月別アーカイブ: 2024年8月

キヤノンEXEEのカメラ修理

今日は「富士山測候所記念日」だそうですよ。
1895(明治28)年のこの日に
富士山頂剣ヶ峯に野中測候所が開設したことに由来しています。
この測候所は大日本気象学会の野中至が私財を投じて建設したもので
木造6坪の観測所だったそうです。
観測を始めたのは10月からで1923(大正12)年に開設された
気象庁の富士山測候所の前身となりました。
富士山測候所は自動観測技術が進歩したために1999(平成11)年に
レーダー観測が廃止され2004(平成16)年10月1日に
最後の常駐職員が下山し現在は無人施設となっています。
山頂の一番高いところにある測候所ですねぇ
最後の急登が砂地でザラザラ滑りやすくって大変だった記憶が…
今夏も富士山登山がいろいろ話題になっていますが
道は整備されていますし山小屋は多いし
非常に整備されていますが3000m超えですからね。
天候も気温も非常に変わりやすいですし
夏とはいえあらゆることを想定して登らなくちゃいけませんよね…
私は一度だけでもう充分かな…もうそれ以前に身体が無理ですが…(苦笑)
もしまだ登れるとしたら富士よりも
他の日本アルプスあたりの山々のほうが
満足度が断然高いと思います。

さてさて

本日は「キヤノンEXEE」のカメラ修理を行っています。
「FTb」等の「Fシリーズ」の技術を応用して
交換レンズを前玉交換式とし
基本的にシャッタスピード優先オート露出で
撮ることを前提としたエントリークラスのカメラです。
この時代はまだ明らかなエントリークラスの
一眼レフというのは少なかった時代です。
エントリークラスの一眼レフがコストも下がって
お求めやすくなり盛り上がったのはこれよりさらに10年後の
1980年前後ですね。電子制御が進化して
カメラの小型化も進み絞り優先オート露出専用機が
各社から出揃った頃です。
電子制御機がこの頃よりも安価に技術革新されていくのは
「AE-1」登場後ですから「EX」の時代は
まだまだ一眼レフと言えば中級機以上のモノがほとんどでした。
「EXシリーズ」は後玉はボディに固定とし
前玉だけを交換できるように作られています。
交換レンズは当初35mm・50mm・90mmが用意され
ボディ側が「EXオート」にモデルチェンジした際に
125mmが追加されました。
いわゆるコンバージョンレンズに近いモノがありますね。
マニュアル露出も可能ですが
絞りは巻き戻しクランク軸上のSW部で設定します。
このマニュアル絞り設定もちょっと変わっていて
露出計の指針を強制的に動かすことによって
オート時に使用する指針挟み込み機構を使って
絞りを制御します。よってマニュアル時には
露出計の指針は露出計の値としてではなく
設定された絞りの値を示します。
ファインダーも変わっていて
マット面を持たない空中像式となっています。
そのためファインダーは素通しに近く非常に明るいですが
ピント合わせは中央部のマイクロプリズム部でのみ行えます。
レンジファインダーのピント合わせに近いモノがありますね。

お預かりしている「EXEE」はかなり長い間
しまい込まれたまま眠っていたモノと思われます。
シャッター駆動部や巻上機構は「Fシリーズ」と同様の構造です。
つまり動きが悪くなると同じように
明らかにシャッター音に異音が混じってきます。
今回の「EX」も濁ったような高周波の異音が混じっていて
あまり気持ちのよいシャッター音とはなっていません。
それも切るたびにその音が微妙に異なります。
当然ながら幕軸の動きは悪く
シャッタスピードを測定すると基本的に全く精度は出ていませんが
加えて切るたびに値が大きく変化します。
非常に不安定な状態です。
そして電池室には液漏れ跡こそないものの
電池からのガスが原因とみられる緑青が残っています。
マイナス側端子はその緑青や腐食のため全く導通しません。
もちろん露出計は動きません。
加えてレンズ・ファインダーには盛大にカビが発生しています。

電池室の緑青がこの画像でもしっかり写っていますね。
緑青は簡単に落とすことができますが
その下も錆びてしまっているので一通りの対策をし
安定して通電するように処置していきます。
機械的な動作部は入念な清掃・洗浄と最小限の注油で
本来の動きを取り戻させます。
この「EX」にしても他の「Fシリーズ」にしても
本来の動きであればシャッター音は乾いた感じの
アタックの強い非常に歯切れの良い作動音がします。
整備前と整備後で明らかに音が変わるので
変化がわかりやすいですね。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンFPのカメラ修理

今日は「テレビCMの日」だそうですよ。
1953(昭和28)年のこの日に開始された
民放の日本テレビで日本初の
テレビCMが放送されたことの由来して言います。
初のCMは「精工舎の時計が正午をお知らせします」という
服部時計店(現:セイコーホールディングス株式会社)の時報だったそうです。
カメラでもレンズシャッターユニットで
お馴染みの精工舎ですね。
このCMは本来、30秒スポットでしたが
フィルムが裏返しになっている上に音も不明瞭だったそうです。
そのため正午に放送された初CMは
わずか3秒で中止されるというハプニングがあり
同日夜7時に第2号CMとして改めて放送されたそうです。
なんともほのぼのする懐かしい感じのCMです。
私の生まれる16年ほど前なのですよね…
意外と最近だな…と思ってしまいます。

さてさて

本日は「キヤノンFP」のカメラ修理を行っています。
1964年発売のカメラです。
「キヤノンFシリーズ」の一号機は外光式露出計を搭載する
「FX」ですが「FX」から露出計を省略したモデルが
「FP」となります。
本来装備される内蔵露出計を省略したものだから
単なる下位モデルかというとそうではなくて
この時代にはまだ露出計は単体露出計が主流で
露出計内臓カメラはまだ出始めの頃です。
そしてはハイアマチュアやプロの間では
「カメラ内蔵の露出計はまだ信用できない」とか
「余計なものが入っているとトラブルの元となる」という意見も根強く
あえて露出計が内蔵していないカメラが好まれる傾向もあったそうです。
確かに「FX」だとTTLではなく外光式だし
当然ながらマニュアル露出機ということもあり
単体露出計を使っても操作性や便利さにさほど差はないのですよね。
そういう背景もあって「FX」に追加された
「露出計非搭載モデル」が「FP」です。
他メーカーにも似たような立ち位置の露出計レスモデルは存在し
露出計搭載が当然の装備と思われるまではまだ少し時間がかかりました。

お預かりしている「FP」はシャッターは一通りは切れているのですが
その動きがかなり不安定です。
最近のブログでキヤノン機のシャッター音やミラー駆動音の話もありましたが
この「FP」もシャッター駆動部からと思われる
「ギャイン」という異音が少々しています。
それもその音がシャッターを切るたびに明らかに異なっています。
そんな感じなので測定機でシャッタスピードを測ってみると
シャッターを切るたびに無視できないレベルで
露出量が大きく変わります。
先幕・後幕の幕速バランスも崩れているので
写真両端に明らかな露光差も出るような状態です。
長い間使われずにしまい込まれていたこともありますが
何十年と未整備の状態なので
機械的駆動部のあちこちに汚れや油切れを原因とする
動作不良が起きていると思われます。
シャッター駆動部はもちろん巻上機構やミラー駆動部も含めて
一通りの整備が必要な状態です。

取り掛かり始めの画像ですが
プリズム抑えにコルクが使われているのが写っています。
後のFTやFTbになるとプリズム抑えにモルトが使われるようになり
それ由来のプリズム腐食が非常に多いのですが
FXやFPではモルト由来のプリズム腐食はありません。
ただし今度はこの頃のプリズム蒸着は
頭頂部の蒸着から経年劣化で剥がれくるものが
非常に多くFXやFPで腐食がないプリズムも非常に少ないです。
今回の「FP」も若干蒸着の劣化が起きていて
ファインダー内をよく見ると中央にうっすら縦線が見えていますが
撮影に影響あるレベルではありません。
これでも状態としてはかなり良い部類だと思います。
プリズムは今回は清掃のみで対処いたします。
加えて装着されていたFL50mmF1.8レンズは
絞り羽根が完全に固着していて絞っても羽根が全く出てきません。
ボディ側の整備を一通り行った後に
こちらも対処していきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパスペンEE-2のカメラ修理

今日は「レインボーブリッジ開通記念日」だそうですよ。
1993(平成5)年のこの日に
東京で東日本最大のつり橋「レインボーブリッジ」が開通しました。
正式名称は「東京港連絡橋」です。
全長798m、幅49m、主塔の高さ126m、水面からの高さ50m
上層が有料の首都高速道路11号台場線となり
下層が無料の臨港道路・遊歩道とゆりかもめの二層構造になっています。
やはり上層の11号台場線をクルマやバイクで通ると
眺めも良くて気持ち良いですよね。
夜間にはライトアップが行われ
イベントによっていろいろなパターンのライトアップが行われています。
夜間に11号台場線でレインボーブリッジを通ると
その夜景の美しさにも圧倒されます。
ただあくまで高速道路上なので
運転中は夜景に気を取られ過ぎないように注意が必要ですね…
最初にここからの夜景を見たのはいつだったか…
多分、20数年前に上京してきたころだと思いますが
「うわー、本当に都会にきたんだなぁ」と
妙に実感したことを覚えています。

さてさて

本日は「オリンパスペンEE-2」のカメラ修理を行っています。
同じ「ペンシリーズ」の中でも
「ペンS」や「ペンD」はマニュアルで少々通好みな部分も多いですが
「EEシリーズ」は気軽に誰でも撮影できることを
主な目的としたカメラです。
EEシリーズの末期モデルある「EE-3」は
「ペンシリーズ」の中でも最後まで生産が続けられ
1986年まで継続生産されています。
それだけ人気もあったということですね。
オリンパスペンといえば
「EEシリーズ」を思い浮かべる方も多いと思います。
特に「EE-2」までのグリーンがかったグレーの貼り革の
イメージが印象に残っている方も多いと思います。
今回の「EE-2」は1968年発売のカメラです。
前モデルの「EE」と同様にレンズはD.ズイコー28mmF3.5で
「EE後期」と同様にシャッタースピードは
1/30、1/250秒の2速がオートと連動して切り替わります。
(EE-2後期からは1/40および1/200秒)
フラッシュモードでは1/30に固定となります。
ホットシューが追加され、フィルムカウンターも自動復元となり
裏ぶたは取り外し式から実用的な蝶番式に変更となっています。
基本的なスペックは「EE」と変わりませんが
使い勝手の部分で格段に進歩しています。

お預かりしている「EE-2」はシャッターはとりあえず切れるものの
オート露出の制御が全くできない状態のようです。
オリンパスお得意の「赤ベロ」も出ませんが
明るさに関係なく絞りはほぼ開放でシャッターも低速側で切れています。
赤ベロが出ないのは単なる動作不良だと思われますが
オートの制御が効いていないのは露出計本体のトラブルか
セレン光電池の劣化かと思われます。

セレンに強い光を当てるとわずかに露出計が動きますが
全くもって起電力が足りないようです。
セレンからの配線やハンダの不良等のチェックを行って
それらに問題がなくセレン光電池自体の劣化であれば
新品はもう入手不可ですが
起電力の充分あるセレンと交換で対処します。
加えて絞り制御にも粘りが出ているようです。
以前のペンEE系の作業でも書いていますが
シャッターユニットを留めている3本のネジが
緩んでしまうトラブルが非常に多いので
そこの対策も行っておきます。
他、分解整備一式を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

 

キヤノンFTbのカメラ修理

今日はこれといった記念日のない日ですねぇ(苦笑)
いろいろ調べていると国内ではないのですが
ハワイでは8/23が「ウクレレの日」だそうです。
あの独特の音色は何とも癒されますよねぇ…
さすがにウクレレは弾いたことはありませんが
何かしらの楽器が弾けるっていうのはいいですよね
私も去年から十数年すっかり離れていた
ギターをまた少し手にするようになったのですが
適度に弾いている分には最高の気分転換です。
まぁ昔に比べたらめちゃくちゃ下手だし
(昔だって対して弾けていたわけではないですが)
完全な自己満足の世界ですが
誰かに聴かせるとかではないから
本人が気持ちよければいいのです(笑
巧さを求めていくとまた莫大な時間と
かなりの精神的ストレスも抱え込むことになるので
適度に楽しみ程度がもういいのだと思います。
そんな感じで緩く楽器と付き合うのも
気持ちよくて趣味としてはいいと思います。

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
「FTb」も依頼の多いカメラですね。
1971年に発売されたキヤノンの中級機です。
フラッグシップであるF-1とほぼ同時期に開発され
内部機構にF-1と共通する部分も多く見られるカメラです。
F-1と同じく新レンズシステムであるFDマウントに対応し
開放測光を実現しています。
内部的にはF-1との共通部もみられますが
F-1も含めて主要な機械駆動部は
従来のFシリーズをより熟成させて進化させたものです。
F-1がフラッグシップらしくデザイン的にも
スタイリッシュな新デザインであるのに対し
FTbは従来のFシリーズのデザインを引き継いだ
当時の一眼レフらしい落ち着いたデザインです。
パッと見には前身のFTとほぼ同じに見えてしまいますが
この時代らしいデザインは何とも親しみが湧いてしまいます。

FTbは登場から2年後の1973年に
マイナーチェンジが行われて
巻上レバー、レリーズボタン周り
セルイフタイマーレバー等のデザインが変更され
ファインダー内に設定SSが表示されるようになりました。
FTbーNと呼ばれることもあります。
今回、お預かりしている個体も「FTbーN」です。
一通りの動作は一応行えるのですが
やはり各部に油切れの兆候が見られ
シャッター音は少し濁った「ギャン」といった感じの音が混じっています。
昨日のAE-1Pの修理でも少し触れましたが
Fシリーズのシャッター音の異音はミラー駆動部等ではなく
シャッター駆動部の油切れが主な原因です。
そしてこの音が出ている場合はほぼ間違いなく
幕速のバランスは崩れている上に不安定です。
今回も全速動作はしていますが
高速シャッターの精度は全く出ていません。
写真の両端でかなり露光差が出てしまうような状態です。
露出計も動作はしますが値は全くダメで
基本的にSWオンにすると明るさに関係なく
指針が上に振り切ってしまうような状態です。
そして定番のプリズム腐食が発生しています。

まだ取り掛かり始めの段階での画像です。
Fシリーズのカメラはプリズム腐食が定番のトラブルですが
その原因のほとんどはプリズム抑えの裏に貼られている
モルトが加水分解を起こしそこから
プリズムの蒸着へ浸食してしまうパターンです。
ファインダー内から見ると縦の線が2本出たり
酷くなると水が上から下へ流れたように見えるようになります。
プリズム抑えとプリズム本体の間には
カバーも設置されているのですが
長い年月の間にそのカバーの切れ目から浸食してしまいます。
上画像でもカバーに劣化したモルトがべったり付いてしまっています。
プリズムは交換で対処し
機械起動部は入念に清掃の上に注油調整を行っていきます。
露出計周りは接点・SW部の清掃の上で調整を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は「チンチン電車の日」だそうですよ。
いわゆる路面電車ですねぇ
1903(明治36)年のこの日に
東京電車鉄道の路面電車が新橋~品川で営業を開始し
東京で初めて路面電車(チンチン電車)が
走ったことが由来だそうです。
私は広島出身(正確には呉)なので
広島市内及びその近郊を走る広電が
比較的身近な存在で
20代の頃は通勤で使っていたこともありました。
最近でも帰省した際には乗ることも多いです。
先日のお盆も宮島線に乗る機会がありました。
私としては「チン電」と呼ぶのが
身近な呼び方ですが
今ではチン電でもモバイルPASMOが普通に使えるので
便利ですねぇ…小銭の確認しなくてよくて…
市内の道路が渋滞していても比較的普通に運行しますし
電停も短い間隔で設置されているので
ちょっとした移動に本当に便利なんですよねぇ…
私のちょうど生まれた頃までは
呉市内もチン電が走っていて
家のすぐ近くにも電停があったのですが…
残念ながら白黒写真でしか見たことがないです…
「チンチン電車」という通称の由来には
2つの説があり、1つは、通行人への警報のために
運転士が足で床下の鐘(フートゴング)を鳴らす音から来ているという説と
車掌が運転士にあるいは運転士が車掌に合図を送るために鳴らしていた鐘
(あるいはベル)の音に由来する。
後者の鐘の音は近年まで車内で聞くこともありましたねぇ…
1回鳴らすか2回鳴らすかで意味が異なるのですよね。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
当店で扱えるカメラとしては最も新しい世代のカメラですね…
機能的には「Aシリーズ」の基本形で初号機の「AE-1」に
プログラムオート露出が追加されただけだと思われがちですが
機械的構造は確かに「AE-1」と共通項も多いものの
電子制御的にはもはや別物といえるほど進化しています。
「AE-1」の発売から5年後の発売ですが
この頃は電子制御技術が日進月歩で変遷していた頃で
新しく出るカメラには新しい技術がふんだんに使われていました。
「AE-1」ではまだ糸連動があったりして
アナログな部分も多く残っていたものの
制御部に関しては相当に洗練されました。
リード線も数も大幅に減っています。
ファインダーの表示も明らかに進化しましたし
スクリーンも明るくなりファインダ-の見えも
格段によくなっています。
内部構造を見ていると1978年登場の
カメラロボット「A-1」も何だか古臭く見えてしまいます。

しかしながら機械的な構造、特にシャッター駆動部
ミラー駆動部、巻上機構は「Aシリ―ズ」共通の構造で
基本はやはり1976年の「AE-1」です。
ということで「Aシリーズ」共通の定番トラブルである
シャッター鳴きが発生します。
お預かりしている「AE-1P」もかなり激し目の
シャッター鳴きが起こっていてシャッターを切るたびに
「ギャイン」と耳障りな音を出します。
この系統の高い異音が鳴るのは油切れを起こした
「Fシリーズ」でもそうだったのですが
Fシリーズはあくまでもシャッター駆動部での異音でした。
「Aシリーズ」の異音は「シャッター鳴き」と言いながらも
正確にはミラー駆動部の駆動ギアが油切れを起こして
異音を起こしています。
異音ですんでいる間はまだ良いのですが
進行するとだんだんミラーの動きがゆっくりになっていき
最後にはミラーが動かなくなり
連動するシャッターも切れなくなります。
異音を感じたら早めの修理整備が必要です。

まだ現状を確認している段階です。
これからまずはミラーボックスを取り出して
ミラー駆動部のギアにピンポイントで清掃注油を行っていきます。
シャッター鳴きが行っている個体では
大抵の場合、幕軸も油切れになってることが多く
今回も高速シャッターの精度は出ていません。
さらにミラーを挟んでミラー駆動部ギアの反対側にある
オート時の絞り制御レバーも油切れで
相当動きが重くなっています。
ここが軽く動作する状態でないと
いくら電子制御部で正しい制御が行われていても
オート露出の精度は全く正しくなくなってしまいます。
AE-1系も依頼の多いカメラなので
ありがちなトラブルと弱点はある程度把握できているので
そのあたりを重点的に整備を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンデミEE17のカメラ修理

今日は「噴水の日」だそうですよ。
1877(明治10)年のこの日に
東京・上野公園で第1回内国勧業博覧会が開催され
会場中央の人工池に日本初の西洋式の噴水が
作られたことが由来となっています。
正確に言うと博覧会の開催日が8月21日で
噴水が落成したのは9月8日だったようですね。
朝晩の空気が少しだけ冷めてきたような感じがしますが
まだまだ強烈に暑い季節に
涼しげな噴水は合いますね。
でも以前ほど、噴水って見かけなくなったような気もします。
いやたまたま噴水のある所に訪れていないだけで
そんなこともないのかな…
大小さまざまな噴水が存在し
夜になるとライトアップされる幻想的なものもありますよねぇ…
でも日比谷公園とかの昔ながらの
いかにも「公園の噴水」っていうのが何とも落ち着きがあって
いいような気もします…
もうすぐ改修工事が始まるのでしたっけ?
そういえば日比谷公園も長らく行ってませんねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンデミEE17」のカメラ修理を行っています。
1966年発売のカメラです。
「デミシリーズ」はキヤノンのハーフカメラのシリーズです。
オリンパスペンやリコーオートハーフに比べると
少しマイナーなイメージもありますが
どのモデルも非常に使いやすくて良いカメラがそろっています。
ボディを外板で包み込むようなモナカ構造なのも
デミならではの特徴です。
そしてハーフカメラでは巻上が指の腹で回す
ダイヤル式のものが多いのですが
デミシリーズはしっかりとした巻上レバーが備えられていて
またその巻上フィールが何とも滑らかで気持ちよいのです。
ファインダーもしっかりコストがかかっていて
見えも良く機能もさることながら
使い心地に優れたカメラだと思います。
「EE17」はデミシリーズの中でも高級なヴァージョンで
ノーマルのデミがプログラムシャッターを
マニュアルで操作して露出決定するのに対して
「EE17」はキヤノンお得意のシャッタースピード優先オートです。
レンズもSH30mmF1.7の大口径レンズを搭載します。
「EE17」が発売される前年に
デミシリーズ中唯一のラピッドフィルム用カメラ
「デミラピッド」が発売されているのですが
「EE17」はこの「デミラピッド」を35mm判フィルム用に
改良したカメラです。

お預かりしている「デミEE17」は電池を入れても
露出計が全く動きません。
電池室には古い水銀電池が入ったままになっており
液漏れ等は起きていないものの
電池から出るガスの影響もあって
電池室は緑青が出て腐食しています。
電池室からの配線も腐食して導通していないようです。
電池室の修復と配線の交換等を行った上で
露出計・オート制御の調整を行っていきます。
シャッターは比較的スムーズに動作してますが
こちらも一通りの整備を行い
曇りやカビがあるレンズ・ファインダーも
できる限りの清掃を行います。
まだ現状を確認しただけの状態ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

コニカSのカメラ修理

今日は「パイナップルの日」だそうですよ。
「パ(8)イ(1)ナ(7)ップル」と読む語呂合わせからだそうです。
夏にピッタリの果物ですねぇ~
程よい酸味と甘さがたまらないですよね!
夏の果物と言えば桃が最強だとは思っていますが
少々お高いのでパイナップルもよく口にします。
丸のままや1/2カットはさすがにもてあますし面倒なので
もっぱら缶詰が多いですねぇ
他の果物の缶詰はシロップの甘さばかリ目立つので
あまり積極的に買いませんが
パイナップルは缶詰でも
よくわからないのですが美味しく感じます!
生鮮で売っているカットパインと変わらない様な気がします
その上、缶詰なので買い置きもできるし
期限も全く気にしないでいいので
冷蔵庫の中にはパイナップルの缶が常備されています。
季節を問わず入手可能なのもいいですね!
今日もめちゃくちゃ暑そうなので
帰宅したらキンキンに冷やしたパイナップルの
缶詰を開けると思います!

さてさて

本日は「コニカS」のカメラ修理を行っています。
1959年発売のカメラです。
それまでの「コニカⅢM」までのイメージを一新し
直線基調にデザインされたカメラです。
「ⅢM」では外付けだったセレン光電池使用の露出計も内蔵し
SS・絞りリングと電気的に連動して指針を動かす仕組みになっています。
レンズは「ⅢM」と同じくヘキサノン48mmF2を搭載します。
シャッターはコパルSVEに変更されています。

お預かりしている「コニカS」は
シャッターは切れず
露出計も全く反応せず…という状態です。
レンズにもかなりのカビや汚れが確認できます。
シャッターはお決まりの羽根粘りもありますが
チャージ機構の動作不良もあり
まともにチャージされないような状態です。
露出計はセレン光電池の劣化のようです。
基本的にセレンの劣化した露出計は
交換部品の確保ができないため
修理不可能となることが多いのですが
今回は中古良品のセレンが用意できたので
セレンの交換で対処していきます。

この時代の内蔵型露出計は
セレンで起電した電流で電流計(露出計)を動かし
その指針で露出を合わせるのですが
絞り・SS設定からの連動は何種類かのパターンがあります。
リングから設定と連動するのは同じですが
セレンそのものに当たる光をカバーで調節し
設定によって指針を動かすもの
2針式(追針式)とし、露出計指針と
SS/絞り設定指針を合致させて露出を合わせるもの
そして今回の「コニカS」等の
リングの内側に摺動抵抗を組み込み
設定によって抵抗を作り露出計の指針の振れを変化させるもの
注意がより必要なのは今回のリング内に摺動抵抗を仕込むタイプで
抵抗が汚れていると露出計が正しく動かないことが多々あります。
今回もセレン光電池単体では問題ないことを確認して交換しても
露出計はリングの設定に関係なく
指針は常に振り切った状態でどうにもならない状態でした。
リング側の摺動抵抗の汚れや劣化が原因です。
今回は単に汚れているだけで清掃で改善できましたが
安易にゴシゴシ清掃すると抵抗体丸ごと剥がしてしまうこともあるので
なかなか注意が必要な部分です。
他の点も含めて現在抱えている問題に対して
ある程度対策の方向性が決まったのでこれから分解整備を進めていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ヤシカエレクトロ35のカメラ修理

今日は8月10日…語呂が良いこともあって
たくさんの記念日が制定されています。
そんな中でも気になるのは
「焼き鳥の日」ですねぇ
真夏の焼き鳥や焼肉って夏バテ防止にも効きそうですし
キンキンに冷えたビールとの相性も抜群で
想像しただけで今すぐに食べに行きたくなりますねぇ(笑
日付の由来は「や(8)きと(10)り」(焼き鳥)と読む語呂合わせと
焼き鳥の最高の友であるビールとともに
この上なく美味しい真夏の日であることからだそうです。
やはりそういうイメージですよねぇ…
一言「焼き鳥」と言っても部位や調理でいろんな種類があって
それぞれ味わいも異なってまた楽しいのですよね
私が特に好きなのは…やっぱり「とりかわ」で味付けは塩かなぁ…
「もも」や「ねぎま」もいいですね
少しボリュームが欲しいときは「つくね」もいいですねぇ
そしてビールは苦みが強めの「エビス」がいいかなぁ…
いけん、昼間っから焼き鳥とビールのイメージで
頭の中が埋め尽くされます。
どうするかは夜に改めて考えるとして
今は仕事に集中しなくては…(笑

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35」のカメラ修理を行っています。
「エレクトロ35シリーズ」は1960年代から70年代にかけて
販売されたレンズ一体式カメラのシリーズで
シリーズを通してコンセプトは「ろうそく1本の光でも写る」という
カメラを目指して作られています。
そのため一部の機種を覗いてはF1.8クラスの大口径レンズを搭載し
スローシャッター制御に有利な電子制御シャッターを備えた
「絞り優先オート露出」で取るカメラです。
シリーズ後期には小型化も随分と進められていますが
初代からシリーズ中期まではほぼ初代同様の基本設計とデザインで
細かい改良を重ねられています。
今回のエレクトロは1966年発売開始の初代エレクトロです。
初代のエレクトロの中でもお預かりしてる個体は
比較的初期のモデルです。
シリーズを通してエレクトロの特徴でもある
ファインダー内の赤と黄色の露出過不足の警告灯は
矢印マークではなく丸いランプで表示されるタイプです。
フィルム感度設定もASA12~ASA500までの範囲となっています。

エレクトロ35も時代的に水源電池を使用します。
仕様電池はエレクトロのために開発されたともいわれている
HM-4N積層水銀電池です。
これが長年入れっぱなしで電池からで出るガス等によって
電池室の端子や蓋がボロボロに腐食しているパターンが多いのですが
今回は電池は抜いて保管してあったようで
電池室はキレイです。配線にもダメージはなさそうです。
もちろん代用電池を入れてみるとバッテリーチェックも点灯します。
しかしながらその状態でシャッターを切ってみても
明るさ絞り設定に関わらずシャッターは全く開きません。
「チッ」というシャッターユニット駆動部の作動音はするのですが
シャッター羽根はピクッとわずかに反応するのみでほとんど動きません。
シャッターユニットはこれもエレクトロならではの
「コパルエレク」ですがこのシャッターユニットは
普通に使われている、あるいは長期保管されていても
レンズシャッターにありがちな
油滲みによる羽根固着は起こりにくいシャッターです。
今回も羽根に目立った油滲みや汚れはなさそうです。
おそらく駆動部の動作不良かマグネットの吸着不良かと思われます。

整備性自体は悪くないカメラなのですが
なにせ古いタイプの電子制御機なので
配線が非常に多い上にややこしいです…
でも不思議なことにに比較的電子基板内の
部品不良とかで修理不可能というパターンは比較的少ないカメラです。
今回も電子回路そのものに大きな問題はないようです。
ただしハンダ劣化によるトラブルや
今回もそうですがゴムブッシュ溶解による制御不良等は定番です。
エレクトロも比較的当店では依頼数の多いカメラで
ある程度ウィークポイントもわかっているので
現状のトラブル修理に加え要チェックなポイントを
重点的に整備していきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「ハンバーグの日」だそうですよ。
「ハ(8)ンバーグ(9)」と読む語呂合わせからです。
ハンバーグ美味しいですよねぇ~
たまに美味しいハンバーグを無性に食べたくなりますよねぇ
お店に行ってそれなりのお値段のモノを食べれば
文句なしに美味しいですよねぇ…
もう既に口がハンバーグになってきました(笑
私は外食の機会はかなり少なめなので
なかなか外で美味しいハンバーグを食べる機会はないのですが
スーパーで売っているレトルトのハンバーグや
あとは焼くだけの状態で売っているハンバーグも
十分以上に美味しいですよね!
本当は自分好みにひき肉から作ればいいのでしょうが
なかなかそんな時間は取れないので
出来合いのものには本当に助けられています
レトルトのものだけでもいろいろな種類があって
結構味が異なるのですよね。
最近ちょっとお気に入りのレトルトハンバーグがあって
たまに買っているので今日も帰りに買って帰って
明日の朝ご飯にでもいただきましょう!

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
1961年に発売された初代キヤノネットは
社会現象ともいえるほどの大ヒット作となり
キヤノネットはそこからモデルチェンジを繰り返しながら
キヤノンを代表するコンパクトカメラのシリーズとなりました。
そんなキャノネットの最終モデルとなるのが
今回の「G-Ⅲ」です。
初代と比べると時代も進み非常にコンパクトとなりました。
この時代のキャノンお得意のクイックローディングも搭載され
フィルム装填も非常に簡単にできます。
それでも基本的な大口径レンズ搭載で
シャッター速度優先オート搭載のレンジファインダー機といった
根幹の部分は初代と変わりません。
マニュアル露出も可能でいろいろな撮影に対応できますが
マニュアル時には露出計が使えないのも
初代からずっと同じ仕様です。
前モデルの「ニューキヤノネット」で一気に小型化され
「G-Ⅲ」は基本的にそのマイナーチェンジモデルといえます。
機能上の違いはLED式のバッテリーチェックが付いたことくらいです。

お預かりしている「G-Ⅲ」はシャッターは快調に動作しており
そこは問題ないのですが電池を入れても
露出計が全く動作しません。そのためもちろんオート露出もできません。
電池室をよく見ると端子に少し緑青も出ているので
過去に水銀電池を長らく入れっぱなしだった期間があるものと思われます。
接点や配線にダメージがあって通電しないモノと思われます。
加えてファインダーが真っ白に曇っています。
ファインダーを覗いてみると霧がかった…というよりは
濃霧の中にいるみたいにファインダーの先は全く見えません。
場合によってはハーフミラーの交換が必要かと思われます。

他に問題がないか現状を確認している段階です。
ファインダーは酷い状態ですが
レンズのコンディションはかなり良いほうです。
このカメラに多く見られる前玉のコーティング劣化もありません。
外装も非常にキレイで保管環境は良かったものと思われますが
さすがに使われなかった期間がかなり長いようで
機械的な駆動部に若干の油切れ等も見られます。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンEXオートのカメラ修理

今日は「立秋」ですね。
暦の上では一応「秋」なのですね。
夏至から秋分のちょうど中間点にもなりますね。
暦の上ではこの頃から秋の気配が感じられ
秋風が吹き、「秋の気配が立つ日」という意味で
「立秋」と呼ばれます。
でも実際にはこの時期が暑さのピークですねぇ
来週にはお盆にもなるわけですが
私が子供の頃はお盆にもなると
日中の暑さは変わらなくとも朝晩は少し涼しい空気が
感じられたものですが
もはや今はまったくそんなことないですね。
9月半ばくらいまでは今と同じような暑さが続くような気がします。
若いときでさえ海や山に遊びに行くとき以外は
基本的に暑い夏は嫌いだったのですが
歳取った今となっては何一つ暑い夏には良いことが感じられません(笑
早く秋が来てそしてできるだけ長く秋が続いてほしいモノです…

さてさて

本日は「キヤノンEXオート」のカメラ修理を行っています。
フォーカルプレーンシャッターの一眼レフです。
この時代のキヤノン一眼レフの本流はいわゆる「Fシリーズ」
FLマウントからFDマウントに切り替わる時代です。
その「Fシリーズ」の基本的構造や技術を活用して
「Fシリーズ」とは別のシリーズとして発売されたのが
「EXシリーズ」です。
レンズ交換式の一眼レフではあるのですが
いわゆる「前玉交換式」でレンズの後玉ユニットは
ボディ側に固定されています。
そして「前玉ユニット」だけを交換できる方式になっています。
標準レンズは「EX50mmF1.8」です
交換レンズとして初代EXEEが発売された時に
35mmF3.5、90mmF3.5が当初用意され
EXオート発売時に125mmF3.5が追加されています。
「EXシリーズ」の目的としては
本流の「Fシリーズ」よりさらにお求めやすい価格で
シャッター速度優先オート装備の一眼レフを作り
エントリー層へのシェアを広げるためだったのかと思われます。
レンズシステムも独特ですが
操作系も少々独特で基本的にはシャッタスピード速度優先オートで
撮るためのカメラとなっています。
それでもマニュアル露出での撮影も可能になっていて
その場合は絞り設定をレンズ側ではなく
ボディ側巻き戻しクランク基部のオート切替ダイヤルに
併設された絞り設定ダイヤルで行います。
さらにファインダーも独特で珍しい空中像ファインダーを採用しています。
マット面を持たないのが特徴で
そのためにファインダーはほびお素通しで非常に明るいです。
ただしピント合わせは中央部のマイクロプリズムでしか行えません。
レンジファインダー機のファインダーに近い感じともいえます。
いろいろと他では見られない特徴の多いカメラです。
初代のEXEEは装着レンズの開放F値を手動で合わせる必要がありましたが
EXオートではその部分が自動化されています。
それ以外は細かいデザインに違いがあるもののほぼ共通です。

前置きが長くなりました。
お預かりしている「EXオート」は一応はシャッター動作しているものの
シャッターやミラーの駆動部に油切れの兆候があり
シャッターを切ると「ギャイン」といった感じの
ちょっとイヤな異音が混じっている状態です。
「Fシリーズ」でもよくある症状ですね。
もちろん精度は全く出ておらず
とりあえずは動作しているだけといった状態です。
電池室には古い水銀電池が入ったままになっていました。
その割には電池室は比較的キレイでしたが
やはり配線やハンダには電池からのガス等によるダメージがあり
接触不良を起こしてしまっています。
露出計は全く動かない状態です。

まだ取り掛かり始めの段階ですが
これからさらに分解を進めて機械的な整備と
露出計周りの修理整備を行っていきます。
画像中央に置いていあるのが前玉交換式レンズで
標準の50mmF1.8です。
その右側にあるのがボディ側と一体となる
後玉部です。レンズもカビだらけなので
こちらも合わせて清掃を行います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。