日別アーカイブ: 2022年12月3日

ミノルタXEのカメラ修理

今日は「カレンダーの日」だそうですよ。
1872(明治5)年に太政官布告で
太陽暦が採用されることとなり
明治5年12月3日(旧暦)が
1873年(明治6年)年1月1日(新暦)となったことに由来しています。
切替時は大変だったでしょうね…
いきなり暦が1ヶ月近く進んでしまうわけですから…
でもこのおかげで明治維新以後、
行き詰って余裕のなかった政府の財政回復ともなり
新暦に移行することで、その年は閏月を含む
2ヵ月分の人件費を削減することができたそうです。
このあたりも現在同じことが起きれば大パニックになるでしょうね
さすがに新暦以降から150年経過した現在では
もはや旧暦を意識することはほとんどないですが
昔ながらの年中行事等では旧暦の影響も多少残っています。
七夕なんて明らかに新暦7/7だと季節にそぐわないですものね(苦笑)
季節的に来年のカレンダーの準備も必要になってくる頃ですね
来年の壁掛けカープカレンダーは既に入手済みです(笑

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
1974年発売の中級機です。
1960年代から70年代にかけてSRシリーズからSR-T系の
機械制御シャッター機で順調に推移していたミノルタ一眼レフですが
さらに次世代を見据えて機械制御のSRシリーズから
電子制御のXシリーズへと大きく舵を切っていきます。
そこで最初のXシリーズとして発売されたのが
ミノルタとしては初のプロ向け高級一眼レフとなる「X-1」です
その「X-1」登場の翌年に今回の「XE」が発売となっています。
「X-1」は、これまでのノウハウを有効に活用できる
布幕横走りシャッター機でしたが
「XE」は新たな試みともなる金属羽根縦走りシャッター機です。
それまでの縦走りシャッター機というと
ユニット化されたコパルスクエアを採用したカメラが
既に数多く出ていたのですが
「XE」はコパル、エルンスト・ライツと共同開発した
コパルライツシャッターを搭載しました。
このシャッターユニットのおかげで
「XE」ならではの心地よい使用感と高信頼性を得ています。
ミノルタ中級機としては初のAE搭載機でもあります。
抜群の使用感と使い勝手の良さが売りのカメラです。
この時代ならではの少々大柄で重いボディではありますが
非常に使っていて気持ちの良いカメラとして根強い人気のカメラです。
私も個人的にこの「XE」をメインに使っていた時期があって
出番は減ったものの今もしっかり所有しています。

今回お預かりの「XE」は正確に言うと北米輸出仕様の
「XE-7」です。モデル名ロゴが「XE-7」であること以外は
国内仕様の「XE]と違いはほぼありません。
これとは別に欧州仕様の「XE-1」もたまに見かけますが
こちらは生産時期によるのかもしれませんが
アイピースシャッターが省略されていたりするようです。
外観も非常にキレイな状態で
動作も一通りは動くのですが
「XE」最大の魅力でもある「巻上」がスムーズではなく
妙に引っかかるような感触があります。
そしてたまにですが巻上完了時に
レバーが戻ってこれなくなることもあるようです。
巻上機構部の汚れあるいは油切れによる動作不良と思われます。
そして露出計・オートもどうさはしてはいるのですが
少々不安定で値もあまりよろしくありません。
これはいつもの絞り連動・ASA連動の摺動抵抗の汚れと思われます。

画僧は本格的な分解に取り掛かる前に撮ったものです。
XEといえば最も心配されるのは最大の持病ともいえる
プリズム腐食ですが
今回の「XE-7」はファインダー内もキレイで
おそらく以前に対策済みなんだろうな…とプリズムを降ろしてみましたが
肝心のプリズム前部には腐食しかけたモルトが貼り付いていて
全然対策済みではありませんでした…(汗)
何はともあれ腐食する前に対策できて良かった…
おそらく随分以前にモルトは交換されているものだとは思われます。
でもこのまま放置していると
環境にもよりますがあと数年でプリズムに影響が出そうな状態でした。
今回はもちろん腐食しない素材で貼り直します。
ちなみにもはや当店でも
腐食のないXEのプリズムは既にご用意できない状況です。

電気的に少々デリケートな部分もあるカメラなので
慎重に整備を行っていきます。
もちろんこの季節は特にですが
作業中の静電気帯電は厳禁です。
なので無防備な状態はできるだけ短く集中して作業を行っていきます。

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