日別アーカイブ: 2025年6月8日

ヤシカエレクトロ35Gのカメラ修理

今日は「成層圏発見の日」だそうですよ。
1902(明治35)年のこの日に
フランスの気象学者テスラン・ド・ボールによって
成層圏が発見されたことに由来しています。
成層圏とは、1万m(10km)以上の上空で
気温が一定していて気象の変化がなく
約50kmの厚さで地球を取り巻いている大気の層のことを意味します。
地球の大気の高度約11kmまでが雲のある対流圏と呼ばれ
その上の高度約11~50kmの範囲が成層圏と呼ばれています。
成層圏は雲がなくいつも快晴であり
ジェット機が飛んでいるのもこの成層圏である。
また、成層圏の中にオゾン層が存在し
太陽からの紫外線を吸収しています。
地表と成層圏の間は対流圏で、空気が対流し雲が生じる層です。
成層圏は範囲が広いですが
youtubeとかで調べてみると15mくらいの気球を高度48kmあたりの
成層圏まで飛ばしている動画があり30kmあたりになると
もはや空も真っ暗になりもはや宇宙です。
気温はおよそマイナス40℃ほどのようです。
地面を30km進むのなんて比較的簡単な気がしますが
上空30kmはもう別世界なのですね。

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35G」のカメラ修理を行っています。
1968年発売のカメラです。
基本的にはその2年前に登場した初代エレクトロ35と変わりませんが
モデル名の「G」は「ゴールドメカニカ」で
基板の電気接点にそれまでのロジウムメッキから
金メッキに変更し耐久性を向上させたモデルです。
基本的なスペックは前期のエレクトロに共通の
シャッターはコパルエレク、レンズは45mmF1.7の大口径
電子制御シャッターで絞り優先オート専用の
レンジファインダー機です。

お預かりしている「エレクトロ35G」は電池室を開けると
中に当時のHM-4N積層水源電池が入ったままとなっており
電池室の状態が心配されましたが
幸いなことに大きな腐食や緑青は発生していないようです。
改めて代用電池を入れて動作を確認してみると
とりあえずシャッターは切れるのですが
シャッター制御がうまくできておらずオートの制御は
全く出ていません。
オートではなく「B」にセットしてもシャッターは速いSSで
普通に切れてしまいシャッターを開けたまま保持することができません。
要因はいくつか予想できますが
巻上時にレリーズ軸の戻る「カタン」という音もしないことから
レリーズ軸のゴムブッシュが溶解していることが予測できます。
これがダメだとオートの精度が出なくなるので
これも原因の一つと思われます。
あとは接点の汚れやハンダ・配線の劣化が原因と思われます。
古い電子制御機ですが意外と電子回路内のトラブルは
少ないカメラです。

実は画像にも写ってますが
レリーズ軸のゴムブッシュは跡形もないですね
そこにあった跡だけがかろうじて残っている感じです。
ブッシュは劣化しにくい材質のモノに交換し
他、接点やマグネット等々、シャッターユニットの
整備を一通り行っていきます。
この状態であれば撮影に全く問題のない精度に
仕上げられると思われます。

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