月別アーカイブ: 2024年12月

キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

通常は12/28が官公庁の「御用納め・仕事納め」ですが
今年は明日28日が土曜日なので今日が
「御用納め・仕事納め」になりますね。
同様に民間企業でも今日が
「仕事納め」となるところが多いと思います。
古くは1873年(明治6年)から
官公庁は12月29日から1月3日までを
休暇とすることが法律で定められているのですね。
まだまだ年内お仕事が続く方も結構多いとは思いますが
皆さま1年間お疲れさまでした。
当店も年内営業は明日までです。
明日はこのブログの更新もない予定なので
ここでの更新は今日が年内最終になります。
何とか仕事が途切れずに1年できたのは感謝しかありません。
加えて、2020年2月の突発的な救急搬送→入院、
そしてやっと退院できたと思ったら
入院の後遺症+コロナ禍で思うように営業できない…なんていう酷い年以降
今年も何とか仕事を穴を開けない程度には
健康でいられたことが一番の喜びですねぇ
なんとかこの調子でまだまだ続けられたらと思っています。

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1961年の初代キャネット登場で社会現象とも言われるほどの
大ヒット商品となりその後も続々と魅力的なモデルを
リリースし続けていた「キヤノネットシリーズ」ですが
1972年発売の「G-Ⅲ」で最終モデルとなります。
前モデルの「ニューキヤノネット」で一気に小型化され
初代から続く大柄なボディとは大きくモデルチェンジされました。
「G-Ⅲ」は「ニューキヤノネット」に小変更が加えられたモデルです。
大きさは小さくなって見た目は随分変わりましたが
大口径レンズ搭載のシャッター優先オート機でマニュアル露出も可能
ただしマニュアル時には露出計はオフ
シャッターはコパル製で最高速は1/500というスペックと主な機能は
初代からほぼ変わりません。
小型化されたとはいえ内部構造の基本的考え方も初代からの共通点を感じます。
それだけ初代のコンセプトや基本設計が優れていたのですね。
それでもモデルチェンジごとにブラッシュアップされ
「G-Ⅲ」はこれまでの集大成ともいえるほどの完成度の高いカメラです。
もちろん非常に使いやすい優れたカメラだと思います。
小型で大口径ということもあり現在でも非常に人気の高いカメラです。

お預かりしている「G-Ⅲ」は定番のシャッター粘りが少し見られるます。
全く動かないというわけではないのですが
しばらく放置した後でシャッターを切ると一発目は明らかに
羽根の動きが緩慢です。2回目以降繰り替えすと目視では問題ない
様子でシャッターは動作します。
加えて露出計は電池を入れても全く動きません。
後でチェックしましたが露出計本体には大きな問題はなさそうでなので
電池室からの配線やハンダの劣化が原因かと思われます。
それからレンズ・ファインダーにはそれなりにカビも見受けられ
やはり全体的に整備調整が必要な状況です。

前期キヤノネットの大柄なボディに比べると
中身がぎっしりと詰まっている印象です。
それでも整備性は悪くはないほうなのですが
やはり前期型の大きなボディのほうが余裕があって
分解整備するにはやりやすいですね。
初代の頃はシャッタスピード伝達に
ちょっと変わった造りをしている部分もありましたが
受光体がCdSに変更されて以降は比較的オーソドックスな
指針挟み込み式のシャッタスピード優先オートの構造になっています。
まだまだ取り掛かり始めの段階ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

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ヤシカエレクトロ35のカメラ修理

今日は言わずと知れた「クリスマス」ですねぇ…
独居じじいの私にはあまりにも関係のないイベントですが(笑
でも昨夜は定休日だったこともあり
骨付き鶏もも肉を買って帰って酒のあてにしました。
スーパー―の総菜コーナーにはこれでもかと言わんばかりに
ローストチキンが並んでいました。
ユダヤ歴およびそれを継承する教会歴では
1日の初めと終わりは日没なので
昨日の日没から今日の日没までが「クリスマス」です。
だからクリスマスイヴは「前夜」ではなく
まさに「クリスマスの夜」なのですね。
ちなみにイヴ「EVE」は「evening(イブニング)(夜、晩)」と同義の
古語「even」の語末音が消失したものとのことなので
直訳そのままクリスマスイヴは「クリスマスの夜」ということだそうです。
ちょっと気分を出すためにお店に飾っている
クリスマスツリーも日没と同時に仕舞いたいところですが
もう年内は28日までなので
このまま少し残業してもらいましょう(笑

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35」のカメラ修理を行っています。
エレクトロ35シリーズはヤシカを代表する
レンズ一体型のカメラでいろいろな種類のモデルも存在しますが
それぞれ修理依頼がコンスタントにあるカメラです。
今回は1966年発売の初代エレクトロ35です。
「ろうそく1本の光でも写る」カメラを目指すため
長時間露出性能の高い電子制御シャッターを搭載した
絞り優先オート専用のレンジファインダー機です。
搭載されるレンズも光量の少ない場面で
少しでも速いシャッターが切れるように大口径の
ヤシノンDX45mmF1.7です。
シャッターユニットはヤシカエレクトロ専用ユニットとも言える
「コパルエレク」を搭載します。
使用電池も「このカメラのために作らせた」と言われている
HM-4N積層水銀電池です。
さすがに電池は現在では入手不可なので電池アダプタ等を使用して
ボタン電池等を使用し電圧6Vで駆動します。

お預かりしている「エレクトロ35」は心配される
電子回路には大きな問題はないような様子です。
ただお決まりのレリーズ部のゴムブッシュが劣化して
ボロボロになっているようでオート精度はかなり不安定な状況です。
加えて感度ダイヤルと連動して開閉する
受光部の可変窓が破損しているようで
いびつな形状のまま固着しているような状態です。
この2点も相まって細かい露出精度は
現状ではまったくあやふやな状態です。
電源は安定しているようですが
電池室マイナス側裏端子には結構な緑青が付着しているので
やはり接点や配線にはダメージがある状態です。
電気的な問題や機械的問題それぞれ含めて
一通りの整備調整が必要な状態です。

この類の古い電子制御機としては整備性はかなり良好です。
ただ配線がとにかく多いので配線やハンダの劣化による
断線や接触不良には注意が必要ですし必要に応じて
補修や交換は必須です。
各接点の劣化や汚れによる接触不良も多いので
そのあたりの処置も入念に行っていきます。
それにしてもいつも書きますが
初期のエレクトロ35のギンギラギンのシルバーは
いつ見ても何とも魅力的ですねぇ…

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コシナ35のカメラ修理

今日は「テレホンカードの日」だそうですよ。
1982年(昭和57年)のこの日に
日本電信電話公社(電電公社、現:NTT)により
東京・数寄屋橋公園に磁気テレホンカード対応の
公衆電話の1号機が設置されたことにウ由来しています。
また、同日にテレホンカード(テレカ)が
同社により発行・発売が開始されています。
公衆電話自体も見なくなりましたが
テレホンカードなんてさらに見ることはなくなりましたね…
私がその頃に住んでいたのは広島なので
実際にテレカが普及してきたのは少し遅れて
社会人になったばかりの頃だったかな…
それからしばらくすると仕事で外出する際には
「ポケベル+テレカ」のコンビが必要不可欠になって
20代半ばにはそれも携帯電話に変わっていきました…
割と最近のことのような気もするのですが
いやいや…もう30年以上前のことでした…(笑

さてさて

本日は「コシナ35」のカメラ修理を行っています。
1970年代前半のカメラだとは思うのですが
調べてもあまり詳細が出てきませんね。
カメラとしては当時大ヒットした「コニカC35」のコシナ版です。
「C35」と同じコパル製のシャッターユニットを搭載し
同じように距離計を搭載し、露出計連動のプログラムシャッターで
露出をコントロールします。
フラッシュマチックも搭載しているので
正確に言うと「コニカC35フラッシュマチック」のコシナ版ですね。
細かいところは異なる部分もありますが
主要な機能、機構はほぼ同じようなカメラです。
露出計が動いていなくてもシャッターロック等はなく
とりあえずはシャッターが切れるのもコニカC35と同様です。
搭載するレンズもコシノン38mmF2.7と
同じようなスペックのレンズが組み合わされています。

構造が同じようなカメラということで
やはりトラブルもC35と同じようなことが起こります。
お預かりしているコシナ35は
コニカC35では定番の露出計不動のトラブルと
シャッター駆動部(円盤部)の動作不良による
シャッターの粘りが見受けられます。
シャッターに関してはシャッターユニットが同じなので
当然ながら定番のトラブルは同じように起こります。
露出計に関してはこれはこの時代の
水銀電池を使うカメラ全てに共通しますが
過去に電池を入れたままにしたことで発生する
電池室端子の腐食です。
ちなみにコシナC35の電池もコニカと同様に
本来の使用電池はMR44水銀電池です。
ただこの電池は現在のLR(SR)44とほぼ大きさが同じなので
現在の電池がそのままセットできます。
ただし電圧の違いによる露出計の誤差が当然出ますので
今回の整備を機に1.5Vで最適になるように
できる限りの調整を行います。

電池室マイナス側端子の状況は結構酷く
過去に修復した形跡も見られますが
もっと根本的に解決しないと今回のように
また接触不良が起きてしまいます。
加えてそこからハンダ付けされるリード線も
やはり交換が必要です。
ただCdS基部までには腐食が及んでいないようなので
そこ不幸中のの幸いかと思います。
まずはここからさらに分解を進めてシャッターユニットの
整備から取り掛かっていきます。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「冬至」ですね。
北半球では太陽の高さ(太陽高度)が一年で最も低くなる日。
そのため、一年中で最も昼(日の出から日没まで)が短くなり、夜が最も長い。
季節の変わり目であり、寒さがますます厳しくなる時期でもあります。
実際に最も寒くなるのは冬至から1か月後あたりですかね…
夏至(6月21日頃)のしばらく後に最も暑い季節が来るのと一緒ですね。
冬至の日には様々な風習が現在でもあります。
この日は冬至(湯治)風呂と称して柚子湯に入るとか
(ちなみに冬至に関連して今日は「酒風呂の日」でもあります)
冬至の日の朝に小豆粥を食べる(冬至粥)
冬至にはカボチャ(とうなす)の煮物を食べる
冬至の「と」に因んで、豆腐・唐辛子・ドジョウ・いとこ煮を食べる…等々
この中でも柚子湯とカボチャは全国的に有名ですね。
今日は銭湯行くと多くのところで柚子が浮かべてあるでしょうねぇ
私はカボチャはあまり好みではないので
(あまり好き嫌いはないのですがカボチャは幼少期からなぜか苦手)
帰りに銭湯で柚子湯を楽しんで帰宅したら
湯豆腐(「と」のつく食べ物)で一杯やりますかね(笑
イメージしただけでもなんだか暖かくなってきそうです。
がんばって仕事終わらせます!

さてさて

今日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
「FT」の後継機となるカメラで
新システムとして発売されたFDレンズ群に対応し
開放測光が可能になったカメラです。
同年にキヤノン初のプロ仕様一眼レフ機となる「F-1」が
発売されていて同時期に開発された「FTb」は
「F-1」と共通する部分も多いカメラです。
デザイン的には新しい感覚のスタイリッシュさを持つ
「F-1」に比べると従来の「Fシリーズ」の流れを汲む
オーソドックスな一眼レフです。
使いやすい機械制御シャッター機ということで
現在でも根強い人気のあるカメラです。

お預かりしている「FTb」はシャッターは一通り
動作しているもののやはりシャッター幕軸の動きは
あまり良くないようでシャッタースピードの精度が不安定です。
特に後幕の幕速は不安定で1/1000や1/500で
シャッターテストすると切るたびに露光量に大きな差が出ます。
後幕が遅れ気味になることが多いので
シャッターが開かなくて写らない…なんてことはありませんが
1/1000で実際に1/1000の精度に近いモノが出ることもあれば
もう一度切ったら1/250にも届かないとどこないことがあるとか
そんな状況です。幕軸や調速カムの清掃整備が必要です。
加えて露出計は電池を入れてもうんともすんとも動きません。
電池室マイナス側にも大きな錆が出てきていますので
端子裏や配線、SW部に腐食が出ている状態だと思われます。
FTbは電池室とSW機構部が近いこともあって
腐食がSW部にまで広がっていることも多いです。

まだ取りかかかったばかりの段階です。
「Ftb」もプリズム腐食の多いカメラですが
今回はプリズムには問題ないようです。
ただ画像にも写っていますが
プリズム抑え裏側のモルトはベタベタに劣化していて
プリズムカバーにも貼り付いている状態です。
このプリズムカバーの隙間から浸食して
さらにプルズム腐食にまで至るというのが
「Fシリーズ」前期モデル共通のプリズム腐食のパターンです。
もちろん対策を行って処置をしておきます。
まずはここから分解氏を進めてシャッター周り
巻上・ミラー駆動部の清掃整備から行っていきます。

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ミノルタX-7のカメラ修理

今日は「果ての二十日」ですね。
身を慎み災いを避ける忌み日だそうです。
一年の終わりの月である12月を「果ての月」といい
「果ての二十日」は12月20日(本来は旧暦)を意味します。
年末の挨拶や大掃除、正月の準備など忙しさの極まる時期ですが
この日は一切の仕事をやめて外出を避け、静かに過ごす日と伝えられています。
由来については諸説あり、近畿地方では罪人の処刑を
この日に行っていたからとも言われています。
また、山の神に深く関わる忌み日とされ、
この日に山に入ることを避ける地方が多いのだそうです。
和歌山県と奈良県の県境沿いには
「果無山脈」(はてなしさんみゃく)という山脈があり
果無山脈には「果ての二十日」である12月20日のみ
または12月20日過ぎにのみ現れる「一本だたら」という妖怪が
棲んでいたといわれています。
「一本だたら」は少しだけ見てみたい気もしますが
今日は基本的におとなしく過ごすのが良い日のようです。

さてさて

本日は「ミノルタX-7」のカメラ修理を行っています。
いつも書きますが宮崎美子さんのCMで有名なカメラですね。
1980年発売のカメラです。
この頃は物品税の関係もあり
ボディ4万円のエントリー機が各メーカから発売されていて
それも「絞り優先オート」専用機が売れ筋で
今回の「X-7」やオリンパスOM10、ペンタックスMV1、ニコンEM等が
熾烈な販売競争を繰り広げていました。
その中でも「X-7」はCM効果も多大にあり
かなりのヒット商品となりました。
スペックや機能的には各社横並びといった感じですが
ミノルタらしい使い心地のよさがエントリー機でも
それなりに感じることができて個人的にも好きなカメラです。
電子制御で布幕横走りシャッターを駆動する絞り優先オート専用機ですが
比較的、電子回路関連のトラブルは少ないカメラです。
今回お預かりの個体も細かい精度はともかくも
シャッター、露出計、オート制御にはそれほど大きな問題はないようです。
「X-7」で問題になるのはなんといっても「プリズム腐食」です。
この時期の他のミノルタ機でもみられますが
プリズムの前面に貼ったモルトプレーンの加水分解が原因で
プリズム表面の塗装だけでなく内部の鏡面蒸着まで剥離させてしまいます。
腐食の進んだプリズムの場合、ファインダーを覗くと
横方向に黒く太い帯で視野が覆われて1/3以上が見えなくなってしまいます。
今回の「X-7」のその状態です。
そのため視野が見えないのもそうですが露出計LEDも大部分が見えず
ある程度それなりの表示は出ているとは思いますが
細かく確認ができません。それ以前に事項体SPDも接眼レンズ脇にあるので
これほど腐食で親が覆われていると値に悪影響があるはずです。

通常の機械的整備やマグネット・接点の清掃も行いますが
プリズム載せ替えがまずは必須です。
とりあえずプリズムを降ろした段階ですが
↑画像でもプリズムの腐食でできる黒い帯が見えています。
今回お預かりの「X-7」はシルバーボディです。
「X-7」の場合、シルバーとブラックは単なる色違いなだけではなく
ブラックボディには前面にグリップが付き
スクリーンもより明るいアキュートマットとなります。
中古市場ではブラックが人気のようですが
グリップがなくデザインもスッキリとして端正な佇まいの
シルバーボディはなかなか魅力的だと思っています。

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キヤノンデミEE17のカメラ修理

今日は「東京駅完成記念日」だそうですよ。
1914(大正3)年のこの日に
東京駅の完成式が行われたことが由来となっています。
この日は「東京駅の日」ともされているそうです。
丸の内駅舎が創建当初の本来の姿に近い
赤レンガ形態に復原する工事が完成したのが
2012(平成24)年10月1日で
つい最近の事だと思っていたら
もう12年も経っているのですね…(苦笑)
実は意外と東京駅やその近辺に行くことって
少ないのですよね…
写真を撮ったりで出かけたるするのは郊外が多いですし
買い物等で街中に用がある場合は大抵は新宿までで
事足りてしまうのでなかなか都内東方面に行くことないのです。
新宿までだったら時間に少し余裕があれば
歩いていけてしまいますし…
改めて考えると便利なとこに住んでます(笑
…という感覚なので東京駅近辺は
きちんと調べていかないと迷子になりそうです。
新幹線に乗る際に東京駅自体は数ヶ月に一度は利用しているのですが…
あ、だから駅内で乗り換えに迷うようなことだけはないかもしれません(笑

さてさて

本日は「キヤノンデミEE17」のカメラ修理を行っています。
1966年発売のカメラです。
「デミシリーズ」はキヤノンのハーフカメラのシリーズです。
「デミ」は英語で「半…」「部分的に」の意味です。
元々はラテン語起源だそうです。
現代フランス語でも使われるそうで
その場合は「ドゥミ」に近い発音だそうです。
デミシリーズの場合は「ハーフ判」であることを表しているのですね。
デミシリーズにもいくつかのモデルが存在しますが
その中でも「EE17」はその名の通り「EE」つまり「オート露出」を搭載し
露出計と連動してシャッタースピード優先オートで撮るカメラです。
マニュアルで絞り設定も可能です。
レンズは30mmF1.7の大口径レンズを搭載します。
ベースのデミに比べると高級仕様のカメラです。
「デミEE17」発売の前年にラピッドフィルム用の
「デミラピッド」が発売されていてこれが「EE17」と
ほぼ同じ仕様です。「デミラピッド」を35mmフィルム用に
変更したのが「デミEE17」になります。
たまたまだとは思いますがここ数ヶ月。ノーマルのデミの依頼は
ほとんどありませんでしたが「EE17」の修理依頼は
ちょくちょくあるのです。
ベースのデミ同様に非常に使い心地の良いハーフカメラです。

お預かりしている「デミEE17」は
シャッタ-切れず巻き上げできずで固着している状態です。
正確に言うとシャッターは開いたままで固着しています。
絞り羽根にもかなりの粘りが見受けられるので
おそらくはシャッター羽根も古い油脂や汚れで固着していると思われます。
まともに動かせない状態で無理な巻上を行おうとして
巻上からのチャージリンク部品が変形して
どうにも困る状態になっている個体が比較的多いのですが
今回は無茶な動作も行われていないようで
その点に関しては問題なさそうです。少し一安心しました。
露出計も不動ですがこちらは電池室からの配線等の交換で
復帰できそうです。
しっかり整備を行えば問題なく使える状態になると思われます。

まだ取り掛かり始めの段階で
現状の確認とチャージリンク部のダメージの有無チェックを
行っている段階です。
修理整備の必要な部分や方向性もある程度決まったので
これから本格的に分解を進めていきます。
何が不調の原因かわからなくて分解しながら
その原因を探る場合も多いのですが
できるだけ細かく分解する前に不調の原因や
どこの動作がおかしいかが把握できていたほうが
作業は断然安心して行えますし効率も上がります。
おかげさまで修理依頼の多いカメラは
ある程度原因や状況を絞り込んで行える場合が
少しは増えてきたような気もします。
もちろんまだまだ少ない経験ですが
何事も経験しているというのは大きいですね。

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ミノルタXEのカメラ修理

今日は「電話創業の日」だそうですよ。
1890(明治23)年のこの日に
東京市内と横浜市内の間で日本初の電話事業が開始し
千代田区に設置された電話交換局が営業を始めたことが由来となっています。
加入電話は東京155台・横浜44台で
電話交換手は女子7人・夜間専門の男子2人が対応したそうです。
当時の電話料金は定額料金で東京が40円・横浜35円。
この時代、1円で米が15kg買えたため、
今の値段にすれば40円は24万円くらいに相当し
当時の電話はとても高価なサービスだったことが分かります。
なかなか半端ないお値段ですねぇ…(苦笑)
これほどではないですが携帯電話が普及し始めた頃
当時の仕事の関係もあり比較的早い段階で
個人で携帯電話買ったのですが(1993年頃)
その頃は通話料金がめちゃくちゃ高くて
電話料金の請求に毎月ビビり散らかしていました(笑)
携帯電話の進化はリアルタイムで体験することができましたが
本当に今のスマホはその頃では考えられないほど進化しましたね
その対極ともいえるのですが
うちのお店ではまだダイヤル式の電話機(黒電話ではなくて薄緑電話)が
現役で使える状態で設置してあります。
(ご丁寧に昔ながらの電話カバーまでかかっています)
パラレルでコードレス電話機も繋いでいるので
使用頻度はそれほど高くないですが
昔ながらに「リンリン」となる着信音や
ダイヤルを回して電話を掛ける動作で懐かしさを楽しんでいます(笑

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
1974年発売のカメラです。
ミノルタXシリーズとしては前年に発売された
「X-1」に続いて第二弾の製品となります。
「Xシリーズ」なのでもちろん電子制御シャッター機です。
絞り優先オート搭載の中級機です。
フラッグシップの「X-1」が布幕横走り機なのに対して
「XE」はコパル・ライツと共同開発した
金属羽根縦走りシャッターユニットを搭載します。
このシャッターユニットや独特のミラーチャージ機構も相まって
「XE」は非常に滑らかな巻上を実現しています。
整備されていない個体だとスムーズさに欠けるものも多いですが
キチンと整備された個体では他ではなかなか味わえない
巻上の気持ちよさを実感することができます。
この巻上フィールを含んだ全体的な「使い心地」の良さが
「XE」の魅力だと思います。

お預かりしている「XE」はよくある露出計関連のトラブルもなく
一通りは動作しています。
定番のプリズム腐食もファインダーから見る限りは大丈夫なようです。
少々話がそれなすが
現存する「XE」の多くがプリズム前面のモルトが原因の
プリズム腐食を抱えていると思われます。
プリズム腐食が進行すると
ファインダーから見て横方向に黒い帯が見えるようになります。
もはや「XE」のキレイなプリズムは入手が大変難しく
プリズムの交換が必要な修理は当店では既に承っておりません。
今回の「XE」も心配なのはファインダー内に
モルト屑と思われるゴミが多く混入しているのですが
プリズム前面には古い劣化したモルトがまだ存在して
プリズムにも悪影響が出ていると予想されます。
ファインダー清掃のためにプリズムを降ろしますが
その際に劣化したプリズムの蒸着が剥がれてしまう場合があります。
通常より慎重に作業は行いますが非常に神経を使う作業となります。

話を戻します。
今回のXEの一番の問題はそういう点ではなく
高速シャッターの精度にかなり問題を抱えています。
まず1/1000はまったく開きません。
1/500も開いたり開かなかったりです。
1/250でやっと安定して開きますが測定してみると
1/2000程の露光量になっています。
スリットが非常に狭いということですね。
おそらくシャッター羽根の汚れが原因なことと
マグネットの吸着部にも汚れがあるものと思われます。
低速側の精度はある程度問題ないので
安易に電気調整でつじつまを合わせるのではなく
まずは各部の汚れを取って正しい動きをする状態にしていきます。
その上で電気的調整を行っていきます。

まだ取り掛かったばかりの段階ですが
これから巻上側のカバーも開けて基盤をよけておいてから
プリズムを降ろします。
前述した通りその後のシャッターユニットの整備等より
ここが一番気を使いますね
集中して慎重に慎重を重ねて作業を行っていきます。

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ニコンFEのカメラ修理

今日はこれといった記念日がない日ですね…
でも今夜は今年最後の満月ですね。
昨夜、ウォーキング中にも
ほぼ真上の高い場所に丸に近い月が輝いていました。
お月見と言えば旧暦8月15日の「中秋の名月」ですが
まだ夏の空気が残る新暦9月・10月よりも
(2024年は9月17日、2025年は10月6日)
晩秋から初冬のこの季節のほうが
空気は圧倒的に澄んでいて月も星もキレイに見えますね。
ただしかなり寒いので防寒対策は必須ですが…
今夜も太平洋側ではキレイな満月が見られそうです。
12月の満月は「コールドムーン」とも呼ばれます。
機会があれば夜空を見上げてみてください。

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
1978年発売のカメラです。
同時期に発売されたニコンFMと兄弟機であり
機械制御シャッターの「FM」に対して
「FE」は電子制御シャッター機です。
電子制御シャッターの恩恵で「絞り優先オート」を搭載します。
ニコマートELの後継機にあたります。
絞り優先オート搭載の関連もありますが
追針式の露出計を搭載し
現在の設定シャッタスピードと露出計が指す
適正シャッタースピードが瞬時にファインダー内で確認できます。
設定絞りも直読窓でファインダー内で確認できます。
オート時にはもちろん、マニュアル露出時にも
非常に使いやすい露出計とファインダー表示です。
ニコマート時代から比べるとボディサイズもコンパクトになり
非常に洗練されたカメラとなりました。
個人的にも非常に使い勝手の良いカメラだと思います。
5年間ほどの販売でしたが堅調な売れ行きで
現存台数も多いカメラです。
当店にもコンスタントに修理依頼のあるカメラです。

電子制御機ということで電子回路内のトラブルが起きた場合は
修理不能になることもあるのですが
FEの修理はそのほとんどが機械的トラブルによるもので
電子回路的な原因で修理不能になることはそう多くありません。
今回お預かりしている「FE」も
ミラーアップしたまま復帰しない状態(M90にしても復帰せず)ですが
シャッターユニットとミラー駆動部の連携が
何らかの原因で正常にリンクしていないことが原因と思われます。
強制的に復帰させても巻上チャージもうまく機能しないので
巻上・ミラー・シャッターユニットの連携が部品変形か何かで
正常に連動しないものと思われます。

まだまだ修理途中の段階ですが
おおまかな原因は突き止められました。
まともに動かせない状態だったので
お預かり時には全く確認できなかったのですが
電気的な制御や露出計関連に問題はなさそうです。
機械的トラブルの解消の上で
それなりの電気的調整を行えば問題ない状態に復帰できそうです。

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キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は12月13日で「正月事始め・煤払い・松迎え」ですね。
煤払い(すすはらい)などをして
年神様を迎える準備を始める日です。
昔はこの日に門松やお雑煮を炊くための薪など
お正月に必要な木を山へ取りに行く習慣があったそうです。
実際にはまだまだこの時期は年内ラストスパートへ
そろそろ鞭を入れる頃ですね
でも12月も月半ば…もう2週間余りで今年も終わってしまいます。
個人的には年末年始が来るからと言って
たいした準備も必要ないですが
休みも取りますし気持ち的には一区切りですね。
まずは年内もう少しがんばっていきましょう!

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
「キヤノンAシリーズ」の一号機でもある「AE-1」の後継機で
機能的にはその名の通りプログラムオートが追加されています。
機能的な追加として目立つものはそのくらいなのですが
細かく見ていくとあらゆる部分で
ブラッシュアップされたカメラであることがわかります。
ファインダー内表示は指針式からLED表示へと変更され
ファインダーもあかんり明るくなっています。
この時代のカメラらしくやっとスクリーン上の
コンデンサレンズがなくなり
スクリーンのみでこれまで以上に充分に明るい
ファインダー像が確保できるようになりました。
それに伴いスクリーンはミラー側から
簡単に取り外しができるようになっています。
A-1ではスクリーンは下から外せるものの
その上にまだコンデンサレンズが存在していました。
分解して中身を見るともはやAE-1とは全く別世界で
この時代の電子技術の進化スピードが非常に速かったことを
実感させられます。
AE-1ではまだまだアナログ的な制御も多く
リード線を使った配線も多かったのですが
AE-1Pの内部はもはやアナログ的な制御はほとんどなく
リード線もかなり少なくなっています。
いかにも「80年代のカメラ」といった感じがします。
…とはいえその電子制御で動かく機械駆動部の構造は
まだまだ昔のAE-1のままです。
基本的にすべてのAシリーズの機械的基本構造はAE-1がベースです。
よって「シャッター鳴き」に代表されるような
Aシリーズ共通の定番の機械的トラブルはAE-1Pでも起こります。

お預かりしている「AE-1P」はまず電源が全く入りません。
電池室のマイナス側端子はびっしりと緑青で覆われており
これでは電気を通すはずもありません。
電池を入れたままにして放置していた時間が
かなり長かったものと思われます。
端子は磨けばすぐキレイにはなりますがこの状態では
当然ながら電池室裏のハンダや配線が無事なわけもなく
まずはこのあたりの修理を行って電源を入るようにしないと
他のトラブルがあるかどうかの確認もできません。
少しばかり怖いのは電源修理をしっかり行った後で
修理不可能な電子回路トラブルが見つかる可能性が
多少なりともあることです。
ただAE-1やAE-1Pでは妙な弄られ方を過去にされてない限り
電子回路トラブルによる修理不能な案件は稀にしかないので
おそらくは大丈夫かと思います。

画像は取りかかったばかりの時点でのものです。
ここから分解を進めて本格的に修理整備を行っていきます。
あとでわかりましたが結構盛大なシャッター鳴きが起こっています。
ミラーが動かなくなるのももはや時間の問題と思えるほどに
異音だけではなくミラーの動きも鈍くなっていました。
原因箇所は分解整備の過程で丸裸になる部分なので
キチンと対処を行って再発予防も行っておきます。
AE-1同様にこの類のカメラとしては整備性は良好なカメラです。

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ミノルタSR-T101のカメラ修理

今日は「ダースの日」だそうですよ。
ここでいう「ダース」は森永さんで出している
チョコレートの商品名「DARS」です。
「板チョコが粒になった」という商品コンセプトと
「12コだからダースです」のキャッチフレーズで
1993年(平成5年)に発売されました。
もう30年以上経つのですね…割と最近と思ってました…
板チョコと比べて手軽に食べやすいのですよね。
そして粒状のチョコって他はナッツ類が入っているモノとかが
多くてチョコだけを粒状にしたものって意外と少ないのです
(それでも今は随分増えましたが)
そういう点でも「DARS」は重宝します。
スーパーでついついカゴの中に入れてしまうのですよねぇ…
気分によって「ブラック」や「ミルク」
「ホワイト」「いちご」の通常商品から選ぶこともありますし
期間限定のこれまた美味しそうなものが
結構いろいろ出ているのですよねぇ…
甘いもの好きでチョコ好きな私が頻繁に買ってしまう商品です。
まぁ…食べ過ぎには気をつけないとまた血糖値が…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタSR-T101」のカメラ修理を行っています。
これも修理依頼の多いカメラです。
1966年発売のカメラでミノルタ初のTTL測光の露出計を搭載したカメラです。
さらにこの内蔵露出計は開放測光にも対応しています。
開放測光を実現するためにレンズ側から絞り情報を伝達する必要があり
この伝達機構を搭載したMCロッコールレンズが同時に発売されました。
基本的なマウント自体は従来のオートロッコールから変わってはないので
従来レンズも装着自体は可能ですが開放測光は不可能となります。
さらにこの内蔵露出計はファインダー視野の上下を
2個のCdS受光素子で測光し、風景撮影の場合で空の明るさ等で
全体が露出不足になる傾向を補正できるのが特長です。
現在の分割測光の簡易的なモノとも言えます。
ミノルタではこの測光方式を「CLC」と名付けています。
ミノルタらしい使い心地の良くトラブルも少なく丈夫なカメラで
大ヒットモデルとなりました。
そして発売から7年間生産されるロングセラー機ともなりました。
現存している台数も非常に多く
そのため当店に修理依頼でやってくることも多いカメラです。

基本的にかなり丈夫なカメラなので
全く不動の状態のものというのは少ないかと思います。
今回のSR-T101もシャッターは一通り動作しています。
ただし、やはり機械的な駆動部すべてが
古い油脂や汚れのために動きにくくなっている状態で
シャッタースピードの精度にはかなり問題がありますし
巻上の感触も良くありません。
露出計も電池入れると動作しますが
不安定な上に精度的にも問題がある状態です。
そしてフィルム室はもちろん内部にも使われているモルトは全て全滅で
その影響でファインダー内にはかなりモルト屑が混入している状態です。
やはり全体的な整備を行いリフレッシュして
本来の動きを取り戻す処置が必要です。

マウント部からの絞り伝達
シャッタースピードダイヤルからのSS・ASA感度伝達
ファインダー内SS表示は全て糸連動です。
そのためこの連動糸の処置に多少の知識と段取りが必要ですが
そのあたりがわかっていれば整備性も非常に良好なカメラです。
分解して整備調整を行うことが前提となっている造りになっていて
長く使うこともきちんと考慮された構造になっています。
その点からも非常に良いカメラだと思います。
上画像はまだまだ取り掛かり始めの段階ですが
ここからさらに分解を進めて一通りの整備を行っていきます。

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