日別アーカイブ: 2021年5月28日

キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「花火の日」だそうですよ。
1733(亨保18)年のこの日に
隅田川の両国橋付近で水神祭りの川開きが行われ
慰霊を兼ねた花火が打ち上げられたそうです。
この年は第8代将軍・徳川吉宗の治世で
全国的に凶作に見舞われ、大飢饉になったうえに
コロリ(コレラ)が大流行して多くの死者が出ました。
この犠牲者の慰霊を兼ねて打ち上げられた花火は
やがて庶民の楽しみとして定着したのだそうです。
コレラではないですが
コロナのせいで昨年から打ち上げ花火関連は
残念ながら良い話がありませんね。
典型的な人が密になるイベントですし
今後もなかなかムzkしくなると思われます。
私が昔、広島にいた頃は毎年のように
現地に見に行っていた「宮島水中花火大会」も
昨年・今年だけでなく、当面企画そのものが中止になりました。
いつかはまた復活してほしいものですねぇ
そうしたら何とか時間作って宮島に渡って鑑賞したいものです。
花火撮影も一時期はかなりこなしましたが
夜景とか星空とはまた異なる撮影方法が必要です。
まず明るいうちにピントは無限遠にセットして
テープか何かで固定しておきます。(特に大口径望遠レンズは注意)
花火は思ったよりも強烈に明るいので
ISO100のフィルムの場合で絞りはF8かF11にセット
シャッターはバルブで打ち上げのタイミングに合わせて
レリーズしますが一度、シャッターを開いたら
いくつかの花火が重なって写るように開きっぱなしにしておきます。
(一発ずつでは写真上で寂しいので)
この時、間隔が空くようだったら
あらかじめ用意しておいた黒い厚紙でレンズをふさぎます。
(余計な光が映り込まないように)
で、どのくらい重ねるかはもはや「勘」です。
あまり重ねすぎると重なった部分は真っ白に飛んでしまいます。
相反則不軌の問題やいつの間にか余計な光が入ったりするので
あまり長時間一コマ開けっ放しは良くないかとも思います。
そして慣れてくるとその中で
わざとピントをぼかした花火を入れたり
花火が開いてる最中にズーミングとかをして
幻想的な写真を狙って写していきます。
まぁ、慣れるまではわけがわかんないうちに終わります(笑
私もある程度思ったように撮れるまでに
かなり時間がかかったような記憶があります。
もう今は無理だろうな…長らくそんな撮影していません(汗)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
1976年発売の「キヤノンAシリーズ」第一号となるカメラです。
世界初のマイクロコンピュータ搭載機で
従来の電子制御機と同等以上の性能を
コンピュータで実現し、部品も300点以上削減することに
成功したのだそうです。
その部品削減や組み立て作業の効率化は
もろにコストに跳ね返り
AE-1は当時の最新のカメラでありながら
FD50mmF1.4SSCの大口径標準レンズを付けて
81,000円というリーズナブルな価格で売り出されました。
当然のごとく大ヒットしました。
キヤノンはこういう節目節目でブレイクスルー的なカメラを
登場させ市場を一変させたことが過去にもありました。
初代キャノネットが登場したときですね。
その時ほどではないにしてもAE-1の登場は
他の各メーカーにかなりの衝撃を与えました。
キヤノネットの時と同じく
AE-1登場後にカメラの高機能化・高効率化についていけなくなった
メーカーが随分と35mm判一眼レフ市場から
撤退・縮小したと思います。

そんな当時は革新的なAE-1も大ヒットしたせいもあり
現存数は多く、市場価値的にはそれほど高くはありません。
おまけに電子カメラの常で壊れたまま放置されている
個体も多いのではないかと思われます。
確かに無茶な分解等をした個体には修理不可のものも良く見かけますが
自然に電子回路が壊れるなんてことは
それほどないのではないかと思います。
ただ、接点の汚れとか電池の入れっぱなしによる腐食とか
そういうトラブルは多いかと思われます。
さらにすべてのAシリーズのベースとなるAE-1ですので
当然のことながらAシリーズ共通の定番トラブルである
シャッター鳴きは多発します。
これも放っておくと異音だけではなく
ミラーがだんだん上がらなくなり
最後にはシャッターそのものが切れなくなる…ことにもなってしまいます。
登場から45年。。。さすがに未整備でも動作OKとは
いえなくなる時期でもあると思います。

お預かりているAE-1は保存状態は決して悪くなく
持病であるシャッター鳴きはほとんど起こっていません。
ただし、これもAE-1の泣き所ですが
電池室蓋のロック機構が破損しており
電池室が閉まりません。
さらに高速シャッターはさすがに精度不良で
露出計・オートはかなりオーバー目(+2.5段)と
やはり全体的に整備を行わなくてはならない状況です。
もちろんせっかく分解するので
持病のシャッター鳴きの予防処置も行っておきます。

シャッター優先AE時の絞り制御も行うので
ミラーボックス周りはかなり複雑になっています。
シャッター鳴きはこのミラー駆動部のギア部の油切れが原因ですが
ミラーを挟んで反対側にある絞り制御部も
動きが重くなっていたり異音が出ている場合が多いので
必ず清掃注油を行います。
これをしていないと露出計が正しくてもオート制御がおかしくなり
まともに露出できないことになります。(オート時)
世界初のマイクロコンピュータ制御カメラですが
意外と機械的な部分はまだ多いカメラです。
何といってもSSダイヤル連動はまだ糸連動も残っていたりします。
そのため整備必須項目は意外と多く
調整もややこしいカメラです。
AE-1Pになると電子化がさらに進み
手を出しにくいところもずいぶん増えてきます。
ただしAE-1はフレキが意外と脆いので
経年劣化もあり取り扱いには細心の注意が必要です。
フレキが切れた分解品を目にすることも多いです。
もちろん今回の個体はそんな心配もなく
安心して使っていただける状態にできそうです。
これから本格的に整備調整を行っていきます。

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