月別アーカイブ: 2024年10月

キヤノンデミEE17のカメラ修理

今日は「登山の日」だそうですよ。
日付は日本山岳会が1905(明治38)年10月に発足したことと
「と(10)ざん(3)」(登山)と読む語呂合わせからだそうです。
標高や地域によりますが
山歩きをするには絶好の季節になってきましたね。
ただ、特に標高の高い山はそうですが
下界とは全く気温が異なるので注意が必要ですね。
それでも少し冷たい風を稜線で感じるのは最高でしょう。
私は少し前に歩きが少しばかり不自由になってからは
足場の悪いところはほぼ間違いなく転ぶので
もう山歩きは無理ですが機会があれば
見晴らしの良い登山口まででもいいから行ってみたいですねぇ
やはりこの季節の山の空気は最高です。

さてさて

本日は「キヤノンデミEE17」のカメラ修理を行っています。
デミはキヤノンハーフカメラのシリーズです。
基本となる「キヤノンデミ」は非常に小型軽量で
手動プログラムシャッターのシンプルなカメラですが
「EE17」はそのデラックス版といえます。
露出制御はシャッタースピード優先オートが装備されています。
露出計もCDS使用のものに変更され
レンズも30mmF1.7の大口径レンズです。
さすがに通常のデミに比べると少しばかり大きくなりましたが
それでもハーフカメラなので非常にコンパクトです。
発売は1966年です。
その前年にラピッドフィルム用の「デミラピッド」という
カメラが発売されているのですが
「EE17」はこの「デミラピッド」の35mmフィルム版です。
内部構造もデミラピッドをほぼそのまま継承しています。

お預かりしている「デミEE17」は
シャッター切れず巻き上げできずという状態です。
他のカメラならシャッター羽根粘りがまず原因と思うのですが
「デミEE17」の巻上ロックは巻上レバーからリンクする
シャッターチャージ機構に原因がある場合が多いです。
チャージレバーへと動きを伝達するリンケージが緩んでいたり
変形していたりすることで
正常にシャッターチャージができなくなるパターンが多いです。
ただ今回はその部分が見えるところまで分解しても
リンケージ自体には大きな問題はなさそうです。
ただシャッターチャージ機構は非常に動きが渋く
やはりこれに関連する部分が主原因なのは間違いないようです。
その後、シャッターユニットを分離するわけですが
ここで原因がはっきりしました。
シャッターユニットから出て言えるチャージレバーが
大きく変形してねじれています。
そのために正常に動くことができずに
チャージすることができない状況でした。
動きが悪いところへ無理に巻き上げようとした末路かと思われます。


画像は分解取り掛かり始めのモノです。
チャージレバーの変形は慎重に元の状態に戻して対処します。
折れてしまうようなほどの変形でなかったのが
不幸中の幸いです。
それとは別の問題でシャッター羽根はべっとりと油でくっついていて
チャージできたとしてもシャッターは切れない状態でした。
これはシャッターユニット分解の上での羽根洗浄で対処します。
問題の良く起こる露出計周りは調整は必要なものの
大きなトラブルはなさそうです。
各部の状態を確認しながら修理と並行して
通常の整備も行っていきます。

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リコー35デラックスのカメラ修理

今日は「望遠鏡の日」だそうですよ。
1608年のこの日に
オランダの眼鏡技師ハンス・リッペルハイが
凹レンズと凸レンズを組み合わせると
遠くの物が近くに見えるという望遠鏡を発明し
特許を申請するためにオランダの国会に
書類を提示したことに由来しているそうです。
しかしながら、原理があまりにも単純で
誰にでも作れそうだという理由で
特許は受理されなかったそうです。
その代わりにオランダの政府から報酬を得ることができたそうです。
確かに原理自体は簡単ですが
何にしても最初にそれに気づいた方は偉いですよねぇ
カメラの望遠レンズも基本的にはこの構造ですね。
そのままでは収差が発生したりするために
カメラのレンズ場合は単純な造りではありませんが…
小学校に入るか入らないかの頃に
ある日、突然、じいさんが6.5cmのヴィクセン製の
天体望遠鏡を買ってきてとりあえずは
家の窓から灰ヶ峰の頂上を見せてくれたことを今でも鮮明に覚えています。
肉眼では頂上の展望台がそこに存在することしか確認できませんが
望遠鏡で見ると展望台にいる人の姿まで見えるのです。
5歳か6歳かの私には強烈な感動でした。
しかし…じいさんよ…あとから考えたら
小学校入学直前の子供に赤道儀の天体望遠鏡は使いこなせんよ(笑
実際にその望遠鏡が本領を発揮したのは
私が小学校高学年になる頃でした。
でもものすごく役に立ったし楽しめました!

さてさて

本日は「リコー35デラックス」のカメラ修理を行っています。
1956年発売のレンジファインダー搭載のレンズシャッター機です。
リコー35シリーズにもたくさんのカメラが存在します。
その中でも「35デラックス」は独特のデザインということもあり
印象が非常に残るカメラです。
当店にもたまにですが修理依頼が入るカメラです。
何といっても上カバー上面の筆記体で書かれた
「Ricoh “35” De Luxe」の文字が何とも上品でオシャレです。
上カバー上には巻き戻しクランク、フィルムカウンター
レリーズボタンが配置され、巻上レバーは底部に配置されています。
フィルム室蓋は底部左右のノブをOpenポジションにすることで
取り外しができます。
巻き戻しボタンは上カバー背面部にスライド式のものが配置されます。
多少、慣れが必要な配置ですが特に難しいモノではありません。
セルフコッキングも搭載されて普通に巻き上げれば
シャッターチャージもされます。
フィルムカウンターも自動復帰です。
発売年を考慮するとかなりの最先端なカメラだと思います。
搭載されるシャッターはセイコーシャMXLです。
例によって最高速1/500は別バネなので
1/500使用の際は先にSSを1/500に設定してからチャージを行います。
レンズは非常に評価の高いリケノン4.5cmF2が搭載されます。
この時代では珍しくレリーズレバーやチャージレバーも
しっかりカバーされていて鏡胴もすっきりしたデザインです。
全体的にも非常に質感の高さを感じさせます。

お預かりしている「35デラックス」は
シャッターが完全に固着して全く動きません。
羽根に油が回って羽根同士がくっついてしまっているものと思われます。
開けてみれば一目瞭然なのですがかなり大量の油脂が回っていて
羽根1枚1枚をしっかり洗浄した上で
羽根の駆動部から羽根が触れる部分全てを
かなり入念に脱脂する必要がありました。
とはいってもレンズシャッター機ではいつも行う作業ではありますが…
他は距離計がかなりズレていたり
レンズやファインダーにそれなりにカビや汚れがあったりと
一通りの整備清掃が必要な状況でした。

修理中の画像を残すのを忘れました…
一通り整備が完了して少し様子見をしている状態でのモノです。
シャッターは非常に軽快に動作するようになりました。
他各部の動きも快調です。
安心してお使いいただける状態だと思います。
これから最終テストを行って問題なければ完成となります。

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