ちょうど100年前の1923(大正12)年の9月1日午前11時58分
関東大震災が発生しています。
マグニチュード7.9の大地震が関東地方を襲い
死者・行方不明者10万5000人、家屋全半壊25万戸、
焼失家屋21万戸という大災害となりました。
そのことに由来して今日は防災の日となっています。
関東大震災から100年…首都圏では大きな地震や
大規模な火災には遭遇していません。
だからこそ油断できないですよね…
首都圏直下型の地震がそろそろ起こるといわれて
もう何年も経ちますが
この瞬間に起こったっておかしくはないのですよね
実際に遭遇するとどうにもならない部分もあるとは思いますが
起きたときにどうしなくてはいけないのかは
常日頃から備えておかなくてはいけませんね。
さてさて
本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
「FT」を含む「ペンFシリーズ」は
唯一無二の存在ともいえるハーフ判一眼レフです。
ただ単に通常の一眼レフをハーフ判したわけではなく
ハーフ判であることのメリットを最大限に生かすべく
シャッターやファインダー光路を始め
他のカメラでは見られない独自性の非常に高いカメラです。
最初に発売された「ペンF」をベースとし
巻上をダブルストロークからシングルストロークに変更
第三反射面のミラーをハーフミラーにすることで
その背後にCdSを配置し露出計を内蔵
巻き戻しクランク下のスペースにセルフタイマーも追加し
機能性を高めたモデルが今回の「ペンFT」です。
表面的に見える部分以外にも内部機構もいくつか
変更が行われています。
巻上が変更になり、ハーフミラー化したことにより
ファインダーの見え方も変わり
スクリーンにも変更が行われていることから
初代ペンFとは使い心地の面でも変化が見られます。
個人的見解ですが
どちらがいいか悪いかというほどの差ではなく
好みの問題で選択肢があるといった感じかとは思います。
お預かりしている「ペンFT」はシャッターが開きかけたところで
固まってしまっています。
もちろん巻上もロックされてミラーアップ状態
この状態では何も動きの確認等もできない状態です。
状況からしてガバナの固着等で固まっているわけではなさそうです。
何はともあれ、ある程度分解してみないと原因もわからなそうですね。
ここまで分解する前にシャッタユニットの全貌が見えた時点で
原因は把握できました。
シャッタスピードダイヤルにリンクして
SS制御のガバナを制御する調速カムがあるのですが
そのカムにかかる爪が破損してしまい
破片がシャッタユニットに噛みこんでしまい
固着してしまったようです。
この爪の部分…たまに破損している個体を見かけます。
発売から60年近く経過しており経年劣化もあるとは思いますが
強度的に少し弱いのかもしれません。
折れた部品とその基部を取り除き
中古良品の部品と交換することで対処していきます。
汚れや油切れによる動作不良が元で
部品破損することもありますので
シャッターユニット、巻上機構、ミラー駆動部
動きの悪くなりやすい部分を入念に清掃整備を行います。
お預かり時にはミラアップした状態だったので
確認できていなかったのですが
ペンFTの泣き所でもあるハーフミラーはやはりかなり腐食していて
ファインダー視野をかなり見えにくくしてしまっている状態でしたので
こちらも比較的キレイなハーフミラーと交換を行います。
機械的にもかなり独特な造りの部分が多く
ちょっとトラブルが多いのは正直なところ否めませんが
キチンと整備を行うことでかなりの部分は防げるかとは思います。
機構自体はそれほどややこしいものではないので
機械動作的に何かあっても大抵の場合は修理可能です。
今回もしっかり整備を行い
また当分の間、安心して撮影に使っていただければと思います。
↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。