日別アーカイブ: 2025年9月5日

オリンパスペンFのカメラ修理

今日は「石炭の日」だそうですよ。
「ク(9)リーン・コ(5)ール」(クリーンな石炭)と読む
語呂合わせからだそうです。
「黒いダイヤモンド」といわれていた時代もありましたね。
石油に移行する以前の化石燃料の代表でしたが
20世紀半ばには扱いがより容易で効率の良い
石油に置き換わっていきました。
20世紀初頭くらいまでは日本国内でも
数多くの炭鉱が存在していました。
それでも現在、2021年時点で74億トンの世界需要があり
世界的には炭鉱の新規開発計画も多いのだそうです。
石炭といえば…練炭や豆炭の原料でもありますね。
炭火焼の焼き肉とか焼き鳥とかが食べたくなってきます。
そして口の中の脂をキンキンに冷えたビールで
洗い流したいですねぇ(笑

さてさて

本日は「オリンパスペンF」のカメラ修理を行っています。
孤高の存在といえるハーフカメラ一眼レフです。
単にハーフ判の一眼レフというだけでなく
ハーフ判であることの利点を最大限に生かすために
35mm判一眼レフとは全く異なる構造を持つ
唯一無二の存在のカメラです。
それが故に現在でも非常に人気の高いカメラです。
構造的なモノや機能的なモノもさることながら
ペンタ部の出っ張りを持たない
横長のフォルムが何とも独特で非常に魅力的なカメラです。
後にTTL内蔵露出計やセルフタイマーが装備され
シングルストロークとなった
「ペンFT」も発売されこちらも現在でも人気です。
個人的にはどうしても経年上トラブルの多い露出計がなく
よりファインダーも明るく
巻上角も極端に大きくない(FTのシングルストロークは
巻上角が大きくストラップによくひっかかります)
従来の「ペンF」のほうが個人的な好みです。
使っていても楽しい非常に魅力的なカメラだと思います。

お預かりしている「ペンF」は
レンズをつけていないと問題なくシャッターも動作するのですが
レンズをつけてレリ―ズすると
ミラーが完全に上がり切らない状態で止まってしまいます。
上がり切っていないのでシャッターも切れません。
レンズ側に問題があるのかな…と装着されている
38mmレンズを確認すると
確かに絞り羽根に油滲みが見られ羽根の動きも鈍く
これはこれで問題なのですが
それでもボディ側の動きを妨げるほど
絞りこみレバーの動きが重いわけでありません。
試しに当店で使用している正常なテスト用レンズを装着して
シャッターを切ってみても
やはりミラー上がり切らず止まってしまいます。
ミラー駆動部の動作不良でわずかな絞り込みの負荷でさえ
動きが止まってしまうようです。
積年の汚れや油切れが原因かと思われます。

「ペンF」もプリズムの腐食が多いカメラで
腐食がある場合交換プリズムの入手が困難なカメラです。
今回もファインダーの視野内ではほぼ腐食の影響はありませんが
視野外ギリギリのところに大きめの点腐食があることが
分解時に確認できました。
ただ、ペンFのプリズム腐食の多くは
他のカメラで多くみられるプリズム周辺のモルトが原因ではなく
プリズム内蒸着の経年劣化であることがほとんどです。
そのため対策の打ちようがないのですが
周辺の内部モルトはやはり加水分解していますので
そのあたりはきちんと対策しておきます。
独特の内部機構が多くそのせいもあり
定期的な整備を行わないと動作不良の比較的起こりやすい
カメラではないかと思います。
しかしながら構造自体はシンプルな部分も多く
キチンと整備を行えばまだまだ長く使えるカメラかと思います。
今回も入念に駆動部の整備を行い
まだまだ長く使えるように仕上げていきます。

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