ニコンFフォトミックのカメラ修理

今日は普通にイメージすれば
もちろん「桃の節句」で「ひな祭り」なのですが
子供の頃から全く縁がなくてイメージわかないのですよねぇ(笑
3月3日で語呂もよいので他にもいろいろな記念日が
制定されていますが
そんな中に「三の日」なんてのがありますね。
日本三大協会というところが1993(平成5)年に制定した記念日です。
日本人は古くから数字の「3」を好み
「三種の神器」「日本三景」「三霊山」「三大祭」「三名園」「三大珍味」など
3つでくくることによって物事が安定すると考えられ
同協会では、その「3」についての収集、研究を行っているのだそうです。
「三大ほにゃらら」は確かに多いですよね!
(怒り新党を思い出しますね(笑))
そういえば「三種の神器」って
本来の秘宝の意味ではなく家電製品で例えて
1950年代は白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫
1960年代にはカラーテレビ・クーラー・自動車の3種類が
「新・三種の神器」とされていましたが
現在だと何になるでしょうね?
間違いなく「スマホ」は入りますよね?
…ん?…調べてみたら
やはりそういうのもいろいろ考えられているようで
「ロボット掃除機」「ドラム式洗濯機」「食器洗い乾燥機」とかが
あげられることが多いようです…
…いや…これ…何一つ持っていませんが?(笑)

さてさて

本日は「ニコンFフォトミック」のカメラ修理を行っています。
1959年にベーシックなアイレベルファインダーを搭載した
「ニコンF」が発売され
その3年後、1962年に発売された
最初のフォトミックファインダーを搭載したカメラです。
後に「フォトミックT」でTTL平均測光になり
「フォトミックTn」で中央部重点測光になり
フォトミックFTn」でいわゆる「ガチャガチャ」に対応するのですが
今回は一番最初の外光式露出計を搭載するフォトミックとなります。
本体側は通常の「F」と同様です。

お預かりしている「Fフォトミック」は
本体側も油切れ等の症状があちこちに見られ
シャッターは切れているものの
巻上はスムーズではなく
高速シャッターの精度は全く出ていない状態で
低速側は1/30以下もすべて1/60で切れる状態です。
スローガバナにリンクできていない状態です。
そのスローガバナも結構強烈に固着しています。
かなり長い間、使われずに仕舞い込まれたままだったと思われます。
それでもボディ側は分解整備清掃注油で
本来の動きを取り戻すことはそう困難ではないと思われますが
問題はフォトミックファインダー側です。
当時の水銀電池が入ったままで液漏れ腐食の原因となっていて
緑青・腐食がかなり広範囲に広がっています。
なんとプリズム内部まで緑青が見られる状態です。
プリズムの外側とか表面ではなくて
蒸着の内側です…もうこれはどうしようもありません。
ただ不幸中の幸いなのはプリズムを取り外して見ると
相当、緑青や腐食が目立つのですが
実際にファインダーに装着して接眼レンズから見ると
それほど目立たなく、緑青の酷い部分はほぼ視野外なのです。
外側部分のできる限りの清掃のみを行います。
そして露出計部分も残念ながら今回は修理不可能です。
電池室・SW部の腐食だけなら代用部品等を駆使して
何とかすることもできますが
内部の抵抗体がもう腐食と蒸着剥がれで残念ながら修理不能です。
ここは交換部品がないと残念ながらどうにもなりません。

通常はボディ側から整備を始めることがほとんどなのですが
今回はとにかくファインダー側に気がかりな部分が多かったので
フォトミックファインダー側から整備を始めています。
露出計に関しては残念ですが
通常の撮影ができるように他部分の清掃整備をしっかり行っていきます。

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ヤシカエレクトロCCNのカメラ修理

今日は3月2日…語呂合わせでわかりやすく
「ミニの日」ですね。
この記念日でいう「ミニ」は
いわゆるミニチュアのことを指しているそうです。
「ミニチュア(miniature)」は縮尺模型のことで
スケール(縮尺)に基づいて忠実に再現した模型のことを指し
「スケールモデル」とも呼ばれます。
ミニカーや鉄道模型もそうですねぇ
精密に再現されたミニチュアは見ているだけでも楽しいですし
持っているとなんだか所有欲も満たされるのですよねぇ
ハマるとちょっと怖い世界ですが…(苦笑)
プラモデルだってそうですねぇ
私はそこまでできませんが精密且つ美しく仕上げるモデラーさんの
作ったプラモデルは眺めていても息を飲む美しさですものね。
カメラだって大きな重いボディで堅牢に動くカメラもよいですが
小さくて精密に造られているカメラもまたいいものですよね。
この「小さくて精密」っていうキーワードに
弱い方は結構多いかと思います…私もですが…(笑

さてさて

今日のカメラもなかなか小さくて精密なカメラです。
(カメラは基本的にどれも精密ではありますが…)
「ヤシカエレクトロ35CCN」
コンパクトなボディに35mmF1.8の大口径広角レンズを搭載します。
この35mmというところが大きな特徴です。
エレクトロの他モデルは40mm~45mmのレンズを搭載しており
他メーカーのこのジャンルのカメラでも
40mm前後のレンズであることがほとんどです。
さらに目測ではなく距離計搭載となると
同じようなカメラはほとんどないと思われます。
ただし、このエレクトロCC(N)は
絞り羽根が2枚羽でかなり特殊な形状をしていますので
解放以外ではいわゆる「ボケ味」を楽しむカメラではありません。
でも絞り優先オート専用機なので
減光フィルター等を駆使して解放で使ってみるのは面白いかもしれませんね
このカメラだけではありませんがこの時代のカメラで
大口径レンズを搭載しているのは
光量の少ない場面で何とか速いSSを確保するためのものです。
この頃のフィルムはISO(ASA)100が標準でもありますし…
エレクトロは元来「ろうそく1本の光でも写るカメラを目指す」というのが
初代からのコンセプトなのでそこにブレはないですね!
ちなみにCCとCCNの違いは外装に「WIDE」のプレートが付いているくらいで
機能的にも変わりません。
シャッタスピードの最高速は1/250と少し遅めなので
感度400のフィルムを使う場合は少々注意が必要かもしれません。

お預かりしている「CCN」は一見電池室の腐食もなく
電池を入れるとバッテリーチェックランプも元気に点灯します。
シャッターも快調に切れているよう…です…が…いやおかしいですね(苦笑)
測定機にかけて簡単にチェックしてみると
明るさ・絞り設定に対して異様に速いシャッタスピードで切れています。
実際にフィルム面に届く光は当然ながらアンダーすぎて話になりません。
測定機でもエラーになる状態です。
無条件に最高速で切れてるいるのか???と思うとそうでもないらしく
非常に暗いところにレンズを向けると
少しだけ遅いシャッタースピードに制御されます。
ただそれも正常なら数秒シャッターが開くような状況での話です。
エレクトロシリーズなので光量不足気味でスローシャッターを
選択する場合は警告灯が光ります。
いろいろ試してみるとその警告灯が出るタイミングは正しいようです。
警告灯は出るのに実際は1/250で切れる…みたいな状態です。
うーん、マグネットの吸着の問題なのか
マグネット制御部の問題でしょうか…ちょっと珍しいパターンです。

うーん…いろいろ考えこんでしまいますが
いくつかこうなる原因に思いつくこともあるので
まずは簡単にて手を出せるマグネット周りから
いろいろ調べながら試していきます。
現時点では断言はできませんが
おそらく何とかなるのではないかとは思います。
こうなってくると電子制御カメラはやはり少々厄介ですね。
確率は低いですが
散々時間と手間をかけていろんなことを試しても
最終的には「修理不能」という可能性もあるわけなので…
まぁ今回は何とかなると思います。
考えられる問題個所を一つずつ検証しながら作業を進めていきます。

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キヤノンEFのカメラ修理

今日から3月ですねぇ…
やはり1・2・3月は一段と早く過ぎ去るような気がしますねぇ
ボーっとしてるとあっという間に4月になりそうです。
一部SNSではお知らせしていましたが
2月24日(金)の朝にPCがいきなり立ち上がりならなくなり
そのままメーカーに修理に出すことになってしまいました。
で、ここのブログもサイトも更新が止まっていたのです。
お金の動きから作業管理から納品書出力…
何もかもPCありきの業務だったのでさすがに参りました。
まぁメインの仕事であるカメラ修理整備だけは
黙々といつも通り進められるのですが…付帯業務は全滅です(苦笑)
メーカーさんが迅速に対応してくれたおかげで
週末のトラブルだったのにもかかわらず
昨日(火曜日)には修理完了で戻ってきたので
何とか被害は最小限で食い止められましたが
OS再インストールで
システムドライブはほぼ初期化されてしまったので
データドライブで保持していなかった一部データは完全に消失しました…
それほど深刻な事態にはなりませんが
ちょっといろいろとしばらくは不便になりそうです。
で、PC初期設定以外のアプリは全て再インストールです。
これが大変で昨日も休日返上で夜中までやっていましたが
まだ完全に復旧していません…
実はここのブログにログインするにも非常に苦労しました(苦笑)
バックアップ体制は再検討します。やはり大事ですね。
今日は3月1日で記念日も多いのですが
なんだか微妙なモノが多いですねぇ
そんな中、「未唯mie」の日なんてのがありますよ。
ピンク・レディーのミーさんの日ですね!
いまだにレコード聴きますよ
カルメン77が好きで好きで…(笑

さてさて

本日は「キヤノンEF」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
一応、Fシリーズの仲間…という立ち位置ではあるのですが
非常に異端児的存在のカメラです。
FシリーズはEXあたりを含めても
全機種布幕横走りシャッター機なのですが
このEFだけはコパル製金属羽縦走りシャッターユニットを採用しています。
さらにFシリーズ本体では採用しなかったSS優先オートを搭載します。
(EXシリーズはSS優先オートを搭載しています)
さらに1秒以上のスローシャッターでは電子制御で
シャッターを開く時間をコントロールし
最長30秒のスローシャッターを実現しています。
逆に言うと1/2~1/1000までは機械制御なのですね。
実は電子的に制御しているのはこの1秒以上のスローシャッターだけで
SS優先オートも露出計指針連動の機械制御です。
当然、露出計が動作していないと動作できないのですが
制御自体は機械的に行います。
なんとも不思議な造りのカメラです。
構造的にも他のFシリーズと共通する部分が非常に少ないのです。
既に「QL」も省略されていますし…
次に大きなモデルチェンジを行い新しい「Aシリーズ」として
再出発する「AE-1」までの繋ぎと言われることも多いですが
ユニットシャッターを採用して短い開発期間と
比較的少ない開発コストで
オート搭載機を出しておきたかったのだと勝手に思っています。
でもスタイリングは「Fシリーズ」とも「Aシリーズ」とも異なる
非常にキヤノンらしいスタイリッシュなデザインで
文句なしにカッコいいと思います。
色もブラックのみで
ちょっと「F-1」のテイストが混じっている感じもしますね!

その特異な立ち位置とカッコよさもあり
意外とファンの多いEFは修理依頼も比較的多いカメラです。
しかしながら電子制御スローシャッター部に関しては
場合によっては修理不能の個体も存在します。
お預かりしている「EF」は電源が非常に不安定で
露出計が動作したりしなかったり…
スローシャッターも動作したりしなかったりです。
電子的制御ができない場合(電池切れも含め)は
1秒以上のスローは全て機械制御の1/2で切れるようになっています。
1秒以上のシャッターは「電子制御時間+機械制御1/2」で切れるので
例えばSSを2秒で設定すると
1.5秒を電子制御で開き、残りの1/2を機械制御(スローガバナ)で制御します。
こういうところもなかなか変わったカメラです。
ちなみに電子制御中(この場合最初の1.5秒の間)は上面の赤LEDが点滅します。
話が少しそれましたが
バッテリーチェックも同じく上面のLEDが点滅なのですが…
このEFはそこは全く点灯しません…
電池室そのものはキレイなので腐食はあまりないかと思ったのですが
底カバーをまずは開けてみると…
結構な腐食と緑青が全体に広がっています。
電源不安定やBC不点灯の原因はどうやらこれですね…

基盤周りや電子制御部にダメージはなさそうで一安心です。
とはいえ、機械的部分も汚れや古い油脂類で
動きが悪いところが多々散見されるので
やはり全体をキチンと整備する必要はあります。
高速シャッターの精度もそのせいでイマイチですし
露出計・オートの精度にも問題があります。
スローシャッターの電子制御部とLED制御部が何とか無事であれば
他は何とかなるカメラなので
電源周りの不具合を何とか修理して
問題ない状態に仕上げていきたいと思います。

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キヤノネットQL19のカメラ修理

今日は「富士山の日」だそうですよ。
「ふ(2)じ(2)さん(3)」(富士山)と読む語呂合わせと
この時期、富士山がよく望めることからだそうです。
そうなのですよねぇ
天気が良くても意外と富士山は
雲に隠れて見えないことも多いですものねぇ
頭やらかして以来、すっかり縁がなくなりましたが
私も山歩きは好きで富士山も一度登っています。
いつだったっけ?と思って調べたら2010年の夏…
もう13年前になるのかーーーー
夏山に出かける分には登山道も整備されていて歩きやすく
途中に山小屋も多く人も多いため
心配事は少なくてすみますね。
でも3000m超の山ですからもちろんそれなりにハードでした。
9合目から上は明らかに空気も薄いです。
北岳(3193m・日本で2番目に高い山)は何度も登っていて
あまり空気の薄さを感じることはありませんでしたが
3500m超えるとやはり違いますねぇ
でも個人的には1回でもう充分…って感じでした…
道や景色が単調すぎるのと、やはり人が多すぎる…(苦笑)
富士山はともかく南アルプスの山々には
もっともっと行きたかったですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノネットQL19」のカメラ修理を行っています。
社会現象になるほど大ヒットした初代キヤノネットの
構造を受け継ぎながらもより改良の進んだカメラです。
巻上レバーや巻き戻しクランクは初代の底部配置から
一般的なボディ上部に移設され
露出計受光部もセレンからCdSに変更されています。
モデル名にも「QL」とありますが
この時代のキヤノンのお得意ともいえる
「クイックローディング」が搭載され
フィルム装填もかなり簡単に行え、失敗も少ないと思われます。
基本的な機能や構造は初代から受け継がれていて
大口径レンズにレンジファインダー搭載
SS優先オートに加え
露出計はオフになるもののマニュアルも可能という部分は
最終モデルの「G-Ⅲ」まで受け継がれるキヤノネットの特徴です。
この4年後に出る「ニューキャノネット」になると
小型化が一気に進みますが
まだこの時代のキヤノネットは初代同様、少し大き目のボディです。
その分、撮影時のホールディングはしやすく
内部構造にも余裕があり整備性も良好です。
非常にバランスの取れた良いカメラだと思います。

お預かりしているキヤノネットは巻上はできるものの
レリーズしてもシャッターがうんともすんとも言いません。
でもレリーズボタンを押すと次の巻上が行えます。
典型的なシャッター羽根固着の状態です。
レンズシャッター機の宿命とも言える症状です。
シャッター羽根がこれだけ貼り付いているということは
オート制御の構造があるため
もっと小さなバネ力で駆動する絞り羽根も当然のように固着です。
シャッターユニット内からキレイに清掃して
無駄な油脂類や汚れを落とし、羽根自体の入念な清掃が必要です。
他にも距離計のズレだったり
レンズやファインダーに汚れ・カビが見受けられます。
電池室には当時の水銀電池がそのまま入っていましたが
意外なことに電池室や配線へのダメージはあまりないようです。

いずれにしても全体の一通りの整備が必要な状況です。
先述した通り整備性も非常に良好なカメラです。
初代はレンズユニットと露出計のSS情報伝達が
ちょっと独特な構造で行われており
デリケートな部分もあったのですが
そのあたりも「QL17/19」になると改善されています。
ファインダー絞り表示も固着しやすい初代の構造から
改良されています。
反対にオート制御は初代とほぼ同じ構造ですね。
ここは改良する必要がないほどよくできているということでしょうね。
これから本格的に各部の分解整備に取り掛かります。

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ニコンF2フォトミックのカメラ修理

今日は2月20日…キリの良い日付で
記念日制定もそれなりに多い日なのですが…
どうもこれと言ってピンとくるものがないですねぇ(苦笑)
じゃ2月20日の過去の出来事を…と思って調べてみると
ここのブログでもよく話題になる
マーキュリー・アトラス6号(コールサイン:フレンドシップ7)が
1962年2月20日に打ち上げられています。
このフレンドシップ7に
アンスコオートセット(初代ミノルタハイマチックのOEM品)の
改造品が搭載され「世界初の宇宙に行ったカメラ」となったわけですね。
ミノルタはこの1件以降、ハイマチック7やSR-7を
発売し、ミノルタにとって「7」が特別な数字になりました。
フレンドシップ7に載った宇宙飛行士ジョン・グレンが
1963年に来日した際にはミノルタから
製造番号77777777のハイマチックがプレゼントされたそうです。
フレンドシップ7はワシントンD.Cの国立航空博物館に
現在も展示されていてその写真も見たのですが
さすがに時代を感じますし
よくこんなもので宇宙まで行って帰ってこれたなぁ…と思ってしまいます(苦笑

さてさて

ここまでフレンドシップ7に関することを書いたので
今日の修理はハイマチック…いやせめてミノルタ機かと思うところですが
最初のタイトルにあるように
今日は「ニコンF2フォトミック」のカメラ修理を行っています。
そんなうまいタイミングで都合よくスケジュールはされておりません(笑
「ニコンF2フォトミック」の発売は1971年なので
初代ハイマチック発売の10年後、フレンドシップ7の発射から9年後になりますね。
伝説の一眼レフとなった「F」の後継機F2の
露出計内蔵フォトミックファインダー搭載モデルです。
「F」の時代にも「フォトミックファインダー」及び搭載モデルは存在しましたが
あくまでも派生モデル的位置づけでした。
デザイン的にも好みはあるとは思いますが
一体感といった意味ではやはり少しちぐはぐした印象でした。
これが「F2」の時代になると内蔵露出計もかなり一般的な存在となり
F2ではフォトミックファインダー装着モデルの方が
露出計レスの従来のアイレベルファインダー搭載機よりも
メインの存在になってきています。
フォトミックファインダーが装着されることが前提で
電池室から「F」時代のファインダー側からボディ底部に移設され
電源SWは巻き上げレバー連動となります。
電池室がなくなったこともありフォトミックファインダーも
随分コンパクトになりました。
それでも少し頭でっかち感はあるのですが
F2フォトミックのレベルであれば「ニコンらしい武骨さ」で
逆にカッコ良いと思えてしまいます。
少なくとも個人的には「F2フォトミック」のデザインは私は好みです。
露出計内蔵なのが最大の特徴ではありますが
フォトミックファインダーにはアイレベルとは異なり
ファインダー内にSSと絞り値が表示されるようになっています。
個人的にはこれが一番のフォトミックのメリットではないかと思っています。
絞り値表示に関しては直読式になってしまう「Ai方式」のフォトミックより
「非Ai」のフォトミックの方が視認性に優れています。

お預かりしている「F2フォトミック」は
ボディ側はスローシャッターでのガバナの粘り
高速シャッターの精度不良と
油切れが主な要因とみられるトラブルを抱えている状況です。
しかしながらこれらは通常の整備清掃の上での
調整で解消できるのがわかっているので
心配はしていないのですが
少し気がかりなのがフォトミックファインダーの露出計です。
バッテリーチェックはほぼ正常に動作しているのですが
通常の露出計だと明るさに関わらず常に
針が振り切ってしまう状況です。
F2フォトミックに限りませんが
この時代の露出計でこうい症状が出る場合は
多くの場合がブラシ等で接触する摺動抵抗の
汚れ・劣化が原因のことがほとんどです。
少し余談ですが「F」フォトミックでこの症状が出ていれば
かなりの確率で摺動抵抗上の抵抗体が剥がれ落ちてしまっていて
ほぼ抵抗のない状態になっていて修理不能となります。
F2フォトミックでは抵抗体もF時代に比べればかなり丈夫になっていて
抵抗体が剥がれ落ちている可能性は低く
おそらく汚れが原因だとは思われますが
抵抗自体がダメで修理不能の可能性もそれなりにあり
かなり心配な状態です。
…というわけで今回はボディは後回しにして
フォトミックファインダー側から整備していきます。

結論から言うと何とかなりそうです。
あまり強烈な溶剤等で清掃すると
この作業自体で抵抗体を剥がしてしまう恐れがあるので
かなり慎重に少しだけ抵抗体の清掃を行いますが
症状に明らかに改善の様子が見えたので
抵抗体自体は無事でブラシや抵抗体表面の汚れが
指針振り切りの原因のようです。
とりあえずは少し安心しました。
まだ抵抗体のほんの一部で試してみただけなので
これから本格的に清掃整備に取り掛かります。
その上でできる限りの精度が出せるように調整を行っていきます。
そして改めてボディ側の整備にも取り掛かります。
古いものですからしかたないのですが
やってみないことにはわからないことも毎日多く
なかなか神経をすり減らします(苦笑)

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ニコマートELのカメラ修理

今日は「プライヤの日」なのだそうですよ。
「プ(2)ライ(1)ヤ(8)」と読む語呂合わせからだそうです。
プライヤ…要はモノを挟む・掴むための工具ですね。
いわゆる「ペンチ」もプライヤの一種です。
(余談ですが日本では逆に「プライヤ」が
ペンチの一種を指すことも多いようです)
ペンチにしてもプライヤにしても身近な工具ですよね。
私の仕事の場合は相手にする部品が小さいので
一般的なプライヤの出番は少なく
部品を掴んだりするのはピンセットが主役となります。
ただ、プライヤの一種でもあるラジオペンチは
先端加工してカニ目を回す際に多用しますし
これもプライヤの一種でもある「ニッパー」も多用します。
あまり出番が多いのは良くないですが
「ネジザウルス」もプライヤの一種ですね。
この手の工具は毎日手にしますし
工具屋さんやホームセンターに行くと
何か役に立てそうな工具はないかプライヤ関連は
かなり頻繁にチェックします。
手先の器用さというか技術だとかいう前に
使いやすい工具を正しく使うのも非常に大事です。
「弘法筆を選ばず」なんてことも言いますが
道具次第で作業効率は全く変わりますよ。
まぁこれもこだわり過ぎも禁物で
無駄に高価な工具を使うのもどうかとは思いますが…
工具は何にしても基本的には消耗品ですし…
(長く使えるものももちろんありますが…)
今日もいろいろな工具を手にしながらカメラを整備していきます!

さてさて

本日は「ニコマートEL」のカメラ修理を行っています。
1972年発売の電子制御シャッター機です。
ニコマートシリーズは機械制御シャッター機の「FT系」が
60年代から先行発売されており
EL系は随分遅れての追加となった形です。
ニコン初の絞り優先オート搭載機であり
「非Aiレンズ」でオート撮影ができるのは
この「EL」とワインダー対応の「ELW」のみとなっています。
電子制御シャッター機なので電池がなければシャッター制御はできませんが
電池がない場合は1/90のみ使用可能の状態になります。
オート時には1/1000~4秒のSSを無段階で設定する仕組みになっています。
特徴的…というか独特なのは電池室の場所で
なんとミラーボックス内底部に電池室が配置されています。
ミラーアップまたは指でミラーを上げておいて
電池室の蓋を開くような手順となり
またこの電池室、電池(4SR(LR)44)が取り出しにくいのです…
設計時に相当場所に困ったのでしょうね…(苦笑)
決してコンパクトなボディではないので
何とかならならなかったのか…という気もしますが…
今でもよく覚えていますが
初めて「EL」を手にした時に説明書も何も手元になく
「あれ???電池ってどこからいれるの????」と
電池室を探しまくったあげく
自力では見つけられなかった…ということもありました(笑
電池室云々の話はともかく
基本的には非常に使いやすい露出計ファインダー表示を持つカメラで
オート時だけではなくマニュアル時にも使いやすいカメラです。
シャッターは既に実績充分のコパルスクエアです。
機械的安定度は抜群のユニットなので電子制御さえ安定してれば
非常に信頼性の高いシャッターです。

お預かりしている「ニコマートEL」は非常にキレイな外観の個体です。
動作も一通りは行えているのですが
細かくチェックしていくといくつか問題を抱えています。
まず高速シャッターに問題があり
1/1000設定だとシャッターは全く開きません。
1/500設定だと開くのですがこのときも1/1500くらいの露光量しかありません
非常にスリットが狭い状態ということです。
こういう場合に多いのが先幕の動きが汚れ等で遅く
後なくに追いつかれてしまっているパターンですが…
今回の場合は少し状況が異なるようです。
1/500や1/250で計測してみると先幕の動き自体は悪くなく
後幕よりも少しばかり幕速は速いほどなのです
…となるとマグネットの吸着解除の
タイミングがよくないということだと思われます。
単純にマグネット吸着部の汚れ等が原因であればまだ良いのですが
制御部の問題だとちょっと大変かもしれません。
そのシャッタースピードの問題を抜きにしても
オート制御はかなりアンダー気味でSSの精度は充分出ている
1/125や1/60を使うような設定でもオートは2段近くアンダーになってしまいます。
露出計の指示する値自体は問題ないようです。
それからこれは原因は単純ですが
フィルム室の蓋(ボディ裏蓋)が非常に開きにくくなっています。
巻き戻しクランクを引き上げた時点でロックは外れているのですが
そこから指で強引に開かないと裏蓋が開きません。
確かにモルトは劣化していて多少粘着質ですが
通常はそのくらいではこんなに開きにくくありません。
で、開けた状態でよく見てみると…
モルトを随分前に一度替えているのだと思いますが
その際にボディ側の溝部分は中途半端なモルト除去にとどまっていて
新しいモルトを本来モルトの貼られていない
裏蓋側にそれも厚めに貼ってあります
そして今度はその貼ったモルトが劣化してしまっています。
で、裏蓋の空きにくい原因はこの裏蓋側に貼ったモルトです。
試しにざっくりモルトを除去してみると
見違えるように普通に開くようになりました。
もちろん後で正しい位置に適正な厚さのモルトを貼り直します。

まだ現状をチェックしただけの状態です。
これから本格的に分解整備取り掛かります。
整備性はそれほど悪くないカメラですが
上カバーを開ける際に予備知識がないと
わかりにくいところが一ヶ所あり
そこがまた場合によっては
回りにくくてなかなか開かないのですよねぇ…(苦笑)
まぁ、何にせよ。何とかがんばります!

ミノルタXDのカメラ修理

今日は「天使の囁き記念日」だそうですよ。
ここでいう「てんしのささやき」とは
マイナス10℃以下になると空気中の水蒸気が凍ってできる
氷の結晶「ダイヤモンドダスト」のことだそうです。
1978(昭和53)年のこの日に
北海道幌加内町母子里(ほろかないちょうもしり)で
気象庁の公式記録の対象から外れていたため
非公式だそうですが国内最低気温のマイナス41.2℃を記録したそうです。
これにちなみ、同町の「天使の囁き実行委員会」が
1994(平成6)年に制定した記念日です。
ダイヤモンドダスト(細氷)は気温もさることながら
いろいろな条件が揃わないと出現しないのですよねぇ
でも人工的に作りだすこともできるそうです。
一度は実際にダイヤモンドダストの舞うところを
体験してみたい気もしますが…
いや…もう常識外に寒いところや暑いところはイヤだな…
間違いなく身体にダメージありそうですもの…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタXD」のカメラ修理を行っています。
1977年発売の世界初の両優先オート(絞り優先・SS優先)搭載カメラです。
もちろんマニュアル露出も可能です。
いわゆるマルチモード機の先駆者となったカメラです。
翌年にはさらにプログラムオートも搭載された
最大のライバルであるキヤノンA-1が発売され
本格的なマルチモード機の時代に移り変わっていきます。
発売当時は機能的な面が非常にクローズアップされていましたが
現在ではその端正で飽きの来ない優れたデザインと
ミノルタらしい何とも気持ちよい使い心地で
注目されるカメラとなっています。
凝縮感のあるコンパクトなボディが誰が見ても
好印象なイメージだと思います。
この時代のミノルタらしく使い心地の良い基本設計のカメラに
当時の最先端の最先端の電子技術を組み合わせ
高機能てんこ盛りにしたカメラなのですが
現行機種だった当時から
電気系のトラブルが多いカメラであったのは有名です。
現在それなりに動作している個体は当時に
正しい対策が施されたものも多く
それほど困った状態のものを見ることは少ないような気もしますが
当時から長らく眠っている個体は安心できないものが多いです。
当然ながら電子部品の交換等は不可能な部分が多いので
場合によっては修理不可能になることも多いカメラです。

お預かりしている「XD」は人気のブラック塗装モデルです。
随分長い間使われずに仕舞い込まれていた個体だと思われます。
その際に電池が入れっぱなしになっていたものとみられ
電池室にはかなり激しい腐食が発生しています。
電池室から見える部分もそうですが
裏側の端子やハンダ、周辺の配線等にも腐食が広がっていると思われます。
当然ながら電源は全く入らない状態です。
電源が入るようになっても電子部品の問題でまともに動かない可能性も
それなりにあるので修理する立場としては
なかなかハイリスクな状態と言えると思います。
もちろん何とかする方向でできる限りの整備を行っていきます。
電源が入らないのでシャッターは「B」と「O」でしか切れません
そこでも他の問題が確認されています。
XDでたまにある症状なのですが
ボディ側のレンズ絞込レバーの動きが悪く
レンズを全く絞り込めない状態になっているようです。
ここは単なる機械的な動作不良なので何とか改善できるかと思われます。
加えて巻上部にはかなり粘りがあり
XEほどではないにしろ魅力の一つである
「巻上の滑らかさ」も大きく損なわれた状態です。
こちらも最終的には改善してきたいと思います。

まだ上カバーを外しただけの状態ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
これだけのフレキを抱えた電子制御満載のカメラなので
当然ながら分解整備の難易度は高いカメラです。
細心の注意を払いながら作業を行っていきます。

…このあと…まずは電源の復旧を行い
まずは電気でシャッターの切れる状態にするのですが
なかなか動きが不安定でやはり各接点や摺動抵抗の
接触不良があちこちにあるようです。
ただ致命的に制御不能な症状はなさそうで基板内漏電も行っておらず
何とか修理可能な状態であることが判明して少し安心しました。
これからさらに整備調整を行い普通に使える状態にしていきます。

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ペンタックスSPのカメラ修理

今日は記念日設定の少ない日なのですよね…
そんな中、「次に行こうの日」なんてのが制定されてますね。
日付は4月の新学期を前に
「次に(2)行(1)こう(5)」と読む語呂合わせからだそうです。
いろんなことで切り替えは大事ですよね!
ただ捉え方にもいろいろあって
ひとつのことをあきらめずにあきらめずに
失敗を重ねてもまた取り組みを変えてトライし続けることで
初めて身になるものも多いですものね
何も考えずに同じことを繰り返して
同じ失敗をしているようではまたダメなのでしょうが…(苦笑)
大枠で同じ目標に対して
いろいろな方法を試すという意味で「次に行こう!」ってのは
いいかもしれませんね!
まぁいろいろな場面によって考え方も変わりますので
一概には言えませんか…
「あきらめが肝心」ってこともありますし
切り替えるのではあればスパッと次に行かなくちゃダメでしょうねぇ
何事も毎日がいろんな判断の繰り返しで大変ですよね
何だか話がとっちらかってきたので今日はこの辺で…(笑

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
これも修理依頼の多いカメラですね。
何と言っても大ヒットモデルで現存数が非常に多いということもありますが
その上にM42マウント機でレンズの選択肢も多く
現在でも非常に人気のあるカメラということで
当然ながら修理依頼も多くなってくるわけです。
新品が大ヒットした当時はM42マウント云々というよりも
TTL測光で露出計が使いやすく
超高級機に遜色ないスペックの割には比較的お求めやすい価格で
まさに時代にうまくマッチしたのがヒットの要因かな…とも思います。
レンズマウントがユニバーサルマウントで
絞り情報伝達機能の全くないM42マウントの為
測光は絞込測光となってしまい
TTL開放測光に慣れてしまっていると少し不便さを感じますが
それも慣れてしまえばそれほど問題なく使いこなせると思います。
その他の部分はシンプルな一眼レフですが
シンプルな故に使い勝手は悪くないと思います。

お預かりしている「SP」はまず低速SS時に
かなり高い頻度でミラーアップしたままになってしまいます。
SPの修理の際によくあるパターンですが
今回もミラー駆動部の動作不良と言うより
シャッター後幕の動作不良により
先幕が完全に走り切った後で後幕がスタートする
低速SS時において幕走行が正常に完了せず
後幕リンク部がミラーダウンレバーを蹴れないことが原因かと思われます。
そんな状態なので高速SSでもシャッターは切れていても
やはり精度は正しく出ていません。
先日のKXの修理でも書いた通り
SP以降のペンタックス横走り機は
調速カム周りの動作不良が経年劣化のため
酷いものが比較的にあり
そうなってくるとそう簡単に高速SSの精度が確保できなくなってくるので
整備の際にも注意が必要です。
今回は幕軸清掃や注油で結果的には問題はクリアできています。
そしてSPの整備でこれも問題の多い露出計ですが
古い水銀電池が中に入ったまま腐食してしまっているようで
電池室の蓋がビクとも開きません…
これはなかなか苦労しそうです。
力任せに開けようとしても壊してしまうのがオチなので
溶剤や潤滑油を使って時間をかけて緩ませていきます。
次巻は非常にかかりましたがこれも何とかなりそうです。
電池室裏の接点もかなり腐食が進んでおり
徹底的に磨いた上に処置を行って導通を確保していきます。

今回はプリズムは腐食もなく非常に良い状態です。
コンデンサレンズや接眼れずも含めて
若干のカビや汚れがあったので
そこはできる限りの清掃でさらにキレイにしていきます。
CdSや基板内抵抗等は問題なさそうです。
電池室周りさえ修理できれば後は調整で
露出計精度も確保できそうです。
巻上機構周りは油切れも進んでいますので
本来の軽快な巻上になるようにこちらも整備を進めていきます。

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フジカV2のカメラ修理

今日はこれといった記念日の少ない日ですが…
「世界ラジオデー」だったりしますね。
ユネスコが制定した国際デーのひとつです。
中学生になる少し前あたりからだったかな
やたらとラジオ聴くのが楽しい時期がありました。
最初はAMラジオが中心で
好きな芸能人が出てるラジオドラマとかを聴いたり
オールナイトニッポン聴き始めたのもこの頃です。
そのうちFMラジオでエアチェックするのが主になり
その頃録ったカセットテープはまだ大事に保管してありますし
まだ普通に聴くこともできます。
そういえば少し前に思い出したように夜中に
やたらとAMラジオが聴きたくなって
小さなラジカセを出して枕元で流していたりしたのですが
夜中にチューニングダイヤル回して
受信できる局を探していると何だか懐かしい気分になれました。
こういった昔は普通にやっていて
今はしなくなった行為をひさしぶりにやってみると
記憶を開くトリガーになるのですよねぇ
その時も忘れかけていたいろんな当時のことを思い出しました。
私はフィルムカメラを弄ることが毎日の習慣になっているので
それは当たり前の行為で懐かしくもなんともないのですが(笑
フィルムカメラの操作でも
同じように感じる方も多いかもしれませんね。

さてさて

今日は「フジカV2」のカメラ修理を行っています。
1964年発売のカメラで
1950年代からの「フジカ35」の流れを汲む
最終モデルとなるモデルです。
巻上レバーこそ一般的なボディ上部に配置されましたが
背面配置のピント調整ダイヤルや
側面に配置された巻き戻しクランク等
フジカ35らしい部分が多く残ったカメラです。
露出計受光体は時代を反映してセレンではなく
CdSが採用されています。
露出計と連動してシャッタースピード優先オートが搭載されています。
レンズは非常に評価の高いフジノン4.5cmF1.8が搭載されています。
もちろんレンジファインダー搭載ですが
ファインダー内表示もなかなか凝っていて
設定したSSもファインダー内に表示されます。
そしてシャッタユニットは前モデルの
フジカ35オートMのコパルマジックではなく
シチズンMLTが使われています。
しかしながらこのシチズンMLT、レンズシャッター機としては
非常に珍しい1/1000シャッターを搭載しています。
やはり一癖も二癖もあるちょっと変わったカメラであることに
間違いはないかと思います。

この「V2」も以前のオートMほどではないのですが
なかなか整備の大変なカメラです。
フジカ35の系譜はシリーズを通じて
若干華奢にできている部分も多く
発売から60年前後経過する現在においては
各部の部品音経年劣化がなかなか厳しい状態のモノが多いのです。
今回のV2はお預かりの時点で
絞り羽根固着、露出計不動、距離計に大きなズレありといった状態でした。
絞り羽根の固着は定番の油滲みによるもので
シャッターユニットにも大きな問題はなかったのですが
露出計周りは単なる電池室周りのトラブルだけではなく
内部の抵抗が全くダメだったりCdSの劣化が
思ったより酷かったりとなかなか大変な状態でした。
どうしても露出計に関してはできる限りの調整とはなってしまいますが
実用上に問題ない程度には何とかまとめることができました。

画像は一通りの整備が完了した状態でのものです。
CdS受光部の窓と連動するASA設定ダイヤルが
デザイン上もアクセントになっており
パッと見た目でV2とわかる大きな特徴になっていますね。
自慢の4.5cmF1.8レンズはカビがそれなりにあったものの
清掃整備後は非常にクリアになっており
その写りが非常に楽しみだと思います。
ご依頼者様には存分にお楽しみいただければと思います。
もう少しだけ様子見の時間をおいてから
最終チェックを行い、問題なければ完成となります。

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ペンタックスKXのカメラ修理

今日は「ボンカレーの日・レトルトカレーの日」だそうですよ
本格的なカレー屋さんで食べるカレーも良いですが
自宅で手軽に食べられるレトルトカレーも美味しいですよねぇ~
炊きあがってから時間が経って
水分が飛んだ冷めたご飯に合うのですよねぇ~
こう書いているだけで
やたらとレトルトカレーが食べたくなってきますね!
1968(昭和43)年のこの日に
日本初のレトルト食品である「ボンカレー」が発売されたことが
由来となっています。
私の世代だとボンカレーというと
やはり松山容子さんのパッケージのイメージなんですよねぇ
そこら辺中に当時多かったホーロー看板もあったような気がします。
さらにテレビCMでは仁鶴さんの
「3分間待つのだぞ」のセリフと
「じっと我慢の子であった」のナレーションが印象的でしたねぇ
レトルトカレーは普段はハウスのカリー屋カレーを選ぶことが多いのですが
今夜はボンカレーにします!
ちなみに昨年も書いたかもしれませんが
一人暮らしの独身男性でも温めるだけで簡単に食べられることから
「独身男性のカレー」という意味で
「チョンガーカレー」という名前になる案もあったそうです。
もしこっちになっていたら
間違いなく現在まで同じ商品名では続いてなかったですよねぇ
ボンカレーでよかった(笑

さてさて

本日は「ペンタックスKX」のカメラ修理を行っています。
それまで採用していたM42マウントから
ペンタックス独自の「Kマウント」を採用した
最初のシリーズ「Kシリーズ」の中核モデルです。
1975年6月に「K2」「KX」「KM」の3機種が同時発売されました。
トップモデルの「K2」は電子制御機で
ES2の進化版と言えるモデルで
「K2」「KM」はSP系の進化版と言えるカメラです。
今回の「KX」は基本的なシャッターやミラー駆動部の構造等は
SPからの設計を引き継いでいますが
露出計受光体はSPDとなり、
ファインダー内表示も二針式の非常に使いやすいものになりました。
さらにレンズ側の絞り値をファインダー内で直読できるようにもなっており
ファインダー内で露出方法がすべて把握できる形式となってます。

お預かりしている「KX」は精度はともかく
シャッターは一通り作動していますが
露出計は全く動きません。
電池室の腐食がかなり確認できていたので
各接点の清掃と電池室周辺の配線交換で
改善するかと予想していましたが
思っていた以上に腐食の酷い状態でした。
電池室から発生した腐食や緑青は
電池室及びその周辺だけにとどまらず
露出計基板の主要な部分にまて広がっており
とても清掃や磨きでどうにかなるような状態ではありませんでした。
さらに露出計本体も内部で断線しており
こちらも交換で対処するしかなさそうです。
さらにシャッタースピードも妙に不安定で
幕軸や調速カム関連に動作不良があるものと思われます。

画像は一通り整備が完了した状態でのものです。
結局、露出計本体、露出計基板、電池室への配線は
全て交換で対処いたしました。
シャッター関連は徹底的な清掃と最小限の注油
その上での調整で安定して高速まで精度が確保できております。
余談ですが…SP系以降のペンタックス布幕横走り機は
やたらとSSが不安定なモノが多いですね…
そしてそれがなかなか直りにくい…
統計を取っているわけではありませんが
単なる印象だけではないような気が…(苦笑)
今回のKXに関してはもう問題ないと思われます。
もう少し油脂類が馴染むまで様子見をしてから
最終チェックを行っていきます。

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