オリンパス35DCのカメラ修理

今日は9月1日、「防災の日」ですね。
1923(大正12)年の9月1日午前11時58分、
関東大震災が発生したことに由来しています。
マグニチュード7.9の大地震が襲い
死者・行方不明者14万2800人、家屋全半壊25万戸、
焼失家屋44万戸という大災害となってしまいました。
今気づきましたが来年で100年になるのですね。
当時と比べれば耐震や防災の考えも
格段に進んではいますが
これだけ密集して建物があり人が住んでいるのだから
やはり首都圏に何かしらの災害があると
甚大な被害が出ることはある程度は避けられないのかな…とも思います。
地震だけではなく豪雨や水害も考えられますものね…
どこに住んでいたって災害に合う可能性はあるので
何かあったときのために
できる限りの準備をしておく…くらいしかないですものねぇ
こういうのばかりは人間が抵抗できることなんて
ちっぽけなことだなぁ…と思わざるを得ないですね…

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
オリンパス35シリーズは1948年の「35Ⅰ」から始まる
歴史のあるシリーズです。
1968年の「トリップ35」以降は非常にコンパクトな
オリンパスらしいカメラが多いイメージだと思います。
「35DC」は1971年発売のモデルで
「デラックスなコンパクト」の頭文字で「DC」なのだそうです。
確かにその通りでFズイコー40mmF1.7の大口径レンズを搭載した
プログラム露出専用のレンジファインダー機です。
現在だと大口径レンズというとその大口径ならではの
ボケ味を楽しめることが大きな魅力に思われていますが
このカメラはプログラム露出専用機なので
絞りのコントロールはできませんし
(さらにプログラムシャッターなので
シャッター羽根と絞り羽根は兼用で組み合わせは制御できません)
そもそもこの時代の大口径レンズは
ボケ味を楽しむ…という目的ではなく
光量の少ない悪条件時に露光量を効率的に確保するための
大口径レンズです。
当時のフィルム感度もあまり高くないですし…
あ、いや…現在も超高感度フィルムは
既にほぼなくなっていますが…(苦笑)
それでもやはり40mmF1.7のレンズが
魅力あることには変わりありません…
ズイコーレンズらしい非常に良い写りをするレンズです。
シャッターは機械式のプログラムシャッターですが
露出計がある程度は振れていないと
光量不足でシャッターロックがかかるため
電池を入れて露出計を動かさないことには
シャッターの切れないカメラです。
フラッシュ使用時にもプログラムオート撮影が可能な
世界初の自動フラッシュマチック機構や
逆光補正機能も搭載したまさに「デラックスなカメラ」です。

現在でも非常に人気のあるカメラで
当店にも修理依頼の多いカメラです。
今回お預かりしてる「35DC」は
まずセルフタイマーレバーが脱落してしまっています。
単純に緩んでしまったものかと思われますが
一部部品も足りないようです。
そして距離計二重像が撮影最短距離付近でうまく連動しないようです。
これは距離計連動部の動作不良かと思われます。
シャッター・露出計は作動はしているのですが
かなり露出計がオーバーな値を示しており
それに伴ってオート制御も3段以上オーバーとなっています。
さすがにネガだとしても写真が白くなってしまうと思われます。
やはり全体的に整備調整が必要な状態です。

フラッシュマチックやプログラム制御のため
機械式レンズシャッター機の割には
配線も多く少々ややこしいカメラです。
さらに通常はボディ上部に配置されることの多い
露出計本体がこのカメラの場合、
ボディ底部に配置されています。
オリンパスらしいといえばらしい独創的な構造です。
これからさらに分解を進めて
本格的に整備に取り掛かっていきます。

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