月別アーカイブ: 2022年10月

ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「登山の日」ですねぇ
日本山岳会が1905(明治38)年10月に発足したことと
「と(10)ざん(3)」(登山)と読む語呂合わせが由来となっています。
山登りとひとくくりにして言っても
いろんなタイプやレベルの山登りがあるのですが
何にしても山歩きは気持ちいいですよね
10年くらい前は毎週のようにあちこちの山を歩いていて
お店を始めてからはなかなかまとまった時間も取れず
それでも年数回は山に出かけていましたが
2年半前に頭がちょっといかれて
足元が少々おぼつかなくなったので
さすがに山道は歩けなくなりました(苦笑)
残念ですがしかたないですねぇ…
3000mクラスの山々なら夏山がいいですが
本州の2000mくらいの山なら今の季節が最高ですかねぇ
紅葉もそろそろ楽しめるはずです。
森林限界を超える見晴らしの良い稜線を歩いていると
まさに「天空の散歩」って感じで
日常では味わえない高揚感が楽しめます。
もう少しいろんなところをいろんな季節に歩いておけばよかったかなぁ

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
1960年代から70年代にかけての
ニコンの中級機を担うニコマートシリーズの中で
おそらく最も売れたカメラであり
最も現存数の多いカメラかと思われます。
1967年発売のカメラです。
最初のニコマートFT系モデルである「FT」をベースとして
開放F値補正操作(いわゆるニコンのガチャガチャ)を採用し
それまでダイヤルで都度設定しなければいけなかった
開放F値の設定が絞りリングを往復させるだけで完了します。
またニコマートシリーズで初めて中央重点測光が取り入れられています。
汎用シャッターユニットであるコパルスクエアシャッターを
使うことやアッセンブリー部品を多用することにより
大幅なコストカットを行いつつもニコンらしい高い堅牢性を実現したカメラです。
発売開始から50年以上経過しますが
よほど保存環境が劣悪な場合でない限り
そう簡単にシャッター切れないような
状態になっている個体は少ないと思います。
「何が何でも巻上とシャッターだけは切れる」というカメラである印象を
個人的には持っているカメラです。
いや、実際、非常に丈夫なカメラです。

とはいえ。。。さすがに最低限の動作はできていても
さすがに油切れや汚れによる動作不良や精度不良は起こります。
これはさすがに仕方ないですね。
今回お預かりの個体もシャッターは切れているもの
やはり高速シャッタの精度は羽根汚れの影響もあり今一つですし
露出計も何とか動いてはいますが非常に不安定な上に
精度は出ていません。
モルトは内部モルトも含めて全滅でファインダー内はモルト屑だらけです。
やはり普通に使うためには一通りの整備が必要な状態です。

まだまだ分解途中の段階での画像ですが
これから整備一式を行っていきます。
ニコマートFT系と言えばマウント部絞りSS連動の
マイラー抵抗の状態が心配ですが
今回の個体はここの状態は悪くなく
交換は不要かと思われます。
ただし電池室裏の端子は緑青がかなり発生しており
配線も交換が必要です。
他、シャッターユニット、巻上部。ミラー駆動部等も含めて
一通りの整備を行っていきます。

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ペンタックスS2のカメラ修理

今日から10月ですね。
月初ということもあってたくさんの記念日が制定されています。
衣替えに始まり、日本茶の日、メガネの日、
法の日、土地の日、東京都民の日、ネクタイの日
香水の日、醤油の日。。。等々他にもたくさん。。。
そんな中でもやはり「日本酒の日」ですかね。
新米で酒造りを始めるのが10月であること、
十二支の10番目が「酉」で酒壺を表す象形文字であること、
明治初期に制定された酒造年度が10月1日に
始まることなどからこの日が選ばれたのだそうです。
お酒は基本的に何でも飲めますが
やはり日本酒が最高ですねぇ…
香りの立つ大吟醸とか磨きこまれたお酒であれば
日本酒単体でも素晴らしく楽しめますが
個人的好みで言えばクセの少ない純米酒に
いろいろな肴を組み合わせて食事として楽しめるのが
日本酒が最高な部分ではないかと思っています。
私、子供の頃は結構食べ物(特に和食系)に
苦手なものが多かったのですが
日本酒を飲むようになってから好き嫌いが随分減ったのですよねぇ
まぁそれは私に限ったことかもしれませんが
日本の食材に基本的に日本酒は合うのだと思います。
…とはいえ食事の量もお酒の量も
もう昔のようにはたくさん楽しめないので
今夜あたりはちょっと良いお酒に良い肴を少しだけで
ちびちび楽しみたいと思います!
そのために昼間は仕事頑張らなくては!!!

さてさて

本日は「ペンタックスS2」のカメラ修理を行っています。
ペンタックスのM42マウント機と言えば「SP」が現存台数も
現在の人気もトップクラスだと思いますが
「SP」以前のペンタックスAP系にも魅力的なカメラがたくさんあります。
「AP」→「K」→「S2」→「S3」→「SV」と変遷していくわけですが
今日はその中でも「一軸不回転シャッターダイヤル」が採用され
随分現代的に進化した「S2」です。
発売開始は1959年です。
元々は普及機として開発され
当時のトップモデル「K」に比べて
製造設備の整備や生産工程の大幅な見直しによって
コストダウンが進められ
ケース付き51,500円であったアサヒペンタックスKに対して
ケース付き35,000円と大幅な低価格化を実現しヒット商品となったモデルです。
その上で先に触れた「一軸不回転シャッターダイヤル」や
ファインダースクリーンにマイクロプリズムを採用したりと
機能的にも「K」を上回る部分がありました。
シャッター最高速こそ当初は1/500まででしたが
これも最終的には1/1000に引き上げられます。
今回お預かりの個体も後期のモデルで最高速は1/1000です。

しかしながら「SP」より前のモデルは
材質や経年の問題もありシャッター幕に
トラブルを抱えている個体がほとんどです。
今回の「S2」も幕はかなり硬化していてガチガチな上に
かなり波打っていてシワシワです。
当然ながらシャッターはまともに走行できる状態ではなく
巻上げてしゃったーを切っても
先幕はゆっくりゆっくりかろうじて走行完了するものの
後幕は途中で止まってしまいシャッターは開いたまま
もちろんミラーアップしたままになってしまいます。
こうなるともうシャッター幕交換以外に術はありません。

画像はまず先幕を取り外した状態でのものです。
画像で見ると先幕は一見キレイそうに見えますが
ガチガチのよれよれです(苦笑)
後幕の状態はもっと悪いです。
今回はプリズムの頂点部にも腐食がかなりあり
ファインダー内の視界も悪いので
プリズム交換も同時に行います。
さらに画像にはありませんが装着されていた
半自動絞りのオートタクマー55mmF2レンズの清掃整備も行います。
やれることは全て行って
今後長く使っていけるようにメンテナンスを行っていきます。

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