日別アーカイブ: 2022年11月28日

ミノルタX-700のカメラ修理

今日は「太平洋記念日」だそうです。
1520年のこの日に
ポルトガルの航海者フェルディナンド・マゼランが
後に「マゼラン海峡」と命名される
南米大陸南端の海峡を通過して太平洋に出たことが由来になっています。
「マゼラン艦隊の世界周航」ですね。
出発時のクルーは237人で船は5隻
それが約3年もの過酷な地球1周で残った船はビクトリア号1隻
クルーはたった18人になってしまいました。
指揮官のマゼランも残念ながら現在のフィリピンで
戦死してしまいました。
この時代の航海なので調べれば調べるほど
壮絶な状況だったことがわかるのですが
輝かしい功績と併せて立ち寄った土地での
略奪行為や現地住民への改宗の強制など
侵略者としての1面も垣間見え
なかなか複雑な心境になりますね…
マゼラン海峡を越えて太平洋に出た後に
天候が良く平和な日が続いたため
この海を「Pacific Ocean」
(平和な・穏やかな大洋=「太平洋」)と名付けました。
天気は穏やかだったもののこの太陽横断時にも
食料の不足や壊血病に悩まされ大変な航海だったようです。

さてさて

本日は「ミノルタX-700」のカメラ修理を行っています。
1981年に発売されたカメラで
長らくミノルタのMF最上級機の座に君臨したカメラです。
それまでのXG系のフレームから脱却し
基本構造から完全新設計された機種であり
この時代なのでプラスチッキーな質感ではありますが
ミノルタらしい使い心地の良さと
非常にキレの良いファインダーでMFが楽しくなるカメラです。
クラスでいうと中級機相当のカメラではありますが
いわゆるX3桁シリーズの中では最上級のモデルでもあり
1999年まで販売され、登場から18年間もの間存在し続けました。
これはあのオートフォーカス機の先駆者「αシリーズ」が登場してからも
MF最上級機として君臨し続けていたということなのですね。
初期の国内向けも出るのはAEロックがないヴァージョンだったのですが
すぐにAEロック付きの「ニューX-700」に切り替えられました。
「ニュー」にはシルバーボディが存在しないため
現存する数は少ないのですがシルバーボディのX-700は
AEロックのない初期のモデルとなります。
その使い心地の良さから根強いファンも多く
電子制御機としても洗練された時代の製品の為
電気的トラブルも比較的少ないカメラです。

お預かりしているのもブラックの「X-700」ですが
AEロックのない初期モデルです。
見かけることが多いのは圧倒的に「ニュー」なので
初期のX-700はひさしぶりに見たような気がします。
ご依頼者様が昔から使っていた個体だと思われますが
近年は使われずに仕舞い込んだままだったと思われます。
若干、電源が不安定でそれに関連して
露出計・オート制御が不安定です。
それとは別の問題でシャッターの動きも少し悪く
高速シャッターのバランスは狂っており
このまま撮影すると高速SS時には左右の露光バランスが
崩れた状態になるかと思われます。
さすがにモルトも全滅でその劣化したモルトの為
裏蓋の淵まで少々腐食してしまっています。
ファインダー内も劣化したモルト屑でゴミだらけです。
動かないわけではないですが
このまま使うのはかなり問題がある状態です。
全体的に動作部をリフレッシュして動きを良くし
電気接点も一通り清掃が必要な状態です。

いけん…また分解時の画像を撮っておくのを忘れてしまいました…
特にこういう電子制御カメラはそうなのですが
分解している状態ってフレキも接点も露出している状態で
非常に無防備でリスクの高い状況の為
集中して短時間に分解して一通りの整備を行って
一気に組み立ててしまいたいのですね…
で、画像とか撮ってる場合ではなくなってしまう…と…
まぁそれも単なる言い訳なのですが…(苦笑)

何はともあれ一通り機械的な整備を行い
電気的調整も行ったので現在の動きは非常に安定しています。
シャッタースピード、オート制御の精度も
全く問題ない状態になっています。
このミノルタの新しいロゴや「X-700」のロゴも
電源SWやSSダイヤルの配色も
妙に80年代を感じさせて何とも懐かしい気分になります。
個人的にも非常に好きなカメラなので
ご依頼者様にはまた再びこのカメラを
ガンガン使っていっていただければとも思います。

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