日別アーカイブ: 2022年12月28日

ミノルタハイマチック7Sのカメラ修理

今日はいわゆる「御用納め」で
官公庁の年内最後の業務日にあたります。
これに合わせて民間企業でも今日で
「仕事納め」の日が多いのですよね。
当店も合わせているわけではないのですが
大抵の場合、この品保前後から
年末年始休業に入ります。
今年も年内の営業は今日で終了といたします。
今年も何とか入院等の大きなトラブルもなく
ほぼ滞りなく仕事をこなすことができました。
当たり前のようですが
これが当たり前でないことを以前に経験したので
元気で働くことができて普通に生活できることが
どれほど尊いものかを休み中にしっかり噛みしめて
来年も引き続き頑張りたいと思います。
私がしっかりがんばるのは当然ですが
それ以前に仕事がないと話になりません。
今年も私のところに大切なカメラを
お預けいただいた方々には本当に感謝しかありません。
来年もしっかり丁寧に仕事をしていきますので
今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。
皆さまも穏やかで心休まる年末年始を
お過ごしいただければと思います。
私は毎年恒例ですが
墓参りも兼ねて生まれ育った呉に帰ってこようと思います。
もう実家もなくて墓しかないのですけどね。
でも生まれ育った場所の空気を味わうと
いろいろリセットされてまたがんばろう!と思えます。

さてさて

今年最後のカメラ修理は「ミノルタハイマチック7S」です。
1966年発売のカメラです。
「7S」名乗っていますが中身的には
同じ年に先行して発売された「ハイマチック9」から
フラッシュマチックを省略したカメラです。
元々の「7」はこれより3年前の1963年発売です。
それであれば「9S」で良いような気もしますが(苦笑)
やはりミノルタに取って「7」といのは特別な数字なのでしょうね。
実際、この「7S」もかなりの数が売れたようで
現存台数も多いです。
個人的な感覚では「9」や後の「11」より多く見るような気がします。
「7」と並んで「前期ハイマチック(小型化される前の)」を
代表するカメラだと思います。
シャッターユニットはセイコーFLAを搭載します。
初期のハイマチックらしくオート露出は「プログラムオート」です。
もちろんマニュアル露出も可能です。
「7」も「9」もそうですが、ちょっと変わっているのが
絞りリング・SSリングそれぞれに「A」ポジションがあって
両方とも「A」に合わせたときのみ「プログラムオート」となります。
片方だけ合わせて「SS優先」や「絞り優先」にはなりません。
それが実現するにはちょっと時代が早すぎますね。
露出計はいわゆる「LV」表示でマニュアル時にも動作します。
その場合はSS・絞りリングに連動しリング状に表示される「LV値」の値を
ファインダー内で指針指示される「LV値」に合わせて露出決定します。
しっかりマニュアル時にも使用できるのはいいですね
こういう場合であれば「LV表示」も悪くないと思います。
レンズはハイマチックらしく
ロッコール45mmF1.8の大口径を搭載します。

お預かりしている「7S」は
シャッターが開いたままの状態で固着してしまっています。
レンズシャッター機で羽根が固着するのは
よくある症状ですが多くの場合は閉じた状態で
固着してしているものが多いのですが
開いたままというのは少々珍しいですね。
レンズの状態が確認しやすいのは助かりますが…
開いたままなので単なる羽根固着ではなく
駆動部のトラブルも疑ったのですが
機械的に何かしらの大きなトラブルはないようです。
しかしながら羽根自体の固着もともかく
羽根駆動部、スローガバナ、セルフタイマー等々
あちこちに固着や粘りが出てしまっています。
シャッターユニット全体の清掃整備が必要な状態です。
レンズ・ファインダーは多少のカビや汚れはあるものの
こちらもそれほど大きなクモリ等はないようです。
通常の清掃で十分にクリアな状態にできそうです。
距離計はさすがにズレが出てしまっています。

水銀電池が入ったままになっていたので
電池室や配線の腐食も心配したのですが
こちらもさすがにハンダの劣化は見られ
少々電源が不安定でしたが大きな断線等はありませんでした。
意外と保管場所の環境は良かったのでしょうね。
ただし乾燥していたせいか各部の固着は
かなり進んでしまったようです。
この時代らしく大きめのボディということもあり
整備性は非常に良好なカメラです。
各部の部品もしっかりしています。
ただオート制御の指針抑え部分は滑り止めの革素材が
劣化していて動作不良を起こしている場合がほとんどです。
今回もここは代替品と交換して正常な動きを確保します。
個人的にも好きなカメラの一つです。
しっかり整備してご依頼者様にも存分に
お楽しみいただきたいと思います。

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