キヤノネットQL19のカメラ修理

今日は「富士山の日」だそうですよ。
「ふ(2)じ(2)さん(3)」(富士山)と読む語呂合わせと
この時期、富士山がよく望めることからだそうです。
そうなのですよねぇ
天気が良くても意外と富士山は
雲に隠れて見えないことも多いですものねぇ
頭やらかして以来、すっかり縁がなくなりましたが
私も山歩きは好きで富士山も一度登っています。
いつだったっけ?と思って調べたら2010年の夏…
もう13年前になるのかーーーー
夏山に出かける分には登山道も整備されていて歩きやすく
途中に山小屋も多く人も多いため
心配事は少なくてすみますね。
でも3000m超の山ですからもちろんそれなりにハードでした。
9合目から上は明らかに空気も薄いです。
北岳(3193m・日本で2番目に高い山)は何度も登っていて
あまり空気の薄さを感じることはありませんでしたが
3500m超えるとやはり違いますねぇ
でも個人的には1回でもう充分…って感じでした…
道や景色が単調すぎるのと、やはり人が多すぎる…(苦笑)
富士山はともかく南アルプスの山々には
もっともっと行きたかったですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノネットQL19」のカメラ修理を行っています。
社会現象になるほど大ヒットした初代キヤノネットの
構造を受け継ぎながらもより改良の進んだカメラです。
巻上レバーや巻き戻しクランクは初代の底部配置から
一般的なボディ上部に移設され
露出計受光部もセレンからCdSに変更されています。
モデル名にも「QL」とありますが
この時代のキヤノンのお得意ともいえる
「クイックローディング」が搭載され
フィルム装填もかなり簡単に行え、失敗も少ないと思われます。
基本的な機能や構造は初代から受け継がれていて
大口径レンズにレンジファインダー搭載
SS優先オートに加え
露出計はオフになるもののマニュアルも可能という部分は
最終モデルの「G-Ⅲ」まで受け継がれるキヤノネットの特徴です。
この4年後に出る「ニューキャノネット」になると
小型化が一気に進みますが
まだこの時代のキヤノネットは初代同様、少し大き目のボディです。
その分、撮影時のホールディングはしやすく
内部構造にも余裕があり整備性も良好です。
非常にバランスの取れた良いカメラだと思います。

お預かりしているキヤノネットは巻上はできるものの
レリーズしてもシャッターがうんともすんとも言いません。
でもレリーズボタンを押すと次の巻上が行えます。
典型的なシャッター羽根固着の状態です。
レンズシャッター機の宿命とも言える症状です。
シャッター羽根がこれだけ貼り付いているということは
オート制御の構造があるため
もっと小さなバネ力で駆動する絞り羽根も当然のように固着です。
シャッターユニット内からキレイに清掃して
無駄な油脂類や汚れを落とし、羽根自体の入念な清掃が必要です。
他にも距離計のズレだったり
レンズやファインダーに汚れ・カビが見受けられます。
電池室には当時の水銀電池がそのまま入っていましたが
意外なことに電池室や配線へのダメージはあまりないようです。

いずれにしても全体の一通りの整備が必要な状況です。
先述した通り整備性も非常に良好なカメラです。
初代はレンズユニットと露出計のSS情報伝達が
ちょっと独特な構造で行われており
デリケートな部分もあったのですが
そのあたりも「QL17/19」になると改善されています。
ファインダー絞り表示も固着しやすい初代の構造から
改良されています。
反対にオート制御は初代とほぼ同じ構造ですね。
ここは改良する必要がないほどよくできているということでしょうね。
これから本格的に各部の分解整備に取り掛かります。

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