キヤノンA-1のカメラ修理

今日は語呂合わせで「バイクの日」だったり
「俳句の日」だったりするようですが
個人的には何といっても「世界写真の日」なのです。
写真を撮るという行為もここ数十年で
本当に様変わりしてしまいました。
私が幼少期で当店でよく扱っているカメラが
新品で売られている時代は
写真を普通に撮ることだけでも
それなりのスキルを求められましたが
今や記録としての画像を撮るだけであれば
スマホでボタン一つでオッケーです。
それどころか映像といった分野で考えれば
主力はもはや静止画ではなく動画かとも思います。
動画からの静止画切り出しでも十分だとも思えます。
「素早く記録する」ということでは
本当にここ10年くらいで一気に進歩しましたね。
個人的にはスピーディーさも華やかな画像加工にも
あまり興味はないので
やはり普通にフィルム写真をゆっくり撮って楽しむのが
性に合っているような気がします。
まぁそのあたりは趣味の世界なので人それぞれですね。

さてさて

本日は「キヤノンA-1」のカメラ修理を行っています。
当店で扱うカメラとしてはかなり新しいほうです。
もう少し後の時代になると
扱えるものはほぼなくなってしまう時代です。
発売は1978年でAE-1をベースにさらに高級化+マルチモード化されたカメラです。
前年の1977年に世界初の両優先オート(SS優先、絞り優先)を搭載する
ミノルタXDが発売されていますが
それに対するキヤノンの回答が「A-1」だともいえると思います。
両優先+プログラムオートを搭載し
フラッシュオート・絞込み実絞りオートを備えた
5モードAEがセールスポイントです。
シャッターも全速電子制御シャッターで
電池がないとシャッターを切ることができません。
加えて電池消費もなかなか激しかったことから
「電池が切れたらただの箱」として敬遠する保守層も存在しました。
でもそれほどあらゆるカメラファンの注目を集めるカメラだったわけです。
スペックも当時の最新鋭で価格も高めでしたが
かなりヒットしたカメラです。
当時、私は小学校高学年でしたが
「A-1、かっちょええええええ」とカタログ眺めていました(笑

お預かりしている「A-1」は一通りの動作はしますが
まずはAシリーズ定番のシャッター鳴きです。
いつも書きますが「シャッター鳴き」とはいいますが
原因はミラー駆動部のギア油切れが原因です。
悪化すると異音だけではなく明らかにミラーの動きが悪くなり
最悪な場合はみらーが動かなくなります。
ミラーが動かないと当然シャッターも切れなくなります。
加えてお預かり時には普通に電源も入っていたのですが
整備前に改めて現状を確認すると
電源がやけに不安定で一切電源が入らなくなり
全く動かなくなってしまう状態にもなりました。
どうやら電源SW部に被膜ができて接触不良になっているようです。

画像は一通りの整備が終わって
様子見をしている状態でのものです。
シャッター鳴きの原因となるギアにはミラーボックスを外して
清掃注油を行っています。周りに接点も多いので
過剰な注油は厳禁です。
各部電気接点、ソレノイドの吸着部は入念に清掃を行い
シャッターも精度を含め安定して動作するようになりました。
オート・露出計の精度も調整を行い問題ございません。

画像のレンズは当店のテストレンズですが
A-1にはやはりNewFDレンズが似合いますね。
全体的に黒い塊感が増して何とも言えずカッコいいです。