ニコンEMのカメラ修理

今日、5月11日は1970年に
植村直己さんと松浦輝男さんが日本人で初めて
エベレストに登頂した日ですね。
標高8000m超の世界はいろいろ本とかで
読むことはあっても想像を超える世界なんでしょうねぇ。。。
一度、8000m峰に登るとボクシングで殴られ続けて
ノックアウトされるくらい脳にダメージがあると話も
聞いたことがあります。
今は700万円程出せばツアーで登ることもできるみたいです。
。。。。無理だな。。。。(笑)

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年に発売されたニコンとしてはめずらしく
軽量コンパクトな上にスタイリッシュな
絞り優先AE専用機です。
ミノルタX-7やオリンパスOM10、ペンタックスMV1等々
ライバルの非常に多いクラスですが
現在でも人気の高いカメラですね。
EM用に「シリーズE」と呼ばれる
ニッコールより少しお求め易いレンズ群も発売されました。

今回、お預かりしているEMは
EMにしてはめずらしくプリズム腐食が発生しています。
さらにカウンターが「1」になっても露出計がオンにならず
いつになっても一定のシャッタースピードでしか切れません。
カウンターが「1」になるまでは機械式の1/90で切れ
「1」になるとオートが働くのが正常で
そのためのSWの不良かと思われましたが
分解してみるとどうもそうではないようです。
バッテリーチェックは作動するので電池室近辺の問題でもなさそうです。

写真ではわかりにくいですが
プリズム縦方向に腐食が発生しているのが写っています。
プリズムは腐食のない中古品と交換して対応します。
露出計不動の件はSW周りを中心に清掃を行い
ハンダ付けのやり直しを行います。
比較的、最近まで動作していて分解品でもないようなので
おそらくこれで何とかなるのではないかと思われます。
確率は低いですが基板そのものがNGという可能性もありますが
その場合は基板を丸ごと載せかえることで対応します。

EMに限らずこのクラスのカメラはプラスチック部品が
非常に多く使われています。
それが経年劣化で脆くなっている場合も多いので注意が必要です。
EMの分解でかなり神経を使うのが
トップカバーを外す際に取り外す巻き戻しクランクで
普通にフィルム室側フォークを固定してクランクを逆回しに
力任せに回すと結構な高い確率でクランク根元部分の
円盤が破損します。今回も結構固着していて
強い力で回さなければ外れないのですが
下手をするとプラスチック部品を破損するということで
慎重に時間をかけて外しました。
カメラの分解の主な作業は「回す」(ネジやリング等々)ことだと思うのですが
これが年月の経ったものだと一筋縄ではいかないことが多いですね。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。