日別アーカイブ: 2021年8月20日

ミノルタハイマチック11のカメラ修理

今日は「交通信号設置記念日」なのだそうです。
1931(昭和6)年のこの日に
東京・銀座の尾張町交差点(現在の銀座4丁目交差点)や
京橋交差点などに日本初の3色灯の自動交通信号機が設置されたことが
由来となっている記念日です。
信号の色が変わるたびにベルが鳴る信号機だったそうです。
当時、銀座の交差点にはガス灯が設置され
日本で初めて歩道を備えたハイカラな交差点だったそうです。
当時の風景実際に見てみたくなりますね。
ちなみに自動ではなくて機械式の交通信号機が
設置されたのはこの前年にあたる1930(昭和5)年だそうです。
その頃からしたらこんなに街中が信号機だらけに
なるなんて想像できなかったかもしれませんね
普段何気に信号機を見て横断歩道とかわたっていますが
私、昨年、頭が壊れた関係で
退院してしばらくは左右確認がゆっくりとしかできなくて
(それもしっかり立ち止まってないとできない)
さらに確認してから実際に歩き始めるまで
結構なタイムラグもあり
信号のない小さな交差点とか怖くて横断できませんでした
あの頃は本当に信号機のありがたさがよくわかりました…
今でこそ何とかあまり不自由ない程度に
歩き回れるようになれましたが(ふらついてはいますが)
実際、歩くのが不自由になると
交通量のそれなりにあるところが
どれほど怖いかを実感することができました。
信号機はもちろんですが、本当にいろいろな街の仕組みに感謝ですねぇ…

さてさて

本日は「ミノルタハイマチック11」のカメラ修理を行っています。
初代⇒7⇒9⇒11と続いてきたハイマチックシリーズですが
いわゆる初代と同じくらいの比較的大きなボディを持つ
ハイマチックはこの11が最後となります。
この後には簡素化されてコンパクトな「C」が登場し
その次にはいよいよ電子化され小型化された「E」が発売され
さらに小さい「F」へと続いていきます。
7で大きく中身もフルモデルチェンジして
それ以来、基本は「7」がベースとなっていましたが
それもこの「11」で最後となります。
7・9ではプログラムオート露出+マニュアル露出が可能でしたが
「11」ではシャッターユニットをセイコーALAに変更し
プログラムオート露出に加えて
シャッタースピード優先オート露出が可能となりました。
その代わりにマニュアル露出は省略されています。
つまりシャッターは機械式ですが
マニュアルがなくなったことにより
必ず露出計が作動していることが撮影を行うための
必須条件になったわけです。
露出モードの変更以外はほぼ前モデルの「9」の内容を
引き継いでいます。
レンズはこのハイマチックシリーズで実績十分の
ロッコールPF45mmF1.7です。

お預かりしているハイマチ11は
生命線ともいえる露出計は多少不安定ではあるものの
そこそこ正常に動作しています。
ただしハイマチシリーズに限らず
キャノネット等のSS優先機によくあるパターンですが
絞り制御に粘りがあってうまく作動しておらず
露出計の値よりかなりオーバー目に露出してしまいます。
ざっくり平均して3段くらいオーバーでしょうか…
さすがに写真が真っ白になってしまうほどズレています。
オート時の絞り制御は構造上
非常に小さなバネの力で絞り羽根を制御します。
さすがに50年以上経過しており
制御部、羽根駆動部、さらに羽根自体にも
それなりに汚れが溜まっていて
それが抵抗となり動作不良を起こします。

絞り制御やシャッターユニット周りの整備を先に行い
巻上周り、ファインダー清掃へと進めていきます。
距離計に若干のズレがあり
ファインダーもそれなりに曇っているので
できる限りクリアに仕上げていきます。
初期のハイマチックは使い心地も写りも
かなり気持ちの良いカメラです。
初代のプログラムオートのみは少々使いにくいですが
7・9・7s・11は
もっと評価されてもよいカメラだと思っています。

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