー50mmF1.9です。
こちらもカビの発生があったり絞り羽根に油シミがあったりと
そのままでは問題のある状態だったので
清掃・整備を行い、非常にクリアな状態になりました。
ご依頼者さまはこのタイプのカメラを使うのは初めてとのことで
使い方から納品時にお話しする予定です。
最初の難関はやはりフィルム装填ですよね。
普通のカメラでもフィルムの経験がない方は
装填がネックになりますがバルナックタイプはさらに独特ですものね。
何とか使いこなしていただけるように
ご説明できればと思っています。

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