日別アーカイブ: 2023年11月17日

キヤノネットのカメラ修理

今日は「レンコンの日」だそうですよ。
…と知った時点でやたらと「レンコンの天ぷら」が
食べたくなってしかたありません(笑
うちでは「ハスの天ぷら」と言っていましたが
子供の頃、食卓によく並んでたのです。
揚げたてがもちろん美味しいけど
冷えて衣がしなっとしてもハスがサクサクだから
歯ごたえが良くて美味しいのですよねぇ
子供の頃から大好物でしたが
言われてみれば長らく口にしていない…
家で天ぷら揚げるのはなかなかの大仕事になるので
スーパーの総菜コーナーに置いてないかなーーー
冷めても美味しいのだからそれで十分ではあるんだよねぇ
天ぷら以外にも煮物や酢の物でも美味しいですよねぇ
辛子蓮根も忘れちゃいけませんね。
こうしてみると天ぷら以外も含めて
思っていた以上にレンコン好きだな…
煮物でも何でもいいからレンコン食べたくなってきました…

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
キヤノネットシリーズは1960年代初めから
70年代にかけてキヤノンを代表する
レンズ固定式コンパクトカメラのシリーズで
多くのモデルが存在します。
今回の「キヤノネット」は社会現象となるほど
カメラ業界にインパクトを与えた初代モデルです。
1961年発売のカメラでキヤノン初のコンパクトカメラです。
(この時代なのでコンパクトと言っても大柄ですが)
45mmF1.9の大口径レンズを搭載
もちろんレンジファインダーも搭載です。
セレン光電池使用の露出計を装備し
露出計と連動してシャッタスピード優先AEが可能です。
露出計はオフとなるもののマニュアル露出でも撮影可能
シャッターユニットはコパルSVで
B・1s~1/500をカバーします。
巻上は底部トリガー式、巻き戻しクランクも底部に配置
上カバー部にはレリーズボタンとT切替リングのみの
すっきりした配置で筆記体の「Canonet」の文字が刻印されています。
この時代のカメラとしては最高といえる機能を持ち
価格は2万円を切った破格と言える設定で
発売と同時に爆発的大ヒット作となりました。
業界内では「ダンピングでは?」と批判の声があがるほどで
キヤノネットの登場はカメラの低額化・高機能化に付いていけなくなった
多くのカメラメーカーが倒産・撤退するきっかけとなったそうです。
当時としては価格破壊ともいえる設定でしたが
組み立てラインや部品点数の効率化を進めた結果で
内部の造り自体や部品の材質に安っぽさは全くありません。
分解してみるとわかりますが
非常に綿密に考えられた巧みな造りを持つカメラです。

お預かりしている「キヤノネット」は
おそらく随分昔に調子が悪くなったまま
しまい込まれそのまま長年放置されていたものと思われます。
外装にもサビ等のダメージが見られますが
レンズにも相当のカビが発生していて
白く曇っている状態です。
ファインダーも同様で二重像も相当見えづらい状態です。
レリーズボタンは押し込まれたままの状態で固着しています。
このカメラでの「T」状態なのですが
切り替えリングは「T」のポジションにはなく
内部で切り替え爪の変形があるものと思われます。
それとは関係なくシャッター羽根は固着していて
絞り羽根も粘っていて動作不良となっています。
そして露出計も不動です。
セレンの状態が心配されますが
あとでわかりましたがセレンには劣化は多少あるものの
致命的な状態ではなく露出計本体も作動しているのですが
ファインダー内ロ露出計表示連動部が固着していて
全く動かない状態のようです。
いずれにしてもフルコースで各部の清掃整備が必要な状態です。

画像は本カウ的分解整備に取り掛かる前のモノです。
上カバーのサビ等のダメージは除去しきれないと思われますが
できる限りキレイに仕上げたいと思います。
シャッタユニット内部を含む各駆動部は
徹底的に洗浄と最小限の注油を行った上で調整し
ガラス・レンズ部はカビ除去とできる限りの清掃です。
おかげさまでレンズに関しては若干のカビ跡と
もともとあった細かい拭き傷以外はクリアになり
ファインダーは見違えるほど見えが良くなりました。
いろいろなパターンでのテストを行いつつ調整し
少し様子見を行った上で最終テストを行っていきます。
今回も致命的な破損等はなかったので
普通に気持ちよく使える状態に仕上がりそうです。

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