日別アーカイブ: 2024年7月15日

キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「海の日」で祝日ですね。
私には長年、縁がありませんが
世の中は3連休最終日です。
1876(明治9)年、明治天皇の東北地方巡幸の際、
それまでの軍艦ではなく、灯台巡視船「明治丸」により航海をされ
7月20日に横浜港に帰着されたことを記念して
1941(昭和16)年に当時の逓信大臣・村田省蔵の提唱により
制定された7月20日「海の記念日」がもととなった記念日です。
その後、1995(平成7)年に国民の祝日の一つとして
7月20日が「海の日」に制定され、翌1996(平成8)年から実施されます。
さらに、2003(平成15)年の祝日法改正(ハッピーマンデー制度)により
日付が現在の7月の第3月曜日となりました。
実は「海の日」自体がいまだにピンときませんが
それでもイメージ的には「7/20」の印象がまだ強いです。
この時期だとまだ梅雨が明けていないことも多く
今日もそうですが天気も悪いことが多い印象です。
7/20前後ならちょうど本州の梅雨明け時期で
「いよいよ本格的夏スタート!」なタイミングで
いいような気がするのですが…せめて第4月曜とか…
まぁいろいろ事情があるのでしょうね…

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売の中級機です。
フラッグシップ「F-1」とほぼ同時期に開発・発売され
「F-1」からフィードバックされた部分もあり
サブ機としての位置付でも評価されたカメラです。
「F-1」同様に開放測光に対応していて
これも同時期に開発発売された新レンズシステム
「FDマウント」に対応します。
「F-1」との共通性を注目されることも多いですが
「F-1」も「FTb」も巻上やシャッター等の基本的構造は
「FX」以降の「前期Fシリーズ」がベースとなっており
中身を見ると同じような構造が確認できます。
シャッター音も「Fシリーズ」通して共通の
アタックの効いた歯切れの良い音が特徴です。
未整備で動きが鈍くなると「ギャッ」といった感じの
ノイズ成分が混じるところも同様です。
もちろん「F-1」の「FTb」もそれぞれブラッシュアップされ
機能的には当然ながら洗練されています。

今回の「FTb」は1973年発売の
マイナーチェンジ後のモデルです。
いわゆる「FTbーN」と呼ばれるモデルです。
巻上レバーの形状やレリーズボタン回り
セルフタイマー部のデザインが変更されています。
そしてファインダー内には設定SSが表示されるようになりました。
機械的な機構やスペックはマイナーチェンジ前と変わりません。
お預かりしている個体は全体的に動きが少し悪く
巻上やシャッター音にも油切れの兆候が見られます。
測定してみるとやはり高速シャッターの精度は出ておらず
加えて値も不安定です。
露出計もおそらくSWの接触不良があり
露出計だけではなくバッテリーチェック時にも指針が落ち着かず
フラフラしてしまうような状況です。
「FTb」だけではなく「Fシリーズ」を通して
定番のプリズム腐食はほとんどありませんが
その原因となるプリズム抑えのモルトもベタベタに劣化していて
もう少し経過するとプリズムカバーを乗り越えて
プリズム本体に浸食が始まりそうな状態です。
フィルム室のモルトも同様に全滅で
やはり全体的に整備の必要な状態です。

画像は取り掛かり始めの段階のモノです。
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
画像にもまだ劣化したモルトの付いたプリズム抑えと
そのモルトが付着したプリズムカバーが写っていますが
プリズムカバーの隙間からさらにプリズムに浸食して
「Fシリーズ」でよく見かける
ファインダー内に液体が流れたような跡に見える
プリズム腐食になってしまいます。
キレイなプリズムもなかなか入手が難しくなっているので
今回は大きなダメージがないのは幸いです。

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