日別アーカイブ: 2021年3月1日

ペンタックスSPのカメラ修理

早いもので今日から3月です!
3月は英語で「March」ですが
「march」といえば「行進曲」のことでもありますよね、
ということで今日は「マーチの日・行進曲の日」なのだそうです。
3月の「March」はローマ神話の
「マルス(Mars)の月」を意味する「Martius」に由来しています。
マルスは「戦と農耕の神」で「軍神」とも呼ばれています。
行進曲の「march」とはスペルが同じなだけで
語源は全く違うのですね。
行進曲の歴史は古く17世紀の終わり頃に
オスマン帝国(トルコ)の軍楽隊をルーツとする
「トルコ行進曲」まで遡るのだということです。
有名なベートヴェンやモーツァルトの「トルコ行進曲」は
オスマン帝国軍楽隊の音楽をルーツとして作曲された行進曲です。
本来のトルコ行進曲は単なる楽曲のタイトルではなく
もっと広い範囲を指す言葉なのですね。調べていて初めて知りました。
でも日本だと行進曲と言えばやはり「軍艦マーチ」ですかね
他にも行進曲はいろいろありますが
行進曲を聞いていると小学校の運動会の行進の練習を思い出します。
単調でめんどくさい上に運動会前1ヶ月くらいから
何度も何度もやらされるのですよねぇ。。。
運動会そのものは好きでしたが
あの開会式・閉会式の行進練習だけは本当にいやだったなぁ
それにしても今考えると何であんなに気合入れて
運動会の練習やってたんでしょうねぇ…
今ではそんなことないですよね?
ところでモーツァルトの「トルコ行進曲」聴くと
どうにも運動会の「徒競走」を思い出してしまいます(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
SPもコンスタントに毎月修理依頼のあるカメラです。
M42マウントということでペンタックスタクマーレンズ群はもちろん
世界中のM42マウントレンズ群を使用することができ
そこも未だに人気の高い要因になっていると思います。
発売当時は現在どころの騒ぎではなく
いわゆるハイアマチュアの方の中でのシェアはナンバー1だったと思われます。
本当かどうかははっきりしませんが
雑誌のフォトコンでの入選以上の作品が
全てSPで撮られていたこともあった…という話も聞いたことがあります。
それほどまでに支持を集めていたカメラなので
現存している台数も多いのですが
コンディションの悪い状態のものも多いのが現状です。
さすがに生産されてから50年以上経過するカメラですので
使いっぱなし、しまいっぱなしで
そのまますぐに使えるとは考えない方が良いかと思います。
現在、きちんと動作しているSPは
それなりに定期的に整備され、ある程度使い続けられている個体かと思います。

お預かりているSPは少々めずらしいブラック塗装のSPです。
適度な使い込まれ感がありなかなか良い感じです。
現状をチェックしてみると
まずは定番のプリズム腐食です。
プリズムの周りにぐるりと1周貼られている遮光材が
加水分解を起こしプリズムの塗装、蒸着を剥離してしまいます。
発売以来何も対策が取られていない個体は
まず間違いなくこのプリズム腐食が発生しています。
中古良品のプリズムと交換で対応いたしますが
腐食のないSPのプリズムは今や非常に希少で
なかなか見つけることが難しい状況となっています。
今回は何とかひとつ確保できたので無事に交換で対応できそうです。
シャッターはこれもよくある症状で
後なくの走行状態が非常に悪く最後までキチンと走り切りません
そのため最後にミラーダウンレバーを作動させることができず
ミラーアップしたまま固着という状態になってしまいます。
それほど後幕の走行状態が悪いということは
当然、全域にわたってシャッタスピードの精度は出ていません

画像にプリズムが写っていますが
劣化した遮光材が貼られているのが写っていますね
ここの内側が剥離して
ファインダー上で横方向に一直線に黒い線の入る
SP系特有のプリズム腐食が見られるようになるわけです。
シャッター周り、ミラー駆動部回るの修理・整備はもちろんですが
露出計周りの配線等もしっかり整備、修理していきます。
露出計そのものは現状何とか動いてはいますが
お預かり時には電池室に腐食した水銀電池が入ったままで
まずは電池室の蓋が強力に固着して開かない状態でした
もちろん電池室周りの配線や端子はかなり腐食していたので
交換や修理で対応し後で精度もキチンと調整します。
SPにありがちな露出計SWがシャッターを切っても
戻らない状態だったのでそれも対処いたします。
実はこのご依頼者様からは一緒に家から出てきたSPFと
レンズもスーパータクマー、SMCタクマー、合わせて4本
お預かりしておりそれぞれに大なり小なり問題を抱えているので
一気にすべて整備を行っていきます。
だいぶ長い間、眠っていたものと思われますが
ご依頼者様の手で是非、何十年かぶりに
今の景色をフィルムに焼き付けてほしいと思います

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