日別アーカイブ: 2022年9月28日

ニコマートELのカメラ修理

今日は「パソコン記念日」だそうですよ。
1979(昭和54)年のこの日に
日本電気(NEC)がパーソナルコンピュータ
PC-8001(PC-8000シリーズ)を発売したことの由来しています。
PC-8000やPC8800シリーズ懐かしいですねぇ
この機種が最初のパソコンブームの火付け役でしたね。
当時の定価は168,000円で
PC-8000シリーズは3年間ほどで約25万台を売り上げたそうです。
モデル名の「PC」は「パーソナルコンピューター」の頭文字で
このモデルから「パソコン」という呼び名が定着しました。
それまでは小さなコンピュータの呼び名は全て「マイコン」でしたね
でも当時のパソコンの環境を考えると
現在のPC環境は想像を超える発展だと思います。
私、高校入学のお祝いに当時の最新機種PC-8001mkⅡSRを
買ってももらったのですが
OSはBASICでメモリはRAM 64KB + 48KB(グラフィックVRAM)
ハードディスクの搭載もまだない時代で
記憶媒体は5インチフロッピー
とてもとても今のパソコンとは比べ物にならないレベルでした
それでもゲームや簡単なプログラム組んで遊んでましたが。。。
あまりフル活用はできていなかったかなぁ…(苦笑)
こうしてこのブログもパソコンで書いていますが
今やパソコンがないと仕事になりません。
もちろんメインの仕事はカメラを整備することですが
それ以外の周辺業務は全てパソコンが関わっていますものねぇ…
高校生の頃、こんな環境になるとは想像できてなかったですねぇ…
今から100年後とかどんな環境になるのでしょうね?
もちろん確かめることはできませんが…(苦笑)

さてさて

本日は「ニコマートEL」のカメラ修理を行っています。
ニコマートシリーズはニコンFやF2の時代の
普及機クラスのニコンFマウント一眼レフカメラのシリーズ名です。
フラッグシップのFやF2に比べると
コパル製汎用シャッターユニット採用し
コストカットもいろいろ行われていますが
以前のOEM供給で失敗したニコレックスシリーズでの反省も踏まえ
ニコン基準の品質を維持するために開発製造はニコンで行われました。
その成果もありニコマートシリーズはスペックでは
フラッグシップに当然敵わない部分はあるものの
非常に信頼性の高い中級機して人気の高いカメラになりました。
機械制御シャッターのFT系と
電子制御シャッターで絞り優先オートを搭載するEL系に大きく二分され
後のFM/FEシリーズに引き継がれていきます。
今回は1972年発売の「ニコマートEL」です。
ニコン初の絞り優先AE機で
シャッタスピードは1/1000~4秒でオート時には無段階で制御します。
電池がないときは機械式の1/90秒のみ使用可能なのは
非常にニコンらしい機能ですね。
電池は4SR44(4LR44)を使用しますが
その電池室はなんとミラーボックス内に配置されています。
スペースの都合上の苦渋の選択だとは思いますが
予備知識がないとまさかここから電池を入れるとは思えない場所にあります。
今でも思い出しますが昔、最初にELを扱ったときに
「あれ????電池室どこだ???」って
1時間以上悩んだのを思い出します(笑

お預かりしている「EL」はまず巻上レバーが異様な重さです。
何とか巻き上げることは可能ですが
重い上に巻き上げてもレバーは戻りません。
押し込んで強引にレバーを戻せば何とかシャッターは切れます。
一応、電源は入りますが露出計指針はふらふらと落ち着かず
どこかの接点で明らかに接触不良があるようです。
さらにシャッタスピードもオート制御も非常に不安定です。
ただ電子回路的には致命的な問題はなさそうで
シャッター羽根の汚れや接点等の汚れが
動作不安定の原因だと思われます。
もちろんモルトはフィルム室・内部モルトも含めて全滅です。

まだ上カバーを外しただけの状態です。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
プリズム上の基盤が時代を感じさせますね。
リード線も多いので扱いに非常に神経を使います。
巻戻しクランク下にASA感度連動の摺動抵抗と
それとは別に絞りリング連動の摺動抵抗がいます。
ここの汚れで動作不安定になることも多いので
入念に清掃を行います。
後のFEのほうがボディサイズもスペースの余裕もないのですが
整備性に関してはELの方が手間がかかります。
いずれにせよ同じニコマートでもFT系に比べると
かなり整備は面倒なカメラではありますので
細心の注意を払いながら分解整備を進めます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。