キヤノンFTのカメラ修理

今日は「カクテルの日」だそうですよ。
カクテル。。。うーん、二十代半ばくらいの頃は
ちょっとオシャレなショットバーだとか
夜景の見えるホテルのラウンジバーだとか
そういうところでカクテルはかなり飲んだし
当時はそれなりに詳しかったのですが。。。
(思い出すと生意気なガキだったな。。。と(汗))
今となっては。。。
夜景と酒が欲しければ
山にでも撮影機材担いで登って
熱燗をちびちびやりながら。。。って感じですねぇ
(なかなかそれをする時間と余裕がないのですが。。。(苦笑))

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
ここのところ、「FT」の修理、結構多いですねぇ。。。
その代わりというのもおかしいですが
それまでちょくちょくあった「FTb」の依頼が全くございませんが。。。
「FT」は「キヤノンFシリーズ」中期あたりを代表するカメラです。
この後に出る「FTb」となると開放測光になり
レンズマウントも開放測光に対応したFDマウントにマイナーチェンジされます。
「FT」は絞込み測光機で
当時対応していたレンズは「FLマウント」です。
(FDマウントレンズをFT以前のFLマウント機に使うことは問題ナシ)
FTの露出計測光は中央部分測光です。
ファインダーコンデンサレンズ内にハーフミラーを組み込み
中央部の光のみをコンデンサレンズ後ろ側に配置した
CdSで測光します。なかなか凝った造りです。
この測光方法はこれまでの実績やユーザーの声を反映させたものだそうで
この後に登場するF-1にも採用されています。
個人的にもこの時代によくある「中央部重点測光」よりは
「中央部分測光」のほうが実際は使いやすいと思います。

お預かりしている「FT」は
ご依頼者様のおじいさまが使っていたものだそうです。
かなり長い間使われずにしまい込まれていたようです。
シャッター駆動部には油切れの兆候がかなり出ていて
まずシャッター音が「ギャン」といった感じで明らかに耳障りです。
実際のシャッタースピードも精度は全く出ていなくて
先幕、後幕ともに幕速がかなり遅い状況です。
スローガバナーは1/8くらいまでは何とか作動するものの
1/2や1秒になると固着してしまいシャッターが開きっぱなしになってしまいます。
露出計はバッテリーチェックも含め全く動きません。
全体的に油切れによる動作不良と
汚れによる接触不良という感じです。
ただ、幸いなのはこのカメラによくある
プリズム腐食がないことです。
FTの腐食のないプリズムはなかなか見つけづらい状況なのです。

写真は一通り整備が終わって組み上げた状態です。
しばらく注油が馴染むまで様子を見た後で微調整を行います。
シャッター音が明らかに整備前と異なり
キヤノンFシリーズらしい歯切れの良い気持ちよい音になりました。
露出計ももちろん復活しています。
付属しているのは大口径のFL55mmF1.2です。
こちらもカビ取り清掃等、一通りの整備を行いました。
こうしてみるとかなり迫力のある組み合わせですね。
文句なしにカッコ良いです。

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