日別アーカイブ: 2019年5月13日

キヤノンFTのカメラ修理

今日は「カクテルの日」だそうですよ。
カクテル。。。うーん、二十代半ばくらいの頃は
ちょっとオシャレなショットバーだとか
夜景の見えるホテルのラウンジバーだとか
そういうところでカクテルはかなり飲んだし
当時はそれなりに詳しかったのですが。。。
(思い出すと生意気なガキだったな。。。と(汗))
今となっては。。。
夜景と酒が欲しければ
山にでも撮影機材担いで登って
熱燗をちびちびやりながら。。。って感じですねぇ
(なかなかそれをする時間と余裕がないのですが。。。(苦笑))

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
ここのところ、「FT」の修理、結構多いですねぇ。。。
その代わりというのもおかしいですが
それまでちょくちょくあった「FTb」の依頼が全くございませんが。。。
「FT」は「キヤノンFシリーズ」中期あたりを代表するカメラです。
この後に出る「FTb」となると開放測光になり
レンズマウントも開放測光に対応したFDマウントにマイナーチェンジされます。
「FT」は絞込み測光機で
当時対応していたレンズは「FLマウント」です。
(FDマウントレンズをFT以前のFLマウント機に使うことは問題ナシ)
FTの露出計測光は中央部分測光です。
ファインダーコンデンサレンズ内にハーフミラーを組み込み
中央部の光のみをコンデンサレンズ後ろ側に配置した
CdSで測光します。なかなか凝った造りです。
この測光方法はこれまでの実績やユーザーの声を反映させたものだそうで
この後に登場するF-1にも採用されています。
個人的にもこの時代によくある「中央部重点測光」よりは
「中央部分測光」のほうが実際は使いやすいと思います。

お預かりしている「FT」は
ご依頼者様のおじいさまが使っていたものだそうです。
かなり長い間使われずにしまい込まれていたようです。
シャッター駆動部には油切れの兆候がかなり出ていて
まずシャッター音が「ギャン」といった感じで明らかに耳障りです。
実際のシャッタースピードも精度は全く出ていなくて
先幕、後幕ともに幕速がかなり遅い状況です。
スローガバナーは1/8くらいまでは何とか作動するものの
1/2や1秒になると固着してしまいシャッターが開きっぱなしになってしまいます。
露出計はバッテリーチェックも含め全く動きません。
全体的に油切れによる動作不良と
汚れによる接触不良という感じです。
ただ、幸いなのはこのカメラによくある
プリズム腐食がないことです。
FTの腐食のないプリズムはなかなか見つけづらい状況なのです。

写真は一通り整備が終わって組み上げた状態です。
しばらく注油が馴染むまで様子を見た後で微調整を行います。
シャッター音が明らかに整備前と異なり
キヤノンFシリーズらしい歯切れの良い気持ちよい音になりました。
露出計ももちろん復活しています。
付属しているのは大口径のFL55mmF1.2です。
こちらもカビ取り清掃等、一通りの整備を行いました。
こうしてみるとかなり迫力のある組み合わせですね。
文句なしにカッコ良いです。

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