ペンタックスMEのカメラ修理

今日は「鉄道電化の日」だそうですよ。
1956(昭和31)年のこの日に
米原~京都間が電化され
東海道本線全線の電化が完成しました。
電化に伴って特急「つばめ」が東京~大阪間を7時間30分で走ったそうです。
鉄道についてあまり詳しくない方だと
「電化」と聞いてもピンとこないと思われますが
「電化されていない路線」とは「電気を給電する架線」がなく
走っている車両も「電車」ではなく「汽車」や「気動車」なのですね。
もはや電化されていない路線のほうが圧倒的に少なく
めずらしくなってしまいましたが…
あ、でも最近のJRの新型気動車はエンジンで発電機を回し
モーターで駆動していて実質「電車」なのだそうですね!
最近知りました…
電化されてないない路線は首都圏近郊だと
小海線、水郡線、八高線、久留里線あたりでしょうか…
全国的に地方でまだ多く見られる非電化路線は
赤字路線が多く廃止が検討されているところも多いです。
個人的には架線がなく見た目にもすっきりとして
ディーゼルエンジンを唸らせて走る
地方の非電化路線は趣があってよいと思いますが
これからの時代はいろいろと難しいでしょうねぇ…

さてさて

本日は「ペンタックスME」のカメラ修理を行っています。
1976年発売の絞り優先オート専用機です。
ペンタックスMシリーズのコンセプトである
「小型軽量化」、「電子化によるAE化」、「システムの充実」を目指して
開発されたMシリーズ全体の基本形となるカメラです。
正確には「ME」の1ヶ月前に出た「MX」が「Mシリーズ最初のカメラ」ですが
「MX」は第一号機とはいえ横走り機械制御シャッターで
「Mシリーズ」の中では異端児的な存在なので
シリーズ本流の基本形はこちらの「ME」となります。
シャッターユニットは非常にコンパクトな
『セイコーMFC-E』を採用し、それを電子回路で制御します。
絞り優先オート専用機ということで
ポジション的にはエントリークラスに近い機種となりますが
巻上やシャッター音の質感もよく使い心地の良いカメラです。

ME系のカメラといえば持病として有名なのが
ミラー駆動部のゴムブッシュ劣化による動作不良が引き起こす
「ミラーアップ」で
ミラーがあがったままそれ以上シャッターも切れず巻上もできない状態で
固まってしまった個体をカメラ屋さんのジャンク箱で
見かけることも多いかと思います。
またMEは長らく押し入れとかで眠っていたものが出てくることも
多いカメラだと思いますが
ミラーアップしたままで固着してしまっているものも
多いかと思います。
今回お預かりしているMEに関しては
先に言ってしまうとそこだけは全く問題ありませんでした。
多少油切れ気味で動作に粘りはありましたが
ゴムブッシュはプラスチックブッシュに変更されている対策品で
よくあるパターンの動作不良は起きない状態です。
それに関しては良かったのですが
今回はそれ以前に上カバー部のモードダイヤル(L・オート・X・B切替)が
破損している状態でさらにレリーズロックが固着していて
全くシャッターが切れない状態でした。
電源は入るものと思われますが動作確認は全くできない状態です。
電子制御機で動作確認のできない状態のものは
何が起こっているか読めない状態でもあるので少々不安ですが
ME系のカメラは妙な分解品や電池室の腐食が激しいモノでない限り
基板内トラブルは少ないカメラなので何とかなるとは思います。
こちらも結論から言ってしまうと
基板内には何も問題はありませんでした。

モードダイヤル破損部に関しては
中古部品と交換するしかありませんが
やはりそれ以外にもオート制御や
シャッタースピ―どの動きは不安定で
各接点、マグネット吸着部の清掃
巻上やミラー駆動部等の機械的動作部の整備は必要な状態です。
当然ながらモルトも全滅です。
毎度書きますがME系のカメラはフィルム室だけではなく
内部にモルト遮光の為にかなり多く使われていて
劣化したモルトがトラブルの原因になることも多いので
もちろん全て交換していきます。
電子制御カメラとは言え基板もコンパクトで
この類のカメラとしては整備性も良好です。
全体的にできる限りの整備をこれから行っていきます。

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