キヤノンFTのカメラ修理

今日はピンとくる記念日のない日ですねぇ…
いや記念日がないわけではないのですが
あまりにも興味をそそられるものがないだけなのですが…
で、過去の12月21日の出来事を調べてみると…
1971年に首都高3号渋谷線が全線開通していますね。
C1を渋谷から分岐して東名高速へと繋がる道路です。
東名のインターの近くに住んでいたことも過去にあり
3号線は馴染みのある高速道路ですが
ここもとにかく渋滞するのですよねぇ…(苦笑)
それにしても開通して50年以上…首都高は新しい路線も
いろいろ造られていますが基本はやはり古いですね
ちなみにC1(都心環状線)が全線開通したのは1967年です
最初に東京に来た頃はたまに運転しても
首都高速の複雑さと渋滞に圧倒されていましたが
慣れてきて道も覚えてくると首都高って本当に便利ですし
走っていても楽しい道路なのですよねぇ
…渋滞さえなければ…(笑
C1なんて普通に走れれば1周15分もかからないはずなのに
夕方ラッシュ時になんかに乗ってしまうと
途方もなく延々と続くような錯覚に陥ります…
そこから放射線状に広がる1号~11号も同様です。
特に3号は東名と連絡するため渋滞がひどい印象です…
でも遠出するために夜明け前の速い時間に3号や4号に乗って
東名や中央道に連絡していくと
いかにも「遠くに行くぞ!」という雰囲気で盛り上がりますね
今や高速に乗る足もないので随分そんなのともご無沙汰ですが…(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
以前にも書きましたが意外とFTの修理依頼は多いのですよね
最近はFTbよりも頻繁に整備しているような気がします。
TTL絞込測光機です。このカメラから
キヤノンお得意のコンデンサレンズにハーフミラーを組込み
コンデンサレンズ背後にCdSを配置するレイアウトとなります。
一般的な接眼レンズ脇にCdSを配置するより正確な
測光を行うためなのが主目的ですが
副産物としてこの時代の一般的な平均測光や中央部重点測光ではなく
中央部部分測光となりました。
露出の知識がある程度付いてくるとファインダー内で輝度差の大きい場面では
中央部部分測光の方が露出決定しやすいと個人的にも思います。
ちょっと玄人好みな測光方式ですね。
そしてこれもこの時代のキャノンお得意の
QL(クイックローディング)を搭載します。
こちらは知識の有無に関係なく誰もがフィルム装填を楽に行える
画期的な機能だと思います。
これも時代が進んで裏蓋にデータバック機能等が付き始め
裏蓋交換が簡単にできなければいけなくなると
消えて行ってしまう機能なのですが
今となってはデータバックより
QLのほうが役立つのではないかと…(苦笑)

お預かりしているFTはかなり長い間仕舞い込まれて
眠っていた個体かと思われます。
FT…というよりFシリーズ全般に言えますが
長期間仕舞い込まれている場合はかなりの高確率で
プリズム腐食が発生します。
プリズム抑えのモルトが引き金になっている場合が多いですが
今回はそれもありますがそれ以外の部分も
蒸着剥がれが起こっていて全体的にモヤモヤだらけです。
どうにも交換で対処するしかない状態ですが
FT、FP、FXのキレイなプリズムは年々入手が難しくなっています。
今回は何とか入手できましたが
いずれはプリズム交換で対処できなくなる日も近いかもしれません。
電池室には古い当時の水銀電池が入ったままになっていたため
電池室やその周辺の配線の腐食が心配されましたが
意外と状態は悪くなくSW部の接触不良等はありましたが
思ったほどの大きなダメージは受けていない様子です。
ただしシャッター・巻上周りは汚れや古い油脂が
もはや抵抗となっていてまともには動けない状態です。
動作しないわけではないのですが
高速シャッター時の先幕後幕のバランスはしっちゃかめっちゃかで
スロー時にはガバナが固着してしまっています。
巻上の感触も明らかな油切れで妙な重さを感じスムーズさはありません。
このあたりの駆動箇所は全て清掃整備が必要な状態です。

画像はまだ分解取り掛かり始めの段階ですが
いつものごとくプリズム抑え裏のモルトが激しく劣化しています。
薄っぺらなプリズムカバーを乗り越えて
プリズム本体にも影響が出てしまいます。
プリズム周りは仕方がないですが
他は長い間仕舞い込まれていた割には
思ったほどのダメージはありません。
もちろんまともに動作できない場所は多いのですが
普通に清掃整備を行えば問題なく動作する状態に復帰しそうです。
まだ作業途中ですが清掃注油を行った幕軸やミラー駆動部は快調で
この時期のキヤノン機らしい「パシッ」とした
歯切れの良い動作音を響かせています。
ご依頼者様には改めてこのカメラの本来の姿を見てもらって
存分に撮影を楽しんでいただきたいと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパス35DCのカメラ修理

今日は「日本人初飛行の日」だそうです。
1910(明治43)年のこの日に
東京・代々木錬兵場(現:代々木公園)で
陸軍軍人(工兵大尉)徳川好敏が日本初飛行に成功したそうです。
実際には5日前の12月14日に、陸軍軍人・日野熊蔵が
飛行に成功していたそうですが
公式の飛行実施予定日ではなかったため
「滑走の余勢で誤って離陸」と報告されているのだそうです。
飛行機はフランス製の複葉機で
飛行時間は4分・最高高度は70m・飛行距離は3000mだったそうです。
たった70m…いや70mもあるのに
あの身の周りに何もない原始的な複葉機…考えただけでも怖いですねぇ(笑
しかしながらその日本人初飛行から100年ちょっとで
飛行機の高度は1万mを超えるのは当たり前で
数は少ないですが速さは音速を超えるものもあり
飛行距離は長いもので1万5千kmを超えています。
技術の進歩ってこうしてみるとすごいですよねぇ…
あと100年経ったらどうなってしまうのか…
ただ…私は高所恐怖症とかではないですが
もう積極的に飛行機に乗りたいとは思わないかな…(苦笑)
それほど遠くに行きたいとも思わないですし…

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
「DC」はデラックスなコンパクトの頭文字です。
このあたりのネーミングも時代を感じますね。
「オリンパス35シリーズ」は1940年代から続く
オリンパスのレンズシャッター機のシリーズで
数多くの種類が存在しますが
1968年の「トリップ35」以降は時代も反映して
まさに「コンパクトカメラ」の名に相応しい
気軽に持ち歩ける小さなカメラをラインナップしていきます。
「35DC」もその一員ですがデラックスなコンパクトなので
小さなボディ本体に大口径の40mmF1.7レンズを組み合わせています。
この時代のフィルム感度は100が標準な時代なので
大口径レンズはボケや描写を楽しむためではなく
光量不足の場面でも露出を確保するための大口径です。
それもあって組み合わせるシャッターは
シャッター羽根と絞り羽根を同じ羽根で兼用する
プログラムシャッターを搭載します。
さらにフラッシュ使用時にもプログラムオート撮影が可能な
世界初の自動フラッシュマチック機構や逆光補正機能も搭載し
「どんな場面でも簡単に撮れる」をセールスポイントにしたカメラです。
その造りの良さも相まって現在でも非常に人気の高いカメラです。

お預かりしている「35DC」はご依頼者様のご自宅で
長い間眠っていたものと思われます。
「35DC」はシャッターそのものは機械制御で
電気がなくても動きますが
露出計が動いていないとシャッターロックがかかるようになっているので
実質的には電池を入れないと何もできないカメラです。
今回も電池室にそれなりの腐食跡が見られるのですが
電池を入れてみると何とか露出計は動くようで
しゃったーを切ることもできました。
しかしながら露出計で指示されたシャッター速度とは関係なく
シャッター羽根はゆっくりとしか動きません
羽根が固着気味で粘っている…というより駆動部に粘りがあるような感じです。
そして巻上時に妙なゴリゴリ感があり
巻上が1回で終わらず1回と1/3くらい巻き上げないとチャージができません。
どうやら以前にシャッターロックが掛かっているときに
無理に巻き上げようとしたのではないかとおもわれます。
分解してみるとやはり巻上ギアに異様な摩耗というか
削れてしまったような痕跡があり、そこをギアが通過するときに
滑ってしまうようです。
さらに露出計はかろうじて動いている…と先述しましたが
やはり電池室裏には緑青でびっしり埋め尽くされていて
配線を軽くピンセットで触れただけで
電池室裏のハンダは外れてしまいました。配線交換も必要です。
意外と各部にダメージが見られる個体です。

巻上ギアは部品取り個体から中古良品を移植して対処します。
露出計周りの配線は全て交換で端子は磨いて再利用します。
他、シャッター、巻上はできる限りの整備を行い
露出計・オートの調整を行い
ファインダー、レンズはできる限りの清掃
距離計の調整も行います。
もちろんモルトは全滅なので全て交換です。
「35DC」はバランスの関係で落下させたときに
レンズ先端部を強打しているものが多く
その場合にかなり高い確率でASA感度設定環が破損して
回らなくなっているものが多いのですが
今回はそこは大丈夫でした。
結構いろいろ不具合を抱えている個体でしたが
問題なく快適に使える状態に仕上げることができそうです。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ミノルタXEのカメラ修理

今日は「ナボナの日」だそうですよ。
そう!あの「ナボナはお菓子のホームラン王です!」のナボナです。
王さんが現役時代に出ていたこの名台詞のCMも
もう知らない人のほうが多いのでしょうねぇ…
1963(昭和38)年に発売され
もちろん現在でも人気商品です。
フワフワのクリームにこれまたフワフワのカステラ生地が
最高に美味しいのですが
残念ながらしばらく口にした覚えがないです…
昔ながらのチーズクリームの印象が強いですが
「今はどんな感じ?」と発売元の亀屋万年堂さんのサイトを見てみると
おぉぉぉぉ。。。今はまたいろんな種類が売っているのですねぇ
定番のチーズクリームはもちろん現役で
あんバターナボナとかバニラとかショコラ苺とか。。。
店舗限定の「生ナボナ いちごと小倉」なんて
最高に気になります…(笑
お休みの日に都内の店舗行ってみようかな…
食べ過ぎには注意ですが…(苦笑)
しかしこんなの見てると「甘いものモード」に
なってしまってたまりませんな…

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
ミノルタXシリーズとしては2台目の登場となるカメラで
1974年の発売です。
前年にXシリーズ最初のカメラでフラッグシップでもある
「X-1」が発売になっていて
こちらはこれまでの技術の集大成ともいえる布幕横走り機ですが
「XE」はライツ、コパルと組んで3社で開発した
「ライツコパルシャッター」という金属羽根縦走りシャッターを搭載し
絞り優先オートを装備した意欲作です。
シャッタースピードやらフラッシュ機能やらオート機能とかの
わかりやすいカタログスペックよりも
いわゆる「使い心地」を重視したカメラで
当時としてはめずらしいアプローチだったと思われます。
何と言ってもその魅力は滑らかな巻上フィールです。
感覚的なモノなので主観ですが
個人的にも縦走り機では一番だと思っています。
そしてこの時代なので決してさほど明るくはないのですが
キレの良いファインダーにふわりと動く視認性の良い露出計指針等々
確かに使っていて気持ちの良いカメラです。
ただ、これも時代を考えると当然ではありますが
ボディは少々大柄で重く取り回しはそれなりです。
反対に重厚さは強調されてデザイン的にも威風堂々としています。

電子制御機としては比較的初期のカメラであり
やはり電気関係にトラブルは多いカメラでもあります。
それでも致命的な電子部品不良とかは比較的少ないほうだと思います。
今回お預かりしている「XE」も
精度はともかくシャッターは各速切れているのですが
露出計に不具合を抱えています。
シャッターが切れているので電源はもちろん入って
露出計は明るさには反応していています。
シャッタースピードを変更するとそれに伴って
露出計の指針も変化しますが
レンズ側の絞りを動かしても露出計指針に変化がありません。
先日のOM-1でも同じような症状がありましたが
今回は物理的には絞りリングにボディ側の連動爪もちゃんと連動しています。
連動糸の不具合もなさそうです。
…となると可能性の高いのはその連動糸に組み合わさって動作している
ブラシに接する摺動抵抗の不具合かと思われます。
巻き戻しクランク下に配置されているこの抵抗に関するトラブルが
「XE」は非常に多いです。
よくあるのが明るかろうと暗かろうと露出計が上に振り切ってしまう症状ですが
この場合もこの摺動抵抗が原因であることがほとんどです。
…というより「XE」の露出計に関するトラブルの大部分は
この抵抗が原因となっている場合が多いのです。

他にもシャッタースピードの精度が非常に不安定だったりするので
機械的な部分と制御しているマグネット周りの整備も必要ですが
まずはこの露出計のトラブルの原因を確定するために
摺動抵抗周りのチェックを行っていきます。

ASA感度設定板の下に配置されるこの抵抗は
上面がASA感度設定板に連動していて
裏側(下面)がレンズ側の絞りリングに連動します。
画像左上はASA感度連動面が見えていますが
多少は汚れていますが本来の金色でまぁまぁキレイな状態です。
で、ひっくり返して裏面(絞り連動側)を見てみると(画像右上)
やはりかなり汚れて抵抗面がまっ茶色になってしまっています。
これでは反応しなかったり反応しても正しい抵抗値は出ません。
完全に取り外して清掃を行い
再びセットする前の状態が画像左下です。かなりキレイになりました。
で、動作を確認すると精度はあとで調整しますが
とりあえず絞り値にも連動するようにはなりました。

それから「XE」といえばプリズム腐食が定番ですが
今回はファインダーから見る限りプリズムの腐食は見られませんでした。
原因となるプリズム前面のモルトは以前に交換された形跡がありますが
かなり昔のことと思われ再びモルトが加水分解を起こしている状態でした。
蒸着面にまでは影響ないもののプリズム表面塗装部には
少々影響が出ています。(画像右下)
もちろんモルトは加水分解しない素材のものに貼り直し
腐食がこれ以上進行しないように対策を打っておきます。

巻上機構の整備も行い結果的にはお預かり時よりも
巻上も少しですがより滑らかになっていると思います。
本来の調子を取り戻した「XE」で
ご依頼者様には存分に撮影をお楽しみいただければと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパスペンEEDのカメラ修理

今日は「大洗濯の日」だそうですよ。
「年末の大掃除」の洗濯版ですね。
年末の掃除や洗濯の準備を始めるのが12月の3週目が多く
しっかり取り組みやすい日としてその土曜日とし
12月第三土曜日に制定されているようです。
確かに大掃除も大物の選択もいきなり年末に
1日で終わらそうと思っても無理なのですよねぇ
毎年、「あぁ~もうここまでしかできないや…」って
妥協してますものねぇ…
そろそろできる部分から取り掛かりたいのですが
そもそも12月は何かと忙しくやはり無理がありますねぇ
結局、年末に限らず日頃から小まめに
整理整頓・掃除を行いなさい…ということですね(苦笑)
…とはいえ合間を見つけては日頃できていない部分の
掃除や整理整頓、大物の洗濯も始めたいと思います。
何事も「まぁいっか…」であきらめたらそこで終わりです。
(何かのマンガのセリフみたいになってきた(笑))
しかしながらその前に目の前の仕事はできる限りこなさなくては…(汗)

さてさて

本日は「オリンパスペンEED」のカメラ修理を行っています。
ペンと言えば「ペンS」や「ペンEE(EE2,EE-3)」の
依頼が多いですが「EED」は何だかひさしぶりですね。
ペンシリーズの中でもちょっと変わった立ち位置のカメラです。
ネーミングからは「ペンEEシリーズ」の一員のようでもあり
「ペンDシリーズ」の一員でもありそうなイメージですが
デザイン的にも機能的にもどちらとも微妙に異なる雰囲気を持っています。
「D」と名にふさわしく4群6枚Fズイコー32mmF1.7の
大口径レンズを搭載します。
「D3」の32mmF1.7レンズとはまた別設計なのだそうです。
そして「EE」ですから露出はプログラムオートです。
ただペンEE系のオート制御とはまた異なり
絞り羽根とシャッター羽根を兼用するプログラムシャッターを搭載します。
ここのブログにもよく登場する後に登場する35DCに
近い形のモノですね。
露出計はペンEE系がセレンなのに対しEEDはCdSです。
シャッター自体は機械制御ですが
プログラムオートで撮るカメラの為
電池を入れて電源が生きていないとシャッターの制御はされません。
露出計オフだとオート時には常に赤ベロが出て
シャッターが切れない状態になります。
(フラッシュモード時だと露出計連動がないので
シャッターは切れます)
機能的にも他のペンとは一線を画しますが
デザイン的にも直線基調でペンEEシリーズともペンDシリーズとも
全く異なるものです。
こうしてみるとなかなか孤高の存在で他に似たものがないカメラです。

お預かりしている「EED」はこのカメラに多いパターンですが
電池室が腐食してしまっていてマイナス側の端子が
取れて電池室内で転がっているような状況です。
もちろん露出計の電源は一切入りません。
過去に長い間、電池を入れたままにしていた時期があるのだと思われます。
端子が腐食して脱落しているような状況なので
電池値裏のハンダや配線はもちろん腐食してしまっている状態です。
まずは通電して露出計が動作する状態にして
露出計オートの調整を行いますが
その際に機械的な整備やレンズ・ファインダー清掃を行っていきます。
メインは露出計周りの修理ですが
やはり各部の動きも本調子とは言えない状態で
レンズやファインダーにもかなり汚れやカビが見受けられます。

画像は一通り整備の完了した状態のものです。
外像もできる限り磨き上げて
お預かり時と比べるとかなりキレイになっています。
もちろん動きも申し分ない状態です。
露出計・オートの精度も含めて
非常にスムーズに動作しています。
この状態であれば安心してお使いいただけると思います。
これから最終チェックを行って
問題なければ完成となります。
この四角いスタイリングは他のペンと一味違って
なかなかカッコ良いですよね!

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンデミのカメラ修理

今日は「電話創業の日」だそうですよ。
1890(明治23)年のこの日に
東京市内と横浜市内の間で日本初の電話事業が開始され
千代田区に設置された電話交換局が営業を始めたことが由来となっています。
加入電話は当初、東京155台・横浜44台で
電話交換手は女子7人・夜間専門の男子2人が対応したそうです。
当時の電話料金は定額料金で東京が40円・横浜35円。
この時代、1円で米が15kg買えたため
今の値段にすれば40円は24万円くらいに相当し
当時の電話はとても高価なサービスだったことが分かります。
加入数の少なさにも驚きますが
この通話料金の高さがスゴいですねぇ
携帯電話の出始めの頃に
その通話料金に閉口しましたが
そんなレベルどころじゃないですね!
でも離れた場所にいる人とすぐに連絡が取れるというのは
正に画期的だったでしょうね。
今でこそ通話する電話だけなく
通信手段はいろいろなものが当たり前にありますが
冷静に考えるとそれってすごいことですよねぇ…
私の子供の頃は電話は家電(いえでん)しかなくて
そこにかけるのも緊張したものですが…
今からさらに100年後あたりはどうなってるのでしょうねぇ
残念ながらそれを確かめることはできませんが…(笑

さてさて

今日は「キヤノンデミ」のカメラ修理を行っています。
「デミ」はフランス語で半分を意味する言葉であり
その名の通り「キヤノンデミ」は「ハーフ判カメラ」です。
「オリンパスペン」を始まりとして国内では
「ハーフ判ブーム」が真っ盛りで
キヤノンもかなり後発ではありましたが
1963年に、この「デミシリーズ」で参戦しました。
非常に明るい実像式ファインダーを採用し
ファインダー内部には贅沢にプリズムも使用し
レンズの光軸の真上にファインダー窓が来るように配置されています。
レンズは3群5枚のF2.8でシャッターユニットはセイコーシャLです。
その名の通りLV式のプログラムシャッターですが
デミではセレン光電池の追伸式露出計を装備し
その露出計指針にシャッター連動の追針を
合致させることで露出を決定します。
そして特徴的なのがハーフ判カメラでは少し珍しい
レバー式の巻上です。
ハーフ判はペンに代表されるように
ダイヤル式巻上を指の腹で回すものが多いのです
(写ルンですと同様ですね)
やはりレバー式の方が操作は楽ですし
またこのデミの巻上感触が軽くて滑らかで何とも気持ちよいのです。
個人的にはこの巻上感触がデミの一番の魅力だと思っています。

お預かりのデミはまず露出計が全く動いていません。
露出はオートではないとはいえ
プログラムシャッターを
追針合致式で露出決定するデミにとっては
やはり露出計が動かないのは致命的です。
加えてこの類のコンパクト機はフィルム室の遮光を
大量のモルトに頼るパターンが多く
デミもそうなのですが
モルトは当然ながら見事に全滅です。
さらにシャッター・絞りには粘りがあり
レンズ・ファインダーにも汚れがみられ
やはり全体的に整備の必要な状況です。

露出計不動はやはりセレン光電池が劣化のため
起電しないことが原因でした。
こうなるとセレンは交換でしか対処ができませんが
当然ながら新品部品は入手不可で
中古良品のセレンも最近はなかなか入手が難しくなってきています。
今回は何とか状態の良いセレンが入手できたので
交換で対応しています。精度も問題ございません。
レンズ・ファインダーは入念に清掃を行い
シャッター周りもしっかり整備を行いました。
全体的に非常にスムーズに動作しています。
何と言っても滑らかな巻上が気持ち良いです。
デミは初期モデルのボディは真鍮製で
後にアルミ製に変更されます。
今回のデミは初期の真鍮製です。
アルミ製だと少しボディ色が黄なりになり見比べるとすぐにわかります。
レンズの飛び出しがほとんどないかわいいフォルムも
何とも魅力的なカメラです。
ちなみにフィルムカウンターは巻上に2回に一度
一気にふたコマ分進む仕様です。
使っていても非常に楽しいカメラです。
ご依頼者様にも存分にお楽しみいただければと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「観光バス記念日」だそうですよ。
1925(大正14)年のこの日に
東京乗合自動車により日本初の定期観光バスである
「ユーランバス」の運行が開始されたことが由来になっています。
ただこの観光バスは現在の観光バスのイメージとは異なり
路線バス扱いであり、途中の下車観光地から
乗車した場合の運賃も定められていたという。
当初のコースは「皇居前~銀座~上野」だったそうです。
典型的な「観光バス」って修学旅行でしか
乗ったことないかもしれません…
あ、いや…昔、社員旅行とかで海外では乗ったことあるかも…
もうよく覚えていませんが…(苦笑)
自分で運転しなくてよくて効率的に観光地をガイド付きで
回ってくれるのだから観光バスって良いですよね。
若い頃なら何が何でも自分で運転して自分でルートも考えて…って
やらないと納得しなかったでしょうが
年取ったせいもあって(笑)今なら連れってもらえる方がいいですねぇ
でもそれ以前に観光地に行きたいという意欲がありませんが…(苦笑)
それでも乗ってみたいバスはあって
生まれ育った地元のボンネットバスにはそのうち乗りたいのです。
たまに今でもイベントごとで不定期に走っていて
最近も1日だけ乗れる日があったようなのですが
とても帰れるようなスケジュールではなかったので…
懐かしい昔の市営バスのカラーリングのままなのですよ
私が幼いときにはまだ島の路線バスで
走っていたのですよねぇ…ボンネットバス…
次回のチャンスには何とか乗りたいですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
数日前にも別の個体を修理したばかりですね。
文句ナシにカッコ良いキヤノン初のフラッグシップ一眼レフです。
1971年に登場し1976年にマイナーチェンジを行っています。
基本的な構造に変更はありませんでしたが
細かい仕様変更を10か所以上行っており
より使い勝手が良くなっています。
マイナーチェンジ後の個体をF-1N、後期モデルと呼ぶことも多いです。
数日前のF-1もそうでしたが今回もマイナーチェンジ後の
後期モデルです。
個人的にマイナーチェンジでの最も大きな変更点は
巻上角の変更かと思っています。
巻上角180度・予備角30度から巻上角139度・予備角30度に変更されています。
180度と139度は操作感的にもかなり違います。
好みもあるでしょうがやはり139度のほうが巻き上げやすいと思います。
丸5年でマイナーチェンジこそありましたが
発売当初の宣言通り10年間基本的な変更はナシで生産し続けられ
1981年のNewF-1に引き継がれましたが
機械制御機という面では
キヤノン最高峰のモデルであることに変わりはありませんでした。

ご依頼者様のご指摘で露出計範囲外警告の赤いプレートが
スムーズにまっすぐ出てこなくて
ファインダー内露出計に斜めにかぶさってくるとのことでしたが
ここは劣化で取り付け部分がズレてしまっているのが原因でした。
加えてその影響もあってか
絞り連動の〇指針の取り付けもズレていたので修正を行いました。
そのあたりはそれほど大きな問題ではなかったのですが
やはり今回もシャッター周りに少々厄介なトラブルを抱えているようです。
数日前のF-1のように明らかなシャッターバウンドは見られなかったのですが
高速シャッターの精度が出ていない上にやたらと不安定だったのですが
横走り機でよくある幕速バランスの崩れかと思いきや
それだけではなく今回も幕ブレーキ周りに問題を抱えていました。
ブレーキライニング周りにかなりよごれも溜まっていましたが
それだけではなくやはり幕ブレーキのライニング自体が劣化で
本来の役目を果たせないような状態でした。
ライニングの整備を入念に行った上で
シャッターの調整は根本的に見直す必要がありました。
おそらく過去に幕ブレーキ・幕軸の整備なしで
幕速調整だけで何とかSSを揃えようとした経緯があるのだと予想され
その調整の悪影響もあり本来の設定になっていなかったものと思われます。
高速シャッター設定のみならず
スローガバナの連動も含めて根本的にやり直したところ
やっと安定して全速問題のない精度にまとめることができました。

画像は整備後でレンズは当店のテスト用レンズです。
外装もできる限り磨き上げよりカッコ良くなったと思います。
しかしながらF-1もなかなか一筋縄ではいかないカメラです。
基本的な機械部品の堅牢性は高いと思いますが
調整にデリケートな部分が多いと思います。
幕ブレーキ関連は毎度のことながら苦労させられますね。
でも今回も問題ないレベルに仕上げられました。
ご依頼者様には存分にお楽しみいただければと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「南極の日」だそうですよ。
1911(明治44)年のこの日に
ノルウェーの探検家ロアール・アムンセンと
4人の隊員が世界で初めて南極点に到達したことに由来しています。
もはや寒いのが近年すっかり苦手になってしまって
北極南極なんて考えただけでも凍り付きそうです(笑
身体冷えると血圧上がりますからねぇ…こわいこわい…
南極大陸って世界地図でも当然端っこで馴染みがないのですが
相当大きくてオーストラリアの約2倍
日本の37倍もの面積があります。
氷で覆われていますが平均海抜も最も高い大陸で
最も標高の高いのはビンソンマシフ山で
標高4,892mだそうです。
ただし平均海抜が高いのは
3000mを超える氷河におおわれているせいだそうです
…それでなくても寒いのに標高4800m超えって
どんな世界か想像もつきません…
ちなみに記録に残っている世界で一番の寒さ(世界最低気温)は
1983年7月21日に南極のボストーク基地で観測された-89.2℃です。
ポストーク基地の標高は標高3,488mだそうです。
でも沿岸部に位置している昭和基地(標高28.8m)だと
夏には雪が融け、年間平均気温-7.6℃だそうです。
でも最低気温は -45.3℃なので寒いことには間違いないですね
何だか寒い話ばかりしていると
足元がより冷え込んできたような気が…(笑

さてさて

今日は(も?)「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
今回のOM-1はフィルム室にスタッドが4本立っていて
それに伴ってフィルム圧板の左右の長さも短い
初期モデルです。
ネーミングこそ「OM-1」ですが中身は最初期の「M-1」とあまり変わりません。
ただ今回の個体は過去に修復歴や整備歴があるようで
カバー部が破損しやすい巻上レバーは中期以降の「OM-1」のものに
変更されていて内部の露出計回路も一部改良されているようです。
プリズムも交換されているものと思われます。
プリズム接眼部の悪しきモルト貼りも対策が行われています。
とはいっても整備が行われたのは随分昔の話だと思われます。
シャッターは動作していますが少々動きが悪く
精度の面でもそのままでは問題がある状態です。
ご依頼者様からご指摘をいただいているのは露出計に関してで
露出計の指針は精度はともかく一応動作していて
SSダイヤルを動かすとそれに伴って露出計の指針も動きますが
レンズ側の絞りを回しても全く指針が連動しないようです。
レンズ側絞り設定レバーと連動するマウント部の絞り連動部を
早速チェックしますが絞り開放の位置に押し込まれたまま
レンズを外しても全く連動爪が戻ってこない状態です。
構造としては開放側に絞りを回すとレンズ側の連動レバーに押されて
ボディ側連動爪が押し込まれていき
レンズ側が最少絞り側に回されるとバネの力でボディ側連動爪が
戻っていくような造りなのですが
バネが効いていないのか押し込まれたままで戻ってこず
指で戻すと戻ってくる状態です。
ただ、指で戻しても露出計指針は連動しないようです。
…ということは、バネで引っ張られる連動糸が
内部で絡まっている可能性が高いような気がします。

連動糸はマウント側からの分解でもSSダイヤル側は
一部確認はできますが絞り連動側は
ミラーボックスをまずは外さないと様子がうかがえません。
で、まずはここまで分解するのですが
やはり連動糸がプーリーから外れて絡まってしまっています。
まずは切れてなくて一安心です…
絡まったままになっているせいで戻す方のバネが
これでもかといわんばかりに引っ張られて辛そうだったので
まずは絡まっている糸を早急に外し
再度プーリーに通して微調整を行います。
部品破損等はなく何とか修復できそうです。
プーリーやガイドに汚れが付着してるのが原因と思われますので
該当部分も含めて入念に清掃を行います。
少々動きが悪い幕軸や幕上げ機構、底部三連ギアも念入りに
清掃を行っていき、その上で調整を行っていきます。
最後にファインダー清掃や電気的な露出計調整も行います。
今回も問題ない状態に仕上げることができそうです。
OM-1はなかなかデリケートな部分が多いので
常に気を抜かずに作業を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンVLのカメラ修理

今日は「バッテリーの日」だそうですよ。
バッテリーと聞いてついつい「野球かな?」と思ったのですが
ここでいうバッテリーは電池のことですね。
でも日付の由来は野球のバッテリーの守備位置が
数字で「1」と「2」と表されることからだそうです。
もともとこの日は「カーバッテリーの日」だったのだそうです。
ちなみに約1ヶ月前の11月11日も「電池の日」だったりします。
カーバッテリーもそうですし
カメラ用の電池もそうですが
この季節になると低温になる影響で電圧が落ち
本来の性能を発揮できなくなることが多くなります。
特に厳冬期に屋外で使用する際には注意が必要です。
クルマのバッテリーの場合は本格的に寒くなる前に
バッテリーの点検を行っておいたほうが良いかと思います。
街中で少しの距離しか乗らずにエンジンを切るような使い方を
繰り返しているとバッテリーに十分な充電もされず
かなり負荷がかかってしまいますものね。
カメラのバッテリーも特に電子制御機だと
安定した電圧が供給されないと動作不良を起こします。
厳冬期の屋外だと完全に防ぐのは難しい場合もありますが
なるべく新しくて高性能な電池を使用することをお勧めします。
そういえば今日は「漢字の日」でもありますね。
…ということは午後には「今年の漢字」が発表されるのですね
もう「流行語大賞」と「今年の漢字」は
あまり意味がないような気が…(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンVL」のカメラ修理を行っています。
キヤノンのレンジファインダー搭載のフォーカルプレーン機は
「Ⅳ型」までがいわゆる「バルナックタイプ」で
ライカM3の登場に触発されてダイキャストを一新して造られたのが
「VT」を最初とする「Vシリーズ」です。
「VT」、「L1」、「L2」、「VT Deluxe」、「L3」
「VL」、「VL2」と普及型も含めていろいろなモデルが発売されました。
今回の「VL」は「VL2」と同時に1958年に発売され
「V型」の中では最終機となるモデルです。
「VT Deluxe」からさらに進化したファインダーはよりクリアになり
「VT」ではないので巻上は一般的なレバー式となり
シャッタ最高速は「VT Deluxe」同様に1/1000です。
キヤノンお家芸の3段階変倍ファインダーを装備します。
「VT」以降のモデルの特徴として変倍ファインダーに
35mmフレームが内蔵されています。
また「L1」以降のモデルはこれもキヤノンお得意の
ステンレス幕が採用されています。
確実に年々進化していることがよくわかります。
使い心地や使用感もよく
実用性を考えても明らかに使いやすいカメラに仕上がっています。

お預かりしている「VL」は
何はともあれシャッターが全く切れない状態です。
もちろん巻上もできません。
金属幕機なのでシャッター幕関連のトラブルではなく
何かしら巻上機構が固着しているか
噛み合わせのタイミングがおかしくなっているものと予想しますが
分解してみるとやはりまずは巻上ロック機構が固着
よくあるレバーのロックがかかったまま…というわけではなく
巻上完了後に幕ドラムのロックがうまくかからず
正しく巻上完了とならないようです。
さらにやはり固着した関連で巻上のかみ合わせタイミングが
おかしな位置関係になっていてレリーズもできない状態です。
元々の原因は汚れと油切れによる固着で
それに関連してタイミング等がおかしくなってしまっているようです。
まずは分解して各部品を清掃・必要最小限の注油を行い
組立の際に正しい位置関係に修復していきます。
それで何とかシャッターは切れるようになり
幕軸等他部分の清掃・注油を行った上で各部調整を行っていきます。

シャッターは精度も含めて非常に快調な状態に復活しています。
ファインダーもできる限りの清掃と調整を行っています。
組み合わせてあるレンズは当時セットで販売されていた
50mmF1.2の大口径レンズです。
こちらも絞り羽根に油滲みがかなりあったため
絞り羽根の清掃を行い、レンズもできる限り清掃を行いました。
絞り羽根はもちろんのこと
レンズも実用に問題ないレベルにクリアになっています。
非常に気持ちよく使える状態に仕上がっていると思います。
これから最終チェックを行って問題なければ完成となります。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「百円玉記念日」だそうですよ。
1957(昭和32)年のこの日に
日本で初めて百円硬貨が発行されました。
戦後初めての銀貨だったそうです。
当時の百円玉の素材は主に銀(銀60%・銅30%・亜鉛10%)でした。
それまでは100円紙幣が使われていたのですね
(確かに自宅のの荷物のどこかに1枚あったような気が…)
1967(昭和42)年に現行の百円硬貨が発行されるまで
デザインの変更はありましたが素材は銀貨のままでした。
現行の百円玉の素材は白銅(銅75%・ニッケル25%)です。
金貨とか銀貨って何となく憧れますね。
金銀の価値が昔より高価になっているので
とても現実的ではないのでしょうが…
今だと1000円銀貨とか10万円金貨とかになるのでしょうかね…
それはそれでアリな気も…(苦笑)
百円玉ってなんだか子供の頃から馴染み深いような気がします。
小学校低学年のときの週のお小遣いが100円だったからかな(笑
毎週水曜日に百円玉1枚もらってそれを握りしめて
近所の駄菓子屋に通ってました…
駄菓子買ったり銀玉鉄砲の玉買ったり
スーパーボールのクジ引いたりしていましたねぇ
その頃あった地元の駄菓子屋はさすがに全てなくなっていますし
さらに小学校も合併でなくなってしまいましたが…
たまに地元に帰ったときにそのあたりを散歩すると
おぼろげながらその頃のことを思い出します。
キャッシュレス化も進んでいるし貨幣の価値は変わりましたし
百円玉を握りしめてお店に行くこともなくなりますねぇ

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
今月もちょくちょくOM-1の修理が予定されています。
さすが機種別依頼数ナンバー1のカメラです。
コンスタントに修理依頼が入っていきます。
それだけ人気がある証拠ですよね。
OM-1とペンタックスSP系が圧倒的に依頼数が多いと思いますが
修理依頼が多いのは単に人気と現存する個体数が多いからで
決して壊れやすいカメラだからではありません。
ただどちらも登場から50年以上経過するカメラで
さすがに整備もされず使いっぱなしな個体であれば
何らかのトラブルを抱えているものが多いと思います。
さらにOM-1の場合は同時代の他カメラでは実現できていなかった
小型化を推し進めたカメラなので
機構的に独創性も非常に高く
多少経年劣化に弱い部分もあるため
なおのこと修理依頼が多くなってしまうのではないかと思います。

お預かりしているOM-1は
まず露出計が電池を入れてSWオンにしても
全く動きません。
加えて各部の動きが全体的に悪く
巻上やSSダイヤルの動きも妙に重いです。
低速スローシャッターは元気ですが
高速シャッターの精度も幕速バランスの崩れで今一つです。
心配されるプリズムはファインダー視野の隅に
少し大き目な点腐食があるものの
それほど気になるほどではございません。
毎度定番のモルトによる大きな腐食はありません。
分解してみてわかりましたがモルトは貼ってあるものの
明らかに以前に交換しているものと見受けられます。
それ以外にもきちんとした手順で
あちこちに手が入った形跡がありますが
これもずいぶん昔のことだと思われます。
全く未整備な状態よりかは良いですが
さすがに再度全体的に手を入れなければならない状態になっています。

MD非対応の前期モデルですが
フィルム室スタッドは片側2本なので
初期モデルではありません。
あまり初期のモノはいろいろとデリケートな部分が増えるので
作業により神経を使います。
露出計不動の「主な」原因はOM-1ではありがちの
ON/OFFスイッチの接触不良でした
接点の清掃及び磨きである程度は動作するようになったのですが
まだ妙に不安定で様子を見ているうちに
たまに再び全く動かなくなったりします。
まだ他にもおかしなところがあるな…と
テスターでいろいろ当たりながら調べていくと
メーター本体からのアースが接触不良で動作が安定しないようです。
ここはもう少し分解を進めないと根本的な対処ができないので
原因もある程度確定したので先に分解を進めて
シャッターや巻上、そして底部3連ギアあたりの整備を先に行います。
慣れていても毎度思いますが
OM-1はなかなか一筋縄ではいかない
ちょっとややこしいカメラです(苦笑)

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「ベルトの日」らしいですよ。
ここで言うベルトは普段ズボンに通すベルトです。
日付は奈良の正倉院に収蔵されている
日本最古のベルトの本体に紺玉の飾りが付けられており
紺玉は12月の誕生石のラピスラズリのことなので12月
12月に流れるクリスマスソングの「ジングルベル」の「ベル」に
10日の「ト」を組み合わせて「ベルト」とする語呂合わせからだそうです。
お、おう…なかなかに強引な…(笑
ベルトをギュッと締めると何だか気合入りますよね!
無理に締めすぎてかがんだ瞬間に破損させたことが
過去に何度か…(苦笑)
いや、私もここ20年以上…ちょっとお腹周りが太すぎるのですよ…
実は「そろそろええ加減にせんにゃいけん!」と思って
夏くらいから摂取カロリーの制限と管理を始めてて
その効果もあって少しばかり体重落ちてきて
明らかにベルトの位置も変わってきてはきたのですが
いやぁ…まだまだですね…ここ20年数年で積み重ねてきた
体内脂肪がなかなか半端ない…
それにお腹周りは他の部位に比べても落ちにくいので
まだまだ当分努力が必要なようです。
でもおかげさまで食べる量は少なくて済むようになっているし
頭のリハビリも兼ねた毎日の運動はちゃんと継続しているし
このままあきらめずにがんばります!

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
ここでも何度も取り上げていますが
1971年に発売されたキヤノン初のプロ指向のフラッグシップ機です。
開発は1965年に各部門から24名の人員を集め
悪条件下の酷使に耐えぬく信頼性を第一の目標として
開発がスタートしたそうです。
測光機能の拡大や全システム無調整互換機能
マイナス30℃からプラス60℃までの温度域に耐える環境性能等が
開発の焦点となりました。
そうして「F-1」は発売当初から本体とアクセサリー類を含む
システムカメラとしてデビューしました。
この分野で圧倒的にリードしていたニコンF/F2に
一気に追いつき追い越すたことを使命とされたカメラでもありました。
性能も風格もフラッグシップに相応しい中身を備えた
「F-1」は現在でも非常に人気の高いカメラです。
フラッグシップだけあって非常に丈夫なカメラでもありますが
やはり本来の姿で撮影に使用するためには
定期的なメンテナンスも必要です。
シャッター等の基本的な部分は非常に堅牢に造られており
そうそう動作不能に陥ることはないですが
気づかないうちに本来の精度を失っている個体も多いと思います。

お預かりしているF-1もシャッターは元気に切れているのですが
測定機にかけてみると中速域での精度がおかしなことになっています。
写真で言うと端っこの一部だけが露光が極端に足らない状態です。
横走り機でよくある先幕・後幕のバランスが崩れて
後幕が追い付いてしまうような状態とも異なります。
幕速のバランスはそれほど悪くありません。
どうやら先幕が走行完了時にバウンドしてしまっているようです
一旦走行の完了した先幕が跳ね返ってわずかに戻ってくるようです。
そのため中速域でのみ写真片端の露光不足が出るようです。
これが1/500・1/1000・1/2000あたりの高速域だと
バウンドして先幕が跳ね返ってくる前に後幕が閉じてしまうので
症状が出ないのですが中速以下のシャッターでは影響が出てしまうのです。
原因は幕ブレーキの劣化・損傷です。
実はF-1やFTbあたりではこの幕ブレーキを起因とする
シャッターバウンドは定番のトラブルです。
先幕がバウンドすると片端露光不足になり
後幕がバウンドすると片端露光過多になります。
先幕がバウンドしてしまうほうが症状としては多いと思います。
F-1は基本的には非常に堅牢な造りをしていますが
この幕ブレーキに関しては
明らかに定期的に交換整備が必要な構造をしています。
使用されていた環境にもよりますが
幕ブレーキのライニングがボロボロになっている個体は
結構多いかと思われます。

画像は一通り整備の完了した状態でのものです。
装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
シャッターの精度は高速から低速まで全く問題のない状態になりました。
幕ブレーキ以外にも油切れや積年の汚れ等で
動きが今一つな部分も多かったのですが
シャッター・ミラー駆動部・巻上機構
それぞれ非常にスムーズに動作する状態になっています。
巻上フィールはF-1独特の少々ゴリゴリした感じですが
シャッター音はキヤノンらしいアタックの効いた
非常に歯切れの良い気持ち良い音が出ています。
しかしながら毎度言いますが何と言ってもF-1の最大の魅力は
この洗練されたスタイリングですね。
低く構えたペンタ部が文句ナシにカッコ良いです。
ブラック一択にしたのもキヤノンらしいですが
これも明らかに正解かと思います。
個人的にはこのF-1+旧FDレンズの登場以来
キヤノンは「黒&赤」のイメージです。

少し動きが落ち着くまで様子見をしている段階ですが
これから最終テストを行い
問題なければ完成となります。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。