日別アーカイブ: 2020年8月8日

ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は8月8日、パチパチということで
「そろばんの日」なのだそうです。
私が子供の頃には近所に当たり前のように
「そろばん塾」があって
私も小学校3年から小学校卒業まで通ったなぁ
先生がちょっと面白いおじさんで
学校と同じくらい楽しかったですねぇ
今でも簡単な暗算は頭の中にそろばんの玉が浮かびますし
なんなら右手が自然と玉をはじきます
当時も暗算は得意なほうでしたが
そろばんは本当に習っていて役に立ったと思います。
そういえばそろばんは右手でやってたのです
(本来、書くのも何もかも左利き)
答えを書くのも数字だけなら何とか。。。という感じで
右手で書いていました。今は無理だと思いますが。。。
「伝票」が苦手だったなぁ。。。(笑)
(左手で伝票をめくりながら右手でそろばんで足し算をしていく)
でも小学生の間に全珠連2級までは取ったのですよ
「そろばん習うのは小学生の間だけ」という暗黙のルールがあって
卒業と同時にそろばん塾も卒業していくのでよねぇ。。。
あぁ、いろいろ思い出してきた
また余計な記憶の引き出しが開いてしまったようです(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒットしたSPを開放測光化したモデルです。
もちろん従来のM42マウントでは
絞り情報の伝達ができないので
開放測光を行うには「SMCタクマーレンズ」を使う必要があります。
従来のM42レンズ使用の場合が絞込測光で対応します。
当時は絞込測光器と開放測光機が市場で混在している状態で
どちらが良いのか?という論争もあったようですが
やはり時代は開放測光機へと傾いていきます。
SPFはシャッター等の基本的構造はSPと同様ですが
当然ながら露出計周りは全くの別モノで
SPに比べると非常に複雑になっています。
(単純に考えればマウント周りから絞り情報に伴う
電気信号が1系統増えるだけではあるのですが。。。)
基本的なスペックはSPと同一とはいえ
微妙に部品の互換性はありません。
代表的なのはプリズムでSPよりSPFのプリズムのほうが少し大きく
ここも互換性がありません。
SPもSPFもプリズム腐食の多いカメラなので同一だと
少し助かるのですが。。。

お預かりしているSPFは
頻繁にミラーアップしたままになってしまいます。
SPでも共通してみられるよくあるトラブルです。
シャッター後幕の走行がきちんと完了していないために
起こる症状です。
高速シャッターで計測してみると後幕の幕速が
極端に遅い状態です。やはり幕軸の汚れや油切れが原因と思われます。
この症状が出ているときにとりあえず後幕のテンションを上げて
対処している個体をたまにみかけますが
それはバネに無駄な負荷をかけ続けるだけで
後々、ロクな結果になりません。
事実、この個体も軸の清掃を行った状態で幕速計測を行うと
明らかに引っ張りすぎで幕速が異様に速くなりました。
一時的に幕速を上げることで対処していたのだと思われます。
バネは当然引っ張りすぎると伸びてしまうこともあり
そうなるといくら調整しても正しい精度は得られなくなってしまいます。

最大の売りである開放測光可能な露出計は
全く動きません。
SPFの露出計はちょっと変わっていて
普通の露出計は構造的には電流計で
流れる電流の大きさにより指針が振れるわけですが
SPFの露出計はコイルを二つ重ねたような構造で
何も負荷のかかっていないとき(電源がないとき)は
指針はほぼ真ん中にいます。
その真ん中にある指針をCdSからくる電流と
絞り・SS情報からくる電流で引っ張り合うのです。
で、バランスが取れた真ん中に指針が来る時が
適正露出となるわけです。
電源のないときに真ん中にいるのは
ちょっと紛らわしいとは思いますが。。。(苦笑)
不動の原因は電池室周りの配線かな。。。と予想しましたが
その辺りに問題はありませんでした。
。。。となると露出計本体の断線?と思いましたが
それでもなく。。。CdSにも問題はなく。。。
どうやら基盤内に問題が隠れていそうです。
これはちょっと厄介かもしれません。。。

写真は本格的に露出計を調べる前に撮ったもので
上カバーを外してプリズムを降ろしただけの状態ですが
この状態でもSPとは電気回路が全く異なり
複雑になっているのがよくわかります。
もう少しシンプルにできていても良いような気もしますが
こういう構造もペンタックスらしいといえばらしいかもしれません。
露出計の件は時間がかかりそうなので
まずはいったん全部基盤も露出計も外しておいて
シャッターや巻上の機械的部分を先に整備しようと思います。
それで基本的な部分を仮組した状態で
露出計をどうするか考えていきたいと思います。

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