月別アーカイブ: 2020年10月

リコーオートハーフSEのカメラ修理

今日は10月8日で二十四節気でいうところの「寒露」ですね。
露が冷たく感じられる頃、ということですが
都内では露どころか朝から冷たい雨になっています。
語呂合わせの良い日なので他にもたくさんの記念日が制定されています。
私の好きな食べ物飲み物関係だけでも
ようかんの日、そばの日、焼きおにぎりの日、はらこめしの日。。。等々
そんな中に「角ハイボールの日」なんてのもありますねぇ
私は普段はビールか日本酒が多いのですが
居酒屋で焼き鳥なんか食べるとハイボールも飲みやすくていいですよねぇ
しかし角瓶なんて私が子供の頃からあるけど
(1937年発売だそうです。私が生まれる20年以上前です)
廃れないものですねぇ。。。
子供の頃、一緒に住んでいたじいさんは今の私と同じで
ビールか日本酒だったのですが
週末によく泊まりに行っていた親父の家には
ちょっとおしゃれなグラス棚の奥に
ダルマ(サントリーオールド)がいつも入っていたなぁ
その頃はいろいろゆるい時代だったから
一杯だけコークハイを作ってもらいよく飲ませてもらってました。
未だに「甘い酒」というと「コークハイ」が飲みたくなるのは
多分あの頃に刷り込まれたせいかな(笑)
角とかダルマとかレッドとかあの頃のサントリーウイスキーには
結構お世話になってますねぇ。。。(笑)
ダルマもまだ売っていますし根強いファンが多いらしいです
たまにはダルマを買ってきて7月に亡くなった親父のことでも
思い出しながら飲んでみるのも良いかもしれません

さてさて

本日は「リコ-オートハーフSE」のカメラ修理を行っています。
「SE」なので「E」にセルフタイマーが追加されたタイプです。
オートハーフの各モデルを念のため確認していて
気が付いたのですが、前面アルマイト板が貼られて
いわゆる最も有名な「オートハーフの形」になったのは
「オートハーフS」からなのですが。。。
その「S」からセルフタイマーを省略されたものが
「E」で「E」にセルフタイマーが追加されたものが「SE」。。。
なかなかややこしいですね。もちろんそんな表向きの機能だけでなく
内部部品はいろいろと変更されているので
全くもって「S」=「SE」ではございません(笑)
(SEにはオートスタート機能もありますしね)
ハーフカメラと言えばやはり「オリンパスペンシリーズ」が
一番の人気だとは思いますが
オートハーフだって負けてはいません。
何といっても魅力は個性あふれてバリエーションの非常に多い
そのデザインとゼンマイ自動巻上等の全自動化でしょうか。。。
ピントは固定焦点で露出もプログラムオート
巻上も自動とくればあとは本当に構えて撮るだけのカメラです。
現在のスマホカメラ等ではそれが当たり前でも
オートハーフは1960年代~70年代の:カメラです
その時代でそれだけ簡単に撮れるというのはかなり画期的なことでした。

お預かりしているオートハーフSEは
ご入り者様が一度フィルムを入れて撮影してみたのだが
何も写っていなかったということで
一通りの整備と修理をしてほしいということで当店にやってきました。
きちんと巻上はできていたようなので
他のカメラとは違い自動巻上のオートハーフで
フィルム装填ミスは考えづらい状況です。
(フィルム装填ミスがあると自動巻上ができないので
気づかないことはないと思われるため)
写らなかったフィルムそのものは拝見していないのですが
結果としては未露光のようです。
。。。となるとシャッター固着で開かなかったという可能性が高いのですが
お預かり時にはとりあえずは開いているのです。
ただ、粘りは多少あったので動かしているうちに
開くようになったのかな。。。という予想です。
シャッターの粘りも問題ですが
それよりも今回のこのオートハーフ
色んな所のネジがゆるゆるで
シャッタユニットもぐらついているような状態でした。
こちらが原因で何かおかしな:挙動になったとも考えられます。
心配されるセレンは少々起電力が弱いものの
なんとか調整で適正露出を得られる程度には
露出計を駆動することができそうです。

「SE」はこのシルバーのミラーっぽいデザインと
波紋パターンのものが一般的に販売されたデザインですが
このシルバーのオートハーフを見ると
なぜか昔、家にあった白黒テレビをイメージしてしまうのですよねぇ(笑
でも本当に当時の空気を感じることのできる
良いデザインだと思います。
一通りの整備を行って現在はお預かり時より
明らかに軽やかに動作しています。
シャッターもオートの精度も全く問題ございません。
レンズシャッター機はもともと小さなバネの力で
シャッターを駆動しますが
オートハーフのシャッターユニットは
通常のレンズシャッターユニットよりも
さらに小さなバネ力で動作しています。
ほんのわずかな油汚れでもあろうものなら
簡単に固着します。
そのためやはり定期的な整備・清掃が必要なカメラだと思います。
ただし基本的にはシンプルなカメラなので
しっかり整備を行えば当時とあまり変わらない状態で
撮影できるカメラだと思います。
60年代70年代の空気を感じながらオートハーフで撮るというのは
なかなかお洒落な行為だと思います。

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フジカV2のカメラ修理

今日は10月7日。。。
「とう(10)なん(7)」(盗難)と読む語呂合わせから
「盗難防止の日」なのだそうです。
若い頃に車上荒らしとかあったこともありますが
本当に被害にあったときは実害そのものも痛いですが
精神的なショックも計り知れず大きいですよねぇ
最低限の戸締りとかは今や当然ですが
昨今、問題になっているネット上での情報流出による
銀行口座の被害なんかも怖いですよねぇ。。。
いったんターゲットになってしまったら
防ぎきれない部分もあるのではないかと。。。
昔はカギがかかってない家も多かったなぁ(苦笑)
友達の家に遊びに行って
声かけても誰も出ないし「あがるよ~」って中に上がっても
家に誰もいなかったなんて普通にあったし。。。
今じゃ考えられないですよね。
家にいても何が来るかわからないし
カギをかけるのは当たり前ですものねぇ。。。
いや、昔だって空き巣とか多かったとは思うのですが。。。
なんであんなに不用心だったのでしょう?今考えると不思議です。

さてさて

本日は「フジカV2」のカメラ修理を行っています。
1957年の「フジカ35M」から始まる
フジカ35シリーズの一員です。
フジカ35としては初代機の「35M」は
ピント合わせはボディ背面のギアで行い
巻上レバーは底部、巻き戻クランクはボディ側面と
その当時の標準的なデザインや機能の配置を
ことごとく打ち破ったモデルで非常に独創的なカメラでした。
今回の「V2」も巻上レバーこそ一般的な
ボディ上面に配置されたものの
背面ピント合わせや側面巻き戻しは引き継がれています。
確かにこの背面ギアでのピント合わせは
ちょっとクセになる操作性です。
親指1本で素早く合わせられるのはなかなか気持ち良いものです。
露出計はセレンではなくCdSとなり
シャッタースピード優先オートが搭載されています。
レンズは写りの評価の非常に高いフジノン4.5cmF1.8です、
このレンズを使いたいがためにこのカメラを使う方が
多いと言われるほど評判の良いレンズです。
シャッターユニットはシチズンMLTで
最高速はレンズシャッターとしては異例の1/1000です。
ファインダー内には設定したシャッタースピードが表示され
ご丁寧にスロー時には「slow」の表示が出ます。
AE時には露出計連動で絞り値も表示されます。

そんな機能満載なボディに優秀なレンズを搭載する
V2なのですが他のフジカ35シリーズのモデルと同様
今となっては非常に華奢な部分が多く
修理する立場としては困った部分の多いカメラです。
例えば今回のV2もスローガバナが全く効かないというトラブルがありましたが
このトラブルもこの時期のシチズンシャッターユニットで
よくあるトラブルで同じ系統のシャッターを搭載する
「35M」でもよくあるトラブルです。
言葉にするとわかりにくいのですがギアの軸の圧入が抜けて
ギアがフリーになってしまうことが原因で
修理するには部品取りのスローガバナが必要です。
今回はお客様がもう1台部品取り用個体を提供してくれており
その個体のスローガバナが無事だったので
何とか修理することができましたが
通常であればまず部品を確保することが大変です。
加えてファインダーユニット内の
ミラーやレンズの取り付けが比較的弱く
あちこちのミラーが外れたり緩んだりしている状況でした。
これもフジカらしいトラブルです。
こちらは調整をしながらしっかり補強しつつ取り付け直すしかありません。
自慢のファインダー内表示もなかなか厄介で
微妙な調整もできない構造なので
細心の注意を払って清掃整備を行います。

。。。ということでなかなか苦労の多かったV2ですが
非常に快調に動作するように仕上がりました。
外観はもともとキレイ目だったのですが
これもできる限り磨き上げました。
眺めているだけでもたしいほどのレベルだと思います。
噂のフジノンレンズの写りが気になりますね
是非、ご依頼者様に早く試してみていただきたいと思います。

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マミヤ35のカメラ修理

今日は「時刻表記念日」だそうです。
1894年(明治27年)のこの日に
日本初の本格的な時刻表『汽車汽船旅行案内』が出版されたそうです。
単なる時刻表というよりはその名の通り
発車時刻や運賃のほか沿線の案内や紀行文なども掲載されていたそうで
時刻表でもありその名の通り旅行案内誌のようなものだったようです。
小学生の頃は時刻表と地図帳があれば
退屈しない子供でした。
特にその頃の自分が決して起きていない深夜を走行する
ブルートレインの通過時刻や翌日に遠く離れた
南九州や東京に到着する様子を想像しているだけで
十分楽しかったものです。
あ、今でも思い出したようにグーグルアースで
いろいろ検索してはそう簡単に行けないような場所
国内だったら離島だったり
国外だとロシアの北極圏内の小さな町とかを
眺めては「すごいなぁ。。。ちょっとだけ行ってみたいなぁ」とか
一人でぶつぶつ言っているので
当時とあまり変わってないのかも。。。(笑)
でも今はグーグルアースとかストリートビューとかあるので
ちょっとだけ行った気分になれますね。
これであちこち検索し始めるともう止まりません。
あぁ、遊んでないで仕事しないと。。。(汗)

本日は「マミヤ35」のカメラ修理を行っています。
マミヤのレンズ固定式35mm判カメラのシリーズで
1949年の「マミヤⅠ」に始まり非常にたくさんの種類が存在します。
この時代のカメラはどのメーカーも細かいモデル名が
ボディに刻印されていないものが多く
判別に苦労するのですが
特に「マミヤ35」は資料がないと全くわかりません(苦笑)
今回お預かりしているのは調べた結果
1956年発売の「マミヤ35Ⅱ2.8」ではないかと思われます。
実は既に整備はほぼ終わっているので先に写真を出しちゃいます。

シャッターはセイコーシャMXでそれ自体は
他のカメラでもよくみる当時の最高級シャッターユニットで
めずらしくはないのですが
構造がビハインドシャッターとなっています。
(レンズの後ろにシャッター羽根が配置されている
レンズシャッター機で本来比較的多く見かけるのは
レンズ群の中にシャッターが配置される
ビトウィーンシャッターで
マミヤ35Ⅲではビトウィーン式に変更されます)
巻上はノブ式でセルフコッキングで
シャッターチャージもフィルム巻上も同時に行われます。
後の世では当たり前ですが当時としては最新機能です。
搭載されるレンズはセコール5cmF2.8です。
鏡胴がシルバー仕上げで非常に高級感のある佇まいのカメラです。
写真は整備後なので非常にキレイな状態で
動作も全てにおいてスムーズで快適に動作しているのですが
整備前はなかなか大変な状態でした。
シャッター音はするのですがシャッター羽根は全く動かない状態で
明らかに羽根粘りではなく
羽根が何かに引っかかっているような状態でした。
シャッタユニットを分解してみると
シャッター羽根が折れ曲がって何枚か破損している状況です。
何がどうなって結果的にこうなったのかわかりませんが
分解し始めで気づきましたがかなりレベルの低い酷い分解品でした。
他のカメラのセイコーシャMXからシャッター羽根は
移植して何とかシャッタ-の修理はできましたが
ヘリコイドも狂っていて無限遠が出ておらず
ファインダー&距離計はあちこちのレンズや
ガラス・ミラーが外れかけでなかなか大変な状態でした。
それでも元々はシンプルなカメラなため
今回は何とか普通に撮影するには全く問題のない
良い状態に修理することができました。
唯一、一部が破損し歪んでいるフィルター枠のみは
どうにも交換部品が入手不可能なため
できる限りの修復ということになりました。

今回のマミヤ35がどういった経緯で
ご依頼者様が入手したのかはわからないのですが
分解品で動作不良のものは本当に中で何が起きているかわかりません。
今回は事なきを得ましたが
場合によっては修理不能の場合も十分に考えられます。
ネットオークションやネットフリマでは
こういう状態のものも多くあると思われますので
ご購入の際には本当にリスクがあるとお考え下さい

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オリンパスペンFTのカメラ修理

10月4日。。。今日は記念日の多い日ですよ
「世界動物の日」、「天使の日」、「イワシの日」
「古書の日」、「徒歩の日」。。。等々
そんな中に「探し物の日」なんてものもありました、
由来はNTTの電話番号案内が
104番であることかららしいのですが
「失くした物をもう一度本気で探してみる日」
なのだそうです。おお何だか深いぞ(笑)
そりゃ50年も生きてりゃいつの間にか
なくしてしまった大事なもののひとつくらいありますよねぇ(汗)
いや、でもそれは探したからって簡単に戻ってくるものでは。。。
それよりも作業中にうっかり飛ばしてしまった
バネを真剣に探さなくては。。。(大汗)
まぁ、仕事柄うっかり落としてしまったネジとか小さな部品とかを
必死で探しているシチュエーションは多いですよねぇ
まぁ、そういうのは慎重に落ち着いて探せば大抵見つかるのですが
意外に見つからないのがちょっとした道具。。。
うっかり意外なところに置いたまま
どこにいったかわからなくなるのですよねぇ
もうあまりに見つからないから新しいの買ったけど
メインで使っていたセラミックピンセットが
3ヶ月目から行方不明。。。どこに行ったのやら。。。(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
なんだかんだ毎月コンスタントにペンFTの修理ブログを
書いているような気がします。
現在でも非常に人気の高いハーフ判一眼レフです。
ハーフ判一眼レフというジャンルそのものが
ほぼペンFシリーズの独壇場ですね。
数は少ないながら他にも同様のモデルが
全くないわけではないのですが
ハーフ判の利点でもあるボディサイズもコンパクトにできると
いう点まで考えてみると
やはりハーフ判一眼レフというジャンルは
ほぼペンFシリーズ一択ではないかなぁ。。。と思います。
おまけにぺんFシリーズはその構造も
通常の一眼レフとは全く異なり
ロータリシャッターであることに始まり
そのファインダーへの経路と構造がまた独特であり
ペンタ部の出っ張りを持たず
レンズが巻き戻し側に極端にオフセットしたデザイン等々
ペンFシリーズでしか見られない独創的な部分が非常に多いカメラです。
これが大きな魅力の一つだと思います。
私も個人的に昔使っていたことがあるのですが
今も1台は手元に置いておきたいカメラの一つです。

ここでも散々書いていますが「FT」は
初代モデルの「F」に露出計とセルフタイマーを追加し
巻上をダブルストロークからシングルストロークに変更したモデルです。
意外と「F」とは共用できない部品が多く
修理する立場としてはそのあたりは気を付けなくてはいけない部分です。
お預かりしている「FT」は全体的に油切れで
動きの悪い状態です。
整備前は操作感の悪さを気にしなければ
何とか一通り動作はしている状態でしたが
このまま使い続けると近いうちに定番のミラーアップや
スローガバナ固着等が出てくるだろうなぁ。。。という状態でした。
加えてこれもペンFTではお決まりですが
露出計に光を分配するためのハーフミラーは劣化が酷く
特にファインダー視野下部には腐食部分が汚れのように
はっきり見えてしまっていました。
ハーフミラー現物を取り出すまでは
交換は状況を見て。。。と考えていましたが
取り出してみてやはり再利用はよろしくない状態だったので
交換で対応いたしました。

画像は一通りの整備が完了し
新しい油脂類が馴染むまで少し様子見をしている段階です。
装着されているG.ズイコー40mmF1.4レンズは
絞り羽根に油シミが見られ
羽根の動きにも粘りが見られたことから
羽根洗浄他一通りの整備清掃を行っています。
元々外観のコンディションの良い個体だったので
非常に気持ちよく使える状態になっていると思います。
うーん、やはりこの独特のフォルムはやはりカッコ良いですね!
部品取りの残骸が何台か残っているので
これをとりあえずまとめて1台の動作品にして
自分用に1台置いておきたいですね。
。。。と妄想するばかりで
なかなか取り掛かれないのですが。。。(笑)

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キヤノンVLのカメラ修理

今日は10月3日ということで
「と(10)ざん(3)」→「登山の日」だそうです。
場所にもよりますが山の紅葉はそろそろ見頃ですねぇ
私も数年前までは結構あちこちの山に登りに行っていたのですが
最近はなかなか時間も取れず、体力も落ち(苦笑)
なかなか行かれないなぁ。。。と思っていたところへ
今年2月の延髄梗塞及びワレンベルグ症候群でとどめを刺されました(汗)
今はよほど足場のしっかりしているところじゃないと
普通に歩けないだろうし
足場の狭いとこ(まぁそれなりの山なら普通にある)だと
冗談じゃなく簡単に滑落しそうなので
本格的な登山はもう無理かもしれません
(今後の回復次第ですが。。。)
でも森林限界を超えた標高2500m超の稜線歩きは
本当に気持ち良いのです!人生観が変わります。
で、時間が許すならばなるべく山で一泊することをお勧めします。
山小屋でも良いですがテント泊がベストです。
山での夕暮れと星空と夜明けを味わうと
山歩きの楽しさが倍増します。
あぁ、私も北岳とか甲斐駒とかもう一度行きたいなぁ。。。
。。。今夜も仕事終わったらリハビリ頑張ろう(笑)

さてさて

本日は「キヤノンVL」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「Ⅳ型」までが
バルナックライカがお手本になっているとすれば
「Ⅴ型」がやはりM3を意識して作られたカメラですよね。
「V型」は1956年発売の「VT」から始まり
その後、「VTデラックス」へ進化し、
普及機クラスの「L2」、「L1」、「L3」が追加され
V型最終機となる「VL」「VL2」が
発売されたのが1958年となります。
VL2はVLの廉価版としての位置づけになります。
VTデラックスで金メッキ処理とされていた
ファインダーのプリズム・ハーフミラーを
銀メッキ処理へと変更し、よりクリアなファインダー視野を実現しました。
巻上もVTやVTデラックスのトリガー方式ではなく
一般的なレバー巻上へと変更されました。
(そこはL型と同様になったというべきかもしれません)
全体的に非常に使いやすいモデルになったと
個人的には思います。
この頃のキヤノンレンジファインダー機も
バルナック時代に負けず劣らずいろんなモデルが存在して
同じようなモデル名も多く非常に分かりにくいです(苦笑)
VT~ⅥT(L)にかけてはモデル名を言われても
なかなかどんな仕様だったかパッとは出てきません(汗)

お預かりしているVL型は
一通り動作はしています。
致命的なトラブルを抱えているわけではございません。
しかしながら既に発売から60年を超えるカメラです。
前回の整備がいつ行われていたものかわかりませんが
(もしかしたら全く未整備かもしれません)
まずは全体的に油切れの兆候があり
シャッタースピードの精度もイマイチです。
自慢のファインダーも多少のカビや汚れがあり
距離計二重像は無限遠時にオーバーインフしてしまいます。
全体的に露フレッシュが必要な状態です。
この段階できっちり整備しておくと
後々に大きなトラブルに見舞われる可能性は
かなり低くなると思われます。

画像は整備そのものは完了し最終チェックを
残すのみの状態のものです。
全体的に動きも操作感も軽やかになり
非常に気持ちよく使える状態になりました。
装着されているレンズはキヤノン50mmF1.4で
こちらもレンズ清掃、絞り羽根清掃
ヘリコイドグリスアップ等、一通りの整備を行い
非常にクリアな状態になっております。
時代的にはそろそろ一眼レフの大きな波が
やってくる頃のカメラで
この数年後には各社レンズ交換機はレンジファインダー機から
一眼レフへ移行していく時期になっていきます。
そんな中でもキヤノンは最後まで
レンズ交換式レンジファインダー機を作り続けました。
それだけ高品質なものを作っていたので根強い人気もあったわけですね。
このVLあたりを触っているとそんなことを思わずにはいられません。

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ミノルタハイマチックFのカメラ修理

今日は10月2日ということで「豆腐の日」です。
そのまんま語呂合わせですね。
ちなみに毎月12日も「豆腐の日」なのだそうです。
もうそろそろ「冷ややっこ」ではなくて
「湯豆腐」の季節になってきますねぇ。。。
冷やしても温めても豆腐は美味しいです。
お酒にも合いますしねぇ。。。
私は冷ややっこでも湯豆腐でも豆腐は
「木綿」で、かけるのは「ポン酢」です。
冷ややっこは家では「絹」だったのですが
大人になってからはほぼ「木綿」しか食べなくなりました。
何となく「絹」だと物足りない気が。。。。
いや、のどごしや食感が良いのはわかるのですが。。。
かけるものも、冷ややっこだと醤油かな。。。と思った時期もあったのですが
やはりしょっぱすぎるような気がするのですよねぇ
湯豆腐は文句ナシにポン酢ですよね!
こう書いているともう今夜は「湯豆腐」の気分になってきました。
昨日も「日本酒の日」で日本酒だったのけど
今日は「湯豆腐」ということになると
やっぱり「日本酒」ですよねぇ
軽く燗しても良いですねぇ。。。。
あぁ、早く晩酌の時間にならないかな(笑)

さてさて

本日は「ミノルタハイマチックF」のカメラ修理を行っています。
1972年発売の非常にコンパクトなカメラです。
やはりライバルはこのジャンルのパイオニアでもある
「コニカC35」でしょうか。。。
写りの評価の非常に高いロッコール38mmF2.7レンズを搭載します。
レンズのスペックも構成も大きさも
プログラムシャッターでレンジファインダー搭載というところも
C35と似通った部分が多いですが
ハイマチックFはセイコーESLシャッターを電子制御で駆動します。
ここが修理を行う上ではちょいとネックで
やはり電子部品不良で修理不能な個体も存在します。
それでも「ハイマチックF」はまだ修理できる可能性が高いカメラで
「F」の前年にデビューした
大口径40mmF1.7レンズを搭載した「ハイマチックE」は
もはやデリケートすぎて分解することさえ当店では行いません。
電子部品が云々ではなくて
使ってある配線が非常に細いリッツ線で
さらにそれが束ねられているのですが
被覆が劣化しているものがほとんどで少し触るだけで簡単に短絡します。
リード線をすべて交換したことも過去にあるのですが
それだけではなく基板内のコンデンサ類もダメになっているものが多く
あまりにもトラブルが多すぎるということが理由です。
話が逸れましたがたった1年後とはいえ
弟分の「F」は電子シャッター部も含めて
「E」に比べると随分安定している個体も多く
整備性が比較的良いことも相まって
当店では今のところ修理可能なカメラという位置づけになっています。
(先述したように修理不可能な個体も多くあります)

お預かりしている「ハイマチックF」は
電池を入れるとバッテリーチェックも点灯し
シャッターも一応作動しているようです。
「プログラムオートはある程度動作してるかな。。。」と
LV15(ASA100・F16・1/125)の光源にかざして
シャッターを切ってみるとシャッター音はするものの
シャッター羽根が全く開きません
こりゃダメか。。。と思いつつLV12の少し暗い光に
かざして切ってみるとほんのわずかに開き
LV9にかざすとやっとはっきり目視できるほど開きました。
どうやら極端にアンダーになるようなオート設定になっているようです。
LV15で開かないのは論外ですが
かろうじて開くLV12やLV9にしたって4段以上の大アンダーです。
さすがにまともに写真が撮れる状態ではありません。
で、問題はなぜこうなってしまっているのか、なのですが
分解して確認してみると調整用の可変抵抗が
極端な位置に回されているようです。
過去の分解時にここで調整しようとしたのでしょうか。。。
公式なマニュアルで確認したわけではないのですが
ハイマチFの可変抵抗は明るいときと暗いときの
オート露出のバランスを調整するためのもので
ここでオートレベルそのものを調整しようとしても
うまくいかないと思います。

不具合の主な原因は何となく掴めたので
さきにシャッターユニットの接点やソレノイドの清掃等々
できる限りの整備を行います。
もちろん羽根清掃やレンズ清掃、巻上部整備も並行して行います。
その後、仮組して電気的調整を行い
先程の可変抵抗もオートのバランスを取り適正な位置に戻します。
最終的にオートレベルを感度ダイヤル側で微調整します。
それからファインダー清掃、距離計の調整を行って
完成となります。
今回も何とか無事に修理完了となりそうです。
この類のカメラはやってみないとわからない部分も
正直なところありますので神経を使います。

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オリンパス35DCのカメラ修理

今日は「中秋の名月」でもありますが
10月1日は「日本酒の日」ですよ。
美味い日本酒を入れた盃に月を映して
お月見なんてお洒落ですねぇ。。。
今夜、一人でベランダでやってみようかな(笑)
私は「塩で酒が飲める」というタイプではなく
美味いものをより美味しく食べるためのお酒であることが多く
その考え方で行くと
磨き上げて香りが芳醇でお酒単体で楽しめる大吟醸酒よりも
魚介類の味を引き上げてくれる純米酒のほうが好みです。
あまり肴の味わいを邪魔しないものがいいですねぇ
。。。とはいえ。。。
お腹が落ち着いたころにシンプルなあてで
吟醸酒ならではの香りと味を楽しむ。。というのもいいですよねぇ
まぁ、なんにしても日本酒が好きなんだな(笑)
朝は霧雨が降っていましたが
午後からは天気が回復するようです。
お月見しながら晩酌できるといいなぁ

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1971(昭和46)年に発売されたレンズ固定型のレンジファインダー機です。
搭載されるレンズは40mmF1.7の大口径レンズです。
今では明るいレンズ(大口径レンズ)というと
開放時のボケ味が話題になることが多いですが
この時代、特にレンズ固定式のコンパクトカメラに搭載される
大口径レンズの役目は「朝夕や室内等の光量の少ない場面で
手振れを起こしにくいシャッタスピードを確保する」ということです。
実際問題、この時代のフィルムはASA100(ISO100)が主流ですから
少し暗めの降りだしそうな曇天(例えばLV10)でも
ASA100・1/125・F2.8とかになってしまうわけですから
室内撮影等になってくると
F2クラスの大口径レンズが必要となってくるわけですね。
そもそも「35DC」の場合はプログラムシャッターなので
意図して絞りをコントロールできるカメラではないので
大口径レンズの役目はやはり「速いSSの確保」なのです。
もちろんフラッシュを使えば真っ暗だったとしても撮影できますし
「35DC」はフラッシュマチック機能も付いているのですが
まだこの時代はフラッシュは外付けですし
「気軽に撮れるコンパクト」の立ち位置的にも
なるべくカメラ単体で対応できるほうが望ましいですものね
絞りコントロール云々はともかく
この「35DC」に搭載されるF.ズイコー40mmF1.7の写りは
非常に評価が高く、独特のシャッター音のセイコーESLシャッターや
気持ちよい巻上等の操作感も併せて
なかなか使っていて気持ちの良いカメラです。
F2.8クラスのレンズを搭載する同時期のコンパクトカメラに比べると
どうしてもレンズの出っ張りは大きいですが
それでも非常にコンパクトな
オリンパスらしいカメラであることは間違いありません。
現在でも非常に人気の高いこともうなづけます。

お預かりしている「35DC」は
距離計の二重像が大きくずれています。
製造されてから50年近く経つとはいえ
こんなに自然にズレるわけないでしょう?というほどです。
多少のことなら微調整で済ませられますが
おそらくこの35DCは分解歴もありそうなので
ファインダーブロックを降ろした際に
大きくズレたのではないかな。。。と推測されます。
落下とか衝撃でファインダーブロックの立て付けがズレたり
ファインダー内のミラーやレンズが取れたりズレたりということもあり
それだと修理も大変なこともあるのですが
今回はそこまでの重症度ではないようです。
他、ファインダーの汚れや多少の露出計のズレ
オート露出時の制御のズレ等も散見されますので
全体的な分解整備を行います。
その際にどちらにしてもファインダーブロックは取り外すので
立て付けや距離計の設定も最初からやり直します。

写真は一通り整備が終わった状態でのものです。
あとは最終チェックを残すのみの状態です。
貼り革がお洒落ですね。
これは当店で張り替えたものではなくて
もともと受付時からこの貼り革だったものです。
分解整備時には裏蓋はともかく
前板の貼り革はまず間違いなく剥がします。
で、貼り革が交換されているものだと
剥がす際に少々神経を使います。
通常、カメラの貼り革に多く使われている材質のものだと
接着や両面テープを剥がす際に
エタノール等を使っても全く問題ないのですが
交換されているものだとそういうアルコールや溶剤等に
耐性のあまりないものの場合もあるのですね。
なのでこういう交換されている貼り革の場合には
アルコールや溶剤が使えないことも多く
剥がすのに少々苦労します。
今回はそんなことはなかったのですが
明らかに弱そうな材質のものが貼ってあるときに限って
強烈な接着剤で貼ってあることがたまにあるのです(汗)
ちなみにたまにジャンク品で見かけますが
貼り革を瞬間接着剤で貼っているようなものはアウトです。
もうその貼り革は再利用できません。
下手をするとボディ側にもダメージが残ります。
貼り革交換はカメラのイメージも変わって個性も出せて
ドレスアップとしても非常に楽しいものですけどね。
今回の35DCの貼り革は材質も良く個人的にも好みです。

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