日別アーカイブ: 2020年12月6日

リコー35デラックスのカメラ修理

今日は「音の日」だそうですよ。
制定したのは一般社団法人・日本オーディオ協会です。
。。。ということはここでいう「音」は
オーディオで楽しむ音ということですね。
オーディオも奥の深い世界ですよねぇ
私は安物のレコードプレーヤーにありきたりの
プリメインアンプを繋いで
オンキョーの高価でもないスピーカーで楽しむ程度です。
(実際大きな音で鳴らせないですものね)
中学校の頃だったかな。。。
あの頃は私の生まれ育った呉市にも家電量販店には
多数のシステムコンポや単体オーディオが
ワンフロア独占していたような時代でした。
今ではなかなかないですよねぇ
そして買えもしないのにカタログばかり持って帰っては
「すごいなぁ。。。ほしいなぁ・。。。」と眺めていたものでした
ローカルネタですが本通4丁目にあった
「第一産業」(現エディオン)には頻繁に通っていました(笑)
サンスイやデノン、テクニクスにケンウッド、オンキョー、ヤマハ
色んな国産オーディオメーカーも
元気あった頃の懐かしい話です。

さてさて

本日は「リコー35デラックス」のカメラ修理を行っています。
上記のオーディオの話はそれでも80年代前半の話で
当店で扱うカメラの年代に比べればまだ最近の話ですね。
リコー35デラックスは1956年に発売されたカメラです。
まだまだカメラは高級品且つ嗜好品だった頃の製品ですね。
リコーのカメラは比較的リーズナブルなものも多く
他メーカーに比べればお求めやすいものが多かったのですが
それでもそんなに気軽に買えるものではなかったと思われます。
リコー35デラックスの価格が当時17,500円です。
調べてみると1956年の大卒初任給が8,700円
高卒だと5,900円だったのだそうです。
かけそばが30円で喫茶店で飲むコーヒーが50円の時代です。
そう考えるとやはりこの頃のカメラは高価ですね

レンズ固定式のレンズシャッター機です。
搭載されるレンズはリコマット45mmF2.8
シャッターユニットはセイコーシャMXです。
当時としては高性能な1/500シャッターを搭載しますが
これまでセイコーシャMX搭載機のブログで
何度も書いていますがこのシャッターユニットの1/500は
別個に設置された強力なバネを使って駆動するため
1/500にセットするのは必ず巻上前に行います。
巻上前でも少し1/500に入れる際に重く感じますが
巻上後だと重いどころか全く入りません。
無理に入れているとトラブルの元になってしまいます。
巻上レバーは底部にセットされた当時でいうピストルレバーです。
この時代のカメラらしく非常にしかり作られたカメラです。

お預かりしているリコー35デラックスは
ご依頼者様が最近入手されたものとのことです。
動作に関しては一通り行えているようですが
やはり動きの悪い部分も多々見受けられ
レンズやファインダーにはかなり汚れの目立つ状態です。
一度、試写を行ってみたとのことですが
その際にフィルムのパーフォレーションが
破れてしまったとのことです。
巻上機構や巻き戻し機構に今のところ大きな異常は
見受けられないのですが念入りに動きを確認しながら
整備を行っていきます。

写真は一通り整備が完了し少し様子見をしている段階です、
動きが落ち着いたところで最終チェック+微調整を行います。
距離計の二重像投影はハーフミラーではなく
プリズムが使用されています。さすがコストかかっていますね
できる限り清掃を行った甲斐もあって
お預かり時よりは段違いに見えやすくなったと思います。
レンズの状態もかなり良くなったと思います。
いつもいつも同じようなことを言いますが
1950年代の国産カメラはレンズ固定式のレンジファインダー機も
二眼レフもスプリングカメラも
魅力的なデザインで質感の高いものばかりです。
今回のリコー35デラックスも
眺めているだけでも楽しくなってきます。
ご依頼者様にも存分に楽しんでいただければと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。