ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「建国記念の日」で祝日ですが
個人的には「脳梗塞の日」かなぁ(苦笑
2年前、2020年2月11日の夜に
まっすぐ歩いているつもりなのに
左に逸れてしまう症状から始まり
そのうち立てなくなり
自力で救急車を呼びました。
病院についた頃には嚥下障害も出てきて
スプーン1杯の水も飲めなくなり
強烈な回転性のめまいも始まりました。
脳梗塞といっても大脳部分ではなく
正確には延髄外側の梗塞だったので脳幹の一部ですね
そのためいわゆる「延髄外側症候群(ワレンベルク症候群)」になり
いまだに運動障害や感覚障害等の後遺症が残っています。
まぁ、もうなってしまったものはしかたないし
不幸中の幸いで日常生活にはそれほど支障がないので
良しとしなくちゃいけないのでしょうね(苦笑)
とにかく再発や新たな病気を引き起こさないように
日頃から気をつけるようにはなりました
人間本来の耐用年数ってやはり50年程度じゃないかなと思います。
それを過ぎればいろんなことが出始めて当たり前ですよねぇ
何とかうまくつきあって
もう少しは普通に生きていたいかと思います。
今日も仕事終わらせたらリハビリがんばります!
でも本当に頭とか心臓の病気って
ある日、突然やってくるので
少しでも「おかしいな」と思ったら
すぐに病院に行くことをお勧めします。

さてさて

今日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒットした「SP」の後継モデルで
M42マウントというシンプルなねじ込み式の
ユニバーサルマウントを維持したまま
SMCタクマーレンズ使用時のみ開放測光に対応できるようにしたモデルです。
(通常のM42レンズの場合は従来通り絞込測光)
レンズ側に絞り情報伝達ツメを設け
ボディ側にそれに対応する連動部を設置し
露出計回路も絞り連動できるように一新しています。
それ以外のシャッターや巻上機構に関しては
多少の部品変更は行われていますが
基本的な構造は変わりません。
電池が入っていない状態でファインダーを覗くと
SPとは異なり指針が真ん中で止まっています。
これが電源オフの状態です。
電池を入れるとファイインダーが見える状態であれば電源は常にオンなので
上下どちらかに引っ張られます。
そして明るさに応じてSS・絞りを調整して指針を真ん中に持っていきます。
SPFの露出計は単に電流値で振れているわけではなく
真ん中にある指針をCDS(受光体)経由で来た電流と
SS・絞り情報か來る電流で引っ張り合うような構造になっています。
通常の指針式露出計とはちょっと異なる構造です。

お預かりしている「SPF」はSP系定番の
ファインダー内横一線に黒い帯が出るタイプの
プリズム腐食が出ています。
さらにこれも定番のミラーアップしたままになってしまうトラブルです。
根本的な原因はシャッター幕の走行不良かと思われます。
実際にSS測定をしてみると
後幕の幕速が異様に遅いのが確認できました。
当然のことながらシャッタースピードの精度は全く出ていません。
おそらくかなり長い間、仕舞い込まれていた個体かと思われますが
幕軸等の汚れや古い変質した油のために
動きが悪くなっているものと思われます。
しっかり清掃して新しく注油を行った上で
ほんの少し微調整を行えば精度も出せると思われます。

プリズムは中古良品と交換で対応します。
SPFはフォトスイッチという
これまた変わったon/offスイッチを備えていて
レンズキャップをして光を遮断すると
フォトスイッチ用のCDSの抵抗が最大値となり
両方から引っ張りあう電流を完全に遮断します。
シャッター整備等を行った後で発覚したのですが
露出計自体はそこそこいい値を出しているのですが
おそらくフォトスイッチ用のCDSかあるいはその回路に
問題があるようで少し薄暗くなると
電源を遮断してしまうようです。
これから原因を詳しく調べますがCDS交換か
接眼レンズ周りの基板交換で対応することになると思います。
ちょっとめずらしいトラブルです。

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ニコンEMのカメラ修理

今日は2月10日、キリの良い日付で
たくさんの記念日が制定されているのですが
今日は「トムとジェリー」の誕生日なのですね!
ツイッターの公式アカウント見に行ったら
風船飛んでました!
1940年2月10日にアメリカで短編映画として公開されてから
80年以上も経つのですねぇ
日本では1964(昭和39)年5月13日から約2年間放送され
終了後も各放送局で頻繁に再放送されていました。
私が見ていたのも再放送ですが
幼いころに夢中になって見ていました。
本編もいいのですが1971年以降の再放送から追加された
いわゆる「真ん中の話(2話目)」が面白いのですよねぇ
幼いころ(小学校入学前後)のテレビ番組と言えば
この「トムとジェリー」と「8時だョ!全員集合」の2つが
強烈に記憶に残っていますねぇ…
あ、両方ともTBSか…
そういえば話が少し逸れますが
一時期の土曜日の夜と言えば
19時「まんが日本昔ばなし」
19時30分「クイズダービー」
20時「8時だョ!全員集合」
21時「Gメン’75」
ずーっとTBS系(呉なのでRCC中国放送)に
くぎ付けでしたねぇ…(笑)
懐かしいなぁ…

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
先述のテレビ番組はトムとジェリーが60年代から
他にあげたものは70年代のものばかりですが
80年代の幕開けと共にニコンからフラッグシップの「F3」と
エントリーモデルの「EM」がデビューしました。
クラスとしては両極端な2台ですが
両者ともジウジアーロデザインで非常に洗練されたカメラです。
F3は成功を半ば約束されているともいえる
「F一桁機:ですが「EM」はニコンとしては初となる
エントリークラスのカメラでした。
ニコンの…特に国内のユーザー層はニコン機に高級さを
求める方が多く、それまでのニコン機とは異なり
明らかに割り切ったエントリー機である「EM」に
結構な抵抗があったらしく「EM」は国内販売で意外と苦戦します。
「これでは難しい」と判断したニコンも
ハイスペック志向のユーザーに合わせてEMをベースとした
フルスペック機「FG」を早い段階で投入したりもしました。
皮肉なもので国内で「EM」人気が盛り上がったのは
残念ながら生産中止になって以降かと思われます。
まぁ輸出ではかなり売れたカメラなのでそこはよかったのかな…
今見ても非常にオシャレなエントリー機で
確かに値段なりの部分はありプラスチックも多用されていますが
それはそれでこう割り切った潔さがいいのではないかと思います。

お預かりしている「EM」は
ご依頼者様が以前から愛用されているものかと思われますが
おそらく近年はしばらく使われずに
仕舞い込まれていたものかと思われます。
まず外観で目に付くのは「EM」の定番トラブルでもある
巻き戻しクランク円盤部の割れと破損です。
ここが割れてしまったためクランクそのものも
紛失されてしまったようです。
ここが樹脂で強度が足りないのですよねぇ…
それでも新しいうちはまだあまり問題にならなかったと思われますが
この時代のプラスチックは経年劣化でかなり脆くなります。
ここが壊れているEMは世の中にかなり多いと思われます。
当店の部品取りもここが使われてしまったものばかりです(苦笑)
おまけに現在割れてなくても
分解のためにこれを外そうとすると割れる場合があるのですね
既に壊れている場合は逆に気が楽ですが
壊れていない場合はここを外すときには細心の注意を払います。
そして各部のモルトはかなり劣化してボロボロです
ファインダーの中もモルト屑がかなり入り込んでいます。
加えて露出計が非常に不安定です。
露出計が不安定なためオートも不安定になってしまっています。
シャッタスピードの精度も今一つです。
全体的にやはり整備調整が必要な状態です。

機能的には絞り優先オート専用のシンプルなカメラですが
80年代の電子制御機なので整備はそれなりに大変です。
プリズムはフレキで完全に覆われており
整備を行うにはこのフレキをある程度外すことから始まります。
はんだこてが大活躍ですね
それに加え作業中の静電気はうっかりすると命取りになるので
特にこの季節は静電気に気をつけて作業します。
これから慎重に作業に取り掛かっていきます。

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ペンタックスMXのカメラ修理

今日は2月9日…
いかにも語呂合わせが多そうな…と思いながら調べると
やはり…「肉の日」、「服の日」、「ふくの日(ふぐの日)」等々
そんな中に「大福の日」が…
大福、美味しいですよねぇ~コンビニからスーパーから
どこにでも売っていますし
餡子大好きな私なので大福ももちろん大好きです。
今はいろいろ問題もあって食べ過ぎないように気をつけていますが
外回りでストレスフルに仕事していた頃は
コンビに立ち寄るたびに大福と缶コーヒー買ってたなぁ…
さすがに食べ過ぎだったなぁ…それだけのせいではありませんが
結果的にロクなことにならなかったです(汗)
いやいや、餡子や大福に罪はないのですよ!
何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」なのですよね(苦笑)
美味しい大福3つくらい渋ーい日本茶と合わせて食べたいなぁ…

さてさて

本日は「ペンタックスMX」のカメラ修理を行っています。
ペンタックスは1976年にこの「MX」で
新シリーズ「Mシリーズ」のラインナップをスタートさせます。
それまであまりコンパクト化とは縁のなかった
「Kシリーズ」までの一眼レフとはガラッと方向転換し
小型軽量化に主眼を置いたラインナップを展開していきます。
その最初のモデルが「MX」だったわけですが
実は「Mシリーズ」のもうひとつのテーマは
「電子化」だったのです。
「MX」の一か月後に登場した「ME」こそが
本来の「Mシリーズ」の基本形で
その後、「Mシリーズ」は「ME」をベースに展開され
後の「Aシリーズ」に引き継がれていきます。
最初に登場したのに結果的には「Mシリーズ」の中で
少し異端児的な存在になってしまった「MX」ですが
カメラ業界全体が「電子化」に向かっていた時代で
いたしかたない部分かと思われます。
結局、純然たる機械制御シャッター機としては
ペンタックス最後のカメラとなってしまいました。
ライバルでもあるOM-1を強烈に意識したカメラで
縦・横・厚さの寸法が
全てOM-1より0.5mmずつ小さいのは有名な話です。
反対に考えると機械制御の横走りシャッター機の
大きさの限界はこのあたりなんだな…ということもわかりますね
十分に小さく軽量で非常に使いやすいカメラです。

お預かりしている「MX」は
動作はしているものの
1/1000、1/500でシャッターが開いていません。
先幕の動きが悪く後幕に追いつかれてしまう状態です。
フォカールプレーンシャッター機では
比較的よくあるトラブルですが
やはり古い布幕横走り機に多いですね。
MXは特にこの症状を抱えている個体が多いと思います。
シャッターは動作しているのに
しゃしんを実際に撮ってみたら
真っ黒だったとか、横半分が真っ黒だったとかは
この症状が出ていると考えて良いと思います。
ちなみに縦走り機で同様のトラブルだと
上半分とか下半分が黒くなったりします。
対処法としては幕軸の念入りな清掃と注油です。
その上で微調整を行い精度を出していきます。

MXは幕軸のメンテナンスを行うと
馴染むまでなかなか幕速が安定しづいらいような気がします。
この「MX」も整備は完了していますが
少し馴染むまで様子見の段階です。
テストを行いながら微調整を繰り返し
精度を確保していきます。
露出計もできる限り調整を行っています。
もちろんこちらも全く問題なく使える精度は確保しています。
ここからは個人的見解ですが
MXもそうですがFM2あたりも
せっかく機械制御シャッターなのだから
露出計もシンプルな指針式の露出計にしてくれればよかったのになぁ…と
LED式は壊れると修理不能になる可能性が非常に高いのです。
でもこの頃は「ショックに弱い指針式より
LEDのほうが壊れにくい」なんて言われてたなぁ…
個人的にはどちらもショックには弱いと思いますが…(苦笑)

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は絡みやすい記念日のない日ですねぇ
で、近年の2月7日に起こった出来事を調べてみると…
1979年2月7日に冥王星が1930年の発見から初めて
海王星の軌道の内側に入る…なんてことがありましたね
当時、私は10歳でしたがこのことはよく覚えてて
太陽から近い順番で
「水金地火木どってん海冥」だったのが
「水金地火木どってん冥海」になった!って話題になりました。
1999年2月11日までこの状態が続き
今はまた冥王星の方が太陽から遠くなっているのですが
2006年には冥王星はいわゆる惑星ではなく
「準惑星」との区分になっており
海王星とはよく軌道が「交差」していていると言われますが
実際に冥王星と海王星がぶつかるようなことはあり得ないそうで
(その辺りの説明を書き始めると
非常にややこしい上に長いので割愛)
実際にこれまで最も近づいたの1896年6月で
距離にして18.9au(地球と太陽の距離の18.9倍)だそうです。
もう太陽系の中だけでもスケールが大きすぎて
わけわかりませんね(笑)
でもこの季節は寒いですが
空気が澄んで星空がキレイに見える季節です。
いろいろな思いを馳せながら
少し星空を眺めてみるのもいいかもしれないですね!

さてさて

今日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
一昨日もモントリオール五輪記念モデルの
F-1の修理を行っていますが
今度はいわゆる後期モデルの「F-1N」です。
F-1がデビューしてから5年後の
1976年にマイナーチェンジされたモデルです。
外観はほとんど変わりませんが
変更点は10ヶ所以上あり使い勝手が向上したモデルです。
参考までに変更点は下記になります。

・フィルム巻上角度が180度から139度に
予備角が15度から30度に変更
・巻上レバーの形状変更及び指あてが追加
・対応フィルム感度がISO25-2000から25-3200に変更
・シンクロターミナルがねじ止め式に変更
・ミラーの反射率変更、スクリーンマット部粒子の微細化
・シャッターボタン受け皿部の形状変更
・ファインダー接眼レンズに多層膜コーティング
・ファインダーアイカップ部をゴムリングに変更
・標準スクリーンが「A」から「E」に変更
・バッテリーチェックボタンが自動復元式に変更
・ボディ背面にメモホルダー追加
・巻戻しクランクを引き上げた際のクリックを追加

時間がないので実際に確認したわけではなく
資料を丸写ししただけですが
細かい部分が多いですが結構変更されています。
このマイナーチェンジで使い勝手を向上させ
基本的な部分はデビュー時の宣言通り
「向こう10年間は不変」を守り
1981年の「ニューF-1」デビューまで
キヤノンのフラッグシップ機として君臨します。

お預かりしている「F-1N」は
F-1には多いトラブルである
フラッシュ接点不灯のトラブルを抱えています。
フラッシュを繋いでシャッター切っても
フラッシュが点かないということですね。
接点の形状が少々変形しやすく
シンクロしてオンにならないことが原因です。
他にも露出計は不動でバッテリーチェックは不安定
高速シャッタースピードの精度不良等が見られます。

テストも兼ねてフラッシュカプラーを装着した状態で
お預かりしました。
装着されているFD50mmF1.4s.s.cはピントリングや
レンズ装着時に少々ジャリ感があるとの
ご指摘を受けていましたが
実際に何か汚れや砂を噛みこんでいる訳でなく
金属面のスレ感が出ているようです。
摩擦面の摩耗によるものもあり
できる限りの清掃・整備で対応しています。
レンズにはSSCレンズにありがちなコーティングの痛みが
若干ありそれは改善できませんが
できる限りの清掃で通常使用には問題ないレベルにはなっています。

…毎回言いますが…文句ナシにカッコ良いですね。

かなりの部分で溶剤等での洗浄の上、注油も行っているので
少し馴染むのを待ってから最終チェックを行います。
問題なければ完成となります。

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キヤノンデミSのカメラ修理

今日は「風呂の日」だそうですよ。
「ふ(2)ろ(6)」(風呂)と読む語呂合わせですね。
実は毎月26日も「風呂の日」だったりします。
家風呂もいいですけど
でっかい湯船にゆっくり浸かる銭湯や温泉のお風呂は
本当にいいものですよねぇ…
私、実家に風呂がなかったから
銭湯通いが普通の日常で
そこで近所の友達と会ったり
怖いお兄さんに絡まれたりとか
いろいろあったなぁ(苦笑)
でも本当に湯船につかる文化は日本人で良かったと
心から思います!
でもそれも実はここ2年ほどロクに湯船に浸かっていないのですよねぇ
それより以前はこの季節なんて2日に1回は
仕事の帰りに銭湯行っていたのですが…
それも2年間の脳梗塞が原因で
右半身温痛覚麻痺になってしまったためです。
湯船に浸かっても左半身は普通にお湯の温度を感じられて
気持ちよいのですが
右半身はお湯も何も入っていない湯船に
ただ腰かけているだけの感覚だけなのですね…
これがちょっと何とも気持ち悪くって
一度、試して以来、全く行ってないのです…
それ試したのが1年半前だから
今は少しは改善してるかもしれませんが…
いや、あまり変わってないかな…(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンデミS」のカメラ修理を行っています。
「デミ」はキヤノンのハーフカメラの一連のシリーズ名で
「デミS」は最初に発売された「デミ」の
上位機種になるカメラです。
レンズはF1.7の大口径レンズになり
マニュアル露出とはいえ
プログラムシャッターで絞りとSSの組み合わせは固定されていた
デミとはことなり「デミS」では
SSと絞りの組み合わせが自由に変えられるようになりました。
(通常のマニュアル露出ですね)
ただし、追伸式の露出計との連動やプログラムシャッター的に
使うことを考慮しているのか
SSの設定を変えると絞りも連動して変化し
基本的にLV値は変わらないような動きになります。
絞りリングを操作すると絞りのみが変化するので
それで組み合わせを変えることになります。
マニュアルで普通に設定することに慣れている方からすると
少し戸惑うかもしれません…(すぐに慣れますが…)
ところで、何と言ってもデミシリーズの良いところは
ハーフカメラなのにちゃんと巻上レバーで
(ハーフカメラの巻上はダイヤルのものが多い)
その巻上フィールが何ともスムーズで
ぬめらっとした感じで(笑)気持ち良いのです!
これだけの理由でハーフだったらデミ!と思ってしまいます。
この利点は通常のデミもデミS、デミEE17も共通です。

お預かりしているデミSはまず露出計がほぼ動きません
「ほぼ」というのは、かなり強い光(LV15あたり)の光を当てると
ほんの少し反応するのです。
これはほぼ間違いなくセレンがダメなのでしょう…
デミ系も元気なセレンが既になかなか見つけられなくなっているので
ちょっと大変なことになりそうです。
で、そのセレンで起動する指針に合わせる追伸指針も
SS・絞りを動かしてもほとんど反応せず
左端に引っ込んだままです。
これはおそらく汚れ等で動けなくなっているものと思われます。
レンズ・ファインダーの状態は比較的良く
特にファインダーはデミ特有のクモリがあると
それは清掃では除去不可能なパターンですので
そこに不具合がないのは幸いです。

ボディの構造も通常のデミがベースとなっています。
ただ外装は無印デミのような完全モナカ構造ではありません。
セレンは残念ながらやはりほとんど起電しない状態のようです。
今回はたまたまそこそこ起電する中古のセレンが
入手できたので交換で対処します。
そのうちこういう交換はできなくなるのでしょうね
まずはセレン交換は後回しにして
シャッターユニット整備、レンズ清掃、ピント調整
巻上機構整備等々、基本的な部分の整備を先に行っていきます。
F1.7大口径レンズ搭載ながらなかなかコンパクトに仕上がっていて
どこにでも気軽に持ち歩けるのが魅力ですね。
そしてデミならではの使い心地の良さがまた最高です。
ご依頼者様にもぜひ調子のよいデミの使い心地の良さを
楽しんでいただきたいと思います。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「プロ野球の日」だそうですよ。
1936(昭和11)年のこの日に
全日本職業野球連盟(現在の日本野球機構)が結成され
プロ野球が誕生したことを記念して制定されています。
当時の加盟チームは、東京巨人軍(現:読売ジャイアンツ)
・大阪タイガース(現:阪神タイガース)
・阪急軍(現:オリックス・バファローズ)
・名古屋軍(現:中日ドラゴンズ)
・東京セネタース・大東京軍・名古屋金鯱(きんこ)軍の7チームだったそうです。
わが広島東洋カープがこの中に加わるのは
1もおう少し後の1950年です。
プロ野球は今年もキャンプインし、いよいよ球春到来です。
ここ数年、コロナの影響がいろいろあって
本来の姿で楽しめない期間が続いていますが
今年もテレビ観戦が中心ですができるかぎり応援しています!
カープも気になりますが誠也の行き先が
なかなか決まらないのも心配の種ですねぇ…
早くピークアウトして気持ちよく開幕してもらいたいものです!

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
ちょうど昨日からいよいよ北京オリンピックが開幕しましたが
今回、お預かりしているF-1は
1976年のモントリオールオリンピックに
F-1が公式カメラに認定されたことを記念しての
「モントリオールオリンピック記念モデル」です。
巻き戻し側の前面に同大会のシンボルマークと
「Montréal 1976」の文字が刻印されています。
それ以外は通常のF-1と変わらないのですが
やはり記念モデルはちょっと特別感もあって
カッコ良いですね!
旧F-1には1980年のレークプラシッド冬季オリンピックの
記念モデルも存在します。
ちなみにモントリオールは前期F-1で
レークプラシッドは後期F-1(F-1N)になります。
さらに余談ですが1984年には
ニューF-1でロサンゼルスオリンピック記念モデルも出ています。
まぁこういうのを集め始めるとまた大変なわけですが…
存在を知ると興味が出てしまいますよね(苦笑)

お預かりしているF-1はかなり長い間、放置されていたとみられ
あまり状態がよいとは言えないものでした。
まずシャッターは動作はしているものの
1/2000は全く開かず、1/1000も1/3は開かない状態です。
こんな状態なので高速シャッターは全体的に精度も出ていません。
低速シャッターはスローガバナが完全に固着している状況で
1/30ー1秒のスローは全滅で
どれもシャッタ-が開いたままになってしまいます。
露出計も動作はしているもののSW部の接触不良があるようで
非常に不安定な状況です。
精度はいずれにしてもできる限りの調整となりますが
現状では使い物にならないような精度しか出ていません。
ファインダー内もかなり汚れています。

それでもさすがフラッグシップで最高級機のF-1です。
どれも接触不良や油切れや汚れによる動作不良なだけで
致命的なトラブルはないようです。
すなわちしっかり通常の整備清掃を一通り行えば
通常通り使える状態になるということです。

画僧は一通りの整備を終えた状態でのものです。
かなり奥深くまで清掃し、必要なところには最小限の注油を行い
各部の動きの調整を行っています。
シャッターは問題なく安定して動作していますが
幕軸や調速部の清掃注油を行ったため
少し動きが落ち着くまで様子見をしている段階です。
露出計も安定して動作するようになりました。
画像で装着しているレンズは当店のテスト用レンズですが
こうしてみるとやはりF-1はカッコ良いですねぇ…
どっちが良いとか悪いではなくて
本当にニコンとは方向性が正反対なのですよね…
当時のF-1のライバルはF2ですが
どちらも特にデザイン的には全く違うタイプなのに
どちらもカッコ良いのです。
70年代の一眼レフは各メーカー、ラインナップも豊富になり
なかなか楽しいカメラが多い時代ですね。

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ニューキャノネットQL17のカメラ修理

昨日は「節分」ということは今日は「立春」ですね!
二十四節気の1番目にあたります。
あくまでも「の気配がち始める日」という意味なので
まだまだ寒い日もありますが
ここから少しずつ春に向かうわけですね!
もう寒いのはおなかいっぱいです!
早く暖かくなってほしいですね。
また、「冬至」(12月22日頃)と「春分」(3月21日頃)の中間にあたり
昼夜の長短を基準に季節を区分する場合は
この日から「立夏」(5月5日頃)の前日までが「春」となるのですね。
実際の季節感はこれより1ヶ月くらい遅く感じるくらいですかね…
それから今日は「に(2)し(4)」(西)と読む語呂合わせから
「西の日」でもあるのですね。
西に行くと幸運に巡り会える日。
また、西から来た人と仲良くなれる日とされているのだそうです。
…ということは今日の夜のウォーキングは
ひたすら西にむかって歩くと
何かとんでもない幸運があるかも…(笑

さてさて

本日は「ニューキャノネットQL17」のカメラ修理を行っています。
前モデルの「キヤノネットQL17」の機能はそのままに
大幅にコンパクト化されたカメラです。
刻印されるモデル名は前作と同じく「Canonet QI17」のため
区別するために「ニューキャノネット」と呼ばれます。
発売開始は1969年7月、お!私とおない年で
3ヶ月ほど遅く生まれたのですね!それだけで親近感が湧きます
ただ、今回預かっている個体は
正確に言うとマイナーチェンジ版の
「ニューキャノネットQL17-L」なので
1970年6月以降の発売モデルかと思われます。
「L」の違いはバッテリーチェックの有無で
「L」は接眼レンズ横のBCボタンを押すと
明るさに関係なくファインダー内露出計指針が動いて
バッテリーの残量確認ができます。
それ以外はマイナーチェンジ前と同一です。
初代から共通するSS優先AE搭載でマニュアルも可能
マニュアル時には露出計がオフになるのも初代から
シリーズ最後の「G-Ⅲ」まで共通です。
使い勝手もよく写りも秀逸でかなりう優れたコンパクトカメラです。

お預かりしているキヤノネットは
まず露出計が電池を入れてオートにしても全く動きません。
お預かりしたときに昔の水銀電池(MR9)が
そのまま入っていました
液漏れはないものの水銀電池から出るガスの影響で
電池室内は緑青だらけです。
これではさすがに電気は通りません。
電池室端子の磨きはもちろん、配線も要交換と思われます。
スローガバナには粘りがありスロー時には今にも止まりそうです。
このカメラに多い絞りの固着によりオート不動は
今のところなさそうです。
ファインダーはかなり曇っていて
とてもピントが合わせられる状況ではありません。
全体的に整備が必よな状態なのは間違いないですね

このタイプのカメラは
やはりコニカC35を意識せざるを得ないでしょうが
機能的にはライバルは上級モデルの「C35FD」ですね。
同じような機能のSS優先AEを搭載しますが
露出計は使えないとはいえ
マニュアルが可能で最悪電池がなくても撮影が行える
キャノネットのほうが機能的には上回っていると思われます。
さすがにこれだけコンパクトになったので
整備性は少々苦しくなりましたが
それでもよく考えられて造られていることがわかります。
キャノネット最終モデルの「G-Ⅲ」に
人気が集中している感がありますが
基本的な部分はこの「ニューキャノネット」もほぼ同じです。
個人的にはなかなか狙い目なカメラだと思います。
ただ前玉のコーティング劣化が多いカメラで
(G-Ⅲも含めてニューキャノネット系は全て)
それは清掃ではどうにもならない部分なので
そこは気をつけたほうが良いかと思います。
さて!これから本格的に分解整備に取り掛かります、

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ミノルタXDのカメラ修理

今日はお馴染みの「節分」ですね。
その名の通り、季節の分かれ目で
「立春」(2月4日頃)の前日で
「大寒」(1月20日頃)から約15日目にあたります。
冬の節が終わり、春の節に移るということですね。
本当は立春の前日だけでなく
立夏・立秋・立冬の前日もそれぞれ節分なのですが
太陰暦(太陰太陽暦)では
「立春」を年の初めと定めており
「立春」の前日すなわち「大寒」の最後の日にあたる
この「節分」を特に重視しているのだそうです。
で、季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると
考えられていたため
それを追い払う意味で「豆まき」が行われるということです。
豆まきは良いのですがあの「恵方巻」って何なんでしょうねぇ
個人的には全く馴染みがなくて
気が付けば「節分」=「恵方巻」となっていました…
全く習慣ないので「節分」に恵方巻食べたことないです。
だいたいのり巻き1本切りもしないで食べるって
多すぎるしお行儀悪くないですか?(笑
ところで全く関係ないですが
今日は「ジュディ・オングの日」だそうです。
Wind is blowing from the Aegean~♪
おんなはうみ~♪
「魅せられて」子供の頃、めちゃ好きでした!懐かしいですねぇ~

さてさて

今日は「ミノルタXD」のカメラ修理を行っています。
1977年発売の世界初の両優先AEを搭載したマルチモード機です。
ちなみに先程の話題の話題のジュディオングさんの「魅せられて」は
1979年のレコード大賞ですが
XD発売の1977年はジュリーの「勝手にしやがれ」です。
でも個人的には1977年といえば「カルメン’77」のインパクトが
強烈に残っています(笑
失礼しました。話を戻します。
発売当時はその僚優先AEをはじめとする機能面で人気を確立しましたが
現在では機能面よりもそのデザインの美しさや
明るくてキレの良いファインダー、上品なシャッター音等々
その使い心地やデザインが人気の要因となっています。
特にファインダースクリーンはミノルタならではの
アキュートマットスクリーンを採用し
それまでのミノルタ機とはファインダーの明るさと
ピントの山の掴みやすさに雲泥の差があります。
このXDからオートフォーカス時代に至るまで
「ミノルタのファインダーはキレが良い」というイメージを
作り上げていくことになります。

お預かりしているXDは一通り動作はしていますが
SS、露出計。オート、それぞれ少々不安定な部分があるようです。
露出計、オートの不安定さは摺動抵抗の汚れと思われます。
SSの不安定さはシャッター羽根の汚れと思われます。
不安定なのもそうですが幕速がやけに遅いのも気になります。
モルトは全滅で、おそらくここ十数年は使われていないものかと思われます。
ファインダープリズムにも随分クモリがあります。
全体的にリフレッシュが必要な状態ですね。

ご依頼者様から今回ご指摘があったのですが
XEやXDのミラーボックス内側面には黒い反射防止紙が
貼られています。
それが経年劣化と汚れで白い斑点だらけになるのです。
むやみに溶剤等でキレイにしようとすると
ボロボロになって剥がれてしまいます。
剥がれかけている場合は張り替えるほうが無難ですが
丁寧に清掃すれば問題ないレベルにキレイになりますので
今回は清掃で対応いたします。

XDはシルバーも存在しますが
この艶消しのブラックがやはり人気です。
他機種でよくある通常の艶ありブラックと比べても
なかなか独特な存在感を放ちます。
これも当時提携していたライツの影響だと言われています。
この個体は後期モデルで貼り革は通常の固いものですが
初期のXDは柔らかい本革を使用しており
このあたりも質感にこだわったのだと思われます。
しかしながら初期の本革は経年劣化でかなり縮んでしまったり
質感も粘着質になってしまい耐久性にはかなり問題があったようです。
本来の柔らかい本革の手触りはかなり良いのですが…ここは残念でした。

まだ上カバーを開けただけですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

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リコーXR500のカメラ修理

今日は2月2日ですね。
ゾロ目ということもあり
語呂合わせに関連した記念日がたくさんありますねぇ
夫婦の日、おんぶの日、おじいさんの日
2連ヨーグルトの日、麩の日、ツインテールの日…等々
その中に「頭痛の日」なんてのもありますねぇ
これも「ず(2)つう(2)」(頭痛)と読む語呂合わせからです。
私、あまり頻繁に頭痛に悩まされることはないのですが
たまに頭痛が起きると本当につらいですよねぇ
もう何にも集中できなくて何もできなくなりますものね
私は解熱剤や鎮痛剤が体質的に
よく効くタイプらしいのでそういうときには
速攻で市販の鎮痛剤を飲んでおけば
大抵の場合はしばらくすると落ち着きますが
頻繁に頭痛を抱えている方は大変でしょうね
一時的な頭痛であればまだいいのですが
慢性的なものやあるいは重篤な病気の前兆の場合もありますから
油断はできません
私もいい歳ですしここ数年いろいろありましたから
毎日の体調の変化にどうしても敏感になってしまいます。
気にしすぎもいけないとは思うのですが
頭痛でも明らかに普通のものと異なる場合は
やはり注意しないといけません。
基本的に一人なのでなおさらです
毎日健康に生きるって意外と難しいですものねぇ…

さてさて

本日は「リコーXR500」のカメラ修理を行っています。
リコーXRシリーズはレンズマウントに
ペンタックスと同様の「Kマウント」を採用した一眼レフです。
XRシリーズのボディは
チノン製をベースにしたもの、コシナ製をベースにしたもの
リコー自社開発のものに分かれるのですが
このXR500はおそらくチノン製ダイキャストを使ったものだと思われます。
XR500は元々兄貴分でもあるXR-1の機能を限定し
一眼レフとしては破格の50mmF2レンズとケース込みで
39800円という価格を実現し大ヒットしたモデルです。
確かに価格が抑えられていることもあり
素材や仕上げにそのあたりを感じる部分もありますが
機械制御の縦走りシャッターに追伸式のシンプルな露出計
簡略化された機能は逆に非常に使いやすい1面も持っています。
確かに普通に写真を撮るにはこういうのが一番です
使い勝手が良くて余計な機能は一切なし
惑わされるものがないと言うのは非常に快適です。
さらにシンプルが故に信頼性は高いものがあります。

お預かりしているXR500は普通に使えていたものの
突然シャッターが切れなくなったとのことです。
巻上か何かがスタックしてしまったのかな…と予測していましたが
ちょっと様子が違うようです。
シャッター羽根の位置から判断すると
シャターチャージはされているようです。
…となると考えられるのは
何らかの原因でシャッターだけチャージされ
ミラーチャージがされていなから切れないのかな…とも思いましたが
その場合ならレリーズボタンは押せるはず…
しかしながらこのXR500はそのレリーズボタンが全く押せません。
これはレリーズ機構に何かトラブルが起こっているようです。

外観と現状だけでは原因はわからなかったので
とにかく怪しい場所から分解を進めていきます。
で、結論から言うとレリーズ軸が強烈に固着していて
「何で押そうがビクともしない状態」でした。
なぜこうなったかが非常に理解に苦しむのですが
何か固まってしまうようなものが
レリーズ軸に流れ込んだとしか思えません。
とにかく動くようにしないといけないので
力任せでぐいぐいやってると間違いなく破損してしまうので
レリーズ軸周りを一通りバラシて分離し
金属部品だけの状態にして溶剤や潤滑油とかで
時間をかけて慎重に「固着させている何か」を除去しました。
その作業と並行して分解した巻上周りの整備を行い
さらにシャターユニットの整備も行います。
レリーズ同様に何が起こっているかわからない部分もあるので
できる限り細かく動きもチェックしていきます。
結構集中してその辺りの作業を行い再組立てしたところで
「あ!ブログ用にどこかで写真撮るのを忘れてた!!!」と気づき
写真は完成後のものになってしまいました(苦笑)
まぁそんなのは二の次ですからいいのですが…
少し時間をおいて動きに問題がないかをチェックして完了です。
今のところは何事もなかったかのように
全体的にスムーズに動作しています。
こういうシンプルな一眼レフはいいですね
なかなか軽量ですし気軽にどこへでも連れていけそうな気がします。

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ミノルタハイマチックのカメラ修理

今日は「3分間電話の日」だそうですよ。
1970(昭和45)年のこの日に
日本電信電話公社(略称:電電公社、現:NTT)の
市内電話の料金が3分間10円になったのだそうです。
でも、これは公衆電話からの料金で
それまで1通話10円で、時間は無制限でした。
3分間10円は長電話防止のために始められたものだったそうです。
1通話時間無制限で10円ってすごい時代もあったのですねぇ
まぁ10円の価値が今とはずいぶん違いますが…
私は世代的に「公衆電話」や「電話ボックス」には
思い出がたくさんあって
中学生ともなれば家で家族に通話を聞かれたくなくって
10円玉数枚と100円玉1枚握りしめて夜の8時とか9時に
近所の公衆電話に電話かけに行ったなぁ…
もちろん相手の家電にかけるわけだから
「親が出たらどうしよう???」なんて思いながら(笑
公衆電話機もその頃はいろいろな種類があって
赤電話やピンク電話(Hなヤツじゃないです)
青電話、黄色電話…
そしてそのうちテレホンカードが使える緑電話が登場しました
色によって形態や種類がいろいろ異なるのですが
それをここで書き始めると止まらなくなるので割愛します。
今や公衆電話も使うことないですし
台数自体も当たり前ですがすっかり減ってしまいました
これも時代の流れですかね…

さてさて

今日は「ミノルタハイマチック」のカメラ修理を行っています。
1961年に発売されたカメラです。
それまでミノルタのレンズ固定式レンズシャッター機は
50年代から続く「Aシリーズ」、
プログラムシャッター機の「ユニオマット」が主流でしたが
ここで新しいシリーズとして「ハイマチック」が登場しました。
45mmF2の大口径レンズを搭載し
セレン光電池を使用した露出計とプログラムシャッターを連動させ
プログラム自動露出専用機とし
ピントを合わせてシャッターボタンを押すだけの簡単操作カメラです。
シャッターはプログラムシャッターのシチズンユニEを搭載します。
アメリカのアンスコへのOEM製品アンスコオートセットは
装着レンズが45mmF2.8で、マーキュリーアトラス6号
(コールサイン「フレンドシップ7」)に搭載されて
初めて宇宙に飛んだカメラともなりました。
ハイマチックシリーズはこのモデルを初代として
この後、ミノルタのレンズ一体型35mm判カメラを
代表するシリーズとなり
モデルチェンジを重ねながら
1982年発売のハイマチックAF-2まで続くシリーズとなります。

お預かりしている「ハイマチック」は
ご依頼者様のご自宅でかなり長い間眠っていたものと思われます。
レンズ・ファインダーにはかなりの汚れとカビが見受けられ
なかなか清掃のし甲斐がありそうです…
シャッターそのものはなかなか元気の動作しているのですが
心配されるセレン光電池はかなり弱っているようで
露出計はほぼ動いていません。
露出計連動のプログラムシャッター機なので
この状態だと明るさに関係なく「F2・1/45」で切れてしまうので
日中屋外だとほぼ全ての写真が真っ白になってしまいます。

まずはこの状態で露出計児童の原因は
セレンなのか露出計本体なのかを確認しておきます。
まれにセレンは元気で露出計がダメな場合もあるのですが。。。
でもやはり今回はセレンがダメなようです。
ハイマチックのセレンの中古良品は
今回はたまたま当店に在庫があったので
それと交換して調整していきたいと思います。
その前にもちろんここから分解を進めて
先にシャッター整備やレンズ清掃等の基本整備を行っていきます。
その上で露出計の調整やオートの調整
ファインダー清掃、距離計調整を行い
通常に使える状態に仕上げていきます。
この時代ならではのグリーンがかったグレーの貼り革や
ファインダー接眼レンズの周りのレトロなデザインが
何ともたまらないカメラです。
万全な状態に仕上げてご依頼者様には存分に楽しんでいただければと思います。

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