日別アーカイブ: 2022年12月10日

キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「ベルトの日」らしいですよ。
ここで言うベルトは普段ズボンに通すベルトです。
日付は奈良の正倉院に収蔵されている
日本最古のベルトの本体に紺玉の飾りが付けられており
紺玉は12月の誕生石のラピスラズリのことなので12月
12月に流れるクリスマスソングの「ジングルベル」の「ベル」に
10日の「ト」を組み合わせて「ベルト」とする語呂合わせからだそうです。
お、おう…なかなかに強引な…(笑
ベルトをギュッと締めると何だか気合入りますよね!
無理に締めすぎてかがんだ瞬間に破損させたことが
過去に何度か…(苦笑)
いや、私もここ20年以上…ちょっとお腹周りが太すぎるのですよ…
実は「そろそろええ加減にせんにゃいけん!」と思って
夏くらいから摂取カロリーの制限と管理を始めてて
その効果もあって少しばかり体重落ちてきて
明らかにベルトの位置も変わってきてはきたのですが
いやぁ…まだまだですね…ここ20年数年で積み重ねてきた
体内脂肪がなかなか半端ない…
それにお腹周りは他の部位に比べても落ちにくいので
まだまだ当分努力が必要なようです。
でもおかげさまで食べる量は少なくて済むようになっているし
頭のリハビリも兼ねた毎日の運動はちゃんと継続しているし
このままあきらめずにがんばります!

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
ここでも何度も取り上げていますが
1971年に発売されたキヤノン初のプロ指向のフラッグシップ機です。
開発は1965年に各部門から24名の人員を集め
悪条件下の酷使に耐えぬく信頼性を第一の目標として
開発がスタートしたそうです。
測光機能の拡大や全システム無調整互換機能
マイナス30℃からプラス60℃までの温度域に耐える環境性能等が
開発の焦点となりました。
そうして「F-1」は発売当初から本体とアクセサリー類を含む
システムカメラとしてデビューしました。
この分野で圧倒的にリードしていたニコンF/F2に
一気に追いつき追い越すたことを使命とされたカメラでもありました。
性能も風格もフラッグシップに相応しい中身を備えた
「F-1」は現在でも非常に人気の高いカメラです。
フラッグシップだけあって非常に丈夫なカメラでもありますが
やはり本来の姿で撮影に使用するためには
定期的なメンテナンスも必要です。
シャッター等の基本的な部分は非常に堅牢に造られており
そうそう動作不能に陥ることはないですが
気づかないうちに本来の精度を失っている個体も多いと思います。

お預かりしているF-1もシャッターは元気に切れているのですが
測定機にかけてみると中速域での精度がおかしなことになっています。
写真で言うと端っこの一部だけが露光が極端に足らない状態です。
横走り機でよくある先幕・後幕のバランスが崩れて
後幕が追い付いてしまうような状態とも異なります。
幕速のバランスはそれほど悪くありません。
どうやら先幕が走行完了時にバウンドしてしまっているようです
一旦走行の完了した先幕が跳ね返ってわずかに戻ってくるようです。
そのため中速域でのみ写真片端の露光不足が出るようです。
これが1/500・1/1000・1/2000あたりの高速域だと
バウンドして先幕が跳ね返ってくる前に後幕が閉じてしまうので
症状が出ないのですが中速以下のシャッターでは影響が出てしまうのです。
原因は幕ブレーキの劣化・損傷です。
実はF-1やFTbあたりではこの幕ブレーキを起因とする
シャッターバウンドは定番のトラブルです。
先幕がバウンドすると片端露光不足になり
後幕がバウンドすると片端露光過多になります。
先幕がバウンドしてしまうほうが症状としては多いと思います。
F-1は基本的には非常に堅牢な造りをしていますが
この幕ブレーキに関しては
明らかに定期的に交換整備が必要な構造をしています。
使用されていた環境にもよりますが
幕ブレーキのライニングがボロボロになっている個体は
結構多いかと思われます。

画像は一通り整備の完了した状態でのものです。
装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
シャッターの精度は高速から低速まで全く問題のない状態になりました。
幕ブレーキ以外にも油切れや積年の汚れ等で
動きが今一つな部分も多かったのですが
シャッター・ミラー駆動部・巻上機構
それぞれ非常にスムーズに動作する状態になっています。
巻上フィールはF-1独特の少々ゴリゴリした感じですが
シャッター音はキヤノンらしいアタックの効いた
非常に歯切れの良い気持ち良い音が出ています。
しかしながら毎度言いますが何と言ってもF-1の最大の魅力は
この洗練されたスタイリングですね。
低く構えたペンタ部が文句ナシにカッコ良いです。
ブラック一択にしたのもキヤノンらしいですが
これも明らかに正解かと思います。
個人的にはこのF-1+旧FDレンズの登場以来
キヤノンは「黒&赤」のイメージです。

少し動きが落ち着くまで様子見をしている段階ですが
これから最終テストを行い
問題なければ完成となります。

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