キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は日比谷公園・松本楼の「10円カレーの日」ですねぇ
松本楼が1971(昭和46)年に焼失し
1973(昭和48)年のこの日に再建、新装開店したことを記念して
「10円カレー」が提供されています。
通常は1100円のビーフカレーが
1973年以来9月25日に先着1,500名に限り10円で振る舞われています。
コロナ禍の影響もあって今年は3年ぶりの開催だそうです。
昔ながらのビーフカレー美味しそうですよねぇ
松本楼、昔、何回か日比谷公園に行った際に立ち寄っているのですが
もう15年以上は行ってないです…
また機会があれば行きたいですねぇ
松本楼に限らず昔ながらの洋食屋さんっていいですよねぇ
中野でも何件かあるのですよね
休みのランチとかで行ってみようかな…

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
全てのAシリーズの基本形であり、Aシリーズ最初のカメラでもあった
「AE-1」の後継機ですね。
Aシリーズのカメラは機械的な部分の基本構造は
全てAE-1が基本となっています。
今回の「AE-1プログラム」もそこは同様なのですが
その基本的機械部分を制御する電子制御部は
全くもって別モノに進化しています。
最初のAE-1のデビューが1976年なのでAE-1プログラムの
登場はその5年後ですがその5年間に
一気に電子制御回路は進んでいることが内部を見ればよくわかります。
AE-1の頃に残っていた糸連動制御はなくなり
リード線で配線される箇所も極端に少なくなっています。
分解して内部を見なくても明らかに洗練された
LED表示のファインダー表示を見ればその一端を感じることができると思います。

…とはいえ…機械的基本部分は初代AE-1とほぼ同一です。
…ということはAシリーズ共通のトラブルともいえる
「シャッター鳴き」がやはり「AE-1プログラム」でも起こります。
今回お預かりしてる個体でもシャターを切るたびに
「ギャイン」と耳障りな異音がしています。
毎回書きますが「シャッター鳴き」といいますが
実際に異音が出ているのはシャッターではなくミラー駆動部のギアです。
ここの油切れが原因で異音が発生しています。
シャッター鳴きの起こっている個体は大なり小なり
やはりミラー駆動部の動きは悪くなっていて
酷いものになると明らかにレリーズしてからミラーがあがるレスポンスが
遅くなっているのがわかるようになります。
最終的にはミラーが動けなくなってシャッターが切れなくなります。
そうなる前にしっかり整備を必要があります。
シャッター鳴きが起こるのは正面から見てミラーボックスの左側ですが
右側にはオート時の絞り制御機構があり
ここも油切れが起こると動きが悪くなりオート制御が不安定になります。
絞り制御レバーがフリーになる状態にして
指で動かしてみてジャリジャリ音が出ていて動きが重いようであれば
間違いなくオート制御は不良です。
今回の「AE-1プログラム」もここの動作も不良でした。

あまり使われないまま長年仕舞い込まれていたのか
外観のコンディションは非常に良い個体です。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
電子制御機としては整備性は悪いほうではないのですが
さすがにこれだけフレキや接点がぎっしり詰め込まれていると
分解整備は大変ですし非常に神経を使います。
特に静電気には要注意で帯電した指でうっかり
回路に触れてしまうと
その瞬間に修理不能となってしまう可能性もあります。
慎重に細心の注意を払いながら整備を行います。

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ペンタックスSVのカメラ修理

今日は「畳の日」だそうですよ。
ん?割と最近、「畳の日」って書いた記憶が…と思ったら
4/29も「みどりの日」にちなんで「畳の日」だったのですねぇ
年に2回制定されているのですね。
実家に誰もいなくなって引き払ってからは
「畳」に縁がなくなりましたねぇ…
あの適度な硬さと少しだけひんやりした感じ…いいですよねぇ
子供の頃は畳の上でゴロゴロするのが普通だったのですが
気が付けばそういう機会もなくなってました…
でも最近はフローリングの上に「置ける」畳もあるのですね
自宅の部屋の一部に置いて畳気分を味わおうかな…
あ、その前に自宅は散らかりっぱなしなので
ちゃんと掃除して整理しなくちゃなぁ…
ちなみに今日は「清掃の日」でもあるそうです。
掃除…嫌いじゃなくてどちらかといえば好きなのですが
気合いれてやり始めるとキリがなくなって
えらい時間がかかるのですよねぇ…

本日は「ペンタックスSV」のカメラ修理を行っています。
1962年発売のカメラです。
TTL露出計搭載の「SP」が出てくる以前の
「アサヒペンタックス系」のM42マウント機としては
最後の機種になるかと思います。
(S2スーパーも出ましたが
これはSVからセルフタイマーを省略したモデル)
モデル名の「V」はセルフタイマーを意味する
“Voraufwerk”の頭文字です。
セルフもそうですがフィルムカウンターが自動復元式になり
露出計のないシンプルな機械式カメラとしては
非常に使いやすい完成形のようなカメラだと思います。
そしてレンズマウントはこれまたシンプルな
ユニバーサルマウント「M42」です。
対応するペンタックスタクマーレンズだけではなく
世界中のM42マウントレンズを装着することができます。
レンズ遊びも楽しみたいと思われる方には
最適なカメラかとも思います。
その出来の良さから非常に売れたカメラでもあり
現存している台数も多いのですが
さすがに発売から50年経過しているカメラな上に
SV以前のM42機はシャッター幕が劣化している個体も非常に多く
なかなかそのまま未整備で使えるものは少ないと思います。

お預かりしている「SV」はちょっとめずらしいブラックボディです。
ところどころスレ・剥がれ・傷はありますが
全体的にはキレイなボディです。
最も心配されるシャッター幕はめずらしくほぼ劣化がありません。
おそらく過去に一度交換されて居rのはないかと思われます。
とはいってもずいぶん昔のことだとは思われますが…
幕の状態は良いのですが残念ながらシャッターはまともに走行できません。
シャッタースピードに関係なく全速で
シャッターを切っても後幕が走り切らず隙間が空いた状態で止まってしまいます。
幕軸にかなりの汚れや古い油脂が溜まって固着しているようです。
当然ながらこの状態では全くもって撮影には使用できません。
巻上やミラー駆動にも動作不良が見られます。

まだ分解途中ですがここからさらに分解を進めて
とにかく動く部分を徹底的に清掃します。
冒頭で「清掃の日」にも少し触れましたが
カメラ整備・修理の大半の作業が「清掃」です…
まぁとにかく「古い機械」なのでしかたないのですが…(苦笑)
プリズムやスクリーンも随分汚れてはいますが
いわゆる機械的に「破損」したりして壊れているところはありません。
本来の動きを取り戻す作業を入念に行います。
しっかり整備すれば最高速までしっかりSS精度も出るはずです。
隅々まで入念に清掃して調整を行っていきます。
画像には写っていませんが
装着されていたスーパータクマー55mmF1.8レンズも
カビ汚れがあるためこちらもしっかり清掃していきます。

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ミノルタSR-T101のカメラ修理

今日は「秋分の日」で祝日ですが
「海王星の日」でもあるのですね。
1846年のこの日に
ドイツ・ベルリン天文台のヨハン・ガレが
望遠鏡を用いて「海王星」を発見したことに由来しています。
「冥王星」が準惑星に分類された現在では
最も太陽から遠い位置を公転している惑星です。
直径は49,528kmで地球の3.88倍に相当します。
太陽から遠いため表面の温度は約50K(約-223℃)だそうです。
それでも、中心部の温度は、約5,400K(約5,127℃)と熱を持ちます。
約165年かけて公転していて太陽からは平均30.1au(約45億 km)離れています。
全ての数字のスケールが大きすぎてピンときませんね(苦笑)
1auが地球と太陽との平均距離なので
相当離れている…というのだけはわかります…
公転に165年ということはもし海王星にいるとしたなら
海王星でいうところの半年程度しか人は生きられないのですねぇ
ちなみに海王星から見る太陽の大きさは地球から見る場合に比べて
1/30ほどの見かけの大きさになるそうです。
明るさは地球から見た場合の1/900ほどなのですが
それでも地球から見る満月の450倍の明るさがあるそうです。
(地球から見た太陽の明るさは満月の約40万倍)
海王星は残念ながら肉眼で見ることはできませんが
そんなことを思いながら夜空で惑星を探してみるのも
秋の夜長には合いそうですね

さてさて

本日は「ミノルタSR-T101」のカメラ修理を行っています。
1966年に発売されたミノルタ初のTTL測光方式採用のカメラです。
加えて初の開放測光機でもあり
開放測光に対応するため絞り連動機構を備えた
「MCロッコールレンズ」も同時に登場しています。
前モデルでもあるNewSR-7で採用した新ダイキャストボディを
ベースに開発されており
信頼性の面からも非常に優れた基本設計のカメラです。
その使いやすさやコストパフォーマンスの高さから
ヒット商品ともなりロングセラー機となりました。
SR-T101としても7年間生産が続けられ
後継機でもあり基本設計を共通とする
「SR-Tスーパー」、「SR505」や「SR101」まで含めると
70年代半ばまで最前線で活躍したカメラです。
ミノルタの機械制御シャッター機を代表するカメラかと思います。
基本的に非常に丈夫なカメラで
押し入れの中から何十年も放置された状態で出てきても
シャッターだけは何とか動く…という状態のものも多いかと思います。
しかしながら普通に使うにはやはり一通りの整備が必要です。

お預かりしている「SR-T101」はシルバーに比べると数の少ない
ブラックボディの「SR-T101」です。
外観のコンディションはなかなか良い状態でキレイです。
シャッターも露出計も一応は動作していますが
やはり高速シャッターの精度は全く出ておらず
巻上にも油切れの兆候が見られます。
露出計は指針の動きが不安定でハンダ不良が疑われます。
一通りの整備一式で問題なく使用できる状態になると思われます。

「SR-T」系のカメラは露出計関連の「連動糸」が
少々厄介な問題で慣れていないとその扱いに苦労するかもしれません。
SR-T系のカメラは毎月1台は必ず依頼のあるカメラなので
さすがに手慣れたものですが
そういう慣れた部分こそ油断ならないので
もちろん慎重に取り扱っていきます。
糸を切ってしまうようなケアレスミスはさすがにないですが
再組立て時に糸の処理をいい加減にすると
絞り連動部の動きが悪くなったりとかの不具合も出てきます。
それからSR-Tは意外と内部モルトの多いカメラなので
その辺りの処置や交換もしっかり行います。
糸の処理は確かに少し手間ですが基本的には整備性の良いカメラです。

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オリンパスペンSのカメラ修理

今日は雑節のひとつでもある「社日」だそうですね。
生まれた土地の守護神である
「産土神(うぶすながみ)」を祀る日だそうです。
春と秋の年2回あり、春の社日を「春社(しゅんしゃ)」、
秋の社日を「秋社(しゅうしゃ)」ともいいます。
「社」とは土地の守護神、土の神を意味します。
基本的には二十四節気の「春分」または「秋分」に最も近い
「戊(つちのえ)の日」が社日となるそうです。
個人的には神仏、霊なんてものは私は信じてなくて
現在の科学で解き明かすことのできない不思議な事象は
全て人の目に見えない「蟲」のせいだと思っているのですが
こういう古来からの行事ごとは趣があっていいですよねぇ
より季節の移り変わりを感じさせるものにもなりますし。。。
私も生まれ育った町では10月になると秋祭りの季節で
10月10日が町の一番大きな神社での例大祭
11月3日がそれ以外のいくつかの神社で一斉に行われる小祭りです
お彼岸から小祭りまでは子供心に何とかなくウキウキした毎日でした
ところで、春の社日に酒を飲むと耳が良くなるという風習があるそうです
秋の社日は何かないのかな…お酒を飲むと頭が良くなるとか…(笑

さてさて

本日は「オリンパスペンS」のカメラ修理を行っています。
つい先日も2台、修理を行なったばかりですねぇ
不思議なもので同じ機種が同じような時期に集まるのですよねぇ
先日も書きましたがいわゆる普通のペンの高級版が
「ペンS」です。
シャッターユニット、レンズ共にグレードアップされていて
撮影の幅も間違いなく広がります。
露出計を持たないシンプルなマニュアル機ですが
逆に考えると何でも自分で設定できて
コントロールする楽しさのあるカメラだと思います。
それを小さなハーフカメラで行えるというのが
ペンSの魅力かと思います。

お預かりしている「ペンS」は外装もキレイで
なかなか良いコンディションの個体かと思われます。
シャッターも一応動作しているのですが
受付時にはあまり気にならなかったのですが
整備前のテストで「B」で切っていると
少しばかりシャッター羽根の動きに粘りがあるようです。
高速だと見た感じではわかりませんが
測定機にかけてみるとやはり露光量はオーバー気味です。
定番の裏蓋底部のモルトはやはり劣化しています。
前回も書きましたがここは通常良く使う厚みのモノより
厚いモルトを貼らないとかなりの高確率で光漏れします。
加えて巻上時のラチェット音がほとんどしていないようです。
逆転防止はかかっているのでツメが外れているわけではないと思いますが
かなり動きが粘っているものと思われます。
致命的なトラブルこそないものの
やはり動きの悪い部分は多々あるようです。

まだ上カバーを外しただけの状態ですが
これから本格的に分解を進めて各部の整備を行います。
シャッターユニット内部はさすがに
ごくごく小さいスペースに
精密に組み込まれていますが
それ以外の部分は造りがシンプルなので
スペースにも余裕があり整備性は良いカメラです。

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ニコンFEのカメラ修理

今日は「ファッションショーの日」だそうですよ。
1927(昭和2)年のこの日に
東京・銀座の三越呉服店で
日本初のファッションショーが行われたそうです。
着るものには基本的に無頓着ですねぇ(苦笑)
いやそれでも10代・20代の頃はそれなりに
気にはしてましたけど
お金かけていい服着る!ってほどではなかったですねぇ
あ、さすがにサラリーマン時代で営業職だった頃は
さすがにそれなりに身だしなみを気にしていましたよ。
その頃に比べれば今は…
うーん…少しは気にしてみようかな…(笑
まぁ今更、ファッションというか衣服をどうのこうのの前に
このだらしない体型を何とかするほうが先でしょうねぇ
健康の為にも…
今夜も天気さえ持てばがんばってウォーキングしてきます!
食事もしっかり糖質制限です!

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
ニコマートEL系を前身とする
電子制御シャッター搭載機です。
絞り優先オート露出を搭載しており
気軽にスピーディーに撮ることもでき
マニュアル機として使う際にも
その見易い露出計やファインダー情報により
非常に使いやすいカメラです。
特に個人的にFE系の2針式露出計は使いやすいと思っており
意図的に露出をコントロールする際にも非常に設定がやりやすいです。
現在の設定で中央部重点測光の標準値に比べて
何段くらい外れているかが一目でわかります。
さらに絞り値も直読式ですがファインダー内で確認できるので
ファインダーから目を離さず自由に露出コントロールが可能です。
前身もニコマートEL系は比較的初期の電子制御機とあって
なかなか電気的に不安定な部分や
少々使いづらい部分もありましたが
Feにモデルチェンジしてからは
取り回しのしやすいボディサイズになったこともあり
誰にでもおススメできるカメラになったと思います。
電子制御機ということでメンテナンスに
一抹の不安を感じる方もいらっしゃるとは思いますが
FEは電気トラブルのかなり少ないカメラです。

お預かりしている「FE」は一通り動作してはいるのですが
やはり露出計・オート・SSの精度には問題あるようです。
まずシャッタスピードですが先幕に汚れの影響があると思われ
妙に幕速が遅いようです。
そのため全体的に作られるスリットが狭く
1/1000はかろうじて開いてはいるものの
1/3000近くの露光量になってしまっています。
最高速に最も影響が出てしまっていますが
その他の速度も全体的に露光が少なめです。
そして露出計は全体的にオーバー気味で
SSの影響以上にオートはアンダー気味です。
SSはともかく露出計とオート制御は
電気的な調整の問題かと思われます。

画像はまだ分解取り掛かり始めですが
電気的な調整はもちろんですが
機械的な整備も一通り行います。
シャッター羽根の清掃は問題を抱えているので当然ですが
巻上やミラー駆動部にも古い油脂の影響と思われる
動作不良が若干確認できておりますので
そのあたりも入念に整備を行います。
フィルム室のモルトは過去に交換歴があると思われ
劣化はたいしたほどではないのですが
画像にでも確認できますが
ニコマートFT/EL時代から定番の
接眼レンズ下の座布団モルトは
おそらく一度も交換されたことがないようで
もはやボロボロに劣化しています。
せっかく分解するわけですからできる限りの整備を行っていきます。

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ヤシカエレクトロ35のカメラ修理

今日は「敬老の日」で祝日ですが
9月19日は「苗字の日」でもあるのですよね。
1870(明治3)年のこの日に戸籍整理のため
「平民苗字許可令」という太政官布告により
平民も苗字を名乗ることが許されたことが由来となっています。
それまでは苗字を名乗るのは貴族と武士の特権でした。
しかしながら許可令が出されても
読み書きが不得手の人がまだ多く
当時国民は明治新政府を信用しておらず
苗字を付けたらそれだけ税金を課せられるのではないかと警戒し
なかなか広まらなかったのだそうです。
そのため約5年後の1875(明治8)年2月13日に
苗字を名乗ることを義務づける「平民苗字必称義務令」という
太政官布告が出されたのだそうです。
私の苗字は「迫田(さこだ)」ですが
西日本では多くはないもののそれほど珍しい苗字でもないのですよね
ただ東日本で少ないらしく関東に来てから
メール等でやたらと「追田」に間違えられます(苦笑)
いや、それ、変換で出ないですよね?
人の名前の漢字とか読み方って難しいものがありますよねぇ
間違えると失礼にあたると思うので
気軽に変換して打ってしまうメール等では
特に気をつけるようにしています…

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35」のカメラ修理を行っています。
エレクトロもコンスタントに修理依頼のあるカメラです。
ヤシカのカメラの中では断トツに依頼の多いカメラですね。
「ろうそく1本の光でも写る」カメラを目指して
スローシャッター・長時間露光精度の高い電子制御シャッター使用の
絞り優先オート専用のレンズ固定式レンジファインダーカメラです。
シリーズを通してこの考えは統一されていると思います。
初代のエレクトロ35は1966年発売で
当初はシルバーモデルのみのラインナップでした。
今回お預かりしているのは初代エレクトロ発売から2年後の
1968年に追加されたブラックモデルの
「エレクトロ35プロフェッショナル」です。
初期のエレクトロはシルバーとブラックでモデル名が異なっており
初代からの大柄なボディが受け継いだGSN(GTN)まで
このパターンが続きます。
今回の「プロフェッショナル」もボディカラーが異なるだけで
内部的にはシルバーの初代エレクトロ35と同じカメラです。

この時代の電子制御カメラというと
電子部品の劣化が進んでいる機種も多く
カメラの種類によっては上カバーを外すだけでも
遠慮したいものが多く存在するのですが…
エレクトロ35は60年代の電子制御カメラとしては
比較的電子部品関連のトラブルの少ないカメラです。
…とはいってもオートの微調整等はほぼ不可能な構成となっており
オート制御の細かな制御に関しては
もはや高い精度はが出せないものも多いです。
それでも通常の屋外撮影に関しては
問題なく使えるようになるものが多いと思います。

今回お預かりしているエレクトロは
まず定番のレリーズ部ゴムブッシュの劣化により
シャッターを保持することができません。
スローになるような設定にすれば簡単にわかりますが
基本的に「B」状態になってしまい
レリーズを離すとまだシャッターが開いていても閉じてしまいます
さらに今回の個体は今度は抵抗の接触不良等の問題で
明るさに関わらずほぼシャッターが開きっぱなしになろうとしています。
この合わせ技で「明るさに関わらず常に「B(バルブ)」状態」に
なってしまっています。
大柄な筐体のエレクトロで比較的よく見受けられるトラブルです。
加えてレンズに多少のカビ・汚れ
ファインダーはかなり曇っていて二重像が見づらい状態です。
露出制御周りの修理も含め全体的に整備が必要な状態です。

この配線の多さがより時代を感じさせます。
基板周りはさておき機械部分の整備性は比較的良好で
大柄なボディで内部スペースにも余裕があり
レンズボード脱着も比較的容易です。
ただし、この電子制御周りはなかなか思うように
修理ができないことも多くやはり難儀なカメラです。
今回は何とか通常の使用には全く問題ないレベルの
精度を確保して仕上げることができそうです。
結構、頻繁に手にすることの多いカメラですが
やはり毎度、分解整備には神経を使います。

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オリンパスペンSのカメラ修理

今日は「牡蠣むきの日」だそうですよ。
真牡蠣のシーズンには少し早いですが
来月にもなると水揚げが始まりますねぇ
私は広島・呉出身なのでやはり冬の味覚と言えば真牡蠣ですねぇ
広島産の牡蠣はシーズンになれば
こちらでも手に入りますが
たまに殻付きを焼き牡蠣で食べたくなるので
殻つきを取り寄せたりもします。
これが美味しいのですよねぇ~お酒にもめちゃくちゃ合いますし…
殻付きのまま焼く場合にはいいのですが
殻付きをむき身にする場合には当然牡蠣むきも行います。
慣れないと結構大変なのですよねぇ
全国的には「牡蠣むき」だと思いますが
水揚げされた牡蠣をむいている場所は
地元では「牡蠣打ち場」ですよね
私も生まれ育った呉でも海沿いにはあちこちに牡蠣打ち場があって
独特のむせかえるような潮の香りが漂っています。
むき身をそのまま販売しているところも多く
かなりお買い得なのですよねぇ…
こんなこと書いているとやたら焼き牡蠣が食べたくなってきました。
早く真牡蠣のシーズン始まらないかな…(笑

さてさて

本日は「オリンパスペンS」のカメラ修理を行っています。
ペンシリーズはハーフカメラを代表するカメラとして
今も昔も大人気のカメラです。
ペンと一言で言っても様々な種類やシリーズが存在するのですが
ペンSは比較的初期のモデルです。
一番最初に発売された無印の「ペン」の高級版として
初代ペン発売の翌年、1960年に発売されました。
シャッター、レンズ共にグレードアップされ
シャッターは5枚羽根でB、1/8-1/250秒の6速となり
レンズはDズイコー3cmF2.8となりました。
価格の制約がかなり厳しかった初代ペンに比べると
かなり性能を重視した仕様になっていて
ハーフとは言えどもマニュアルでしっかり撮影したいという方には
非常に使いこなす楽しみのあるカメラです。
ペンシリーズで一番人気なのではやはり手軽な
「ペンEEシリーズ」だとは思いますが
シンプルなマニュアル機で一通りこなせる「ペンS」の人気も
かなり根強いと思います。

今回は同じご依頼者様から2台の「ペンS」をお預かりしています。
どちらも一応一通りの動作はしているのですが
ファインダーやレンズにはそれなりの汚れもあり
モルトも劣化、シャッター羽根には若干の粘り等々
細かく見て行けば経年なりの問題を抱えています。
1台は内部で部品外れもあるらしく
ボディを振るとカラカラ異音がしています。
いずれにせよ、やはり一通りの整備が必要な状態です。

画像は一通りの整備が完了した段階のものです。
露出計・距離計非搭載でシンプルな構造ではありますが
ハーフカメラなので何もかも基本的に小さく
おまけにオリンパス機ならではのデリケートな部分もあって
意外と各部の調整に手間のかかるカメラです。
注油を行っている部分や羽根洗浄を行っているので
少し時間をおいて様子見した後で最終チェックを行います。
ハーフ判なので筐体が小さいのは当然としても
レンズの出っ張りも少なく非常に持ち歩きやすいフォルムです。
総金属製なのでそれなりにズッシリとはしていますが
上着を羽織る季節になるとポケットの中にも
問題なく入り、シャッターチャンスにさっと取り出して
レスポンスよく撮影できるカメラです。
この時代のカメラは電源SW等も当然ながらありませんので
レスポンス的には非常に優れていると思います。
どこにでも気軽に持ち歩きたいカメラですね。

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ニコマートFT2のカメラ修理

今日は「イタリア料理の日」らしいですよ。
イタリア語で「料理」を意味する「クチーナ」(cucina)を
「ク(9)チー(1)ナ(7)」と読む語呂合わせからだそうです。
いわゆる「イタ飯」ですねぇ
パスタやピッツァがやはり一番に浮かびますが
トマトやオリーブオイルを多用した魚介類や肉料理も
美味しいものが多いのですよねぇ
若い頃に一時期やたらとイタ飯屋さんにハマって
頻繁に通った覚えが…今や本格的なお店には縁がないですが…(苦笑)
ミネストローネにカルパッチョ、アクアパッツア
リゾットにポルケッタ、どれも美味しいですよねぇ
で、イタリアワインに〆にティラミスとエスプレッソ。。。
いけん!想像しているだけで食べに行きたくなってきます。。。
とりあえず気軽に行けるサイゼリヤにでも行こうかな…(笑

さてさて

本日は「ニコマートFT2」のカメラ修理を行っています。
当時の日本光学のラインナップの中で
いわゆる普及機クラスを担うブランドとして開発された
ニコンFマウント一眼レフが「ニコマート」です。
機械制御シャッター機の「FTシリーズ」と
電子制御シャッター機の「ELシリーズ」に大きく二分されます。
「FT2」はFT系としては後期に当たる
1975年発売のカメラです。
前身の「FTn」をベースに固定式接点付きのホットシューが装備され
水銀電池(MR9)から酸化銀電池(SR44)への使用電池の変更もされています。
変更されているのは機能的には小変更ばかりですが
随分と現代的になった印象を受けます。
内部的にはシャッターや巻上機構等は大きな変更はありませんが
露出計回路周りはそれなりに大きく変更されています。

お預かりしている「FT2」は非常にキレイな個体で
シャッターも快調に切れているようなのですが…
どうも「B」でスローシャッターが切れてしまうとのことです。
試してみるとたしかにSSダイヤルを「B」にして
動作させるても「1秒」で切れてしまいます。
「もしや…」と思い全速SSチェックを行うと
やはりSSダイヤルとシャッターユニットの噛み合わせがズレているようで
高速側に1段ずつ全速ズレています。
つまり高速側は1/500にセットで実際は1/1000が切れています。
ファインダー内表示はSSダイヤルと合っているので
シャッターユニットとSSダイヤル側がズレています。
勝手にズレるわけがない部分なので
過去に前板を外した際に再組立て時にズレたものと思われます。
SSダイヤルとファインダー内表示がズレている場合は
連動糸の絡まりやプーリー外れですが
SSダイヤルと実シャッター速度がズレている場合は
明らかに組立てミスです。
さらに露出計が1.5段から2段オーバーになっています。
ただ単にオーバーなだけでなく非常に不安定で
何度か確かめていると3段くらいオーバーになったり
ときにはほとんど動かなくなってしまいます。
電池室に錆び跡があったので電池室周りの配線も疑いましたが
分解時に発覚したのが
確かに電池室裏のハンダも劣化していましたが
一部配線が前板に挟まれて激しく潰れていました。
これが最大の原因かと…
これも以前の分解時の再組立てミスですね。うーん。。。

外観は非常に良いのですが
内部的にはあまりよろしく分解品ということで
入念にチェックを行いつつ露出計周りの配線は一部交換します。
シャッターユニットや巻上には大きな問題はなさそうなので
その辺りは通常整備で大丈夫でそうです。
CdSやマイラー抵抗も大丈夫でそうですね。
トラブルの起こりそうな部分をよくよくチェックしながら
整備を行い慎重にこれから組み上げます。

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ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は9月15日。。。
うーん、いまだにこの日は「敬老の日」で祝日っていう
イメージが抜けないのですが
「敬老の日」が9月第三月曜日に変更されてから
もう19年も経つのですよねぇ…
ただ未だにその名残で今日は「老人の日」と制定されていますし
他にも「シルバーシートの日」なんかが制定されています。
自分が着実に老人に近づいているせいもありますが
あまり嬉しい記念日ではないですねぇ(苦笑)
それ以外に9月15日は「ひじきの日」だったりします。
カルシウム・食物繊維・マグネシウムを豊富に含む
栄養成分的にも優れた食品ですねぇ
子供の頃にやたらと「ひじきはたくさん食べろ」と
食卓によく出てきたせいもあり子供の頃はとても苦手にしていました。
今では普通に食べますし
一時期は健康に良いと思って
毎日のように積極的に食べてたこともあったのですが
最近はそうでもないですねぇ
今、一般的に売られているひじきの約9割は
中国・韓国からの輸入品なのですよね…
国産ひじきだと長崎・三重・大分・愛媛県が有名です。
国産ひじきは100%天然ものなのだそうです。
今度お取り寄せで頼んでみようかな…

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
60年代を代表する一眼レフともいえる大ヒットモデル
「SP」の改良モデルで1973年の発売となります。
大きな変更点はM42マウントを引き継ぎながらも
SMCタクマーレンズ群を使用することにより
開放測光に対応するカメラとなっています。
この開放測光対応自体は一足早く電子制御機の「ES」で
実現していましたがこの「SPF」の登場により
ペンタックス機全体として開放測光機に舵を切ったという形になりました。
それに関連して露出計周りは一新されていて
そこに関してはもはや「SP」とは別物です。
電池もまだ水銀電池ではあるもののSP時代の「H-B(MR-42)」から
「H-D(MR-9)」に変更されています。
さらにフォトスイッチと呼ばれる機構が追加されていて
レンズキャップを外しファインダー内に光が入ると
自動的に露出計がオンとなります。
理屈としては接眼レンズ上部に
露出計用とは別途のフォトスイッチ用のCdSが追加されていて
ここに光が当たらないと抵抗値が非常に大きくなり
電流が流れなくなる…という仕組みです。

お預かりしている「SPF」は
一通りの動作は一応行えるのですが
やはりいろいろ問題を抱えています。
まずシャッターは1/1000はほぼ開いておらず
1/500、1/250も露光量が少なすぎる傾向です。
スリットが全体的に開き切らない感じになっています。
SSダイヤル下調速カム部分の動作不良が原因かと思われます。
露出計も一応は動いているものの
精度が全く出ていません。
それも単にズレているといった様子ではなく
明るさやSS設定によって値がバラバラにズレている感じです。
おそらく絞り連動の摺動抵抗に問題があるものと思われます。
それに関連してSMCタクマー以外のレンズを使用した際の
「絞込測光」の精度もでたらめな状態になっています。
せっかくのM42マウント機なのでやはり他レンズ使用時の
「絞込測光」も非常に大事ですよね…

シャッター周りはこの時代の一眼レフでは
よくあるパターンでともかくとして
「SPF」はやはり「SP」と比べると露出計周りのトラブルは多いです。
それもきっちりある程度の精度を出すのはなかなか大変です。
できる限りの調整とはなりますが
通常の撮影に使用して問題のない状態には
何とか仕上げていきたいと思います。
もちろん並行してシャッター周りの、ミラー駆動部
巻上機構の整備、ファインダー清掃等々
一通りの整備を行っていきます。

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ニコンF2フォトミックのカメラ修理

今日は「コスモスの日」だそうですよ。
3月14日の「ホワイトデー」から半年後となるこの日、
プレゼントにコスモスを添えて交換し、
お互いの愛を確認し合う日などとされているそうです。
由来はともかく、この時期はコスモスの開花時期でもあり
いたるところでコスモスの花を見かけますね。
風に揺られるコスモスの花は何ともはかなくて可憐です。
なぜ台風等で風の強いことの多いこの季節に咲くのに
あんなに華奢な茎なんでしょうね…
台風一過でコスモスがなぎ倒されている光景もよく見かけますが
何とも切なくなってしまいます。
ところで、漢字では一般的に「秋桜」と表記しますが
これは1977(昭和52)年にリリースされた
山口百恵さんの『秋桜』が大ヒットしたことによるものですね。
作詞・作曲はさだまさしさんで
曲のタイトルと歌詞の中で「秋桜」と書いて「コスモス」と読んでいます。
うまいこと漢字をあてるものですねぇ
秋桜はまさにコスモスのイメージにぴったりです。

さてさて

本日はニコンF2フォトミックのカメラ修理を行っています。
ニコンのトップモデルであるF2に露出計内蔵の
フォトミックファインダーが装着されたモデルです。
ファインダー交換式のカメラならではの構成ですね。
前モデルのFの時代は
最初に登場したアイレベルファインダー装着のモデルに
途中から追加されるようになったフォトミックファインダーですが
F2になると最初からフォトミックファインダーの装着を
前提としているために電池室はボディ側に設置されるようになりました。
そのためあまりにも頭でっかちだったFフォトミックに比べると
F2フォトミックは随分すっきりしたデザインになりました。
それでもペンタ部は大きく武骨ではあるのですが
ある意味ニコンらしいデザインかと思います。
内部の抵抗体等もFフォトミックに比べると
耐久性の高いものになっており性能は向上しています。
F2のフォトミックファインダーにはいくつか種類があって
指針式で受光体がCdSのノーマルのフォトミックファインダーに始まり
LED露出計のものや受光体がSPDになったもの
そしてAiレンズに対応したもの等が存在します。
ただ、LED式のものはLED制御部のトラブルが発生すると
修理不可能な場合がほとんどです。

今回お預かりしている「F2フォトミック」は
一番ベーシックなフォトミックファインダー(DP-1)を搭載したモデルです。
フォトミックファインダーというと
露出計ばかりが注目されがちですが
個人的にはフォトミックファインダーの魅力は
アイレベルにはない
SSや絞り値のファインダー表示があることだと思います。
そして非Aiのフォトミックファインダーの方が
絞り値表示に関しては圧倒的に見易いです。
その点ではベーシックなDP-1が最も使いやすいかと思われます。
今回お預かりのF2フォトミックには露出計に少々調整は必要ですが
露出計動作自体はできています。
F2に多い電池室の端子基部破損もないようです。
ただし1/30秒より遅いスローシャッターにすると
スローガバナが完全に固着してしまい
シャッターが開いたままでSSダイヤルを1/30より
速いSSにセットしなおさないと
シャッターが閉じません。
F・F2ともにスローガバナー関連のトラブルは比較的多いですが
ここまでガッチリ固着しているものは少ないかもしれません。
加えてやはり幕軸には汚れ等がたまっているらしく
高速シャッターの精度もイマイチなので
やはり全体的に整備が必要な状況です。

画像はまだ貼り革を取り外しただけの状況ですが
これから本格的に分解整備取り掛かっていきます。
スローガバナはいったん完全に取り外して
溶剤に漬け込んで汚れや古い油を取り除きます。
並行して幕軸やミラー駆動部の清掃整備を行います。
まずはボディ側を整備した後で
ファインダー部の清掃整備も行います。
「F」や「F2」は非常に丈夫な部品を使っているため
致命的な破損等は少ないカメラです。
しかしながらF2にしても登場から50年以上経過するカメラで
さすがに未整備で使いっぱなしだと
動きの悪い部分は出てきて当然です。
ただし、しっかりメンテナンスを行うことで
また問題なく精度も出せるカメラだと思います。
(露出計に関しては一概には言えない部分もありますが)
今回は露出計も含めて全く問題ない状態に仕上げられると思います。

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