月別アーカイブ: 2019年3月

オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「LPレコードの日」だそうですよ!
LPレコードって言ったって
ピンと来ない人のほうが既に多いですよねぇ(汗)
LPレコード(片面25分ほどの収録)が12インチで
1分あたり約33回転(3分間で100回転)
シングルレコード(片面5分ほど)が7インチで
1分あたり45回転ですね。
A面、B面っていうイメージも
もはやおじさん(じいさん)しかわからないですよねぇ。。。
子供の頃には家に家具調のステレオがあって
(この頃のステレオ(これも死語?)は
家具調のでっかいものが流行っていた)
小学4年生くらいになった頃には自分でも
少ないお小遣いの中でレコードを買うようになり
レコードクリーナーを使ったり
針を落としていたりすると少し大人になったような気がしました(笑)
今でもプレーヤー(安物ですが)は持っているし
レコードクリーナーの匂いを嗅げば懐かしい気持ちになりますね。
また新宿あたりで中古レコード屋さんめぐりに行かなくては!

さてさて

本日はオリンパスOM-1のカメラ修理を行っています。
ここ1年くらいの間だと一番修理依頼の多いカメラではないでしょうか。。。
上品なシャッター音にシャリッとした軽やかな巻上
もちろん、一番の長所はそのコンパクトさだとは思いますが
使い心地の良さも非常に魅力的なカメラです。
基本的にはシンプルな機械制御シャッターの一眼レフですが
その大きさと静かさを実現するために
いろいろな独自の工夫が行われているカメラです。
そのため、他メーカーの大きく重い一眼レフに比べると
多少デリケートなところもあります。
決して壊れやすいカメラではありませんが
より定期的にメンテナンスの必要なカメラだと思います。
クルマやバイクでも乗り心地や性能を追求したものは
より定期的に整備の必要があることと同じだと思います。

お預かりしているOM-1は
まず定番のプリズム腐食。。。これはもう交換で対処いたします。
今回のOM-1はさらにそれに加えて
ミラー先端部の腐食も酷いのでミラーも交換いたします。
続いて、これも定番。。。
電池室端子留めの樹脂ネジの破損による
露出計不動。。。樹脂ネジだけでなく配線も腐食しています。
樹脂ネジは特殊なサイズのため
ワンサイズ太いネジからダイスで切り出して作って使います。
配線は交換いたします。
高速シャッターは開ききらず
低速シャッターはスローガバナへのリンクが働かず
全て1/60で切れてしまっています。
どちらも積年の汚れによる動作不良と思われます。
稼動部分は全て清掃して動作をチェックしていきます。

いろいろトラブルは抱えていますが
どれもOM-1でありがちなトラブルばかりです。
扱いなれているカメラでも
見たことのない、或いは原因の予測できないトラブルは
とんでもなく時間がかかることもありますが
分解品やショック品でない限り
大抵は同じようなトラブルが起きるものです。
今回は症状をみているだけで
原因がある程度予測されるものばかりなので
あとはきっちり丁寧に整備すれば大丈夫だと思います。
きっちり整備されたOM-1の使い心地は
やはり上質で気持ちよいものです。

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ペンタックスMEスーパーのカメラ修理

今日は「春の睡眠の日」だそうです。
(ちなみに「秋の睡眠の日」は9月3日)
「春眠暁を覚えず」とは昔からいいますが
私の場合は年から年中眠いですけどね(笑)
サラリーマン時代に比べれば
通勤時間も5分だし、
睡眠時間は確保できているはずなのですが
6時間睡眠が3日続くと
昼間、集中力が続かなくて話になりません。。。
7時間寝ていると割りとしっかりしているような気がします。
起きる時間が決まっているのだから
その7時間前に寝ればいいのですが、これがなかなか。。。
まぁ夜中までお店にいていろいろやってるから
しかたがないのですが。。。
それにしても睡眠は健康の基本ですから
時間だけではなくて質の良い睡眠をとらなくてはいけませんね!

さてさて

今日は「ペンタックスMEスーパー」のカメラ修理を行っています。
先週もMEスーパーの修理がありましたね。
ペンタックスMシリーズの中核といえるモデルだと思います。
絞り優先AE専用機でエントリーモデルだった「ME」に
1/2000のシャッタースピードとマニュアル露出を与え
スクリーンも明るいブライトマットスクリーンに変更し
一気に高級機へと変身させたカメラとも言えると思います。
もともとMEの操作性はエントリー機らしからぬ
気持ちよさがありましたからMEスーパーくらいの機能が
本来の姿のような気もします。
唯一、好みによっては操作しづらいと感じるかもしれない点は
やはりプッシュ式のシャッタースピード設定だと思われます。
慣れてしまえばそれほどの問題ではないのですが
個人的にどっちが良い?と聞かれれば
やはりダイヤル式のほうが使い勝手が良いとは思います。

お預かりしている「MEスーパー」は
ご依頼者様が最近、某オークションで手に入れたものだそうです。
動きはそれほど悪くはないのですが
一番の問題は自慢のブライトマットスクリーンが
キズだらけな上に何か焼けたように変色しています。
おそらくアルコールか何かで拭いたのではないかと思われます。
ファインダースクリーンはモルト屑等が付着しやすい位置にありますし
拭きたくなる気持ちはわかるのですが
よっぽどきちんと取り扱いがわかっている方以外は
決して触れてはならない場所です。
ほこり、ゴミの付着等が気になる場合は
ブロアで飛ばす程度にとどめていただければと思います。
スクリーンは一般的にプラスチック製で
非常に小さい溝の集まりでフレネルを形成しています。
溶剤の類には非常に弱く
アルコール等で軽く拭くだけでフレネル表面が溶けてしまい
拭き跡として残ります。
おまけに非常にキズも付きやすい材質なので
軽くツメやピンセットの先端で触れてしまっただけでも
非常に目立つキズとなってしまいます。
スクリーンの洗浄・清掃はできるだけプロにお任せいただければと思います。

スクリーンは中古良品と交換で対処いたします。
スクリーン交換希望のご依頼も比較的多いのですが
キズの全くないスクリーンの確保は年々困難になってきています。
現在、スクリーンのキレイなカメラを使っている方は
その取り扱いにくれぐれもご注意いただければと思います。
スクリーン以外にも分解前にチェックを行った結果
シャッタスピード、露出計、オート露出
それぞれが非常に不安定な状態のなことが発覚しています。
考えられる原因箇所を整備しつつ
分解を行い組み立てていきます。

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オリンパストリップ35のカメラ修理

今日は「漫画週刊誌の日」だそうです。
1959年(昭和34年)のこの日に
少年マガジンと少年サンデーが発刊されたそうです。
親父が読んでいたこともあって
小学校低学年の頃には少年誌読んでましたねぇ。。。
その頃、好きだったのは。。。
ジャンプなら「サーキットの狼」と「すすめ!!パイレーツ」で
マガジンは「釣りキチ三平」で
チャンピオンは「ブラック・ジャック」、「エコエコアザラク」
「月とスッポン」、「マカロニほうれん荘」
サンデーは「まことちゃん」と「ダメおやじ」。。。とかかな。。。
(こうやってみると本当に古いな。。。(笑))
さすがに今は少年誌を読むことはないですが
ビッグコミックあたりは欠かさず読んでます(笑)

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
コンパクトなカメラを得意とするオリンパスらしい
気軽に持ち歩けるカメラです。
1968年の発売ですがそれより6年前に発売されていた
「ペンEES」のフルサイズ判ともいえると思います。
シャッター機構や露出制御等の構造はほぼ同一です。
光量不足の場合に出る「赤ベロ」も
ペンEESと同様です。
セレン光電池を使用したオート露出で撮るカメラで
シャッタースピードは1/30、1/250の2速
ピント合わせは4点式のゾーンフォーカスです。
レンズは40mmF2.8を搭載します。

お預かりしているトリップ35は
ASA感度設定リングとピントリングに
大きなガタが出ていて操作していると外れそうです。
ペンEE系の修理に際にも何度か書きましたが
このトリップ35も全体的に
ネジが緩みやすいカメラです。
早速分解してみるとやはりあちこちのネジが
緩みかけでこのまま使っていると
もっと色んなところのネジが外れていくと思われる状態でした。

セレンを使うオート露出のカメラなので
やはりセレン光電池の状態が一番心配されるのですが
今回は多少の劣化はもちろんありますが
十分起電しているようです。
比較的、ペンEE系のセレンは起電できないほど
劣化しているものは少ないように感じます。
劣化しているものが多いのはやはりオートハーフ系かな。。。
とはいえ、さすがにお預かり時の状態では
オート、露出計、共に調整が必要な状態でした。
シャッターユニット、オート・絞り機構整備等を一通り行った後で
露出計をオート(絞り制御)の調整も行います。

電池要らずでどこにでも気軽に持ち歩ける
トリップ35はその名の通り
ちょっとした旅行やお散歩のお供にも最適だと思います。

ミノルタSRT101のカメラ修理

今日は「十六団子の日」だそうです。
東北地方や北陸地方で行われている伝統的な行事で
田の神が山から戻ってくる日とされており
団子を16個供えて神を迎える行事が行われます。
10月16日には神が山に帰る日として
同じように団子を供えるのだそうです。
昔ながらの農事に関する行事は
どれも素朴で趣がありますね。
昔の人は現代人よりももっと四季のうつろいを感じながら
生活していたのだと思います。
やはり店の中にこもりきりじゃなかなか季節を肌で
感じることは難しいですねぇ。。。
早朝に散歩でもしようかな。。。(笑)

さてさて

本日は「ミノルタSRT101」のカメラ修理を行っています。
ミノルタは比較的早い時期に機械制御シャッター機から
電子制御シャッター機へと移行が完了しましたが
ミノルタの機械制御シャッター機の代表といえば
やはりこの「SRT101」だと思います。
この後に発売されたSRTスーパーや
SR505、SR101も全て基本的な部分はこのSRT101と共通です。
SRT101そのものも7年以上生産された
ロングセラー機で元々の設計が非常に優れていたことがわかります。
実際に使ってみるとスペックは必要にして充分
加えてミノルタらしい使い心地のよさで
非常に楽しく撮影を行えるカメラです。

お預かりしているSRt101は
もともとご依頼者のおじいさまのカメラなのだそうです。
譲り受けてから使ってみているのだそうですが
頻繁にミラーアップしたままになってしまうとのことです。
ミラーアップの原因は
定番ですがやはりシャッター幕走行不良が原因です。
きちんと走りきらないからミラーダウンができないのですね。
もちろんミラー駆動部そのものも油切れで
動きが悪いことも拍車をかけています。
シャッター露光量、及び幕速を
測定機で計ってみるとやはり後幕の動きがかなり悪いようで
高速シャッターの精度は全く出ていません。
露出計はとりあえず動作していることはしているのですが
指針の動きが非常に不安定で
適正露出を得ることが難しい状況です。

トラブルはいくつかありますが
どれも汚れや油切れによるもので
放置されていた年月を考えると良い状態だと思います。
もちろんこのままでは使えないので
分解してひたすら清掃と注油を繰り返します。
SRT系はCdS周りのハンダが劣化していることも多いので
ここも無条件にハンダをやり直します。
上写真は一通り整備が完了した時点でのものですが
非常に気持ちよく動作するようになりました。
SRT101はシルバーのほうが見かける機会は圧倒的に多いですが
ブラックのSRTも引き締まった感じでカッコ良いですね。

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ヤシカエレクトロ35GSNのカメラ修理

今日は「靴の記念日」なのだそうですよ。
靴って見た目にも機能的にも大事ですよねぇ。。。
足にあってない靴を履いていると
間違いなく身体に悪影響出てしまいますし
ほかでどんなにオシャレでも
靴がボロボロだったり汚かったりすると
全部台無しになってしまいますものね。
。。。とか言いながら普段履きの靴には全く
無頓着だったりします。。。(汗)
革靴と登山靴にだけは気を使っているつもりなのですが
何せ履く機会が激減しているもので。。。
特に用事がなく人目が気にならない場面では
しめつけられなくて風通しの良い
裸足にサンダルが最強だとは思いますが。。。(苦笑)
そういえば子供の頃にサンダルのことを
「つっかけ」って呼んでいましたが今や死語ですか?(汗)

さてさて

今日は「ヤシカエレクトロ35GSN」のカメラ修理を行っています。
昨日はエレクトロ35シリーズ最終モデルのGXでしたが
今日は1973年発売の「GSN」です。
「GSN」は基本的に初代エレクトロの流れを汲むカメラで
ボディサイズや機能は初代エレクトロと同様です。
GSNが発売になった頃には
既に「CC」(35mmF1.8搭載)や「MC」(目測式ピントの小型機)が
登場していたのでバリエーションが拡がっていた頃です。
初代とほぼ同様とはいえ初代のデビューから7年経っているため
細かな部分を含めると変更点は多く
正常進化した完成形といってよいモデルだと思います。
個人的にはエレクトロ35といえば
他メーカーには存在しない
ギラギラしたシルバーが何ともいえない質感で
とても好みだったりします。

お預かりしているエレクトロ35GSNは
おそらく過去に落下させてしまったのだと思われますが
レンズ前枠に大きな歪みがあります。
加えてピントリングは空回りしており
ピントリングを回してもヘリコイドは回らない状況です。
ヘリコイドがかなり固着している状態だったので
その状態で無理やり回していて
ピントリング留めが外れたのだと思われます。
エレクトロ35ならではの
昨日も書いた巻き上げ時の「カツン」音はするのですが
オートは全く精度が出ておらず
LV15の光量(よく晴れた日中の昼間の明るさ)でも
黄色ランプ(スローシャッター警告)が点灯し
オートは大オーバーになってしまう状況です。

カツン音がしているので大丈夫だとは思っていましたが
トラブルの多いレリーズ部ゴムブッシュは
丈夫なものに交換された形跡がありました。
今回のオート不良はレリーズ電気接点部分の
汚れによる接触不良が原因のようです。
古いタイプの電子基板なので
リード線が多くなかなかややこしいですね。
まずはシャッターユニット周りから整備に取り掛かり
レンズ清掃やヘリコイドの清掃及びグリスアップ
ファインダー調整等々、一通りの整備を行いないます。

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ヤシカエレクトロ35GXのカメラ修理

今日は3・14ということで
「円周率の日」だそうです。
そういえば20年位前に
これから学校でも円周率は「3」で教えられる。。。と
噂が立ちましたが実際は誤報だったのですね。
3.14だとしても概数に過ぎないのですが。。。
それにしても円周率って不思議な数字ですよね。
だって延々続くのですよ
難しい言い方をすると無理数であり且つ超越数でもあるのですね。
円周率=πにちなんで
今日は「パイの日」でもあるそうです。
私の生まれ育った呉にエーデルワイスという
洋菓子店があるのですが
そこの「クリームパイ」がめちゃくちゃ美味しいのですよ。
二十歳くらいの頃に
半日かけて1ホール食べきったこともあったなぁ。。。(笑)
次回の墓参りの際には絶対買って食べよう!(笑)

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GX」のカメラ修理を行っています。「
「ろうそく1本の光でも写る」カメラを目指して
発売された初代エレクトロが1966年発売で
今回の「GX」が1975年発売で
エレクトロ35シリーズの最終モデルにあたります。
10年の間に随分小型化されましたが
基本的な構造や操作性は初代とほとんど変わりありません。
操作で特徴的なのは巻上げたときに途中で
レリーズ戻る「カツン」という音がするのですが
これも初代からGXまで共通です。
この音がしない場合はレリーズ部にある
ゴムブッシュが劣化していて
オート精度が全く出なくなります。

お預かりしているGXは
巻上時に例の「カツン」するのですが
かなりブッシュがへたっていて
本来の役目を果たしていない状態です。
そのためシャッター半押しの際に毎回
一瞬、赤ランプが点灯します。
オートも非常に不安定で
明るさが十分にある場合でも
たまにシャッターが開きっぱなしになってしまいます。
加えて距離計は縦横共に大きくズレていて
レンズ前玉群には気泡が見られます。
レンズに関してはご依頼者様から
部品取用の個体をご提供いただいているので
そちらから移植を行います。

エレクトロ35シリーズはその名の通り
全モデル、電子制御シャッター機です。
(一部のモデルを覗いて大部分がコパル製)
しかしながら同時期の他の電子制御コンパクトに比べても
電子部品トラブルはかなり少ないほうかと思います。
比較的前期(サイズが大きい頃)のモデルには
たまにどうにもならないものが存在したり
電池室からの腐食で基板まで修復不可のものも
たまに見かけますが。。。
今回もブッシュを交換し、レリーズやシャッターユニット周りの
接点を清掃することでオート制御は非常に安定しました。

以前にも書きましたが
ボディ前板部分に貼っているプレート
「AE・AF」のAFは「オートフラッシュ」の略です。
(フラッシュが一体装着されているわけではなく
外付けのフラッシュを制御できるということ)
AEはオート露出でわかるのだけど
MF(マニュアルフォーカス)なのに
何故、「AF」なのだろう???と長い間思っていました(苦笑)

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ペンタックスMEスーパーのカメラ修理

今日は「サンドイッチデー」だそうです。
「1」が「3」にサンドされているからだそうです。
これとは別に「サンドイッチの日」は11月3日にあるのですよね。
こちらは生みの親「サンドイッチ伯爵」の誕生日だそうです。
最近、コンビニのサンドイッチくらいしか
食べていないので「美味しいサンドイッチ」なんてご無沙汰ですねぇ。。。
朝晩は基本的にお米なので
パンを食べること自体も少なめではありますが。。。
寄る年波のせいかマヨネーズやマスタードの味が
濃すぎて美味しく感じなくなってきているので
自然な味わいのサンドイッチとかを
ひなたぼっこしながら食べたいですねぇ。。。

さてさて

本日は「ペンタックスMEスーパー」のカメラ修理を行っています。
先にデビューした絞り優先AE専用機「ME」に
マニュアル露出モードと1/2000のSSが追加されたモデルです。
この二つの機能が追加になったおかげで
エントリー機から一気に高級機の機能となりました。
他にもファインダースクリーンが
「クリアーブライトマットスクリーン」に変更となり
明るくピントのキレもよくなりました。
発売開始は1979年です。
シャッタースピード設定は通常のダイヤル式ではなく
プッシュボタン式です。
電子制御シャッター機ならではの装備ですが
使いやすさについては賛否の分かれるところだと思います。
このプッシュボタン方式は後の「Aシリーズ」や
中判一眼レフにも受け継がれます。

お預かりしているMEスーパーは
ご依頼者様の奥様のお父様が使っていたとのことです。
ここ数十年はおそらく使われていなかったものと思われます。
全体的にカビが酷く、モルト類は当然劣化していますが
ME系の定番トラブルである
「ミラーアップしたまま固着」は今のところ発生していません。
しかしながら接点の汚れかと思われますが
露出計がフラフラと安定せず
それにともなってオートも不安定という状況です。
いずれにせよ、一通りの整備が必要のようです。

ミラー駆動部は
よくこれでミラーアップが起きていないな。。。と思うほど
ゴムブッシュの加水分解が進んでいました。
ペンタックス機なので内部モルトは多めですが
もちろんこちらも全滅です。
モルトやゴム部品は消耗品なので
定期的に交換してやらないと色々な不具合が出てきますが
そのあたりに手を入れてやると
ME系は非常安定しているカメラです。
電子制御機とはいえ電子系のトラブルは多くありません。
今回のMEスーパーも
これで当分は安心して使っていただけると思います。

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リコーオートハーフE2のカメラ修理

今日は「パンダ発見の日」だそうです。
1869年のこの日に
中国・四川省の民家で
伝道中のフランス人神父アルマン・ダヴィドが
白と黒の奇妙な熊の毛皮を見せられたのだそうです。
これが西洋でパンダが知られるきっかけになったのだそうです。
パンダって不思議な動物ですよね。
何故、中国の限られた地域にしかいないのか。。。
何故、白黒なのか。。。とか。。。
主食は竹や笹の葉ですが
本来、雑食性で腸や盲腸は草食としては
短いことがデメリットとなり
本来、竹や笹を食べる場合、栄養効率が非常に悪いそうです。
そのため効率の悪い部分を量で補うことになり
1日の大半を竹を食べることに費やしているそうです。
竹や笹しか食べないわけではなく
飼育されているものは肉や野菜を主食として食べるそうです。
うーん、やっぱり不思議な動物ですね。

さてさて

本日は「リコーオートハーフE2」のカメラ修理を行っています。
オートハーフも月に1、2台は必ず修理依頼のあるカメラです。
コンパクトで真四角なデザインは
レトロさも感じられ持ち歩きたくなるカメラです。
巻上はゼンマイ仕掛けで自動巻上
ピントは固定焦点、露出はオート、ということで
構えてシャッターボタンを押すだけで撮れてしまう
楽ちんなカメラです。
設計者の方が「自分の50歳の母親でも簡単に撮れるカメラ」ということで
開発され、女性のハンドバッグ、男性の上着のポケットに
入るほどの小型化を目指して作られたのだそうです。
オートハーフシリーズの初代モデルは
1962年の発売ですが
細かい仕様変更等を重ねながらも
基本的な構造は変わらぬままに
80年代まで生産されたロングセラーカメラでもあります。

お預かりしているオートハーフは「E2」で
オートハーフEにホットシューが追加されたものです。
オートハーフで定番のトラブルといえば
やはり「露出計が動かない」、「オート露出が効かない」ということですが
今回も露出計が動作しておらず
オートは全く効いていない状況です。
つまり明るさに関係なく常に絞り開放で撮れてしまうということです。
セレン光電池を使った露出計なので
やはりセレンの劣化が心配なところですが
ここ数年、修理に入ってくるオートハーフを見ていると
露出計不動の固体の中で
セレンが劣化して起電しないものが半分くらい
残りのもう半分は露出計そのものが壊れているものが多いようです。
もちろん、両方がダメなパターンも結構見かけます。
今回は残念ながらセレンが完全に死んでしまっているようです。
部品取り用の個体からセレンを移植することで対応します。

露出計だけではなく、やはりシャッターや絞り機能も
随分と動きの悪い状態でした。
オートハーフのシャッターユニットや
そのサイズ的な制約も合って
バネの非常に小さな力で駆動しています。
ちょっとした汚れ等ですぐに撮影に影響が出る、あるいは
撮影できないほどに動作不良になってしまいます。
もちろん、一度しっかり整備してしまえば
快調に動くようになります。
オートハーフと言えばその多彩な前板部のデザインに
興味がそそられますが
特にめずらしいモデルでなくて通常に販売されていたものだけでも
かなりバリエーションがあり
そのどれもがこの時代ならではのものが多く非常に魅力的です。
今回のサンレッドも非常に良い感じです。

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カロワイドのカメラ修理

今日は3月10日です。
これまた語呂合わせの記念日が多そうですが。。。
「砂糖の日」、「佐渡の日」、「横浜三塔の日」
「サボテンの日」、「水戸の日」、「ミントの日」。。。などなど。。。
そんな中、1975年のこの日に
山陽新幹線岡山-博多間が開業し
東京-博多間の東海道・山陽新幹線が全線開通しました
そのため今日は「東海道山陽新幹線全通記念日」なのですね。
私はこのとき6歳ですが、かすかに覚えてますよ
広島についに新幹線が通るということで
じいさんに「広島駅まで新幹線を見につれてって!」と
お願いしたことを良く覚えています。

さてさて

本日は「カロワイド」のカメラ修理を行っています。
「カロ」ブランドは
コルゲンコーワやウナコーワ、
ケロちゃんコロちゃん等でお馴染みの
製薬会社興和の光学部門が生産していたカメラのブランドです。
興和は現在でもマイクロフォーサーズ用の単焦点レンズを
プロミナーブランドで生産しています。
1950年代~70年代にかけては
コーワブランドやカロブランドで
コンパクトカメラから中判一眼レフ、二眼レフまで
幅広く生産・販売を行っていました。
カロワイドは1955年の発売で
その名の通り35mmF2.8の広角レンズを搭載した
コンパクトカメラです。
同じ年にオリンパスワイドが発売され
にわかに「ワイドカメラブーム」が起こっていた頃です。
広角レンズ固定のカメラはピントは目測の場合が多いのですが
カロワイドはレンジファインダーを装着し
精密なピント合わせが可能です。

お預かりしている「カロワイド」は
レンズシャッター機では定番の
シャッター羽根粘りを発症しています。
未整備のレンズシャッター機は
ほぼ間違いなくこのトラブルに直面することがあると思います。
シャッター羽根や絞り羽根をキレイに清掃し
シャッターユニットも古い油を除去し
新たに必要最小限の注油を行うことで改善します。
絞り羽根もシャッター羽根も同様ですが
粘っている状態や固着している状態で
無理に動作させるのは厳禁です。
最悪の場合、羽根自体が破損してしまい
清掃だけで済むものが部品が手に入らないと
修理不可能になってしまいます。

写真は一通り分解整備完了後の状態です。
レンジファインダーがヘリコイド部と一体で
脱着できるようになっており整備性はなかなか良好です。
貼り革は一度張替えが行われているようで
オリジナルではありません。
元々はこの時代特有の薄いパリパリと割れてしまう革なので
おそらく張り替えざるを得ない状態だったのでしょう
シャッターそのものは非常にスムーズに
動作するようになりました。
もちろん、レンズ・ファインダー清掃等々も行っており
お預かり前より断然クリアになっております。
この時代ですからコンパクトカメラと言っても
少し大きくずっしり重いのですが
その分、高級感や質感は非常に高いです。

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オリンパスオートアイ2のカメラ修理

今日は3月9日。。
3(サン)・9(キュー)ということで
「3・9デイ(ありがとうを届ける日)」だとか
「感謝の日」などが設定されています。
私のところはお客様あっての商売なので
お客様に感謝の意を伝えるのは
当たり前のことなのですが
それ以外にも日頃からお世話になっている
色々な方々に改めて感謝しなくてはいけませんね。

さてさて

本日は「オリンパスオートアイ2」のカメラ修理を行っています。
「オートアイシリーズ」は
初代オートアイと今回の「2」の2種類しかないのですが
ちょっと悲運なカメラだったといえると思います。
初代オートアイは1960年の発売で
シャッタースピード優先AEを搭載し
いわゆる「AEカメラ」の先駆者的なモデルでした。
しかしながら翌年にカメラ業界のそれまでの常識を覆すような
強烈なライバル、「キヤノネット」が登場しました。
スペックはオートアイを上回り
価格はオートアイよりお安いキヤノネットは
社会現象となるほどにこのタイプのカメラのマーケットを
キヤノネット一色に染めていきました。
オリンパスも対抗策としてさらにその翌年
後継のオートアイ2を発売します。
しかしながら一度、キヤノネット一色になった市場を
ひっくり返すことは至難の業で
オートアイシリーズは2年弱で生産終了となってしまいました。

オートアイ2はDズイコー43mmF2.5のレンズを搭載し
シャッターはコパル製で最高速は1/500
今、こうしてみるとキヤノネットにそれほど劣るとは思えません。
セレン式の露出計を装備し
基本的にはシャッタースピード優先AEで使うカメラですが
マニュアル露出も可能です。
こうして書いていると機能的にはキヤノネットとほぼ同様なのですね。
ただ操作性は確かにキヤノネットのほうがわかりやすいと思います。
露出計SWとなっているマウント横のレバーを押すと
ファインダー内の絞り値円盤が回転して絞り値を表示します。
なかなか変わった仕掛けです。
他にもなかなか凝った造りの部分が多く
カメラ好きの方ならオートアイのほうが触り甲斐があるかもしれません。

お預かりしているオートアイ2は
シャッターチャージができずシャッターが切れない状態です。
巻上機構からシャッターユニットの
チャージレバーへとリンクするプレートが脱落しており
チャージができない上にシャッターユニット側の
チャージロックが効かない状態でした。
さらに距離計はピントリングを回しても全く動かない状態です。
距離計側が完全に固着してしまっているようです。
心配されるセレンは無事だったのですが
露出計本体の動きが悪くほぼ不動の状態です。
内部構造も少々独創的で
単純に分解して清掃というわけにもいかず
特に再組み立て時にはかなり苦労させられました。

もちろん整備完了後はストレスなく
オートでもしっかり使える状態になりました。
距離計を使ったピント合わせも快適で
シャッターの動きも軽快です。
ペンEEシリーズと同様のグレーの貼り皮がお洒落ですね。
これからの季節を撮り歩くのに
非常にマッチした1台だと思います。

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