ニコマートELのカメラ修理

今日は「ドライバーの日」だそうですよ。
ドライバーと聞くと仕事柄もあってか
つい「ねじ回し」のほうのドライバーを
連想してしまうのですが
ここでいうドライバーは「運転する人」のほうですね。
由来は「ド(10)ライ(1)バー(8)」と読む語呂合わせからです。
トラック・バス・タクシーなどの
あらゆるプロドライバーに感謝するとともに
プロドライバーの地位向上が目的の記念日だそうです。
大昔の知人や友人に長距離のトラック運転手もいましたし
街中を2t車で走り回る集配の方もいましたが
これも大変なお仕事なんですよね…
その業界ならではの苦労話を当時はいろいろ聞かせてもらいました。
私も荷物を送ったり受け取ったりは毎日のようにありますが
物流や公共交通機関に携わる方たちには本当に感謝ですね。

さてさて

本日は「ニコマートEL」のカメラ修理を行っています。
1972年末に発売されたカメラです。
「ニコマート」はニコンの中級機を担うシリーズです。
まず機械制御シャッター搭載のFT系が先行して発売され
電子制御シャッター搭載となるEL系は7年ほど後に追加発売されました。
コパル製の金属幕縦走りシャッターユニットを搭載するのは
FT系と共通でその制御を電子回路で行います。
ニコン初の絞り優先オート露出搭載機でもあります。
FT系とは異なりシャッターダイヤルが一般的な上カバー上に設けられています。
ファインダー内の露出計指針は追針式で現在設定のSSと露出計指示の
SSが瞬時に把握できる非常に使いやすいタイプのものです。
ちょっと変わっているのが電池室がミラーボックスの中にあることです。
使用電池は4LR44でここにしかうまく配置できなかったものと思われますが
説明書も予備知識もないとここが電池室だとは
予想できないような場所に配置されています。
ずいぶん昔の話ですが私も最初にELを手にしたときに
予備知識も何もなく「あれ?電池はどこに入れるの???」と
かなり長い時間悩んだ上で見つけられずに
説明書を引っ張り出したことを思い出します…(笑

お預かりしている「EL」は心配される
電子回路的なトラブルもなく一通りの動作は行える状態です。
ただ金属羽根に汚れがあるせいか後幕の動きが少し悪く
先幕との幕速バランスが出ていない状況です。
1/1000だと写真の上下端で1段以上露光差が出てしまうような状態です。
加えてマグネットの汚れや接点の汚れが原因と思われますが
オート時のSS制御が不安定です。
フィルム室や内部のモルトも当然ボロボロですし
やはり全体的に整備が必要な状態です。

一通り現状を確認した状態でこれから本格的に
分解整備に取り掛かっていきます。
この類のカメラとしては整備性は良好な方ですが
初期の電子制御機ということもあり
FT系や後のFEあたりと比べると
いろいろと手間な部分の多いカメラです。
そしてこれは電子制御云々に関係ありませんが
上カバーを外す際にも「そこなの???」と
思うネジが1か所ありこれも最初は苦労したな…と
触るたびに思いだします(苦笑)

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