キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「文化の日」で祝日ですね。
「文化の日」の由来は
平和と文化を重視した日本国憲法が公布されたことを記念してとのことですが
日本国憲法がこの日に交付となったのは
この日が明治天皇の誕生日であることが理由でもあるようです。
個人的には「文化の日」と言えば
私の生まれ育った呉市の「小祭り」の日で
私の実家から最寄りの「平原神社」でお祭りが行われ
神輿に太鼓や笛、「やぶ」が町を回り昔は
1日中賑やかでした。
「呉の小祭り」の話をし始めると
止まらなくなりそうなので話をかえますが
「文化の日」にちなんで今日は
「レコードの日」、「文具の日」、「まんがの日」
「ビデオの日」、「クラシックカーの日」等々の
文化的なジャンルの記念日が制定されています。
この中で一番縁があるのはやはり「レコードの日」ですかねぇ
オーディオマニアではないですが
レコードは昔から買い集めたものが大量にあるので
レコードを聴ける環境だけは未だにキープしています。
アナログ盤の音は趣があってよいですよ。
一時期は新しいレコードなんて全く出ることがなかった時期もありましたが
最近は新譜や復刻盤がレコードで新しく出てくることも多く
嬉しい限りです。
フィルム写真もレコードと同様に何とか生き残ってほしいものですねぇ
「フィルム写真文化の日」とか制定されてもいいですよねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
70年代~80年代の一眼レフ普及機クラスを
まさに牽引としたともいえる「キヤノンAシリーズ」の
一号機でもあり全ての「Aシリーズ」の基本形ともなるカメラです。
1976年4月に発売されました。
世界初のマイクロコンピュータ搭載カメラで
これ以降のカメラの電子化・自動化への道筋を付けたカメラだと思います。
TTL開放測光によりシャッタースピード優先オート露出を搭載します。
それまでの「SS優先機」というと
露出計の指針を物理的に挟み込んで連動する絞りを設定する形式でしたが
それを完全に電子制御で行います。
中身や生産ラインの効率化もますます進み
同様の機能を持つ前モデル「キヤノンEF」に比べ
300点もの部品を削減しています。
価格もFD50mmF1.4s.s.c付きで81,000円と戦略的で
AE-1の登場によりまたもやついてこれなくなった
一眼レフメーカーの撤退が相次ぎ淘汰されていきます。
こう書くとバリバリの電子制御の塊の最新鋭機種とも感じられますが
確かに当時の最新鋭ですが
中身を見るとフレキは採用されているものの
まだまだ機械的制御も多く残っていたりします。
一番それを感じるのはSSダイヤルから摺動抵抗に連動する
「連動糸」がまだ残っていることですかね…
A-1になるとこういう部分もなくなっていくのですが
なかなか機械的部分と電子制御が絶妙に組み合わされた構造になっています。

基本的に電子制御部分は意外に丈夫にできていて
妙な分解品で電子部品をショートさせたり
フレキを切ってしまわない限り
電子制御部に致命的なトラブルが起こることは少ないカメラかと思います。
もちろんこれからさらに経年劣化が進むと
何とも言えない部分がありますが
現存している未整備の個体でそれほど致命的な問題が起こっている個体は
少ないのではないかと思われます。
電子制御カメラは電子部品そのものの問題より
それに関連する接点や機械的連動部、シャッターを制御するマグネット部に
関連するトラブルが多くを占めると思われます。
今回お預かりしているAE-1も電池を入れると
電源は入り露出計も動作するのですが
どうにもシャッターが切れない状態です。
結論から言うとマグネットの固着が原因でした。

マグネット及びそれに関連する接点の清掃で
シャッターは安定して切れるようになったものの
定番のシャッター鳴きやオート時の絞り制御の不具合
さらに露出計も不安定とやはりそれなりのトラブルは
いくつか抱えてしまっている状態でした。
しかしながらどれも積年の汚れや油脂類の経年劣化によるものがほとんどです。
分解して隅々までキチンと清掃し
動きやすい環境を整えた上で機械的・電気的な調整を行えば
安定した動作を取り戻すことができると思われます。
A-1まで機能が膨らむとなかなか難しい部分もかなり増えるのですが
AE-1はある意味、シンプルな部分も多いので
この類のカメラとしてはかなり丈夫なほうに入ると思います。
しっかり整備してこれからも長く楽しんでいただけると思います。

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