キヤノネットのカメラ修理

今日は「人口調査記念日」だそうですよ。
1872(明治5)年のこの日に
明治政府による日本初の全国戸籍調査が行われたことに由来しています。
当時の人口は男1679万6158人、女1631万4667人で
合計3311万825人だったそうです。
2015(平成27)年の国勢調査による日本の総人口は
1億2709万4745人で、9000万人以上増えたことになります。
これからは人口は減り続けていく予想で
2056年には1億人を割り込む予想が出ています。
生産人口も減りその代わりに外国人が増え
いろんな面で様変わりしていくかと思います。
それも時代の流れですかね。
明治初期の頃に比べたら現在だって
当時の想像を超える世界でしょうし…

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
キヤノネットシリーズも1961年の初代から
1972年の「GⅢ」までいろいろなモデルが発売されています。
シリーズを通じて「大口径レンズ搭載」+
「シャッタースピード優先オート」を搭載し
それでいて「マニュアル露出(露出計はオフ)」も可能な
レンジファインダーカメラです。
今回は社会現象となるほど爆発的にヒットした
初代「キヤノネット」です。
当時の家庭用カメラとしてほぼ最高の性能を持ち
キヤノンの社員たちが自分たちの月給で買えるカメラを望んだという経緯もあり
18,800円という当時としては性能に比して非常に安価なカメラで登場しました。
当然のように登場と同時に爆発的に売れ
発売直後は2週間分と見積もっていた在庫が数時間で売り切れるという
伝説的逸話も残っています。
業界からはダンピングではないかと批判の声も上がり
カメラの低額化・高機能化に付いていけなくなった
多くのカメラメーカーが倒産・撤退するきっかけとなったのだそうです。
ただし当時としては安価なカメラですが
決して造りは安っぽくはなく
部品点数の効率化や生産ラインの効率化を推し進めて実現した価格なので
内部の構造にも60年代の国産大メーカーらしい
しっかりした造りで精度の高い部品が使われています。
サイズにまだ余裕がある時代ということもあり
整備性も非常に良好です。
キヤノンSE45mmF1.9の大口径レンズの写りもなかなか優秀だと思います。

お預かりしている「キヤノネット」は
かなり長い間使われずに眠っていたものかと思われます。
ただ最も心配されるセレン光電池の状態は良好で
調整は必要なものの露出計も十分元気に振れています。
ファインダーを覗くとやはりそれなりに汚れや曇りはありますが
それよりもブライトフレームが大きく斜めに傾いてしまっています。
構造上、フレーム自体が傾くことは考えづらいので
おそらくフレームを反射するミラーが外れかかっているのだと思われます。
シャッターや絞りはやはりそれなりに粘りがあるものの
こちらも整備清掃すれば問題なく動作すると思われます。
ただオートではそれなりにシャッターは切れるのですが
マニュアルにするとレリーズロックがかかってしまい
シャッターが切れません。
キヤノネットはオート時にそのSS設定オートでカバーできない
光量の過不足がある場合にレリーズロックがかかる仕組みになっていますが
そのレリーズロック機構が少々ズレていて
マニュアル時にロックがかかってしまうものと思われます。
こちらも整備調整で解消できると思います。

まだ上カバーを外しただけでファインダーの状況や
露出計のチェック、レリーズロックの動き等を確認してる段階です。
フレームの傾きはやはりミラーが外れ掛かっているためでした。
初代キヤノネットは巻上レバーも、巻き戻しクランクも
底面に配置されていて上カバーにはフィルムカウンターの窓と
レリーズボタンしかないシンプルなものです。
そのシンプルな上カバー部に筆記体で刻印された
「Canonet」の文字がなんともオシャレだと思います。
デザイン的にも非常に優れたカメラだと思います。
現状をしっかり確認してトラブルの原因・対策がある程度
予想がついたところで本格的に分解整備に取り掛かります。

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