オリンパスOM-1Nのカメラ修理

今日はこれと言ってピンとくる記念日は少ないのですが
1962年2月20日にアメリカ初の有人衛星
「マーキュリー・アトラス6号」(フレンドシップ7)が打ち上げられました。
ジョン・グレン中佐が塔乗し、アメリカ初の地球周回飛行となり
この分野で先行されていたソ連に追いつく形となったわけです。
この宇宙船にミノルタハイマチックのOEM品である
「アンスコ・オートセット」が載せられ
初めて宇宙に飛んだカメラとなったわけですね。
この辺の話は前回のハイマチック7のブログでも
書いたばかりですね。
今から59年前のことなのですよねぇ
意外と最近の話だなぁ。。。と思うのが半分
そんな昔の技術で
よく衛星軌道まで乗ったなぁ。。。と思うのが半分というところですね
でも実際にこの時代の宇宙計画はトラブルが多いのが当たり前で
フレンドシップ7も本来は最低7周以上の
地球周回飛行を行う予定であったのですが
2周目にトラブルが発生し
3週目終了時点で大気圏再突入・大西洋に無事着水・回収となったわけです
本当に命がけで宇宙に行く感じだったでしょうねぇ
現在でさえもいろいろトラブルの起こる可能性はあると思いますが
この時代は最後まで計画通りに無事に進むことの方が
少なかったのではないかと思います。
でも成層圏やその先の宇宙ってやはり憧れますし
興味もわきますよねぇ
普通に宇宙にりゅこうに行くことにできる時代に
もう一度生まれ変わってみたいものですね

さてさて

本日の修理は毎度おなじみのオリンパスOM-1Nです。
機能としてはフラッシュ関連の部分で多少の改善が行われていますが
他は従来のOM-1と何ら変わりません。
ただし、内部機構や部品は意外と変更が行われていて
(正確に言うと「1」の末期から少しずつ変更されている)
「1」と」「1N」は細かい部品に意外と互換性がなかったりします。
シャッター等の基本的構造は変わりはしないのですが。。。
いろいろ改善を行っている割には
相変わらずプリズムと接眼レンズの間には
大きな遮光用のモルトプレーンで覆われていて
それが元でプリズムの腐食も「1」同様に起こります。
数十年後の加水分解まで予想できなかったのか
いやいや数年に一度はキチンと分解整備して
モルト類は交換してくださいよ…ということなのか
どちらにせよ、数十年放置あるいは使いっぱなしの個体では
かなりの高い確率でプリズム腐食が起こります。

今回お預かりの個体は
明らかに視界の邪魔になるほど酷くはないのですが
やはり腐食が発生していて一度気になり始めると
ファインダーを覗くたびに気になってしまうという感じです。
一眼レフにしてもレンジファインダー機にしても
やはりフィルムカメラはファインダーの見え心地が非常に大事です。
ファインダーが汚れていると
写真そのものには影響がないとわかっていても
撮影するテンションが下がってしまいますものね
さらに今回の「1N」はプリズムの問題だけではなく
低速シャッター時にかなりの高確率で
ミラーアップしたままになってしまいます。
今回もミラー駆動部が…というよりはシャッター幕走行不良が
原因かと思われます。
というのもやはり高速SS時にもかなり後幕の動きが悪く
SS精度が全く出ていない状況のため
低速時のミラーアップもこの辺りが原因と思われます。
他、細かいことですが「R」ダイヤルがロックされず
巻戻しの際に「R」ダイヤルを「R」ポジションに
手で持ったままでないと巻きもぢができない症状が確認されています。
巻き戻しできなくはないですがこれはかなり不便ですね。
まだ通常の底部巻き戻しボタンであれば押したまま巻くのは
難しくはないですし古いカメラだとロックされないのが当たり前で
押したまま巻き戻すのが普通のカメラもありますが
OMの場合はダイヤル状な上に配置されている場所も
手で押さえておくにはやりにくい場所です
このトラブルの原因は巻き戻しダイヤル軸の変形ですが
たまに見受けられるトラブルです。

OM-1は他の多くのオリンパス機と同じく
小さなボディにぎっちりと機構部を組み込むため
整備の際にはいろいろと神経を使うカメラです。
基本的にはシンプルな造りなのですが
設定に繊細な部分が多いカメラで
ちょっとしたことでその繊細な部分のバランスが崩れると
なかなか復帰に手間のかかるカメラなのです。
毎月数台行いOM-1(N)の整備ですが
本当に油断禁物で(どのカメラでもそうではありますが)
今回も慎重に整備を行っていきます。

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